お彼岸のお墓参りの手順
お墓参り
春と秋、年2度訪れる、お彼岸。
ここでは、お彼岸でのお墓参りの手順を紹介します。
お寺への挨拶
お墓の掃除
お墓へお供え
お線香をあげ、合掌
後片付け
お彼岸のお墓参り手順①挨拶
お寺にお墓がある場合には、まずはじめに、お墓を守って下さっている御本尊に感謝を伝えるべく、寺院の本堂に向かって一礼します。
御本尊へ拝み終わったら、お寺の住職へ挨拶をします。
こちらは必須ではなく、お墓参りだけであれば挨拶をしないことが失礼とされることはありません。
お彼岸の時期であれば、檀家回りなどで住職も忙しい場合があります。
相談や打ち合わせがあるというわけでなければ、本堂への一礼を済ませたあと、そのままお墓に向かってしまっても構いません。
お彼岸のお墓参り手順②掃除
お墓に着いたら、故人への挨拶をしたのち、掃除に取り掛かります。
お墓の掃除は、「暮石自体の掃除」と「暮石周りの掃除」の大きく2つに分けることができ、メインは暮石の掃除です。
暮石自体の掃除
暮石を掃除する際には上の方のパーツから掃除していきます。
基本的には、お水を用い、ステンレス製のパーツでは洗剤を使うことも出来ます。
暮石の掃除の順番は以下の通りです。
石塔
花立て
香炉
彫刻部分
ステンレスのパーツ
玉砂利
外柵
乾拭き
① 石塔
はじめに石塔の一番上から満遍なく水をかけ、軍手やスポンジで磨きます。
部分によっては、蝋や苔が付いていることもありますが、その際にはプラスチックのスクレーパーで削り取ってから磨きます。
➁ 花立て
石の花立ての部分から、ステンレス製の筒を取り外し、避けてタオルを広げた上などに置いておきます。
石の花立て部分も石塔同様に十分に水をかけてスポンジや軍手で磨きます。
③ 香炉
香炉にもステンレス製の香炉皿などがある場合には、花立てのステンレスの筒と一緒に避けておきます。
香炉皿を外した上で、十分に水をかけてスポンジや軍手で磨きます。
④彫刻部分
お墓の名前など、大きい彫刻の部分は軍手やスポンジと共に歯ブラシを用いて、戒名などの細かい彫刻の部分は歯ブラシを用いて優しく磨きます。
細かい彫刻の部分は欠けやすいので、十分注意して行いましょう。
⑤ ステンレスのパーツ
様々な部分のステンレスのパーツは、汚れがひどい場合には洗剤を使うことができます。
その際の洗剤の種類はステンレス対応のものにしましょう。
➅ 玉砂利
まず、シャベルを使って玉砂利をザルに入れ、水で泥を洗い流します。
洗い終えたら玉砂利を元の場所に戻します。
⑦ 外柵
掃除の方法としては、石塔と同じです。
掃除の最中に出た汚れた水が外柵に溜まりやすいので、よく見ながら洗い流しましょう。
⑧ 乾拭き
全て終わったら、暮石やステンレスのパーツの水気を乾いたタオルで拭き取り、元の部分に戻します。
暮石周りの掃除
雑草
基本的に、雑草は軍手をして手作業で引き抜いていきます。
大きい雑草は、手で引き抜くことが難しいので、シャベルなどで根の部分を切るようにしながら引き抜きます。
通路
落ちているゴミを一通り手で拾います。
暮石を洗っている時の汚れた水などが溜まっている場合には、残った綺麗な水で押し流します。
お彼岸のお墓参り手順③お供え
掃除が終了したら、暮石に水をかけ、花立てに新しい水を注いでから持参したお花を入れます。
そのほか持ってきたお供え物は、半紙や懐紙を引いた上にお供えします。
お彼岸のお墓参り手順④合掌
お供え物とお花をお供えしたら、お線香をあげます。
お線香は、宗派によって寝かせたり立たせたりするので、宗派に合わせた形でお供えします。
また、お線香の火を消す際には、息をかけて吹き消さないようにしましょう。
手で仰いで消すか、お線香を素早く縦に振って消します。
合掌は、故人との縁の深い順に行います。
数珠を持参している場合には、数珠を手にかけ、姿勢は暮石よりも低くなるようにしゃがんで合掌をします。
お彼岸のお墓参り手順⑤後片付け
最後に後片付けを行います。
お供え物は持ち帰り、掃除の際に出たゴミなども全てゴミ袋に入れて、決まりに応じて処分します。
来た時よりも綺麗な状態にして帰るようにしましょう。
お彼岸のお墓参りのお供え物
お墓参りの花
お墓参りの「五供」
仏教のお供え物には、基本の「五供」と呼ばれるものがあります。
ここでは、五供と呼ばれる5つのお供え物の定番について紹介していきます。
