シニアの趣味としての登山
冬登山 高齢者
定年退職したり、雇用形態を変えて自由な時間が増えたりすると、どういう風に時を過ごしたら良いか悩むことも多いでしょう。
しかし、ウォーキングやランニング、ボーリングやヨガ教室に通うなど、ご自身の好きなことを楽しめる絶好のチャンスでもあるのです。
夏登山もその1つで、趣味として取り組んでみたらはまってしまい、道具も色々揃えてしまったという例もよく耳にします。
暑い夏でも、登山した山頂の方がわずかに涼しいというのも魅力でしょう。
体が鍛えられ足腰が丈夫になる
長時間の有酸素運動がダイエット効果につながる
絶景や自然の音がリラックス効果をもたらす
登山仲間との新しい出会いが生まれる
この記事ではその中でも、夏に登山することのメリット・おすすめの山・服装・注意点などをたっぷりとご紹介します。
体が鍛えられ足腰が丈夫になる
高齢者は加齢と定年退職などで、体を動かす機会が減少傾向にあります。
しかし夏登山をすることで、足腰の運動になり体力作りにもつながるのです。
まずは平地のウォーキングで体力をつけてから、夏登山に臨みましょう。
長時間の有酸素運動がダイエット効果につながる
有酸素運動とは長時間に渡り、酸素を体内に積極的に取り入れて行なう負荷の少ない運動のことをいいます。
夏登山以外にもウォーキング、平地でのサイクリング、水泳などがこれに当たります。
有酸素運動は、開始20分ごろから積極的に脂肪を分解するので、長時間続けることで脂肪燃焼効果が期待できるのです。
するとダイエット効果だけにとどまらず、呼吸器系も鍛えられると期待されています。
絶景や自然の音がリラックス効果をもたらす
夏登山をする時は高地へ行くわけですから、素敵な景色を眺めることができます。
晴れた日には光を浴びて、幸せホルモンであるセロトニンも盛んに分泌されます。
小鳥のさえずり、葉っぱを踏む音、湧水の音など聴覚も癒されるでしょう。
登山仲間との新しい出会いが生まれる
高齢者になると、以前より人付き合いが少なくなってしまいがちです。
しかし夏登山をしていれば、また新しい登山仲間に出会えて人脈が広がります。
趣味をきっかけに、さまざまな境遇の人と出会えるのは素敵なことでしょう。
シニアが登山をするためには体力をつける
皿倉山
高齢者が夏に登山するためには、ある程度体力をつけないと負担が大きいです。
怪我をしてしまうことにもなりかねません。
次に、具体的なトレーニング方法をご紹介します。
ウォーキング
ジョギング
水中歩行
低山登山
ウォーキング
夏の登山に向けて、まず一番簡単に実践できるのがウォーキングです。
毎日でなくてもよいので、週に2~3回を目安に1~2km歩く習慣をつけましょう。
ある程度慣れてきたら、傾斜のある坂にも挑戦してみるとよいです。
夏にウォーキングをする場合には、熱中症の危険性があるため、十分な水分補給と適度な休憩をとるようにしてください。
ジョギング
ウォーキングに慣れてきたら次はジョギングです。
注意することとしては、息が上がらない程度の負荷に留めておくことです。
有酸素運動は負荷を掛けすぎると、負荷が高い無酸素運動になってしまいます。
こちらも1~2kmを週に2~3回を目安に行なってください。
水中歩行
水中を歩行することは、水圧が働いている関係で予想以上に体力を使います。
それでいて平地をウォーキングするよりも、足腰にかかる負担が小さいため、陸上でのウォーキングに比べて効果的にカロリー消費することができるというのです。
ダイエット効果を望む方にもピッタリでしょう。
低山登山
陸上でのトレーニング・水中歩行に慣れてきたら、実際に夏登山に挑戦してみましょう。
傾斜の良い坂道でも同様な効果が得られます。
自分のできる範囲を過信しすぎず、低い山を何度か登ってみることが大切です。
夏登山の山の選び方
