仏花とは
仏花
お仏壇やお墓にお供えするお花のことを、「仏花」と言います。
お仏壇に仏花をお供えするのには主に2つの理由があります。
一つ目は、一般的に認知されている、 故人やご先祖様への供養としてお供えする ためという理由です。
二つ目は、日々のお仏壇へのお参りと共に花の一生を見届けることで、 命の尊さ・儚さを学ぶ という意味が込められています。
そこで、ここからは、そんな意味を持つ仏花の、お仏壇にお供えする場合に焦点をあてて解説していきます。
仏壇に飾る花の種類
菊
まず初めに、お仏壇に飾る際に用いられるお花の種類についてを、
定番のお花の種類
アレンジメントやブリザードフラワーについて
の2つの順に解説していきます。
定番のお花の種類
仏花として代表的なお花は「菊」です。
菊は、仏花として非常に定番のお花で、お葬式などで用いる仏教用の香典袋などにも印刷されています。
仏花として菊が用いられるのには、 長持ちする花である ことや、 邪気を払う花である ことが理由として挙げられます。
さらに、菊以外に、 季節のお花 なども、お仏壇の供花としてよく用いられます。
以下、季節ごとにお花の種類を分けた表です。
季節 花の種類
春 キンセンカ、アイリス
夏 ケイトウ、グラジオラス
秋 鬼灯(ホオズキ)、ミソハギ、リンドウ
冬 トルコギキョウ
通年 百花草、カーネーション、スプレーマム
造花やブリザードフラワーについて
造花
ブリザーブドフラワー
その他のお花
造花
お仏壇にお供えする花として、一般的には生花が用いられますが、造花を用いることはどうなのでしょうか。
結論から言うと、 今日では造花を用いることは許容されています。
生花の場合は、枯れてしまわないためのお手入れが大変であったり、枯れてしまった場合には、改めて購入したりと、身体的にも経済的にも負担がかかってしまいます。
先祖様や故人に対してのお供えはその気持ちが一番大切です。
今日では供花としての造花もあるので、お仏壇を管理する自身の状況などを加味した上で、最適なものを用意しましょう。
ブリザードフラワー
これは、造花ではなく、生花を特殊な加工をして、 長く形状を保つことができるお花のこと です。
色合いも生花に比べてさほど変わりませんが、2年ほどその形を維持することができ、お水の入れ替えなどの手入れも必要としないため、今日ではお仏壇のお花として好まれています。
ブリザードフラワーの場合は、最終的には枯れてしまうので、先の「仏花とは」で解説したお仏壇に供花をお供えする理由の一つである、命の尊さを学ぶこともできます。
その他のお花
供花として用いられるお花についての疑問の一つに、自身の庭などで栽培しているお花を用いていいのかと言う疑問があるかと思われます。
一般的に、 自身で育てた植物を用いても問題ありません。
経済的負担も少ないので、季節に合わせたりしながら、供花としての植物を育ててるのも良いでしょう。
仏壇の花でタブーなものは?
花
お仏壇に飾られるお花について解説しましたが、仏花にはいくつか用いることをタブーとしているお花があります。
お仏壇のお花でタブーな物な特徴としては、
毒を持つ花
棘を持つ花
香りが強い花
傷みやすい花
が挙げられます。
特に棘や毒のある花がNGである理由としては、それが殺生を連想させてしまうということと、そういった害を持つお花をお仏壇にお供えするのは失礼であるということが挙げられあます。
以下で代表的なそれぞれお花の種類を表にまとめました。
花の特徴 花の種類
毒を持つ花 スイセン、バラ、彼岸花
棘を持つ花 アザミ、テッポウユリ、バラ
傷みやすい花 カサブランカ、ユリ
香りが強い花 ユリ
仏壇の花の飾り方
仏壇 花
お花をお仏壇に飾る際には、
三具足
五具足
の2つの飾り方があります。
以下でそれぞれを順に解説していきます。
三具足
三具足
お仏壇には、お花を飾るための花立や、お香を焚くための香炉、ろうそくを立てるためのろうそく台などの 「仏具」 を用います。
三具足(みつぐそく)は、仏具の飾り方のことを指し、花立、香炉、ろうそく台の並べ方のことを指します。
その並べ方は、お参りする側からみて 左から、花立・香炉・ろうそく台の順に一直線に並べます。
五具足
五具足
五具足は、花立を2つ、ろうそく台を2つ、香炉を1つ用いる飾り方です。
お参りする側からみて 左から、花立・ろうそく台・香炉。ろうそく台・花立の順に一直線に並べます。
左右対称に並べる飾り方で、年忌法要などの、特別な時に用いられる飾り方で、普段は三具足で行われることが多いようです。
仏具の種類や名前を解説!仏壇への置き方や手入れの方法も!
