50日祭の服装・玉串料(香典)・お供え物を解説!案内状や神主へのお礼も
50日祭とは、故人が亡くなった後50日目の節目に行われる神道の忌明けの儀式のことです。
この記事ではまず、その50日祭の基本的な流れを確認します。
続いて参列者側の守るべき服装マナー、玉串料はどうすれば良いのかなどを解説していきます。
また、喪家側の案内状・挨拶状の書き方や引き出物、神主へのお礼についても確認します。
仏式とは異なる点もあるので、1つ1つしっかり確認していきましょう。
この記事で解決される疑問
50日祭の服装は?
50日祭の玉串料の相場は?
50日祭のお供えは?
50日祭とは
50日祭とは故人の死後50日目の節目に行われる、神道の忌明けの儀式のことです。
神道・神式の御葬祭法要の1つで、仏式の四十九日にあたります。
神道では葬儀の後、10日ごとに「霊祭(れいさい・みたままつり)と呼ばれる祭典を行います。
数え方は亡くなった日を1日目とします。
これは10日祭、20日祭、30日祭、40日祭と続いていきます。
忌明けに当たる50日祭は、親族や知人などを集めて最も盛大に行われます。
また、神道において死は穢れとされます。
そのため、通常50日祭の執り行われる場所は神様のいる神社ではなく、墓前や霊園の拝礼所、自宅になります。
神道とは?
神道の信仰対象はもちろん神様です。
神道には、開祖やこれと言った教義が存在しません。
しかし重要なアイデアとして 「穢れ(けがれ)」 と 「禊(みそぎ)」 が存在します。
神道では「穢れ」を嫌います。
その定義にも色々ありますが、怒りや憎しみ、病気や災い、そして死など、ネガティブなものを指しています。
「禊」とは、身を清めることです。
禊をすることで、「穢れ」を清めます。
神社に入る前に手を洗うことや、お祓いや滝行も禊の一種です。
50日祭の流れ
50日祭の式は、地方や神社ごとに若干異なります。
ここでは最も一般的な流れを紹介します。
- 合祀祭(ごうしさい)
- 献饌(けんせん)
- 祝詞奏上(のりとそうじょう)
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
- 直会(なおらい)
- 清祓いの儀(きよはらいのぎ)
各項目については以下で詳しく説明します。
ここで1つ注意ですが、 全ての儀式で、神官が入場するよりも先に指定の席につくのがマナーです ので、しっかりと時間を意識して守るようにしましょう。
合祀祭(ごうしさい)
神葬祭(葬儀のこと)の時から仮霊舎(かりたまみや)に祀られていた故人の霊璽(れいじ)を、先祖の霊を祀った祖霊社(神棚)に移して安置する儀式です。
本来では50日祭と100日祭の間に執り行われる行事ですが、現在は50日祭の当日か、先立って行われることが多いようです。
献饌(けんせん)
祭壇や墓前に故人のためのお供えものをすることを指します。
故人が生前に好きだった食べ物や、お米、お酒、水などを供えます。
祝詞奏上(のりとそうじょう)
祝詞とは、神職の方が強い言霊を持った、神様に申し上げる時に使われる正式な言葉のことを指します。
祝詞奏上は、神官に祝詞を奏上してもらうことで神様への感謝を伝え、信奉を誓う儀式です。
仏式でいう、僧侶による読経にあたります。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
玉串とは榊の枝に紙垂(しで)と呼ばれる紙片を結びつけたものです。
これを祭壇に捧げる儀式を、玉串奉天と言います。
仏式における焼香に当たります。
喪主から始まって、故人と深い間柄だった順番で行われます。
玉串奉天が終わると、祭壇に向かって二礼・二拍手・一礼をします。
この時、神式では拍手の音を響かせないように「しのび手」を用います。
