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健康

2025.04.28

最近、体力の衰えを感じ、「このまま生活習慣病や認知症になったらどうしよう」と不安に感じている方もいるでしょう。長生きするからには、できるだけ健康でいたいものです。

健康寿命を延ばすためには、食事に気を配ることが大切です。バランスの良い食事は長寿の秘訣の一つといえるでしょう。

そこで本記事では、長寿を目指すならぜひ摂取しておきたい6つの食べ物や栄養について詳しく解説します。健康的に長生きするためにも、ぜひ参考にしてください。

長寿の秘訣はタンパク質の摂取

高齢になると、若者と同じ量のタンパク質を摂る必要はないと考える方も多いかもしれません。

しかし実際は、体重に対して若者と同程度のタンパク質を摂取することが推奨されています。特に筋肉量を保つためには、タンパク質の摂取が必要です。

タンパク質の摂取が長寿につながることは、過去の寿命データからも読み取れます。

明治時代の日本人の平均寿命は男女ともに35歳でしたが、戦後には50歳超まで伸びました。この寿命の延伸には、卵や肉といった動物性タンパク質や脂肪の摂取が増えたことが影響していると考えられます。

動物性タンパク質は、私たちの骨格を作り、感染症の予防にも関係する栄養素です。

しかし、身体のタンパク質の一部は、代謝されて毎日入れ替わるため、意識的に摂取しなければなりません。

特に高齢者は食が細くなる傾向があり、積極的に補わないと不足しがちなので注意しましょう。

肉からタンパク質を摂取することが良い?

高齢者はバランスの良い食事をし、フレイルの予防を心がけることが重要です。フレイルとは、加齢によって心身機能が低下し、要介護になる可能性が高い状態のことをいいます。

フレイル予防方法の一つとして、タンパク質の積極的な摂取が推奨されています。1日の摂取量の目安は、体重1kg当たり1.0〜1.2gのタンパク質です。

また、高齢者は低栄養が原因で風邪をこじらせた結果、肺炎で死亡するケースが多く、消費者庁も低栄養の予防を呼びかけています。

特に顕著なのはタンパク質の不足であり、年齢が上がるにつれアルブミンの量が少なくなるという統計も出ています。アルブミンとは血液中のタンパク質のうち、多くを占めるタンパク質で、血清アルブミンとは栄養状態を表す指標です。
アルブミンが少ない場合には低栄養と判断でき、筋肉量の低下により骨折リスクの高まりや免疫力の低下、さらに認知機能の低下も引き起こします。

低栄養状態は自覚しにくいことが多く、自然に体重が減少している場合は注意してください。

このように、高齢者は積極的にタンパク質を摂取する必要があります。ただし、低栄養になる原因としては、食が細いことも考えられます。

高齢者は1回の食事で多くの量を食べられないことが多いため、脂質とタンパク質を含む肉・魚・卵・牛乳などから効率良く栄養を摂取するとよいでしょう。

長寿のためには食事の摂り方にも注意

長寿の秘訣は、食べ物だけでなく食事の摂り方にもあります。人間には体内時計があり、食事の時間と栄養バランスに気を付けることが、長寿のためには大切です。

毎日食事を摂る時間を決める

食が細い人は食事を抜くこともあるかもしれませんが、長寿のためには毎日の食事時間を一定にすることが重要です。食事の時間を決めることで、消化や栄養の吸収リズムが整い、安定的に栄養を摂取できます。

さらに、毎日の食事を摂る時間を決めることで体内時計が整い体内時計が正常に働くと、活動に必要なエネルギーを適切に摂取できるようになり、自律神経も安定します。その結果、長寿につながるでしょう。

一方、体内時計が乱れるとさまざまな不調を引き起こすことがあります。臓器や組織が持つリズムが崩れ、その働きが十分に発揮されません。


内臓や組織の働きが阻害されると、がんなどの生活習慣病、うつ病などになりやすくなり、老化現象が加速する可能性があるとの報告もあるため、毎日の食事を摂る時間を決めて規則正しく生活することを心がけましょう。

