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葬儀

2024.04.30

墓地埋葬法とは?火葬や埋葬の規定を解説!散骨は違法?合法?判例も紹介

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墓地埋葬法という法律が1948年に制定されています。
その法律に従って私たちは亡くなった方を弔って来ました。

しかし、70年以上も前に作られた法律であるため、長い時間経過を経た結果、私たちを取り巻く環境や価値観も変化してきています。
これから墓地埋葬法という法律と、最近の葬儀傾向やお墓の事情を詳しくお話していきます。

墓地埋葬法とは

墓地埋葬法は、戦後まもなくして制定された法律です。
正式には、墓地、埋葬等に関する法律と、言います。

墓地埋葬法の制定目的
お墓参り
墓地埋葬法は、墓地、納骨堂又は火葬場において、管理や運営そして埋葬等がトラブルなく行うために制定されました。
墓地埋葬法は、日本人の宗教的感情に配慮しつつ、公衆衛生やその他公共の福祉を考慮して、葬祭が行えるようになっています。

戦後間もなくして制定された墓地埋葬法では、現状と合わない点も出てきています。
そのため、追加や変更、または新たな解釈を加えたりしています。

例えば2011年には、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が出ました。
葬祭の許可権限が、「都道府県知事」から「市長」に変更された結果、墓地埋葬法が地域の実情にあった、よりきめ細やかな墓地行政が可能となりました。

墓地埋葬法で定められていること①墓・墓地
お墓
墓地埋葬法では、墓や墓地を次のように定めています。

墓・墓地の定義
墓地埋葬法には、お墓とは、死体や遺骨を埋葬する施設と書かれています。
また墓地とは、お墓を建てるために、知事の許可を受けた区域をいうと定めています。

墓地の種類は、経営する主体によって「寺院墓地」「民営墓地」「公営墓地」に大別されます。
一般に「寺院墓地」では宗教法人が、「民営墓地」は宗教法人又は公益法人が、「公営墓地」では自治体が経営しています。

新しくお墓を建てたり、納骨したり、また墓じまいをする時には、墓地埋葬法で決められている、墓地管理者と話をしましょう。

墓地埋葬法で定められていること②墓地・霊園・納骨堂・火葬場の管理者
納骨堂
墓地埋葬法には、墓地や霊園や納骨堂と火葬場では、管理者を置き、所在地の市町村長への届出をしなさいと定めています。
これから、次の3点についてお話ししましょう。

納骨堂の定義
火葬場の定義
管理者の義務
納骨堂の定義
墓地埋葬法では、納骨堂とは、遺骨を収めるために、行政から許可を受けた施設をいう、と定義されています。
簡単に言うと、納骨堂とは遺骨を安置・保管してくれる建物のことです。

墓地・霊園と同様、管理・運営の主体により、寺院納骨堂、民営納骨堂、公営納骨堂の3種類があります。
納骨方式は、ロッカー型、仏壇型、可動型、墓石型、位牌型に大別されます。

ロッカーや小型の仏壇などに納骨しますが、2~4個分の骨壺が入るスペースが確保され、夫婦や2世代向けのケースが大半です。

納骨堂に関しては以下をご覧ください。
最近では、お参りする際に専用のICカードを使って、その都度所定の位置に遺骨を移動してくる、可動型が都心部で増えています。

近年の日本では核家族化が進み、お墓を建てるよりも安価な納骨堂を、選択する人が増加しています。
納骨堂なら、雨天時でも傘をささずにお参りができ、アクセスも便利なケースが多いです。

納骨堂での永代供養の種類、費用と内訳!メリット・デメリットも解説
第三人生編集部

火葬場の定義
墓地埋葬法では、火葬場とは、火葬を行うために、行政から許可された施設をいうと定めています。
日本の火葬率は99.986%と言われ、亡くなった人ほぼ全員が最後は火葬場に行きます。

火葬場の運営主体は公営の施設が多いのですが、東京のような都会では民営の施設もあります。
また、火葬場単独の施設や、建物の中に葬儀場が併設されている施設があります。

