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葬儀

2024.04.30

涅槃会には何をする?由来や時期、別名、有名な寺院も紹介!

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涅槃会は、お釈迦様に由来する法要の一つです。
仏教寺院の行事の中でも重要な法要ですが、その由来や行われる時期については意外と知られていません。

今回は、涅槃会とは何なのか、いつ行われるかという基本的な知識に加えて、涅槃会にゆかりのある寺院や有名な寺院についても解説します。
中には、普段非公開の拝殿で涅槃会の法要を行う寺院もありますので、是非これを機に様々な寺院について学んでみましょう。

涅槃会の由来
涅槃会(ねはんえ)とは、 仏教の教祖であるお釈迦様が亡くなられた日に行われる法要 です。
では、なぜ涅槃会と呼ばれるのでしょうか。

涅槃とは、サンスクリット語の ニルヴァーナ の訳語であり、 「迷いのなくなった境地」 という意味です。
また、お釈迦様の入滅、つまり 「お釈迦様が亡くなる」 という意味でもあります。

つまり、 涅槃会とは、悟りを開いたお釈迦様が入滅を迎え、迷いのない境地へと入られた日に行われる法要 なのです。

また、涅槃会では、お釈迦様が入滅された時の様子を描いた 涅槃図 という絵画を寺院に掲げます。

この絵画には、 人だけでなく動物や植物に至るまで、この世に存在する全てものが、お釈迦様の死を悲しんでいる様子が描かれます。

法要では、この涅槃図も是非ゆっくり拝観したい箇所です。

涅槃会はいつ?
仏壇 タイプ
涅槃会は、当然、 お釈迦様の命日に営まれます。
では、お釈迦様の命日とは何月何日であり、実際の法要が何月何日に営まれるかについて、具体的に見ていきます。

お釈迦様の命日
各寺院に確認
お釈迦様の命日
お釈迦様の最期の様子は、「 大般涅槃経 」(だいはつねはんぎょう)というお経に記載があります。
ですが、お釈迦様は紀元前に生きた方の為、 残念ながら正式にいつ亡くなったかの記録はありません。

インドの暦の第2月の満月の日が命日だった為、後に中国で 旧暦2月15日 が入滅の日だと定められました。
この日付は、そのまま日本に伝わり、 旧暦2月15日がお釈迦様の命日である、とされています。

勿論、現在の日本では旧暦は使用しておらず、旧暦2月15日は現在の日付とは異なります。
寺院によっては、涅槃会をより旧暦に近い、 3月15日に開催する場合もあります。

各寺院に確認
現在の日本では、 現行の暦の2月15日に涅槃会を行います。
ただし、中には旧暦に従い、3月15日に行う寺院もあったりと、対応は各寺院によって様々です。

参列する方は、まず、参列予定の寺院が公開するサイトなどで、 日にちを確認 し、その上で参列しましょう。

涅槃会の別名称
涅槃会には、涅槃講などの別名称があります。
その別名称の内の一つが、常楽会(じょうらくえ)です。

一部の寺院では涅槃会を、常楽会と表現します。
常楽会とする寺院は、奈良県の興福寺、高野山金剛峰寺、大阪の四天王寺などです。

先程の 「大般涅槃経」の基本的な教えの中の、常楽我浄(じょうらくがじょう)がその名の由来です。
常楽我浄は涅槃の四徳と言われ、永遠不滅で、苦悩なく、事物に囚われず自由自在な我であり、清浄であることを意味します。

この言葉の上の部分をとり、常楽会と呼んでいます。

涅槃会のお供物
お盆 お供え
各寺院では 涅槃会ならではのお供物 が用意されます。
中には聞き慣れないお供物もありますので、一つずつ見ていきましょう。

団子
はなくそ
団子
涅槃団子は、お釈迦様の遺骨である仏舎利を模しています。
地域や寺院で色や形は多少違いますが、丸い団子です。

涅槃会が済んだ後、この 団子を境内でまく風習のある地域もあります。
撒かれた団子は、 食べたり、厄災除け守りとして身に付けます。

はなくそ
花供御と書いて、「はなくそ」と読みます。
これは、 お正月に供えた餅で作ったあられ の事です。

仏に供える供物のことを、花供御(はなくご)と呼びます。
お供えした後、お下がりとして頂く際に、「お釈迦様の、はなくそだ」と揶揄したことが、呼び名の始まりだと言われています。

「はなくご」が変化し、「はなくそ」へ。
おかしな名前ですが、お釈迦様へのお供え物のお下がりは、無病息災を祈る有り難いお菓子です。

涅槃会の行事で有名なお寺
埼玉 お寺_3
涅槃会は、通常宗派を問わずどのような寺院でも営まれます。
ここでは、特に涅槃会で有名な寺院について見ていきます。

山階寺
泉涌寺
金剛峰寺
山階寺
669年創建の 山階寺(やましなでら) は、その名の通り京都の山科にあった寺院すが、現在は存在しない寺院名です。
平安時代、涅槃会で有名だった寺院 で、その時代の書物にも山階寺の名が記載されています。