栄養バランスに気を付ける

長寿のためには、食べ物をバランス良く摂ることも重要です。栄養バランスを整えることで健康な心身の維持が期待され、低栄養の状態を防げます。

栄養バランスを整えるうえで大切なのは、エネルギーの摂取量と消費量のバランスです。体重は大きく増減することなく健康的な体格が保たれます。

厚生労働省による、「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書では、70歳以上は男女ともに約3割の人が、目標とするBMIの範囲を下回るという統計が出ています。

そのため、特に高齢者は低栄養の予防を意識することが重要です。低栄養の状態には下記のようなリスクがあります。
・ 免疫力の低下
・ 筋力や運動能力の低下
・ 認知機能の低下
このように、低栄養は健康寿命を縮める原因の一つです。では、栄養バランスを保つにはどのような食事が理想的なのでしょうか。

下記より1日の摂取目安を見てみましょう。
高齢者は加齢にともない食が細くなる傾向があるため、食事の前後に軽い運動を取り入れてみるのもよいでしょう。野菜は蒸したり煮たりすると、かさが減るため、効率良く摂取できます。

なお、食事バランスガイドは健康的な人を対象とした摂取量の目安であるため、糖尿病や高血圧などで医師や管理栄養士の指導を受けている場合は、その指示にしたがってください。

長寿のために摂取したほうが良い6つの食べ物

長寿のため積極的に摂取したい食べ物が、6つあります。
・ 全粒粉
・ 魚
・ チーズやナッツ
・ 豆類
・ 野菜
・ 良質な油
なかには、がんや糖尿病のリスクを低下させる効果が期待できる食べ物もあり、日々の食事へ積極的に取り入れることが、健康的な長寿を支える鍵です。各食べ物について詳しく解説します。

ただし、どの食材について多く食べれば良いわけではありません。栄養バランスを考えて取り入れましょう。

全粒粉

全粒粉とは小麦粉の一種で、表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にしたものです。

全粒粉を日常的に多く摂取する人は、心血管疾患・がん・2型糖尿病のリスクが低下することがわかっています。

また、呼吸器疾患や感染症による死亡リスクの低下にも影響することが判明しており、抵抗力の向上が期待できるでしょう。

全粒粉は食物繊維が豊富で、腸内環境を整える腸内細菌を増やす効果もあるといわれています。

食物繊維は、消化されずに大腸まで届き、糖質の吸収を遅くしたり血糖値の急上昇を抑えたりする健康効果がある栄養素です。

このように、全粒粉を積極的に摂取することには健康寿命を延ばす効果が期待できるため、毎食に取り入れるのもよいでしょう。

手軽に取り入れる方法としては、パンを食べる際に全粒粉パンを選ぶことが挙げられます。

魚は、タンパク質が豊富で不飽和脂肪酸を多く含んでいます。不飽和脂肪酸はコレステロールの合成や吸収を抑えてくれる働きがあるものです。さらに、魚にはカルシウムやビタミンなども含まれています。

日本動脈硬化学会では、魚を食べることを推奨しています。DHAやEPAを摂取することが動脈硬化を予防する方法の一つです。

DHAやEPAは必須脂肪酸の一種であり、体内で生成することはできません。そのため、食事から積極的に摂る必要があります。

EPAは血液をサラサラにする効果が期待される脂肪酸です。血液がサラサラになることで、動脈硬化や脳卒中の予防につながります。

DHAは摂取により記憶力の維持効果が期待できます。これらを多く含む魚はマグロやブリ、サバ、イワシなどです。

なお、魚を食べるときは、小骨が喉に刺さらないように注意してください。
煮る、蒸す、あんをかけるなど、調理法を工夫して食べやすくするとよいでしょう。

チーズやナッツ

ナッツは、ビタミンEや不飽和脂肪酸、食物繊維、葉酸などの栄養素が豊富です。摂取することで心疾患やがん、呼吸器疾患のリスクが減る可能性があるという研究結果も報告されています。加えて、認知機能低下も防ぐ可能性が指摘されています。

ただし、ナッツは比較的カロリーが高いため摂りすぎには注意してください。ミックスナッツであれば約25gを1日の摂取量目安にしましょう。

チーズは、骨を強化するカルシウムやビタミンDが豊富です。とりわけ、カマンベールチーズを週に1回以上摂取する人は、摂取していない人と比べて通常歩行速度が速いという研究結果が出ています。

