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葬儀

2024.04.30

火葬場の仕組みとは?種類の違いや温度、有名な火葬場を紹介!

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日本の火葬率は99.986%と言われ、ほとんど全ての人が人生の最後にお世話になるところが「火葬場」です。
身内に不幸が有った時には近くの火葬場に行きますが、火葬場の中身がどうなっているのか、その仕組みについてはよく知りませんよね。

ここでは火葬場の主役である火葬炉を中心に、最新の技術やその仕組みについてお話しします。

この記事の結論

火葬場の仕組みは、ロストル式と台車式に分けられます。前者はかかる時間が40分、後者は70分ですが遺骨がきれいに残ります。
火葬場の仕組み
通夜 葬儀
日本人は亡くなると、ほぼ 全員が火葬 となります。
そして、火葬をする所が「火葬場」です。

火葬場では、 火葬炉に遺体を入れて火葬 します。
それでは火葬場の火葬炉の方式と仕組みについて、説明しましょう。

ロストル式
台車式
最近の火葬場は ほとんどが台車式で、ロストル式はわずか です。
以下にその仕組みと特徴を記します。

ロストル式
この方式の仕組みは、炉内に設置した金属棒の 格子の上に棺を直に載せて焼きます 。
ロストルの語源は、オランダ語で食品を焼く網などを意味する「rooster」になります。

燃焼効率が良い仕組みなので、 火葬の時間は約1時間と短く 、最も速い炉であれば40分程度で終了します。

台車式
この方式仕組みは、耐火レンガまたは耐火コンクリートを床面に敷いた 台車の上に棺を載せて、台車ごと火葬炉に入れて焼きます 。

台車式は、棺が燃え尽きてしまうと、遺体の下に炎が回りにくい仕組みなので、 火葬時間は約70分と長く なります。

火葬場の火葬炉の温度は、ダイオキシンなどの有害物質が発生しにくい 800度以上 と定められています。
古い炉であれば800~950度ほど、最新型は900~1200度程度、と高温になります。

火葬炉の温度は、 高すぎると骨が灰になり、低すぎると大きな骨が燃え残って しまいます。

火葬場の仕組み|ロストル式のメリット
メリット
海外から輸入された炉なので、遺骨を大事にする仏教徒と違った発想で仕組みが考案されています。
そのロストル式のメリットは、以下の通りです。

燃焼速度が速い
設置費用が安価
燃焼速度が速い
前述しましたがロストル式では、金属の棒でできた格子の上に棺を置いて火葬します。
棺の下が網状で風通しがよい仕組みなので、燃焼効率がよく 短時間で火葬が行えます 。

棺が燃え尽きても、下から焼き続ける仕組みなので、短時間で骨化でき、火葬場で遺族が拘束される時間も短縮できます。
これまでは、人口が多い大都市の火葬場で採用されていました。

設置費用が安価
ロストル式の火葬炉は仕組みがシンプルで、火葬場側からすれば設置費用もメインテナンスコストも安く済みます。
火葬の処理が早く費用が安い、つまり コストパフォーマンスが優れている方式 なのです。

火葬場の仕組み|ロストル式のデメリット
デメリット
火葬炉がロストル式の火葬場では、 遺骨を大切にする日本人 には受け入れ難い点があります。
それは仕組み上避けられないものですが、デメリットとして3点を説明します。

遺骨が原型を保ちにくい
衛生面の維持
臭いや音
遺骨が原型を保ちにくい
格子の上に棺を置く仕組みにより、火葬中に骨がロストルから数10㎝下の骨受皿に落ちるため、 散乱 してしまいます。
収骨する順番にこだわったり、とくに喉仏を大切にする日本人に向いていません。

衛生面の維持
遺体の中でも大腸や小腸は、水分が多く焼けにくい臓器です。
ロストル式は早く焼けますが、遺体から出る汚汁や、腸など燃えにくい部位が、骨受皿に落下するので、清掃に手間がかかり 衛生面で難点 があります。

臭いや音
残念ながらロストル式は、 炉の外にまで臭いや燃焼音が漏れて きます。
その仕組みのため、汚汁や腸などの部位が落下した骨受皿を、完全燃焼させるほど高温にできないからです。