このマナーを知らずに拍手の音を響かせてしまうと、静寂の中行われる儀式で浮いてしまいますので注意しましょう。
玉串奉奠に関しては、こちらの記事を参考にして下さい。
しのび手
「しのび手」とは、音を立てないように打つ拍手のことを指します。
右手の親指以外の4本の指で左手の手のひらを打ちますが、この時音を立てないように、手を合わせる前に寸止めします。
神社に参拝する時に音を立てて合わせる「柏手」とは対をなすものです。
直会(なおらい)
神道の儀式の後に催される会食を指します。
祭壇に捧げられていたお供え物を下ろし、参列者皆でそれらを分け合い、頂く儀式です。
直会で神様に供えられたものと同じものを人間も食べることで、神様と人間が強く結びつき、一体になると信じられてきました。
また、故人を忍び、思い出や感謝の気持ちを参列者同士で語り合う場でもあります。
通常はここで会食が始まる前に、喪主が参列者に向かって挨拶をします。
清祓いの儀(きよはらいのぎ)
故人が亡くなった際に、神棚や御霊舎を封じるために貼った白紙を剥がす儀式です。
この儀をもって、忌明けとなります。
正式には50日祭の翌日に執り行われていた行事でしたが、最近では50日祭と同じ日に行われる傾向にあります。
50日祭の服装
それでは、50日祭にはどのような服を着て参列すれば良いのでしょうか。
まず、神道に限って特別な服装のマナーというものはありませんので、普通のお葬式の服装に準じれば問題ありません。
男女問わず、準喪服等の礼服を着用するのが一般的と言えます。
男性の50日祭の服装
黒や地味な色のダークスーツを着用します。
中に着るワイシャツは白無地のものにし、靴や靴下、ネクタイなどは全て黒で統一します。
結婚指輪以外の、ネクタイピンやカフスなどの装飾品は外します。
男性の喪服に関して詳しくはこちらも参考にしてください。
女性の50日祭の服装
黒基調のスーツやワンピースを着用します。
靴やバックは金具がついたものを避け、光沢が出ない素材のものを選びます。
皮や毛皮などの素材も、殺生を連想させるので避けましょう。
結婚指輪以外の装飾品は、パール(真珠)のネックレスなど控えめなものにします。
化粧も派手なチークや赤リップなどは使わず、ベージュ系のナチュラルメイクを心がけます。
女性の喪服に関して詳しくはこちらも参考にしてください。
子どもの50日祭の服装
子供の場合は、制服が正式な服装です。
就学していない場合や制服がない場合は、無彩色で目立たない地味な色の服を着用させましょう。
以下のリンクも参考にしてください。
50日祭の玉串料(香典)
神道ではいわゆる御香典のことを玉串料と呼びます。
ここでは50日祭の玉串料の相場と、のしや封筒の書き方について説明します。
50日祭の玉串料の相場
50日祭の参列者は、喪家に対して玉串料を納めます。
年齢や故人との関係性の深さなどで相場は変わります。
ここでは大体の目安を紹介します。
関係 |
30代 |
40代 |
50代 |
祖父・祖母 |
1万円 |
1万円~2万円 |
3万円 |
父・母 |
5万円 |
5万円〜10万円 |
5万〜10万円 |
兄弟・姉妹 |
1万円〜3万円 |
5万円 |
5万円 |
叔父・叔母・遠縁の親戚 |
1万円 |
1万円 |
1万円 |
職場関係者 |
5千円 |
1万円 |
1万円 |
友人・知人 |
1万円 |
1万円 |
5千円 |
玉串料に関しては、こちらも参考にしてみてください。
50日祭ののしや封筒の書き方
のしの表書き
水引を挟んで上の部分に「玉串料」と書きます。
下の部分には自分の名前を記名します。
この時薄墨の墨を用いるようにします。
薄墨には、悲しみの涙で文字がにじんでいるといった気持ちを表す意味があります。
