少子高齢化とは?
高齢者
少子高齢化とは、少子化と高齢化が同時に起こる事象です。
全人口の中で子供の占める割合が低下しながら、高齢者の割合が増加します。
少子高齢化の現状
少子高齢化 社会問題
参考:高齢社会白書
日本では、他国に比べて急激な少子高齢化が社会問題となっています。
総務省のデータによると、全人口のうち、14歳以下の子供の占める割合は40年近く減少し続けています。
2020年には約14%となりました。
ベビーブームのあった1940年頃の約35%と比べると、少子化の深刻度が分かります。
反対に、65歳以上の高齢者の割合は2019年に28%を超え、過去最高となりました。
既に高齢化社会を超え、超高齢社会となっています。
今後も高齢化が進むと予測されており、2040年には35%を超えると言われています。
加えて、日本の全体人口も長年に渡り減少し、社会全体の衰退の原因に危機感が持たれています。
次項より、少子高齢化の原因や影響、対策について解説します。
少子高齢化の原因8選
高齢者 手押し車 シルバーカー
少子高齢化の原因として、以下の8点が挙げられます。
長寿命化
晩婚化・未婚化
進学率の向上
出生率の低下
男性の育児参加不足
低い育休取得率
子育てに伴う金銭的な負担の増加
保育施設の不足
順に原因をご紹介します。
原因①長寿命化
高齢化の原因として、平均寿命が延びている事が挙げられます。
内閣府の調査によると、2018年の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳でした。
1965年の男性約68歳、女性が約73歳と比べると、格段に長寿の傾向にあります。
背景には、衛生環境の整備や医療面の発達、健康意識の変化があります。
原因②晩婚化・未婚化
少子化の原因として挙げられるのが、晩婚化・未婚化です。
2000年の国勢調査では、20~34歳において男性の約7割、女性の約半数が未婚という事が明らかになりました。
また男女共に初婚の年齢も上昇しています。
厚生労働省によると、2018年における初婚年齢の平均は、男性約31歳、女性は約29歳でした。
1960年の男性約27歳、女性が約24歳と比較すると、初婚年齢が大幅に高くなっています。
これらには女性の社会進出が顕著になったにも関わらず、社会的に育児の環境が整わない事が背景にあります。
結婚や出産を躊躇する若者が増え、少子化の原因となっています。
原因③進学率の向上
少子高齢化の原因として、進学率の向上も挙げられます。
男女雇用機会均等法をきっかけに、女性の社会進出が顕著になりました。
それに伴い、進学率も向上し、高い技術を持つ女性も増加しています。
技術を生かし仕事の経験を積む為に、20代では結婚を控える等が少子化原因にあります。
原因④出生率の低下
高齢者が増える一方で、出生率の低下が少子高齢化の原因に挙げられます。
女性が15~49歳の間に出産する子供の平均人数を、合計特殊出生率と言います。
合計特殊出生率は、1940年代の平均約4人をピークに減少し続けています。
2019年には、ついに1.4人となりました。
国連が定めた人口が安定して維持できる合計特殊出生率の基準は2.1人です。
現代の日本は大幅に下回り、日本の衰退の原因となるのではと心配されています。
原因⑤男性の育児参加不足
少子化の原因には、男性の育児参加不足があります。
男女平等に社会進出出来るとはいえ、「男性は仕事、女性は家事育児」の価値観は根強く残っています。
女性は、自らが仕事と両立し生活出来る範囲を考え、出産を控える傾向にあります。
原因⑥低い育休取得率
男性の育児参加不足に関連して、低い育休取得率も少子化の原因です。
企業において男性の育児休暇の取得率は低く、厚生労働省によると2018年では日本全体で約6%でした。
政府は、2020年には13%に引き上げの目標でしたが、達成は困難とみられています。
男性の育児休暇は義務化されていませんが、申請があった場合、企業は取得させる事が法律上の義務です。
また育児休暇を理由に労働上の不利益を被らないよう、法律で定められています。
降格や減給、退職などをさせる事は禁止され、違反した場合、企業側に罰則があります。
それにも関わらず、男性は育児休暇を申請しにくいという意見が圧倒的です。
実際に育児休暇後に、勤務形態において不利益を被り、裁判が行われた例もあります。
以上を踏まえ、特に男性は育児休暇の取得率が上がらないのが原因として挙げられます。
原因⑦子育てに伴う金銭的な負担の増加
子育てに伴う金銭的な負担の増加も、少子化の原因です。
非正規の雇用形態の増加や、平均年収の減少など、若者の間で不安定な経済状況が広まっています。
反面、子育て費用は膨大に掛かります。
内閣府や文部科学省の調査を総合的にみると、幼稚園から大学まで全て公立でも1000万円を超えます。
全て私立の場合は、一人当たり約2500万円の教育費が必要です。
子育て費用の捻出が不安な若者が多く、未婚や晩婚が進みます。
これらが原因で、出生率の低下にも繋がっています。
原因⑧保育施設の不足
全国的な保育施設の不足も少子化の原因です。
特に、人口や企業の多い都市部での待機児童問題は深刻です。
仕事に復帰したくても保育所に空きが無く入れないという状況が多発しています。
その為、複数人の子供を育てる事を不可能だと感じ、出産を控える夫婦が増加しています。
その上、保育所に入れない事から、親が育児休暇延長をしている場合などは待機児童には含まれません。
隠れ待機児童とも呼ばれ、注目され始めました。
保育施設不足の原因には、保育士不足があります。
他の職種に比べ年収が低い事や、労働時間の長さなどから、資格を持っていても保育士の職に就かない方も多くいます。