第三人生編集部
仏壇に花を飾る意味
仏壇
花の一生と仏教の考え方の一致
花をお供え物にした起源
ご先祖様を尊重したから
埋葬する際に花を添えていた
花の一生と仏教の考え方の一致
花は大自然に身を置く中で、雨や風などの被害を受けながらも強く、美しさを保ちながら生き抜いています。
そのような花の一生と、極楽浄土を目指すべく厳しい修行に身を置く仏教の考え方と類似している点が多くあります。
自身を花にたとえ、生涯を生き抜くことの誓いとしてお花を供えることがされたそうです。
花をお供え物にした起源
釈迦が 儒童梵士(じゅどうぼんし) という名で呼ばれていた場で修行していた頃、燃灯仏という名の仏と出会いました。
その時、仏に対して何かを捧げたいが、贈る物がなく、手持無沙汰な状態でした、そこで釈迦が思いついたのが思いついたのが お花 です。
近くの花売りの元に、 青蓮華(しょうれんげ) と呼ばれる花を買い、燃灯仏様に捧げることで供養をしたという話です。
この話が今も仏壇にお花をお供えすることに繋がっているとされます。
ご先祖様を尊重したから
お花は 手軽に季節感を演出 できることが特徴であり、四季を身近に感じることができないご先祖様を重んじて、お花をお供えし始めたとする説もあります。
死者へ対する冥福を祈るだけでなく、 仏壇に飾ることでお供えする側の心も安らかなものとしてくれます。
さらに生前好きだった花を飾ることにより、 故人が抱える痛みや苦しみを和らげる と考えられております。
埋葬する際に花を添えていた
現代では見られない風習ですが、 昔の日本では遺体と一緒に花を添えて埋めていました。
火葬が一般的となった日本では馴染みがありませんが、かつては 土葬 が日常的に行われていた関係上、遺体だけを埋葬すると動物によって掘り返される危険性があったのです。
そのため、毒性を含む花を添えることで、厄除けならびに動物を近づけないような工夫がなされていました。
仏壇の花のマナー
マナー
お仏壇のお花を飾る際には、いくつかマナーがあります。
ここからは、そんなマナーに関して、
お花の本数
お花の向きや位置
お花の色
の順位に解説していきます。
お花の本数
お仏壇にお花を飾る際には基本的には奇数本用意 すると良いでしょう。
奇数の中でも、3・5本あたりが一般的なお花の本数と言われています。
また、 花立を2本用意する場合には、同じ花束を2つ(1対)用意 しましょう。
花束を購入する際には、輪ゴムで括られていることが多いですが、その輪ゴムはそのままお供えしても問題ありません。
お花の向きや位置
仏様のご慈悲を表すことから、 お花の向きはお参りする方の方向に向くようにお供えします。
また花立の中のお花の位置は、 一番長いお花を中心に置いたひし形が良い と言われています。
これは、神事の際に用いられる榊(サカキ)の形からきていると言われています。
お花の色
基本的に四十九日までは忌中ということもあり、あまり派手な色を用いず、 白を基調としたお花 を用います。
忌明けすると、色に関しての許容範囲も広がります。
色の数は 3又は5色で構成 され、基本的に 白・黄・赤・紫・ピンク の五つのうちから選ばれることが多いようです。
仏壇の花の処分方法
方法
故人の供養のためにお仏壇にお供えしていたお花も、最終的には処分する必要があります。
しかし、通常のお花を処分するときとは異なり、普通に捨てるということに対して躊躇してしまう方もいるかと思います。
基本的に仏教の考えでは、お仏壇にお供えした お花は土に還すものである と言われています。