のしの裏書き
内袋というお札を入れるための封筒がついていない場合は、のしの裏側に住所と金額を書きます。
内袋がある時は、その表面に金額を書きます。
水引とその色
通常は黒白の水引を使用します。
3年祭や5年祭の時は黄白・双白・双銀のものが使用されるので、混合しないようにします。
水引の本数はお悔やみごとでしたら、2本・4本・6本など偶数にします。
また、水引の位置は濃い色が右側になるようにします。
封筒を選ぶ際の注意点
時々、ハスの花が印刷されたお葬式用の封筒があります。
これは仏前専用ののしです。
ハスは仏の象徴でもあるので、神式で行う50日祭では不適切です。
特に御祭祀料を包むのしにハスの印刷されたものを使い、そのまま宮司さんに渡してしまうと大変失礼に当たります。
以上の理由から、ハスの花が印刷された封筒は避けるようにしましょう。
また、金額を書く際にも決まりがあり、その表記には難しい漢字を使うので注意が必要です。
書き方の見本は以下の表を参考にしてください。
元の字 |
表記 |
一 |
壱 |
二 |
弐 |
四 |
参 |
五 |
伍 |
七 |
七(ごくまれに漆) |
十 |
拾 |
千 |
仟または阡 |
万 |
萬 |
円 |
圓 |
例えば5千円包めば 「金伍仟圓」 、1万円包めば 「金壱萬圓」 のように表記します。
玉串料の書き方に関しては、こちらの記事を参考にして下さい。
50日祭のお供え物
ここでは50日祭のお供物について解説します。
50日祭のお供え物の定番
50日祭のお供え物で最も喜ばれるものは、故人の好きだった物品です。
鮮魚・野菜・お米・お酒・果物などが定番です。
日持ちする干菓子や最中なども人気です。
お菓子を贈る際は、個別包装のものを選ぶとより親切です。
しかし、最近では物品ではなく現金で持参する方も増えているようです。
50日祭のお供え物として贈れないもの
神道では、お線香やロウソク、抹香(まっこう)はお供え物として相応しくないとされています。
また、 牛や豚などの4本足の動物の肉 や、臭いがきつい ニンニク などの野菜も避けるようにしましょう。
お供え物を贈る際は事前に確認を
また、 参列者がお供え物を持参する場合、事前に喪家側にその旨を伝えるようにしましょう。
事前に確認を取らずにお供え物を持参すると、式場の配置や広さによって、喪家側が供え物を飾る場所に困ってしまうことがあります。
また、故人の生前の以降から供え物を辞退している場合もありますので、お供え物を贈りたい時は喪家側に事前に確認を取る必要があります。
50日祭の案内状・挨拶状
50日祭は故人の親戚や友人、知人、生前お世話になった人などを広く呼び、盛大に執り行う行事です。
ここでは、50日祭に呼ぶ人に送付する案内状・挨拶状に記載する内容を紹介していきます。
50日祭の案内状の書き方
50日祭の案内状に記載すべき内容は、以下の通りです。
- 時候のあいさつ、先に行われた葬儀の参列の御礼
- 50日祭を執り行う旨
- 50日祭への参列のご依頼
- 日時や場所
- 喪主の住所・指名・電話番号
- 返信の期日
以下のリンクでは法事等の案内状の文例を紹介していますので、よければ参考にしてください。
案内状は往復ハガキで
一般的に50日祭の案内状・挨拶状は、往復ハガキに内容を記載し、受け取った相手が返信のしやすい形で対応します。
挨拶状の書き方
50日祭が終わると、香典返し(玉串料のお返し)を贈ります。
その際には挨拶状も添えて贈りましょう。
挨拶状に記載すべき内容は以下の通りです。
参列して頂いたことへの感謝・香典のお礼
無事に儀式が執り行われたことの報告
本来伺って挨拶するところを、書中となってしまうことへのお詫び
ご自身で書く場合、以下のリンクの例文も参考にしてください