この山階寺は、今日では、ある有名な寺院へと名前を改めています。
山階寺は、平城京の遷都の際に現在の奈良県に移転し、名称を興福寺(こうふくじ)と改めました。

その後興福寺は、奈良最隆盛の寺院となり、現在まで続いています。

泉涌寺
泉涌寺(せんにゅうじ) は、京都府東山区にある、 真言宗の寺院 です。
皇室の菩提寺である、御寺(みてら)としても有名です。

この泉涌寺で特筆すべき点は、涅槃図です。
泉涌寺は、 日本最大級の涅槃図を所蔵する寺院 として有名なのです。

元来は、奈良県の東大寺に掲げられる予定で作成された、泉涌寺の涅槃図。
そのあまりの大きさのため、泉涌寺ではコの字に折り曲げて公開される程 です。

泉涌寺の涅槃会は、旧暦に従い 3月15日 に開催されます。
大迫力の涅槃図を、是非自分の目で確かめてみてください。

金剛峰寺
弘法大師が開いた金剛峰寺(こんごうぶじ)は高野山真言宗の総本山 です。
寺院の建物だけでなく、高野山という山全てが境内という「 一山境内地 」でも有名ですよね。

この金剛峰寺は、真言宗の寺院である為曼荼羅で有名ですが、素晴らしい涅槃図も所蔵していることをご存知でしょうか?
金剛峰寺の涅槃図は、我が国に現存する最古の涅槃図 であり、応徳三年(1086年)に描かれたものです。

仏教的な意味合いでも素晴らしいですが、同時に 日本画としてもとても見ごたえがあります。

金剛峰寺では、 常楽会 と呼ばれ、 2月15日 に営まれます。
高野山には宿坊もあり、一般の方も宿泊可能ですので、一度訪れてみるのも良いでしょう。

涅槃会にゆかりのあるお寺
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次に、 涅槃会にゆかりのあるお寺 を紹介します。
この二つの寺院では、涅槃会の際に貴重な場所を拝観できます。

ゆかりある寺院といっても堅苦しいことはなく、誰もが参列できますので、是非お参りしましょう。

興福寺
東福寺
興福寺
法相宗の大本山興福寺は、 元は京都の山階寺 という名の寺院でした。
平安時代から、雅楽を用いて盛大な涅槃会を行う寺院であったと言われています。

現在では当時よりも規模が縮小されたとはいえ、雅楽を用いた法要や甘酒の振る舞いなどは当時のままです。
興福寺の涅槃会は、 2月15日 に開催され、勿論誰でも参列できます。

法要が営まれる本坊は、普段は公開していない建物 です。
涅槃会を機に、興福寺の貴重な本坊にお参りしてみましょう。

また、近隣は、奈良県内でも東大寺や春日大社など、多くの寺社仏閣が集まる地域です。
これを機に、古都奈良の文化に触れるのも良いですね。

東福寺
臨済宗東福寺派大本山の東福寺 は、京都にある寺院です。
奈良最大の寺院「 東 」大寺と、最隆盛だった寺院興「 福 」寺の字を取り、「東福寺」と名付けらました。

東福寺には、 大涅槃図 が所蔵されています。
この涅槃図が有名な理由は、大きさだけではなく、他では見られない 猫が描かれている からです。

この猫は 魔よけの猫 とも呼ばれており、参列した方は大きな涅槃図の中にいる猫を探すのが恒例なのです。
ですが、大涅槃図は縦横約12×6mと、とても大きいので探すのも一苦労です。

また、 東福寺の涅槃会では、通常非公開の本堂を拝観できます。
本堂には、有名な 蒼龍図 が天井に描かれており、大涅槃図の猫と共に、天井の龍も見どころの一つです。

東福寺涅槃会は、3月15日頃に開催されます。

『コラム』灌仏会、成道会
仏教の三大法会 には、 涅槃会 の他に、 灌仏会(かんぶつえ) 、 成道会(じょうどうえ) というものがあります。
それぞれが、お釈迦様の生涯の中で重要な意味を持つ日です。

涅槃会と共に、これらの法会についても知っておきましょう。

灌仏会
成道会
灌仏会
灌仏会とは、お釈迦様が生まれた日に行う法要 です。
他にも、お花まつり、降誕会などの呼び名があります。

通常 4月8日 に営まれますが、涅槃会同様に旧暦の4月8日、つまり現在の 5月8日頃 に営まれる場合もあります。

お釈迦様は、誕生された際に右手で天、左手で地を指し「天上天下唯我独尊」と唱えられたと言われています。

その為、灌仏会では、 生誕の姿を模した誕生仏が、花で飾られた花御堂にまつられます。
参列者は、その誕生仏に甘茶をかけて、お釈迦様の生誕を祝うのです。

灌仏会の花御堂は、仏教行事の中でも特に彩りが豊かな御堂 です。
参列の際には、是非美しいお堂にも目を向けてみてください。

成道会
成道会とは、お釈迦様が悟りを開いた日を記念して行われる法要 です。
旧暦12月8日 に行われる為、12月の別名である臘月(ろうげつ)から、 臘八会(ろうはちえ )とも呼ばれています。

成道会は、現在も12月8日に法要が行われ、乳粥が振る舞われます。

悟りを開く為の苦行の末心身ともに疲弊されたお釈迦様に、スジャータという娘が供養したのが、乳粥です。
その乳粥で癒されたお釈迦様は、その後菩提樹の木の下で悟りを開かれました。

涅槃会はお釈迦様の三大法会の一つ
涅槃会は、灌仏会、成道会と並ぶお釈迦様に関する三大法会の一つ です。
寺院によっては、お釈迦様の入滅を描いた涅槃図の公開もあります。

普段目にする機会のない、大きな涅槃図も見ることが出来ますので、機会があれば是非参列してください。

紹介した寺院は、どれも関西のお寺ですが、 全国各地で行われる法要 です。
あなたのお住まいの地域では、どのような涅槃会が行われているかを調べてみるもの良いでしょう。

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