公営の火葬場では多くの場合、その自治体に住民票があるか否かで、火葬料金が大きくかわります。
また、都会では亡くなる人が多いために、希望日に火葬の予約が取れないこともあります。

管理者の義務
墓地埋葬法が定める管理者の義務は、次の5点です。

火葬や遺骨の埋葬や保管を依頼されたら、正当の理由がない限り断れない
墓地の管理者は、埋葬許可証か改葬許可証、又は火葬許可証を受付けた後、埋葬を認めること
納骨堂の管理者は、火葬許可証か改葬許可証を受付けた後、遺骨を保管すること
火葬場の管理者は、火葬許可証か改葬許可証を受付けた後、火葬を行うこと
図面、帳簿又は書類等を備えること
埋葬許可証、火葬許可証又は改葬許可証は、受付けた日から5年間保存すること
火葬場の管理者は、火葬を行った場合、火葬許可証に「火葬済み」を印して親族に返すこと
墓地又は火葬場の管理者は、毎月5日までに前月の埋葬又は火葬の状況を、所在地の市町村長に報告すること
墓地埋葬法で定められていること③火葬
火葬場 遺骨処分
日本では、亡くなったらほぼ全員が火葬になります。
墓地埋葬法が定める火葬について、以下の3点を詳しく見て行きましょう。

火葬の定義
必要な手続きの手
火葬で禁止されていること
火葬の定義
墓地埋葬法によると、死体を葬るために焼くことを、火葬と定義しています。
時代が明治になって、伝染病予防の対策として、火葬が推奨されてから全国に普及し、現在では亡くなった人ほぼ全員が火葬となっています。

火葬は遺骨を大事にする日本人の心情に合う上、墓地などのスペースを考慮すると、大変合理的な埋葬方法と言えます。

必要な手続きの手順
墓地埋葬法では、火葬をするには、行政から許可を受けなければならない、と定めています。
墓地埋葬法に従えば、実際に亡くなった人を火葬するには、役所に死亡を届け出、許可を受ける必要があるのです。。

この手続きは殆どの場合葬儀社が代行しますが、折角の機会ですから、実際の手続きについて概要を紹介しましょう。
以下の4点が重要なポイントになります。

死亡診断書
死亡届
書類を役所に提出
火葬許可証
死亡診断書
医師が死亡を確認したことを証明する書類が、「死亡診断書」で、死亡を確認した医師のみが発行できます。
死亡者の氏名・性別・生年月日や、死亡した時刻や場所、死因などが書かれています。

死亡届
役所に死亡を申告する書類が「死亡届」です。
「死亡診断書」の記載情報に加えて、死亡者の住所と本籍、配偶者の有無、世帯主の職業、届出人の氏名・生年月日・住所・本籍・使用する火葬場や墓地の名称などを記入します。

書類を役所に提出
「死亡届」と「死亡診断書」の準備ができたら、役所に届け出ます。
届け出ができるのは、「死亡地」「死亡者の本籍地」「届出人の住所地」の、3ヵ所の市区町村に限られています。

届け出は、原則として「死亡を知った日から7日以内」と定められています。

火葬許可証
死亡届が受理されると代わりに火葬許可証が発行されます。
墓地埋葬法により、これが無いと火葬できません。

火葬で禁止されていること
墓地埋葬法では、死亡後24時間以内は、火葬することが禁止しています。
これは、蘇生の可能性があるからです。

また、遺体を損傷する怖れがあるため、火葬時に棺に入れてはいけない物は次の通りです。

金属製品(携帯電話、携帯音楽プレーヤー、仏像など
ガラス製品(酒瓶、鏡、食器類など)
爆発物(缶飲料、化粧品スプレー、ライター、電池など)
火葬に関しては以下をご覧ください。

火葬にかかる時間と流れ!火葬中の過ごし方やマナー、手続きも解説
第三人生編集部

墓地埋葬法で定められていること④埋葬
49日に埋葬
多くの場合49日の法要を済ませてから、骨壺に入れた遺骨をお墓に納骨します。
それでは、墓地埋葬法に従って、埋葬を順を追って説明します。