認知機能低下の原因の一つに筋力低下が挙げられるところ、チーズには筋力の維持や向上効果が期待できるため、摂取することで認知機能低下の予防につながります。

なお、1日のカルシウム摂取の目安は、75歳以上の場合、男性で700mg、女性で600mgです。

プロセスチーズは1個(20g)当たり126mgのカルシウムがあるため、ほかの乳製品と併用して効率良く摂取しましょう。

このように、チーズとナッツは良質な栄養素を含んでおり、体内で細胞や免疫物質を作る手助けをしてくれる食材です。

大豆やインゲンなどの豆類

大豆やインゲン、ひよこ豆などの豆類も植物性タンパク質が豊富に含まれる食材です。タンパク質の摂取はフレイル予防に欠かせないため、高齢者は特に意識して摂取したいところです。

大豆製品であれば、納豆や豆腐など日常的に取り入れやすいものが多く、調理の手間もかかりません。インゲン豆も、茹でてそのまま副菜にしたり、ご飯に混ぜたりするだけで、効率良く食べられます。

豆類には、ほかにビタミンB群・カルシウム・鉄・亜鉛など、健康維持に役立つ栄養素も多く含まれています。

特に大豆は「畑の肉」とも呼ばれ、栄養価の高さが特徴です。適量であれば毎日摂取しても問題ないとされており、積極的に食生活へ取り入れるとよいでしょう。

栄養を摂取するうえで大切なのは、炭水化物・タンパク質・脂質のバランスです。

タンパク質を補うために肉類を積極的に摂取する方法もありますが、カロリーオーバーや脂質の摂取量が気になります。

その点、豆類はタンパク質と炭水化物がバランス良く含まれ、脂質が少ないため、肉類よりも栄養バランスを整えやすいのが利点です。

1日の摂取目安としては、納豆1~2パック程度が適量とされています。

緑黄色野菜

緑黄色野菜は、認知症予防や老化防止に効果が期待できる重要な食材です。

ある研究では、認知症を発症している人は、未発症の人に比べて、緑黄色野菜に含まれる栄養素の体内濃度が半分程度であることが明らかになっています。

緑黄色野菜には、ルテインやリコピンなど体内に必要な栄養素が豊富に含まれています。

同様に含まれるカロテノイドやビタミンEには抗酸化作用があり、体内の酸化ストレスを抑え老化を防止する働きがあります。これらは体内でほとんど生成できない栄養素なので、意識的に野菜から摂取することを心がけましょう。

特に抗酸化作用が期待できる野菜は、ほうれん草やブロッコリー、ケールなどです。これらはビタミンやミネラルが豊富で、食物繊維も多く含まれています。

なお、厚生労働省や農林水産省では野菜を1日350g摂取するよう推奨しています。食事のなかで副菜をもう1品増やしたり、汁物に野菜をたっぷり入れたりと、調理方法を工夫することで自然に摂取量を増やせます。

ただし、ビタミンAを長期間にわたり摂りすぎると、骨量が減少して骨粗しょう症につながるおそれがあります。特にほうれん草やパセリなどの野菜はビタミンAを多く含むため、適量を心がけましょう。

良質な油

油は「太る原因」として敬遠されがちですが、良質なものを適量摂取することで、むしろ心臓や血管の健康維持に役立つとされています。

なかでも注目したいのが、「良質な油」とされるオメガ3脂肪酸とオメガ9脂肪酸です。

オメガ3脂肪酸には、さまざまな疾患の原因となるオメガ6脂肪酸の血中濃度を下げる作用があります。サプリメントで補うこともできますが、青魚やアマニ油、エゴマ油から摂取が可能です。

また、オメガ9脂肪酸も健康維持に役立つといわれている脂質です。血中の悪玉コレステロールを減少させ、動脈硬化や高血圧の予防にも効果が期待されます。

オリーブオイルや米油に含まれているため、積極的に摂取するとよいでしょう。

ただし、いずれも過剰に摂取すると肥満の原因になるので、注意が必要です。

1日の摂取量の目安は、オメガ3脂肪酸は約2g、オメガ9脂肪酸は明確な上限はありませんが、脂質の摂取量を考えると約14gとしておくのがよいでしょう。

長寿のために避けるべき食べ物

食べ物のなかには、がんや糖尿病のリスクを高めるものもあります。長寿の秘訣は、健康的な食生活を心がけ、栄養バランスを整えることです。本項目では、避けるべき食品を詳しく解説します。

