遠方に住んでいる、仕事や体調の都合が悪いなどの理由で、葬儀に参列できないことは誰にでもあります。
そんなとき、「香典を郵送してもいいのか」「マナー的に失礼ではないか」と悩まれる方も多いでしょう。
この記事では、香典を郵送する際、失礼にならないマナーやタイミング、必要な準備物、添え状の書き方(文例付き)などをわかりやすく解説します。
香典は郵送しても大丈夫
通夜や葬儀に参列して直接手渡すのが一般的な香典ですが、やむを得ず出席できない場合は、郵送しても問題ありません。
最近では高齢化や遠方在住者の増加、コロナ禍の影響で、香典を郵送するケースも増えています。
マナーとして大切なのは、相手の負担にならないよう配慮した形で丁寧に送ることです。
葬儀に参列できないときの香典マナー
葬儀に行けない場合でも、香典を郵送する際は以下のマナーを守ることが大切です。
必ず現金書留で送る
普通郵便では現金の送付が禁止されています。
郵便局の窓口で現金書留用封筒を購入しましょう。
香典袋と添え状を同封する
香典袋には金額と名前を記載し、簡単なお悔やみの言葉を添えた手紙も一緒に入れると丁寧です。
香典郵送に必要なもの・費用
香典を郵送する際に必要なものと費用目安は以下のとおりです。
・ 現金書留用封筒:21円
・ 香典袋:100円~500円
・ 添え状(一筆箋や便箋):100円程度~
・ 現金書留送料:700円程度~
それぞれどこで購入できるかなどを下記にご紹介します。
現金書留用封筒
現金書留用封筒は郵便局で購入できます。
(1枚あたり約21円)
なお、現金書留は送金金額によって料金が加算されます。
(郵便物の基本料金に480円を加算した金額。さらに5,000円ごとに+11円)
香典袋
文具店やコンビニでも入手可能です。宗教に合わせて選びましょう。
■香典袋の選び方
宗教によって適切な香典袋が異なるため、以下を目安に選びましょう。
仏式:「御霊前」「御仏前」
神式:「御玉串料」
キリスト教:「御花料」「献花料」
迷った場合は「御霊前」が無難です。
(仏式の通夜・葬儀に対応)
・ 表書きは毛筆(薄墨)または筆ペンで書く
・ 名前はフルネームで丁寧に
・ 連名は3名まで(それ以上の場合は代表者+外一同で記載)
香典相場もチェック
香典の金額は、故人との付き合いの深さに応じて3,000円・5,000円・10,000円のいずれかを選ぶのが一般的な目安です。
相場としては5,000円〜1万円程度が多く、無理のない範囲で気持ちを表すことが大切です。
一般的な香典額の目安
・ 友人・知人:3,000〜5,000円
・ 親戚:5,000〜10,000円
・ 会社関係:5,000円前後
添え状
お悔やみの気持ちを伝える短い手紙を添えるのが丁寧です。
一筆箋は文房具コーナーなどのほか、100均やコンビニでも購入できます。
白無地で縦書きのものを選びましょう。
香典を郵送するタイミング
香典を郵送しても失礼にあたらないタイミングや、葬儀連絡から香典郵送までの流れをご紹介します。
香典を郵送する最適なタイミングは?