香
言葉の通り、香りのするもの、主にお線香をさします。
お線香は故人にとって、食べ物や場を清めるという役割を持っています。
花
お花は、先ほど紹介した香の役割も持ちます。
お花がお墓参りのお供え物として一般的になった起源は、昔シキミという植物をお供えしていたことと言われています。
シキミには毒が含まれており、火葬よりも土葬が主流であった時代には、動物が掘り返してしまうことを防いでいました。
灯
灯燭、すなわちロウソクのことで、個人の道を照らす、慈悲を表すという目的を持つお供え物です。
近年、自宅の仏壇でお線香をあげる際にはロウソクをお供えするものの、お墓参りでは忘れられがちとなっています。
起源としては、お墓の前に灯籠があるという昔ながらの風習から、のちにお墓参りのお供え物の定番になっていったようです。
水
場を清めるという役割を担っています。
仏壇に水をあげるという光景は珍しくないと思いますが、お墓参りの際にも、掃除に用いる水桶の水とは別の綺麗な水を用意してあげるのが良いでしょう。
飲食
飲んだり食べたりするためのお供え物です。
お墓参りの際には、お菓子や果物などが多く見られます。
オススメの選び方
お墓参りのお供え物に迷った際には、あまり形式的に考えず、故人が生前好きだったものを選ぶのが良いでしょう。
また、季節に合わせた旬の物を選ぶのもオススメです。
避けた方が良いもの
マナーとして避けた方が良いお供え物があるので紹介します。
五辛
ニラ、ニンニク、ネギ、山椒、ラッキョウの5つを五辛と言い、お供え物には相応しくないとされています。
仏教では、古くから匂いや辛みが強い野菜を食べることは禁じられており、それが今でも残っているようです。
肉や魚
肉や魚は「殺生」を連想させるため、お供え物に適さないとされています。
そのほかにも、傷みやすく日持ちもしないので、故人の生前の好物であっても控えた方が良いでしょう。
お彼岸のお墓参りの服装
墓参り
お彼岸のお墓参りに行く際、法要などの行事を行う予定がないのであれば、あまり派手でない普段着でも問題はありません。
お墓参りでは、お墓の掃除も行うので、適度に動きやすい服装でも良いでしょう。
ですが、お墓参りはご先祖様に挨拶をする機会なので、あまりにラフな格好や、サンダルなどは避けましょう。
また、お彼岸の法要を行う際には、礼服を着用します。
お墓参りの服装を男性、女性・目的・季節別に紹介!持ち物や注意点も
第三人生編集部
お彼岸のお墓参りの持ち物
では、お彼岸のお墓参りの際には何を持って行けば良いのでしょうか。
一般的に、お墓参りの際に持っていくべきとされているのが以下の9点です。
お供え物、花
半紙
お線香、ろうそく
手桶やバケツ
柄杓
雑巾やスポンジ、歯ブラシ
ほうき
軍手
数珠
半紙は、供え物を備える際に下に敷くためのものです。
手桶やバケツ、柄杓、雑巾やスポンジ、歯ブラシ、ほうき、軍手などは、全てお墓の掃除に使用するものですが、場所によっては墓地やお寺で借りられる場合もあります。
借りた際には、丁寧に扱い、綺麗にしてから返すようにしましょう。
また、数珠は必須ではありませんが、手元にあるようであれば持参するのが良いでしょう。
お彼岸のお墓参りのマナー
香典返し 辞退
お彼岸のお墓参りの際の、基本的なマナーがいくつかあるので紹介します。
本堂への礼拝
お花をお供えする
お供え物の回収
本堂への礼拝
1つ目は、前項でも記載した通り、お寺にお墓がある場合には、本堂への礼拝を忘れないということです。
住職への挨拶は、時期の問題もあり、叶わないことも少なくないと思いますが、そのような時でも本堂への礼拝は行うようにしましょう。
お花をお供えする
2つ目は、お花をお供えする際のポイントです。
供花の本数は、宗派によって異なるので、失礼のないように、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
仏教の場合には、本数は奇数にし、お墓参りに来た人の方を向くようにお供えします。
お供え物の回収
3つ目は、お供え物を置いて帰らないことです。
お供えの食べ物を置いて帰ってしまうと、腐ったり、野生の動物が来たりして、お墓が荒れる原因になります。
その場で食べてしまうのもマナー違反ではないので、その場で頂くか持ち帰るなどしましょう。
お彼岸の期間にお墓参りができない時は?