埋葬の定義
必要な手続きの手順
埋葬で禁止されていること
例外
埋葬の定義
墓地埋葬法では、埋葬を、死体を土中に葬ることと定めていますが、日本では死体ではなくほぼ100%遺骨になります。
実際にお墓に納骨する際には、墓地埋葬法で定める、所定の手続きが必要なので紹介しましょう。

必要な手続きの手順
火葬場で火葬が終わった段階で、提出した火葬許可書が墓地埋葬法により、火葬済と記されてで返却されます。
この火葬許可証が埋葬許可証となり、納骨の際に納骨先のお墓がある墓地・霊園の管理者へ提出をしなくてはなりません。

納骨先のお墓がある墓地・霊園の管理者が発行した「墓地使用許可書」も必要となります。
納骨先が永代供養つきのお墓や永代供養の合祀墓である場合は「永代供養の受入許可書」が必要です。

墓地埋葬法に従って必要書類を整えるのと並行して、お寺や石材店に連絡をしなくてはなりません。
納骨の際にはお墓の魂入れ(開眼供養)と、納骨式(納骨法要)が必要となるため、お寺や石材店と日程調整をする必要があります。

お墓の魂入れが終わり、納骨式を済ませた後に、参列者と会食をして終了となります。

埋葬で禁止されていること
繰返しになりますが墓地埋葬法の第3条で、死亡後24時間以内は火葬することが禁止されています。
また墓地埋葬法の第4条で、墓地として指定されている場所以外に、遺骨を埋葬・納骨する行為が禁止されています。

例外
墓地埋葬法の第3条の、死亡後24時間以内は火葬禁止には、例外があります。
次の2つのケースが例外です。

妊娠7カ月に満たない死産の場合
感染症による死亡の場合
妊娠7カ月に満たない死産の場合
墓地埋葬法には、妊娠7か月未満の死産の場合は、24時間以内の例外となっています。
7カ月未満に対する理由として、胎児は蘇生の可能性が低いからと言われています。

現在、未熟児を助ける技術はNICUなどの設備が整備されて、かなり整ってきています。
ひょっとすると今後の医学の発展により、墓地埋葬法が定める7か月未満という数値が、見直されるかもしれません。

感染症による死亡の場合
新型インフルエンザに代表される、感染力が高くしかも致死率が高い感染症の場合、都道府県知事が亡くなった人の移動制限や禁止をすることができます。
この場合は感染症の蔓延を防止しなければならないので、死体の移動制限や24時間以内の火葬も認められています。
墓地埋葬法で定められていること⑤改葬
墓誌
色々な理由で先祖代々のお墓を移さなくてはならない人もいます。
例えば、お墓参りに行くにはとても不便な場所で、お世話をしてくれる近親者もいないとか、自分以外に親族がいないので、今のお墓の遺骨を永代供養にしたいとかの理由です。

改葬の定義
墓地埋葬法では、改葬とは、埋葬した遺骨を他の墓に移す、または保管した遺骨を他の墓や納骨堂に移すことと定めています。
墓地埋葬法に従ってお墓を移す訳ですが、結構な手間と労力がかかりますので、慎重に検討し調査した上で決断しましょう。

必要な手続きの手順
一番大事なことは、今のお墓に関係する親族全員でしっかり話し合って、合意を得ることです。
それぞれの人の思いや事情があり、それを無視して改葬の手続きに入ってはいけません。

ここでトラブルになると、全く手続きに入れませんので、強引な言動は避けましょう。
古い遺骨をどのように供養するのか、どこに移したいと思っているのかなど、自己中心的でなく、関係者が納得し易い理由が必要です。

合意が得られたら、墓地埋葬法を遵守して、次の6つの手順で改葬を進めましょう。

埋葬証明書
受け入れ証明書
改葬許可証
閉眼供養
お墓の撤去・整地
新しいお墓に埋葬
埋葬証明書
現在の墓地の管理者に事情を誠実に説明し、改葬承諾の確認をしてから、新しい墓地を取得しましょう。
現在の墓地の管理者から、「埋葬証明書」を発行してもらいます。