火葬場の仕組み|台車式のメリット
メリット
台車式は、遺骨を大事にする 日本人に合った方式 であることから、多くの火葬場で選ばれています。
台車式のメリットは以下の通りです。

遺骨が原型を保てる
不完全燃焼しにくい
悪臭が少ない
衛生面が良い
遺骨が原型を保てる
台車式の仕組みでは、棺を台車の上に載せて火葬します。
棺が燃え尽きた後、骨は直ぐ下の台車に落ちるために散乱せず、ほぼ 人体の形のまま残る のです。

不完全燃焼しにくい
遺体がほとんど骨になってからでも、台車面に炎が達するので、 不完全燃焼しない 仕組みになっています。

悪臭が少ない
悪臭の素となる汚汁や難燃部位に対しても、しっかり炎が回る仕組みのため、臭いが抑えられます。
また、遺体を焼く炉と、もう一つの炉により、 発生ガスを再燃焼させて有毒ガスや悪臭を防ぐ 、二重構造となっています。

台車式は、周辺環境や近隣に住む人々にも配慮した火葬場になります。

衛生面が良い
台車にまでバーナー炎が達する仕組みにより、汚汁や難燃部位までしっかり燃焼させるため 衛生的です 。

火葬場の仕組み|台車式のデメリット
デメリット
台車式のデメリットは次の通りです。

燃焼時間がかかる
設置費用が高価
燃焼時間がかかる
台車式は、棺が燃え尽きてしまうと、遺体の下に炎が回りにくい仕組みなので、骨化するまでに 時間がかかります 。
また、火葬終了後に、台車を数十分くらい冷やしてから収骨するため、更に時間がかかってしまいます。

これからの多死社会に適応するには、火葬場で台車を多く用意したり、炉を増やすしか手立てがありません。

設備費用が高価
火葬炉内へ棺を載せた台車を送り込む仕組みなど、構造が複雑になるため、 設備費用が高価 になります。
そのため、メンテナンス費用も高額になります。

余談ですが、燃焼時間が長くなるため燃料費用も多くかかることになります。
火葬場の設備投資費用や維持費が高くなってしまいます。

火葬炉の違い
違い
最新式は自動化が進んで操作性が向上、また環境に配慮した機構の装備などが主な改良点です。
それでは、旧式と最新式とでどのように違うのか、両者の仕組みを比べてみましょう。

旧式
操作は熟練職員の技術伝承で成り立っており、炉の温度も800〜950度までしか上がらず、 火葬時間が2〜3時間必要 で、長くかかりました。
また、火葬場に煙突が必要で、燃料も薪や重油、石炭が使用され、黒い煙がもくもくと出ていました。

最新式
操作はコンピュータ制御で職員の技術に依存しにくくなり、炉内温度は900~1200度と高温で燃焼するので、 火葬時間は多くの場合1時間以内 で終了します。
燃料も灯油やガスに代わり煙が減った上に、再燃焼処理などの仕組みによる、煙や悪臭対策も行っています。

火葬場の部屋
葬儀
火葬場には、火葬炉以外にも多くの設備・部屋があります。
主な部屋の紹介をしましょう。

葬儀場
霊安室
告別室
炉前室
収骨室
控室
葬儀場
葬儀を行う部屋のことですが、火葬場に併設されていない場合もあります。
併設されていると、 その場で葬儀から火葬まで行える ので経済性が高く、会葬者が移動する手間が省けるという点で優れています。

霊安室
自宅以外で亡くなった場合に、葬儀当日まで遺体を安置する部屋のことです。
本来なら自宅に搬送するのですが、事情があって安置できないケースがままあります。

霊安室が火葬場に併設されている場合は、そちらに搬送することも増えています。
火葬当日に再度関係者が火葬場に集まって故人を送る、 「火葬式」または「直葬」 と呼ばれる方式です。

告別室
火葬前に 最後のお別れをする部屋 のことです。
棺の小窓から最後にもう一度顔を見たり、お線香を手向けてお別れをするための時間を過ごす場所になります。

また火葬場まで僧侶の方が来られた場合には、告別室で火葬前にお経をあげます。

炉前室
炉前室は火葬炉の前にあるスペースのことです。
家族や近親者のみの少ない人数で故人を送る場合、告別室の代わりに読経や焼香して最後のお別れをする部屋になります。