伊吹山
夏登山は、平地と頂上とでは気候も違うため、登る山を上手に選択しなければなりません。
いきなりハードなコースを登山して途中で下山する羽目になったり、最悪の状況を考えると命の危険性があったりするのが夏登山の恐ろしいところです。
具体的には以下の注意点を参考に、夏登山する山を選んでみましょう。
ガイドブックを参考にする
標高差が少ない山を選ぶ
経験者と一緒に登山する
ガイドブックを参考にする
登山に関するガイドブックが販売されています。
体力の目安・難易度・登山口からの歩行時間などが記載されております。
一番はご自身が登ってみたいと思う山を選択するのがベストでしょう。
標高差が少ない山を選ぶ
ガイドブックを参考にすると、登山開始場所から頂上までの標高差が記載されています。
初心者は標高差が300m程度、そして登山時間が2時間程度の山を選択するとよいです。
登山コースによって状況は変わりますので、よく調べてから登山しましょう。
経験者と一緒に登山する
心配な方は経験者の知人に付き合って貰いましょう。
特にある程度慣れてきてから行く、比較的標高差が高い山を選択するなら尚更です。
もしくは、夏登山をするツアーがあるので、集団で登るのも心強いかもしれません。
夏登山におすすめの山5選!【関東】
吉野山
ガイドブックを見ても、どの山がご自身に向いているのか分からないことがあります。
そんなあなたのために、夏登山におすすめの山を地域ごとにまとめてみました。
高尾山【東京都】
筑波山【茨城県】
御岳山【東京都】
鋸山【千葉県】
大山【神奈川県】
夏登山におすすめの山①:高尾山【東京都】
高尾山
「明治の森高尾国定公園」内にある高尾山は、
1号路~6号路
稲荷山コース
いろはの森コース
など、さまざまな難易度の登山ルートがあります。
リフトやケーブルカーで途中まで登ることも可能です。
標高599mで比較的標高が低く、初心者でも登りやすい山でしょう。
夏登山におすすめの山②:筑波山【茨城県】
筑波山
筑波山には男体山と女体山の2つの頂上があります。
御幸ヶ原コース
迎場コース
白雲橋コース
おたつ石コース
などが有名で、どれも1~2時間くらいで登山できる点がおすすめです。
男体山、女体山のどちらに登るかを決め、行きと帰りで違うルートを選択すれば、景色も良いしさまざまな紅葉も楽しめます。
夏登山におすすめの山③:御岳山【東京都】
東京都青梅市にある御岳山は、最大標高差が229mと差がなく登りやすい山です。
バスやケーブルカーを使って御岳山まで行くので、時間としては4時間位かかります。
しかし御岳ビジターセンターでは、自然や歴史について紹介しており、これから登山する山について知れるため、より興味・関心が湧くでしょう。
頂上は武蔵御嶽神社なので、登山の記念にぜひ参拝してみてください。
夏登山におすすめの山④:鋸山【千葉県】
鋸山
鋸山は千葉県にあり、さまざまなアクセス方法なので向かいやすいです。
JR浜金谷駅から徒歩、鋸山ロープウェイを使う、マイカーで鋸山登山自動車道を走るの3つです。
登山が目的ならば最寄駅から徒歩で体を慣らしておくと良いでしょう。
こちらも標高329mとそこまで高くなく、四季折々の景色が楽しめるのも魅力です。
夏登山におすすめの山⑤:大山【神奈川県】
大山
大山は、丹沢大山国定公園に位置しており、別名「雨降山」として有名です。
その名の通り、雨は降りやすくあがりやすい天候だといいます。
歴史・文化を背景に、2016年には文化庁より日本遺産として登録されました。
標高は1252mと他の山より高いですが、700mの中腹までケーブルカーを利用すれば、1時間30分~2時間で登頂できるので、親子連れも多いというのです。
夏登山におすすめの山3選!【関西】
六甲山
関西にもとても魅力のある山がたくさんあります。