受け入れ証明書
新しい墓地、つまり改葬先の墓地または霊園の管理者から、「受け入れ証明書」を発行してもらいましょう。

改葬許可証
受け入れ証明書と埋葬証明書を入手したら、現在のお墓がある各市町村の役場に改葬許可申請書を提出して、墓地埋葬法が定める「改葬許可証」を交付してもらいます。
改葬許可申請書は、埋葬されている遺骨の人数分用意しなくてはなりません。

閉眼供養
墓石には、そのお墓に眠る故人の魂が宿るとされています。
改葬工事に入る前に閉眼供養をして墓石をただの石材に戻し、その後遺骨を取り出してから、改葬作業に取り掛かるようにします。

お墓の撤去・整地
古いお墓は必ず撤去し、墓地を整地して管理している団体や寺院に墓地の区画を返還します。

新しいお墓に埋葬
最後に墓地埋葬法に従って、改葬許可証を新しいお墓の管理者に提示すれば、遺骨を移して埋葬することができます。
埋葬の際の手続きは、前述している④埋葬の「必要な手続きの手順」をご覧ください。

墓地埋葬法で定められていること⑥身寄りのない人の火葬・埋葬
墓地
少子高齢化が進み、都市部でも地方でも孤独死が増えています。
身寄りのない人の場合、亡くなったら、どのように火葬・埋葬されるか紹介しましょう。

誰が火葬・埋葬するのか
墓地埋葬法では、身寄りのない人の葬祭は、死亡地の市町村長が行うことと定めています。
自宅で孤独死した場合、検死の後警察から市区町村が遺体を引き取り、葬儀、火葬を行った上、永代供養の寺院に遺骨を納めます。

路上及び旅行中に死亡した場合は、適用される法律が異なりますが、遺体の所在地の市区町村が火葬及び埋葬を行います。

身寄りのない人の火葬
繰返しになりますが、墓地埋葬法では、身寄りのない人の火葬は、死亡地の市町村長が行うことと定めています。

身寄りのない人の埋葬
死亡した人が、身寄りのない場合や、引取りを親族から拒否された場合は、死亡地の市町村が火葬後の遺骨、遺品の管理をします。
多くの場合5年程度保管した後、身寄りのない人の遺骨がまとめて埋葬されている無縁塚に、納骨します。

墓地埋葬法における散骨
散骨
今から70年以上前の1948年に制定された墓地埋葬法には、現在の散骨についての記述はありません。
実際の所、墓地埋葬法で禁止はされてはいませんが、グレーゾーンと言われています。

次の3点に絞って、説明しましょう。

散骨とは
散骨は違法か合法か
法務省の解釈
散骨とは
散骨とは、故人の遺体を火葬した後の焼骨を粉末状にした後、海、空、山中等でそのまま撒く葬送法を言います。
お墓に入りたくない、自然と一緒になりたい、経済的な理由などで散骨を選択する人たちがいます。

散骨に関しては以下をご覧ください。

散骨の金額・費用相場を種類別に徹底解説!法律やマナーも!【専門家監修&口コミ】
第三人生編集部

散骨は違法か合法か
前述しましたが、散骨については、墓地埋葬法には記述がありません。
この問題について国は、国民の意識や死生観は変化しており、散骨を禁止する法律は無いとの見解で、否定も肯定もしていません。

墓地埋葬法に記述がない散骨に対して、合法でも違法でもない見解ですが、国には、そのままの方が都合がよい理由があります。
もしも散骨を完全な合法にしてしまうと散骨の聖地が産まれて、 多くの人がそこで散骨をするようになります。

そうなると散骨利用者にはよいのでしょうが、その地域で風評被害や、地価などの暴落を招くからです。

法務省の解釈
それでもなぜ散骨が合法と声高に言われているかというと、1991年に法務省が出した見解が基になっています。
1991年「NPO法人葬送の自由をすすめる会」が発足しています。