香典は、通夜または葬儀の前日までに届くのが最も望ましいとされています。
どうしても間に合わない場合でも、葬儀後1週間以内を目安に送りましょう。
あまり遅くなると、かえって失礼になってしまう場合もあるため、できるだけ早めの対応を心がけるとよいでしょう。
葬儀の連絡から香典郵送までの流れ
訃報連絡から香典郵送までにやるべき手順は以下の通りです。
<訃報連絡から香典郵送までの流れ>
① 訃報を受け取る
② 参列できない場合、香典郵送の準備をする
③ 送付先住所や宛名を確認する(遺族に連絡)
④ 香典袋・添え状を準備する
⑤ 現金書留用封筒に入れて、郵便局から発送する
香典の郵送方法と手順
香典を送る際は、必ず郵便局で現金書留専用封筒を購入し、窓口から発送しましょう。
香典郵送の手順は以下の通りです。
① 香典袋を購入
② 香典袋に現金を入れ、添え状を用意
③ 郵便局で現金書留封筒を購入
④ 封筒に中身を入れ、宛名・差出人情報を記入
⑤ 封をして郵便局の窓口で発送
香典を郵送するときの包み方のマナー
香典を郵送する際は、記載や包み方にも細やかな配慮が必要です。
お札のマナー
・ 新札・ボロボロすぎるお札は避ける
・ お札の向きを揃えて入れる
・ 香典袋を開けたときに肖像画が「下向き/裏面」になるように入れる
香典袋の封
香典袋の封は、糊やシールで貼らずに開けたままにしておきます。
中袋の書き方
表書きのマナー
・ 表書き(ご霊前など)の下にフルネームを記名
・ 毛筆(薄墨)や筆ペンで丁寧に記す
・ 連名は3名まで、4名以上は「〇〇一同」+別紙
添え状のポイント
・ 一筆箋なら折らずにそのまま封筒へ(通常の便箋は三つ折りで)
・ 添え状は1枚にまとめる(2枚は✖)
・ 毛筆や筆ペン、黒インクのペンや万年筆で書く(鉛筆やボールペンは✖)
香典を郵送する宛先
香典郵送の送り先は、葬儀当日に届く場合は会場宛に、それが難しい場合は喪主のご自宅宛に送付するのが一般的です。
斎場宛の場合の宛先例
「〇〇斎場 御中」の後に、
「〇〇家 ご喪家様」または「〇〇家 ご遺族様」
喪主の名前がわかっていれば、「〇〇斎場 御中 〇〇家 喪主 〇〇様」とすると丁寧です。
喪主名が不明な場合は「ご遺族様」で問題ありません。
香典郵送に同封する添え状の文例
香典郵送に添えるお手紙では、頭語・結語(拝啓・敬具)や季語を入れない、重ね言葉を避けるなどの注意点があります。
悩む場合は、下記の文例をぜひ参考にしてください。
添え状の文例①【通夜・葬儀前に送る場合】
このたびは〇〇様のご逝去、謹んでお悔やみ申し上げます。
本来であれば直接お伺いし、お別れを申し上げたく存じましたが、やむを得ぬ事情により叶わず、誠に申し訳なく思っております。
心ばかりの香典を同封いたしました。
ご霊前にお供えいただければ幸いです。
皆様のご健康をお祈り申し上げます。
添え状の文例②【葬儀に参列できない場合】
〇〇様のご逝去を知り、心よりお悔やみ申し上げます。
すぐにでもお伺いしたいところですが、遠方におり参列が叶わず申し訳ございません。
ささやかではございますが、香典を同封いたしました。
ご霊前にお供えいただければ幸いです。
ご家族の皆様もどうかご自愛ください。
添え状の文例③【葬儀後に香典を送る場合】
このたびは〇〇様の訃報を知り、大変驚き、深く悲しんでおります。
ご葬儀に参列できず、失礼をいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
遅ればせながら、香典を同封させていただきました。
ご霊前にお供えいただけますと幸いです。
ご家族の皆様のご健康と平穏をお祈り申し上げます。
添え状の文例④訃報をあとから知った場合
〇〇様のご逝去を後ほど知り、驚きと悲しみで言葉もございません。
お別れの場に伺うこともできず、深くお詫び申し上げます。
ささやかではございますが、香典をお送りいたしますので、ご霊前にお供えいただけますと幸いです。
ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げるとともに、ご静養をお祈りいたします。
まとめ
香典は、葬儀に参列できない場合でも郵送で届けることが可能です。
現金書留での送付が正式な方法であり、香典袋や添え状を添えることで失礼のない対応となります。
送るタイミングは通夜・葬儀前日までが理想ですが、遅れても1週間以内を目安として、マナーに配慮し、相手に負担をかけない心づかいを大切にしましょう。