ここではその中でも特におすすめの山を3つほどご紹介します。
愛宕山【京都府】
比叡山【滋賀県・京都府】
六甲山【兵庫県】
夏登山におすすめの山①:愛宕山【京都府】
阪急嵐山駅から電車に乗り、清滝バス停で降りると愛宕山登山コースに到着します。
愛宕山山頂は924mですが、愛宕神社・月輪寺と見どころいっぱいです。
3時間30分~4時間が登山時間目安なので、お寺に興味ある方には特におすすめです。
夏登山におすすめの山②:比叡山【滋賀県・京都府】
比叡山
京都府と滋賀県の県境にあるのが、比叡山で有名な延暦寺です。
延暦寺は「日本仏教の母」とも呼ばれ、山全体が世界遺産に認定されています。
人が1人通れるくらいの山道で、木が剥きだしになっている場所もあります。
山頂駅から延暦寺まではバスで移動でき、琵琶湖を一望できるのもポイントでしょう。
夏登山におすすめの山③:六甲山【兵庫県】
六甲山
六甲山を登山する際には、徒歩なしだとすれば片道5時間くらいが所要時間の目安です。
周辺の駅から六甲山山頂を通って、下りは有馬温泉近くに下山する方が多いといいます。
六甲山上にはさまざまな施設があり、ケーブルカーやロープウェイもあります。
子供連れでも喜びそうな施設ばかりなので、登山以外でも十分楽しめます。
夏登山におすすめの山2選!【九州】
宝登山
最後に忘れては行けないのが、九州にある夏登山おすすめの山々です。
旅行がてら九州まで出掛けて、旅程に登山を挟むのも良いでしょう。
夏登山におすすめの山①:宝満山【福岡県】
宝満山は、九州で最も観光客が多い山として人気で別名、御笠山、竈門山ともいいます。
山頂は830mで、神様がいる山として親しまれてきました。
文化財保護法における史跡としても大切にされています。
夏登山におすすめの山②:大平山【大分県】
大平山という名前は日本全国にいくつか存在しますが、大分県の太平山をご紹介します。
別名扇山とも呼ばれ、標高815kmという高さを誇っています。
大分市から別府市を見た眺めが扇子の形に見られることから、別名が生まれました。
春には扇山火祭りという行事があり、野焼きが行われるそうです。
夏登山遭難者の半分はシニア
登山系「年齢別遭難者数の推移」
平成30年の遭難者の数を見ると、60代で692人を記録していることが読み取れました。
遭難者全体でみても、不安な数値になっています。
単純に高齢者の登山者数が増えた
高齢者は心疾患により死亡する可能性が高い
若い時は登れたからと過信しすぎない
単純に高齢者の登山者数が増えた
テレビ放送に刺激を受けたり、近年は山ガールという言葉が流行したりして、高齢者も自分にも登れるはず、と夏登山を趣味に考える人が増えたのです。
当然、人数が増えるほどハプニングはつきものなので、高齢者の遭難者が増加していると考えられています。
高齢者は心疾患により死亡する可能性が高い
高齢者の遭難の原因は落石や滑落が多いと思われがちですが、年齢によって呼吸器機能が弱まり心疾患を起こした場合も多いというのです。
加齢に伴い仕方ないことかもしれませんが、普段から体力作りをするのが理想的でしょう。
若い時は登れたからと過信しすぎない
「若い時はできたから」という理由で、何の準備もせずに夏登山に臨む高齢者がいます。
しかし、十分に体力作りをしたり、持ち物をセットしたりしないと山は危険なのです。
勿論、趣味の一つとして夏登山を選ぶのは、体力づくりにもなるので良いことでしょう。
後半では、具体的にどんな準備をしたら良いのかを説明していきます。
夏登山の注意点
! 注意
高齢者の夏登山は十分な準備をしておかないと、遭難リスクも高く危険です。
関東の山登りで有名な「高尾山」でさえも1年に100件近く救助要請があるというのです。
夏登山で遭難しないためには、どのような点に注意すべきでしょうか?
