葬祭ディレクターになるには
葬祭ディレクターになるには、 葬祭ディレクター技能審査協会が主催し認定している、葬祭ディレクター技能審査試験に合格する ことで取得できます。
葬祭ディレクター技能審査試験
葬祭ディレクターという資格には 一級と二級があり、学科と実技、両方の試験があります。
学科試験ではお葬式に関する知識、宗教や法律などの問題が、実技では幕張や司会、接遇などが審査されます。
専門的な勉強をせずとも、未経験からチャレンジできる資格ですが、 葬祭ディレクター技能審査試験を受験するには実務経験が必要 です。
たとえば二級では2年以上の実務経験が必要ですが、在学中のアルバイト期間は実務経験として数えられません。
しかし葬祭ディレクター技能審査協会の認定している、葬祭教育機関のカリキュラムを修了すると、その期間は実務経験として数えることができます。
葬儀教育機関で学ぶ
学校を卒業して 最短で葬祭ディレクターの資格を取得したいのなら、葬儀教育機関で学ぶ方法があります。
葬儀教育機関は一般に、葬祭ディレクター専門学校のことです。
葬祭ディレクター専門学校では葬儀の企画、接遇のマナーや司会業務、葬儀のフラワーアレンジなどを学ぶことができます。
実際の葬儀業務を体験するカリキュラムを導入しているところもあるので、葬儀に関わる者としての姿勢をリアルに感じられるでしょう。
葬祭ディレクター一級と二級の違い
葬式 受付
葬祭ディレクターには難易度別に一級と二級があり、 プランニングを担当できる葬儀の規模が異なります。
2019年度の葬祭ディレクター技能試験の要項には次のように指定されています。
一級 :全ての葬儀における相談、会場設営、式典運営等のサービスの詳細な知識と技能
二級 :個人葬における相談、会場設営、式典運営等のサービスの一般的な知識と技能
二級では遺族が主催して行う 個人葬までをプランニング することができます。
葬儀従事者として一般的かつ基本的な知識や技能を有していると認められるため、葬儀会社によっては当たり前の資格と見なすケースもあります。
一級は企業が主催して行う社葬までプランニングすることができ、 あらゆる葬儀をプランニング することができます。
一級は葬儀のスペシャリストとして認知 され、お客さまから非常に頼りにされる立場になるでしょう。
また多くの場合、昇給の評価対象にもなります。
一級、二級共に相当数の実務経験が求められます。
未経験でもチェレンジできますが簡単に取得できる資格とは言えないようです。
葬祭ディレクターの受験資格
葬儀参列
葬祭ディレクターは未経験からスタートしても取得することができる認定資格です。
そのため子育てが一段落した主婦や、退職したシニア層でもチャレンジすることができる資格です。
ただしチャレンジするには一定以上の実務経験が要求されるので、気軽に受験はできません。
なぜなら 葬祭サービスの流れやご遺族の心情の理解を深めるため、十分な現場経験が求められる からです。
そのためには日常的な業務として葬儀の仕事に就き、ご遺族と関わっていくことが望まれます。
アルバイト経験を実務経験として算入しない理由は、こういったご遺族との関わり方にあるのです。
一級
葬祭について、 実務経験が5年以上ある者、または二級に合格して2年以上の実務経験がある者が 受験できます。
二級
葬祭について 実務経験が2年以上ある者 が受験できます。
また葬祭ディレクター技能認定協会が認めた教育機関で、カリキュラムを修了すると(見込み含む)その期間を実務経験として算入することができます。
葬祭ディレクターの試験概要
紙とペン
葬祭ディレクターの試験で問われるのは、 学科試験、3つの実技試験、実技筆記試験 があります。
試験は全て同一日で行われますが、筆記試験だけ、実技試験だけを受験することも可能です。
両方の試験に合格すると、葬祭ディレクターとして認定されます。
学科試験
作業試験①幕張
作業試験②接遇
作業試験③司会
実技筆記試験
学科試験
一級と二級の学科試験は次のように出題されます