潜在保育士と呼ばれ、厚生労働省によるとその数は60万人近いと言われています。
現代の日本は、親にとって総合的に子育てがしにくい環境である事が少子化の原因です。
少子高齢化の影響
高齢者 杖
少子高齢化の影響には以下の3つが挙げられます。
深刻な人手不足
社会保障制度の維持が困難に
医療介護施設が不足する
以下にご紹介します。
影響①深刻な人手不足
少子高齢化は、経済での深刻な人手不足をもたらします。
生産年齢人口(15~65歳の一般的に労働力となる世代)も減少するからです。
実際現在も、各分野で人手不足が問題になっています。
従業員不足が原因でやむなく廃業をする会社も出てきています。
今後、少子高齢化による日本経済の縮小が予測され、迅速な改善が必要です。
影響②社会保障制度の維持が困難に
少子高齢化は、社会保障制度の維持が困難になる弊害の原因となります。
代表的には年金制度です。
日本は長らく、若者が支払った年金が高齢者に渡るシステムを採用しています。
少子化で若者が減り、年金の財源確保が難しくなっています。
しかし、高齢者は増加し、必要な年金額は増大しています。
需要と供給のバランスが崩れ始め、将来の年金制度の崩壊が懸念されています。
影響③医療介護施設が不足する
医療介護施設の不足も、少子高齢化の影響にあります。
高齢者が増加すると、医療介護施設の利用者も比例して増加します。
しかし、既に生産年齢人口での医師や看護師、介護士など医療介護スタッフは不足しています。
原因には過酷な労働環境があります。
その為、病院や施設の運営がままならず、病床数を減らすなどの対策が懸念されます。
患者は増加するのに、病院が足りないなどの問題が発生すると予測されます。
少子高齢化の影響に関しては他にもまだあります。
詳しくは以下の記事で紹介していますので、参考までにして頂けると幸いです。
少子高齢化の影響を社会・経済・医療・年金別にわかりやすく解説!問題点と対策も!
第三人生編集部
少子高齢化の対策
高齢者 夫婦
少子高齢化の対策として基本となる概念に以下の2つがあります。
育児をしやすい社会に
高齢者の活躍
順にご紹介します。
育児をしやすい社会に
少子高齢化対策には、育児をしやすい社会にする事が先決です。
子育てに困難を感じる若い世代が、結婚や出産を控える事が大きな原因だからです。
具体的には、以下の3つが挙げられます。
児童手当
保育施設の増加
育休取得率の向上
児童手当
少子高齢化対策として、児童手当があります。
児童手当とは、子供のいる世帯への行政からの給付金です。
未来を担う子供達の教育を、社会全体で支える意味を持ちます。
1970年代より始まりましたが、一時は廃止の論議もされていました。
その後、少子化が深刻化するにつれ、内容が変化しながら続いている制度です。
現在では、基本的に3歳未満が15000円、3歳以上中学生未満が10000円の支給額となっています。
ただし、子供の人数や所得により金額が変動します。
保育施設の増加
少子高齢化対策として、保育施設の増加も早急に求められています。
実際、政府は2018年の子育て安心プランにより保育所不足の解消を計画しました。
結果、保育所における新規参入も以前より増えています。
また、保育士不足の解消として2015年より保育士確保プラン、2019年より保育士確保強化キャンペーンを行っています。
いずれも、保育士の賃金アップや勤務形態の改善を打ち出しています。
育休取得率の向上
少子高齢化において、育休率取得の向上も大きな課題です。
特に男性の育休取得率が低い為、2018年より男性の育児休暇取得促進事業を発足しています。
イクメンプロジェクトとも呼ばれていますが、未だ具体的な対策は打ち出されていません。
高齢者の活躍
少子高齢化において、高齢者の社会的な活躍も期待されます。
以前は、65歳で定年退職を迎えることが当たり前とされていました。
しかし超高齢社会となり、平均寿命も延びている今、生涯働く視点も必要になっています。
具体的には以下の2点が挙げられます。
シルバー人材センター
定年の引き上げ
シルバー人材センター
シルバー人材センターとは、高齢者が働き社会で活動する事を目的に作られた組織です。
市町村単位で配置され、都道府県の指定を受けた法人が運営しています。
子育て支援や介護施設での手伝い、清掃や草木の手入れなど様々な仕事が登録されています。
人手不足の原因解消ともなります。
定年の引き上げ
少子高齢化対策として、定年の引き上げも行われるようになりました。
65歳を過ぎても、企業と本人双方合意の上で継続雇用が出来る仕組みです。
平均寿命が延び、人々が健康に気を遣うようになった結果、以前より元気な高齢者が増加しています。
また企業では、若い世代への技術の継承などが追い付いていない問題を抱える分野があります。
特に建築業や製造業、外食産業などです。
定年の引き上げや再雇用が広まる事で、人手不足だけでなく技術面の問題も解消します。
再雇用制度自体は流布しているのが現状ですが、実際は様々な問題があるのが現状です。
背景等を知りたい方は以下の記事も参考にして下さい。
再雇用とは?言葉の意味や給与がどうなるかや給付金制度に関しても紹介
第三人生編集部
少子高齢化について良く知り、対応をそれぞれ考えてみましょう
今回は少子高齢化について解説しました。
日本において急激に進む少子高齢化は、経済や社会保障、医療などに大きな弊害をもたらします。
子育て支援や、高齢者の活躍出来る場所など早急な対策が必要です。
少子高齢化について良く知り、原因を解消する意識を持ちましょう。
少子高齢化に関しては、他にも以下のような記事がありますので知見を深める際の手伝いとなれば幸いです。
少子高齢化の現状をわかりやすく解説!今後の少子高齢化社会に関する展望も!
第三人生編集部