また、火葬の最後に お骨上げをする場所 でもあります。
炉前室により、遺族は火葬炉を直接見ることを避けて、心穏やかに故人を送れます。

もう一つの役割として、火葬後の熱を速やかに冷やす機能も担っています。

収骨室
お骨上げをする専用の部屋です。
遺骨を会葬者全員で囲み、 喪主が骨壺を持って頭部の位置 につき、それ以外の人は骨箸を持ちます。

足の方から骨箸で遺骨を骨壺に収めて行きます。
遺骨を全て骨壺に入れるか、一部を入れるかは地方によって異なります。

控室
控え室は遺族や参列者、火葬場まで付き添ってきた僧侶が、火葬が終わるまでの時間を過ごす部屋のことです。
ここでは、 精進落としの食事を出したり、茶菓の接待 で参列者の労をねぎらいます。

火葬の費用
お金
火葬場には公営と民営があり、両者の費用にはかなり差があります。
公営の火葬場は自治体が運営していますが、 火葬費用は自治体によって大きく異なります 。

また、大人か子供かによっても料金が変わることもあります。
具体的な費用を見てみましょう。

公営
公営の火葬場は自治体、多くの場合市が運営しています。
公営の火葬場では民営よりも安く火葬できますが、自治体によって 無料~60,000円 位と大きな差があります。

また、その自治体の住民票があるか否かでも違います。
一般に 他の自治体の人の場合は、1.5~10倍程度と割高 な費用がかかります。

例)

東京江戸川区では都民なら60,800円、都民以外は72,960円

神奈川県茅ケ崎市では、市民は0円、市民以外は80,000円
一方で札幌市では、市民も市民以外も同一料金49,000円となっています。
民営の火葬場も住民票に関係なく同一料金 になります。

民営
地方都市では公営の火葬場だけですが、都市部には民営の火葬場があります。
民営の火葬場は葬儀社が運営していることが多く、費用は 公営に比べて高く なっています。

しかしながら、建物や設備が新しかったり、斎場が火葬場に併設されていたり、便利になっています。
火葬の時間も短縮されているので、事前に公営の火葬場と比較して決めるとよいでしょう。

費用は 60,000円~200,000円 程度になります。
参列者の人数に応じて使用する部屋も変わり、料金も増えたりしますので、葬儀社とよく相談して下さい。

民営の火葬場があるにもかかわらず、東京などの大都市では、亡くなる人の数に比べて火葬場が少ない状況です。
そのため、直ぐに火葬できず 数日待たなくてはならない 事もあります。

「多死社会」となった現状では、益々民営火葬場の役割が重要になっています。

有名な火葬場
焼香
ここからは、有名な火葬場・3施設についてご紹介します。

名古屋市立第二斎場
四ツ木斎場
大阪市立瓜破斎場
名古屋市立第二斎場
名古屋市第二斎場は、火葬能力が限界を超えていた八事斎場をフォローするため、名古屋市南部の港区に平成27年にオープンした火葬場です。
30の火葬炉により、 一日90組の火葬が可能 となっています。

火葬場の建物は、上から見るとほぼ正方形で中心に火葬炉を配し、その3方に会葬者が利用する設備を置いた設計となっています。
会葬者同士の動線が重ならない よう、エントランスホールや駐車場も同じく3方の設けられた、大変合理的な火葬場となっています。

火葬料金は、市民の大人が5,000円・子供が2,500円、市民以外の大人が70,000円・子供が35,000円です。
大人は10歳以上となっています。

四ツ木斎場
四ツ木斎場は東京博善株式会社が運営する 民営火葬場 です。
利用者の増加に対応するため、東京都葛飾区に全面建替えして平成28年末にオープンしました。

3階建てのモダンな建物の中に火葬炉12基を装備して、火葬能力を重視しています。
私鉄の駅から徒歩5分とアクセスもよく、火葬場は全館バリアフリーの設計です。

火葬料金は公営の火葬場と比べれば高く、大人が59,000円(最上等)〜280,000円(貴殯館)、子供が32,300円(最上等)〜160,000円(貴殯館)です。
大人は7歳以上 となっています。