一級 …正誤判定問題50問、多肢選択問題50問 計100問(50分)
二級 …正誤判定問題25問。多肢選択問題25問 計50問(30分)
葬儀や葬儀に関連する知識(社会的環境や法律、行政上の手続き、遺族の心理、宗教など)と、それに関わる仕事内容について 出題されます。
作業試験①幕張
幕張は伝統的な式場装飾法のことで、その習熟度を審査されます。
二級、一級共に焼香台の手前にひだを作りますが、1cm単位で指定されており、 制限時間内に完成させること、正確さなどで評価 されます。
一級では斜面をつける・下地を張るなどの作業工程が増え難易度も上がります。
採点は減点方式です。
作業試験②接遇
作業試験の接遇と司会は連続して行われます。
接遇は葬儀の担当者として喪主と対面し、応接します。
葬祭サービスを提供するものとしての 立ち振る舞いや言葉遣い、態度などが審査対象 になります。
それに合わせて 相応しい服装や髪型、身だしなみもチェック されます。
たとえば次のような点が評価されます。
挨拶、お悔やみの言葉
遺族の心情に配慮して落ち着いた対応をしているか
故人の氏名や死亡月日等の確認
身だしなみ
作業試験③司会
司会は与えられた時間内に、指定された条件で葬儀・告別式の司会をします。
指定課題と自由課題があり、自由課題では 故人のことを把握して、それに合った文章を作り表現することが重要 です。
その際、文章に盛り込む要素の数が定められており、満たない場合は減点対象になります。
一級 …6分:社葬、要素数3つ以上
二級 …4分:個人葬、要素数2つ以上
実技筆記試験
実技筆記試験は葬儀の受注、会場設営、進行、運営などの知識と技能を試す試験です。
作業工程に関することだけでなく、それに付随するマナーなども問われます。
業務の中で「何にどんな意味があるのか」を理解しているかが重要 になるでしょう。
2級では一般的な知識が求められますが、1級では全ての葬儀、と範囲が広くなり、内容もより詳細なものに変わっていきます。
一級、二級とも試験時間は30分で問題数は60問です。
葬祭ディレクター受験までの流れ
葬儀
ここからは葬祭ディレクターの受験の流れについて解説します。
葬祭ディレクターの資格は受験を希望する人が限られていることもあり、受験会場が限られています。
最寄りの受験会場が遠方であることもあるので、日程には余裕を持って準備を しましょう。
資料請求
葬祭ディレクターの申し込みは毎年4月から5月にかけて行われます。
資料請求には2通りの方法 があり、
葬祭ディレクター技能審査協会のHPからダウンロード
郵送による請求
があります。
書類代として1部500円の切手が必要です。
手数料振り込み
受験に必要な手数料は、
一級 :54,400円(学科:8,200円、実技46,200円)
二級 :39,000円(学科:8,200円、実技30,800円)
です。
受験者本人の名前で口座振り込みします。
必ず振り込み控えを受け取って ください。
必要事項記入
申請書類に必要事項を記入します。
申請書類に不備があったり、期限を過ぎてしまったりした場合、受験ができなくなります。
申請書類には振込控のコピーを貼る箇所があるので、忘れずに貼り付けしてください。
受験申請
受験申請は簡易書留郵便で郵送 します。
期日を厳守しましょう。
なお当日消印有効です。
資格審査
受付期間内に届いた申込書の資格審査が行われます。
書類の不備や受験資格の虚偽があった場合、この時点で受験が不可に なります。
受験票発送
8月上旬頃、資格審査を通過した人へ葬祭ディレクターの受験票が発送 されます。
なお受験会場は申込時の住所によって自動的に決定されます。
試験実地
試験当日を迎えたら、 身だしなみに留意 してください。
葬祭ディレクターの仕事は人の悲しみに寄り添う仕事ですので、身だしなみや所作は厳しく見られます。
合格発表
合格発表は試験日から約2ヶ月以内に送付 されます。