しかし、今日の家には、庭などがあるところは多くなく、お花を土に埋めるというのは難しいことと思われます。
可燃ごみとして出す
そのため、 通常の可燃ゴミとして出すことも許容されています。
地方自治体によって植物を捨てる際には大きさなどの決まりなどがあることも考えられます。
そういった方法でお花を処分する際には、事前に確認しておきましょう。
また、ゴミ袋に包んで出すことに抵抗がある方もいらっしゃるかと思われます。
そういった場合には、 お花を半紙に包んで 捨てると良いでしょう。
中にはお香を焚いたり塩を撒くなどして、お花を一度清めてから処分する場合もあります。
自身が思う最前の方法でお仏壇のお花の処分をしましょう。
【コラム】仏壇の花を長持ちさせるには?
はてな ?
お仏壇にお供えするお花も、いずれは取り替えなければならなくなってしまいます。
しかし、工夫をすることで、お花を長持ちさせることができます。
以下では、仏壇のお花を長持ちさせる方法について、
水を清潔に保つ
水を入れすぎない
水切りをする
余分な葉を取り除く
という4つの順に解説していきます。
水を清潔に保つ
花が健康な状態を保つには、水を綺麗な状態にする必要があります。
できれば毎日取り換えるようにしましょう。
水を取り換える際に、一緒に花瓶も中性洗剤で洗い、茎がヌメヌメして入れば、綺麗にしておくと良いでしょう。
水を入れすぎない
花瓶に水を入れすぎないということも非常に大切なことです。
水を入れすぎることによって、お花が傷んでしまうこともあります。
花瓶の大きさによって異なりますが、切り花の場合であれば、水は下から5cmほどの高さにキープしておくと良いでしょう。
水切りをする
水切りとは、 お花の茎を水中で切ることです。
水中で茎をカットすることによって、内側に空気が入り、感想することを防ぎぐことができ、お花が吸水しやすくなります。
さらに、カットの際に重要なことは、 茎を斜めに切るということです。
斜めに切ることで、切断面の表面積が大きくなり、吸水しやすくなります。
切断の際に持ちるハサミが切れ味のよくないものを用いると、 茎が潰れてしまい、吸水を妨げる原因になってしまいます。
出来るだけ切れ味の鋭いハサミを選びましょう。
余分な葉を取り除く
葉の数が多すぎると、その表面から多くの水分を失うため、枯れやすくなる原因になってしまいます。
そのため、 余分に生えてしまっている場合には葉を取り除きましょう。
また、 余分な葉が水面に浸かっている場合にも取り除く必要があります。
これは、葉に細菌が発生してしまい、花の健康状態に影響を与えてしまうことがあるためです。
取り除くに当たって注意しなければならないことは、 葉を取りすぎてはいけないということです。
取り除きずぎると見栄えが悪くなってしまうということもありますが、光合成が十分にできず、そうするとお花の中で栄養を作ることができなくなり、最終的には枯れてしまいます。
余分な葉を取り除く際には、適度な量に抑えましょう。
お仏壇のお花をマナーやタブーなどに気をつけながら丁寧に飾りましょう。
ここまで、お仏壇に用いる供花としてのお花について、お花の種類や、飾り方、注意点やマナーなどを細かく解説してきました。
お花は自宅にお供えするものなので、誰しもが故人・ご先祖さまのためにも大切に、そして丁寧に飾りたいことでしょう。
実際にお仏壇にお花をお供えするときには、是非この記事を参考にしてください。
仏花に関しては、こちらも参考にしてください。
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第三人生編集部