香典
生活スタイルの変化や、引越しによって住まいからお墓までが遠くなってしまったりなど、お彼岸の時期にお墓参りが出来ないということも少なくないと思います。
その際には、熨斗(のし)に「御仏前」と記したお供えと共に、お線香とろうそくを届けるというのが一般的です。
その他に、仏壇へお供え物をして合掌するというのも、お墓参りの代わりとなります。
お墓までは行けずとも、住まいの近くのお寺で読経をしてもらったり、法要を行うことも可能なので、菩提寺や同宗派のお寺に相談するなどしてみると良いでしょう。
また、様々な事情でお墓参りに行くのが難しくなってしまった方々から人気を集めているのが、お墓参り代行サービスなどです。
お墓参り代行サービスでは、住職への挨拶から、お墓の掃除、後片付けまでを代行してくれます。
掃除の質も高いため、お墓のメンテナスとして用いる人も多く見られます。
お彼岸とは、祖先に感謝を伝え、故人を偲ぶ期間です。
直接お墓には行なくとも、仏壇に手を合わせるなどして、故人へ想いを馳せることが出来れば十分でしょう。
お彼岸にお墓参り以外にすること
お線香
お彼岸の中日となる、春分の日と秋分の日は、国民の祝日です。
「国民の祝日に関する法律」では各祝日の主旨が定められており、それによると、春分の日は「自然を讃え、生物を慈しむ」日、秋分の日は「先祖を敬い、亡くなった人を偲ぶ」日です。
その言葉に則って、お彼岸を過ごすのも良いでしょう。
また、お彼岸は、「六波羅蜜」と呼ばれる、この世に居ながら彼岸に至るための6つの修行を実践する日とも言われています。
その6つは以下の通りです。
布施波羅蜜
持戒波羅蜜
忍辱波羅蜜
精進波羅蜜
禅定波羅蜜
智慧波羅蜜
布施波羅蜜
見返りを求めずに、他人のため惜しみなく善行を施すこと
持戒波羅蜜
戒律を守り身を慎み、他人に迷惑をかけないこと
忍辱波羅蜜
身に起こる災いを受け容れて、耐えしのぶこと
精進波羅蜜
誠心誠意努力を継続すること
禅定波羅蜜
常に静かな心を持って、動揺しないこと
智慧波羅蜜
怒りや愚痴、貪りに捉われず、物事の真理を正しく見極めること
あまり簡単にできるものではありませんが、お彼岸の機会にこそ実践してみるのも良いかもしれません。
お彼岸という時期にお墓参りを
お彼岸は、中日が極楽浄土と現世が最も近くなる日とされていたり、我々と故人にとっての大事な期間です。
そのようなこともあり、お彼岸に行くお墓参りはやはり少し特別です。
普段はあまりお墓参りに行くことが出来ずとも、お彼岸に、心を込めたお墓参りをする参考にして頂けたらと思います。