晴れて合格すると一級はゴールド、二級はシルバーのIDカードを付けて業務に従事し、「○級葬祭ディレクター」と名乗ることができます。
葬祭のプロとして認められた証です。
葬祭ディレクターの合格率
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葬祭ディレクターの合格率は 二級で70%程度、一級で50~60%程度 です。
半数以上が合格していることもあり、難易度が易し目な資格だと思われがちです。
しかし一級ですと、5年以上経験しているベテランでも半分近くが落ちているのですから、求められる知識、技能が高いと推測できます。
葬祭ディレクターの勉強時間
時間
葬祭ディレクターの勉強時間は一級で80時間程度です。
一級、二級とも学科は参考書と問題集の反復練習で十分合格水準まで到達可能です。
しかし 実技試験は業務の中で習得していく技術であったり、経験から得られる判断力であったりします。
そのため 単純に何時間勉強したら合格できるとは限らない ようです。
葬祭ディレクターの仕事内容
葬式
葬祭ディレクターは地域社会や家族の形に寄り添って、最後のセレモニーを演出します。
亡くなった方の ご遺体を管理することから始まり、葬儀が滞りなく終了するまでを担います。
そんな葬祭ディレクターの仕事には大まかに次のようなものがあります。
ご遺体の搬送・安置
ご遺族との葬儀についての相談・見積もり作成
宗教者との打ち合わせ
日程の調整
会場設営
料理・返礼品等の手配
お通夜・葬儀の司会進行
葬儀の依頼を受けると速やかにお通夜・葬儀の手配をします。
その後ご遺体の安置を行い、きめ細かな葬儀の手配を行っていきます。
葬儀は古いしきたりが多く残っていますから、何も知らずに儀式を行うことは大変失礼なことです。
そのためご遺族の心情に配慮し、葬儀の規模・内容・宗派などを良く相談し、ニーズに合わせた葬儀のプランニングを行っていきます。
このような葬儀の手順を整えることは、葬祭ディレクターの最も大きな仕事です。
葬儀・告別式を無事に終えたら、遺影や遺骨を持ち帰るように準備し、ご遺族をお見送りします。
その後事務作業を行って業務が終了します。
葬祭ディレクターの働き方と生活
夫婦 シニア
葬祭ディレクターは葬儀の依頼があった日とそうではない日では、一日に大きな違いが生じます。
葬儀を一度担当すると早朝から深夜まで仕事が続き、かなりハード です。
葬儀が重なった場合、ひとつの葬儀をしている間に別の葬儀の準備をするなど、対応に追われることもあるでしょう。
お風呂に入るためだけに家に帰る、ということもあるかもしれません。
また 葬儀の依頼はいつ来るか分からないので24時間365日対応が基本 です。
休日はシフト制であることがほとんどで、会社によっては当番制で夜勤もあります。
葬儀業界は長らく男性の社会でしたが、 最近では女性の割合も増えています。
そのため女性の結婚や出産をしても働きやすい制度を導入している会社も増えつつあるようです。
仮に退職したとしても葬祭ディレクターの資格は、 再就職してからも活きる資格ですので、ハードですが、女性にとって続けやすい仕事 でもあります。
葬祭ディレクターの仕事は遺族の思いを汲み取ること
葬祭従事者として葬儀業界で働くのに、実は葬祭ディレクターの資格は必要ありません。
しかし一定の技能を認められた証であり、持っているとお客さまへの信頼が増すでしょう。
会社によっては昇給のひとつの基準として設けられているところもあります。
日本ではますます高齢化が進み、葬儀業界に求められる役割が増してきました。
家族の在り方や葬儀自体の多様性を尊重しつつ、利用者のニーズを満たすサービスが求められています。
そしてなによりも故人を思う遺族の気持ちに寄り添い、思い残しのないように努めることが必要です。
そのために 文化や宗教の理解を深め、人生最後のセレモニーを演出する専門科として、葬祭ディレクターの資格があります。
葬祭従事者として高いレベルを求めるのでしたら、一度チャレンジしても良いのではないでしょうか。