挨拶状を書く時間がない場合
仕事なども忙しく、挨拶状を考える時間が惜しいという方も少なくないでしょう。
しかし、やはり挨拶状は添えた方が良いものです。
こう言った場合、挨拶状は業者に頼んで作成してもらうことも可能です。
自分で考えるのが時間的に難しい場合などは業者へ注文するのも1つの手です。
50日祭の神主へのお礼
神道の霊祭を執り行うに際して、神主へお礼を渡します。
十日祭りや五十日祭などの重要な儀式では、普段の霊祭よりも多めに包む傾向があります。
のし袋の書く際の注意
神道の場合、 袋の表書きは、「御玉串料」「御祭祀料」、または「御祈祷料」と書きます。
また、 表書きを書く時は、薄墨で書いて下さい。
水引や封筒は、ハスの花の浮き出しのないものを選んで包みます。
50日祭の祭壇の準備
正式には 白木で作られた八足の神式の祭壇を使用します。
必要な祭壇や玉串、お花やお供え物等は葬儀社が用意してくれることが多いので一度確認してみましょう。
また、仮霊舎から霊璽と葬儀のときの写真を忘れず持参しましょう。
50日祭の祭壇の飾り方
祭壇が用意できたら、次はそれを飾っていきます。
主な飾り物は以下の通りです
- 三種の神器
- 五色旗
- 霊璽(れいじ)
- 神輿
- 水引幕
- 榊・大榊(さかき・おおさかき)
- お供え物
- 御神灯・供花
祭壇に飾るお花について
神式で供えるお花は仏式とはあまり変わりません。
より白や黄色の花でまとめると良いとされています。
祭壇に飾る花の種類や金額相場などに関しては、こちらも参考にしてください。
50日祭の引き出物
出席する人数が確定したら、参列者に渡す50日祭の引き出物を手配します。
神式の50日祭のお返しも、仏式の法事のお返しや香典返しとなんら変わりはありません。
お返しの相場は 3000円〜5000円 ほどです。
加えて、引き出物には参列者へのお礼を込めた挨拶状を添えるようにします。
引き出物として人気の品物
すぐに消費できる、いわゆる 「消え物」 と呼ばれる品物が人気です。
お返しに選ぶものは特に決まりはありませんので、食品でも日用品でも構いません。
最近では引き出物用のカタログギフト を利用する方も多くいます。
引き出物を選ぶ際の注意点
肉や魚などについては、御中元やお歳暮などでも使われるもののためお返しとしては不向きですので注意が必要です。
迷った場合には避けた方が無難でしょう。
50日祭のマナーを身に着けましょう
喪主や遺族は正式喪服を着用します。参列者は準喪服を着用します。
50日祭の玉串料の相場は5千円から3万円とされています。
50日祭のお供えにはお神酒やお米、お菓子などを供えます。匂いの強いものや動物性のものは避けます。
50日祭は、遺族にとって忌明けの日となる重要な儀式です。
故人の生前の関係者を広く集めて盛大に行うため、参列者も必然的に多くなると見込まれます。
遺族側も参列者側も50日祭の流れやマナーを知ることで、儀式が滞りなく進む手助けとなりますので、ぜひこの機会に確認してみてはいかがでしょうか。
50日祭とは?
神道で行われる、死後50日に忌明けとなる儀式を指す意味があります。神社ではなく、自宅や墓前などで行うのもポイントです。
50日祭の玉串料の相場は?
玉串料の相場は5000円から10万円と幅があります。故人との関係や年齢によって変わるのもポイントです。
50日祭のお供え物に適しているものは?
故人が好きだったお菓子・果物・お酒・お米などを選ぶことがおすすめです。動物の肉やろうそく・お線香などは避けるのも大切なポイントとなっています。
50日祭の引き出物の選び方は?
引き出物には消えものであるお菓子やタオルなどの日用品が適しています。また、カタログギフトにして相手に選んでもらうことも可能です。