注意点①天候が変わりやすい
注意点②低山を選ぶ
注意点③徹底した準備をする
注意点➃登山届の提出
注意点⑤遭難したとき
注意点⑥早朝に出発する
注意点①天候が変わりやすい
夏は台風や集中豪雨が起こりやすく、平地以上に山の天候は変わりやすいです。
さっき晴れていたと思ったら、急に土砂降りになったという話も少なくないのです。
雨対策・寒さや暑さの対策など、天候によって着替えられるように準備しましょう。
注意点②低山を選ぶ
山が高ければ高いほど、平地との気候が劇的に変わります。
夏に高い山を登ると道が険しいことも多く、怪我をしてしまうケースが多いのです。
高齢者や初心者が登る場合には、低山から始めて慣らしていくのが大切です。
注意点③徹底した準備をする
夏山で遭難しないためには、地図やコンパスを使って、ご自身が歩いている道をしっかり確認することが大切です。
携帯のアプリでも良いですが、小さくて見にくいので地図の持参をおすすめします。
また、夏登山中に小腹がすいた時に食べる食事、万が一遭難してしまった場合の非常食、急遽必要になった場合にお金をしっかりと用意して、夏登山に臨みましょう。
注意点➃登山届の提出
登山届けとは、ルート・装備・メンバーなどの詳細を書いて、警察署に提出するものです。
コピーをとって家族とも共有しておくと安心するでしょう。
登山届けを元に「●●が帰ってこない」「メンバーの1人とはぐれた」などのハプニングに対して捜索活動がしやすくなるのです。
注意点⑤遭難したとき
万が一遭難してしまった時には、登ってきた道を戻って正規な登山道を通るのが普通です。
怪我をして動けない場合には、自分一人でどうにかしようとせず救助の要請をして、動かずその場で助けを待つようにしましょう。
注意点⑥早朝に出発する
夏登山ではなるべく早い時間に出発し、早めに下山するのが基本です。
大きな理由としては、時間的余裕が生まれ、景色などを思う存分楽しめるからです。
暗くなってからだと周囲が見えづらく、遭難しやすくなるので注意しましょう。
夏登山の服装・装備【シニア向け】
高齢者 夫婦
最後に、夏登山に持っていくべき服装・持ち物を確認してみましょう。
あまり沢山持っていっても重くなりますが、必要なものは必ず用意してください。
帽子
インナーシャツ
トップス
アウター
パンツ
靴
時計
スマートフォン(携帯電話)
帽子
晴れてきた時に日除けするために必要不可欠です。
特に夏登山の際には強烈な紫外線が当たるため、日焼け止め代わりに良いでしょう。
また、万が一足を滑らせた場合に頭を保護する役割も果たしています。
インナーシャツ
肌に直接触れるインナーシャツは化学繊維(ポリエステルなど)を選択するのが一番です。
綿は汗をかいた時の吸収は良いですが、その後体を冷やしてしまう可能性があるためです。
その一方で化学繊維だと、こもった熱を発散するので体は冷えにくいといいます。
トップス
夏山は天気が変わりやすいため、重ね着をすることが大切です。
インナーシャツの次に中間着(ミッド)、外着(アウター)のような服装が基本でしょう。
中間着は、インナーシャツで汗をかいた体を保湿する役割があります。
アウター
アウターは雨・風から身を守る役割があるため、濡れても乾きやすいものが必須です。
急な大雨には、乾きやすいレインコートもおすすめです。
地上と天候・気温が違うため、その都度上手く重ね着しましょう。
パンツ
パンツもトップス同様、濡れても乾きやすい素材がベストです。
険しい山道を登ることも考えて、伸び縮みしやすいものを選びましょう。
靴
スニーカーではなく必ず登山靴を使ってください。
悪天候の可能性も考え、防水性のあるものを選ぶと良いでしょう。
時計
事前に立てた登山計画通りに進んでいるのかを確認するのに必要です。
予定以上に時間がかかってしまった場合は、再度対策を練り直し、場合によっては途中で下山するという決意も大切なのです。
スマートフォン(携帯電話)
もし万が一遭難した時、体調が悪くなった時などに、救助を呼ぶのに使います。
その他にも、アプリで山の天候を確認したり、地図やGPSで現在地を確認したりする際に必要となります。
スマホメインで使う方は、モバイルバッテリーも忘れずに携帯しましょう。
しっかりと準備して夏登山を楽しもう!
今回はシニアや初心者でも登れる夏登山をメインに、注意点も解説しました。
いきなり登山するのではなく、体力づくりや念入りな準備が必要なのです。
この記事を参考に、シニアの趣味として夏の登山を楽しんでみてください。