赤肉や加工肉

赤肉(牛・豚・羊など哺乳類全般の肉)やハム・ソーセージといった加工肉は、摂りすぎることで健康リスクが高まると報告されています。

特に、腸内環境を乱し、動脈硬化を促す可能性があることがわかっており、注意が必要です。

なかでも加工肉に関しては、世界保健機関(WHO)が発がん性のある食品に分類しており、大腸がんのリスクを高めるという研究結果もあります。

また、一日80gの赤肉を継続的に摂取していた女性のグループで、結腸がんのリスクが上昇したという報告も出ています。このような理由から、赤肉や加工肉を過剰に摂ることは長寿のために避けるべきです。

他方、高齢者はタンパク質を積極的に摂取することが推奨されています。そこで、タンパク質を摂るために、魚やチーズ、豆類などを積極的に食べるとよいでしょう。

糖分が多い飲み物

砂糖入り飲料などに含まれる精製された砂糖は、動脈硬化や糖尿病のリスクを高めます。特に飲料は、食べ物よりも短時間で大量に摂取されやすく、体内に急激な負担をかけやすいことが注意すべきポイントです。

さらに、糖分は一時的に満腹中枢を刺激するため、「お腹がいっぱい」と錯覚しやすくなります。その結果食事を抜くことにつながり、栄養バランスが崩れる原因となりがちです。

また、糖分が多い飲み物は腹持ちが悪く、すぐに空腹を感じて間食が増えてしまうため、糖尿病・高血圧・脂質異常症といった生活習慣病のリスクを高める要因になります。

糖分が多い飲料を無糖のお茶や水、コーヒーに置き換えるだけで、糖尿病のリスクは減ります。甘味が欲しいときには、低カロリー甘味料を活用すると、血糖値の上昇やカロリーの摂りすぎを抑えられるでしょう。

小麦やパンなどの精製された穀物

精製された穀物は血糖値を急激に上げるため、動脈硬化のリスクを高める要因とされています。また、加工の過程でミネラルやビタミンが失われる一方で、カロリー自体は変わりません。

こうした穀物は、糖の吸収が速く、エネルギーになりやすい反面、血糖値やインスリン値が急上昇しやすい点が特徴です。

血糖値が急に上がると、一時的に満腹感は得られますが、インスリンの過剰な分泌によりその後急激に血糖値が下がり、かえって空腹感を強く感じることにもなりかねません。

結果として、過剰なカロリー摂取につながりやすく、肥満や生活習慣病のリスクを高める可能性があります。

一方で、全粒粉や玄米など精製されていない穀物は食物繊維が豊富です。血糖値の上昇が緩やかなため、インスリン値も急激には上昇しません。

また、食後の満足感が長続きするため、間食の防止にもつながります。

このように、普段から精製されていない穀物を主食として選択することが、長寿につながる秘訣の一つです。

長寿の秘訣は楽しく栄養を摂取すること

長寿の秘訣は、栄養バランスを意識しながら、日々の食事を楽しむことです。

高齢になると噛む力や飲み込む力が低下し、食事そのものが負担に感じたり、食が細くなったりすることもあります。

そのため、見た目や味、食感に変化を付けるなど、食事を楽しめるような工夫が大切です。

また、タンパク質の摂取量が不足すると筋肉量が減少し、転倒による骨折や免疫力の低下を招くことがあります。

こうしたリスクを防ぐためにも、意識的にタンパク質を摂取することが重要です。楽しく食事をしながら栄養バランスに気を付け、健康的に長生きしましょう。

■監修者
田中 亮子(たなか あきこ)

中小企業から大企業まで幅広い規模の会社の勤務経験を活かし、人事労務の相談や各種社会保険の相談に応じる。
また、社会保険労務士および栄養士の2つの専門知識を活かし労務の観点のアドバイスおよび健康的な生活習慣をテーマとしたセミナー実施などで、顧客企業先の健康経営の取り組みの推進サポートを行っている。

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