大阪市立瓜破斎場
大阪市立瓜破斎場は、火葬炉30炉(標準炉27・大型炉3)を有し、大阪市立斎場の中で 最大の規模 を誇る火葬場です。
平成7年までに改修整備した斎場で、最新式ではありませんが、大都市の火葬需要を支える重要な火葬場です。

火葬場は大阪市内の南東部に位置しており、交通アクセスも悪くありません。
豊かな緑に囲まれた威厳のある建物は、故人を見送る場所として相応しい雰囲気の火葬場です。

火葬料金は、市民の大人が10,000円・子供が6,000円、市民以外の大人が60,000円・子供が36,000円です。
大人は10歳以上となっています。

火葬の時入れてはいけないもの
×
故人が好きだったり、思い出が詰まっていたり、色々な副葬品を棺に入れたくなりますが、火葬の時には入れてはいけないものがあります。
その代表的なものは、次の3つに大別されます。

設備の故障に繋がるもの
環境汚染に繋がるもの
不完全燃焼の原因になるもの
設備の故障に繋がるもの
カーボン製品 は火葬炉設備の故障の原因となりますので避けて下さい。具体的には以下の通りです。


釣り竿
ゴルフクラブ
ラケット
義肢装具など
環境汚染に繋がるもの
公害(ダイオキシン・煤煙・臭気など)の発生源となるため、次のものは避けて下さい。

ビニール製品として、ハンドバック、玩具など
化学合成繊維製品として、衣類、寝具など
発砲スチロール製品として、枕、パッキンなど
その他として、CD、DVD、ゴルフボールなど
不完全燃焼の原因になるもの
可燃物であっても、燃えにくく不完全燃焼の原因となりますので、次のものは避けて下さい。

果物(スイカ・メロンなど大きな果物)
書籍(辞書・アルバムなど厚みのあるもの)
大型繊維製品(衣類の詰めすぎ、大きなぬいぐるみなど)
上記以外に、遺体を損傷する怖れがありますので、次のものは避けて下さい。また ペースメーカー を装着している場合は必ず火葬場の職員に伝えて下さい。

金属製品(携帯電話、携帯音楽プレーヤー、仏像など)
ガラス製品(酒瓶、鏡、食器類など)
爆発物(缶飲料、化粧品スプレー、ライター、電池など)
火葬のマナーに関して、詳しくはこちらを参考にしてください。

火葬で抑えるべきマナーとは?服装・副葬品や場面ごとのマナーを解説
第三人生編集部

多死社会に対応して火葬場も変わる
先進国ではいち早く超高齢化による「多死社会」が到来した日本では、 2040年頃までは多くの人が亡くなり 、火葬件数が大幅に増加すると見込まれています。
それこそ火葬されるまで2~3週間待ちが、当たり前となるかもしれません。

そのため各自治体も火葬場を増やしたり、最新型に更新する必要性は承知していますが、予算確保の問題や場所の選定などに苦慮しています。
また待ち時間が増えたため、一定期間遺体を安置する場所も必要となります。

実際に人口が多い都会では、なかなか火葬の日程が決まらず、遺体が 火葬場難民 となってしまうケースもあります。
そのため、しばらくの間遺体を安置する民間の「遺体ホテル」もできて来ました。

毎年のように 甚大な被害をもたらす自然災害 によって、ある地域で多くの死者が出た場合、火葬場に遺体が集中して火葬が全く追いつかないという事実があります。

多死社会に関して、詳しくはこちらを参考にしてください。

多死社会では火葬場が足りない?2040年問題と医療・社会への変遷を解説
第三人生編集部

❓ 火葬場の仕組みの種類はどんなものがある?
ロストル式と台車式があります。台車式が大多数を占めているのもポイントです。詳しくはこちらをご覧ください。

❓ 火葬場のロストル式の仕組みのメリットは?
より短時間で火葬しやすい点が挙げられます。また、安価に設置しやすいです。詳しくはこちらをご覧ください。

❓ 火葬場の台車式の仕組みのメリットは?
遺骨が原型を保ちやすいメリットがあります。また、衛生面も良いです。詳しくはこちらをご覧ください。

❓ 火葬場の仕組みに適さない副葬品は?
ガラス・金属などは一緒に火葬できない仕組みとなっています。また、陶器など不燃物も火葬できません。詳しくはこちらをご覧ください。

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