そして同会が「自然葬」と呼ぶ、散骨が行われました。
その際に散骨は刑法の「遺骨遺棄」や、墓地埋葬法の「墓地以外への遺骨埋蔵禁止」違反に当たるかどうかが争点になりました。

当時の法務省刑事局の見解は、「葬送のために節度を持って行う限り、死体遺棄には当たらない」でした。

墓地埋葬法における永代供養料・永代使用権
永代供養墓
墓地埋葬法では、比較的新しい考えである永代供養料や永代使用権について記述がありません。
しかし、生涯独身の人や子どもがいない夫婦などでは、永代供養墓が広まって来ています。

これからポイントを3点、お話ししましょう。

永代供養料・永代使用権とは
法的な定義が存在しない
問題点
永代供養料・永代使用権とは
お墓を承継させることが難しい人や、子どもに負担をかけることを望まない人等の存在を背景として、近年「永代供養墓」が広まって来ています。
さて、墓地埋葬法には記述がない、永代供養とはなんなのでしょうか。

永代供養とは、何らかの事情でお墓参りが困難な場合に、寺院や霊園が管理や代わりに供養をしてくれる埋葬方法のことを言います。
ただ、永代といっても未来永劫ではないので、その期間を確認する必要があります。

一般的には、33回忌までとしているところが多いようです。
契約期間後の遺骨は合祀され、他の遺骨と一緒に、供養が行われることになります。

永代使用権は、管理費を払っているうちは、お墓を使い続けることができます。

法的な定義が存在しない
墓地埋葬法などの法律で規定されてはいないものの、「永代供養」「永代使用権」という言葉はかなり流通しています。
契約期間を定めた方がよいという意見も出ていますが、具体的なアクションはありません。

問題点
問題点としては、永代供養には多くの場合33回忌までという期限があることです。
また、永代供養墓には決まりが無いので、安価な場合は最初から合祀となっています。

また、その他の永代供養墓でも、33回忌の後遺骨は合祀されます。
そうなった場合、遺骨を特定することが困難となり、改葬ができなくなります。

墓地埋葬法における墓地使用権の承継
お墓
墓地使用権とは、墓地の一定区画を使用してお墓を造り、遺骨の埋葬等をする権利をいいます。
先祖代々にわたり使用権は承継され、永代使用権ともいわれます。

原則
墓地埋葬法には、墓地使用権についての規定はありません。
一般的に、墓地の所有者と墓地の使用者との間の契約で成立しています。

墓地使用権は永久性があり、存続期間を定めない使用貸借契約と推認されます。
特段の事情がない限り、相続人=祭祀承継者は墓地使用権を承継します。

親族以外への承継
墓地使用権を承継する祭祀承継者を決めるには、3つの手順があります。

被相続人が祭祀承継者を指定します。
指定がないときは、慣習に従って祭祀承継者を決めます。
慣習が明らかでない時は、家庭裁判所が承継者を定めます。
また、承継者は相続人でなくても構いませんし、親族でない場合もあり得ます。

墓地埋葬法の問題点
お墓全体
墓地埋葬法は、さすがに70年以上前に制定された法律なので、いくつか問題点が出てきています。

古い法律である
はじめにも述べましたが、墓地埋葬法が制定されたのは1948年、いまから70年以上前のことでした。
70年以上経過する内に、日本人のライフスタイルや価値観の変化、そして社会情勢の変化で、お墓に対する考えも大きく変わりました。

かつては封建的な家制度のもと、家を継いだ子や孫が、一族のお墓を代々守ってゆくのが普通の形とされていました。
しかし、核家族化・少子高齢化といった社会情勢の変化により、一族のお墓を守り続けることが困難になってきました。

その結果、過疎地では、墓参りに来る人がいなくなった結果無縁墓が増え、その一方で、都会では個人のお墓が増えています。
また、散骨や樹木葬といった、従来にない形式のお墓や埋葬方法が、話題となってきています。

こうしてみると、墓地埋葬法は、最近の社会情勢の変化をカバーできていないといえます。

【コラム】墓地埋葬法の判例

墓地埋葬法の第13条では、墓地や納骨堂又は火葬場の管理者は、火葬や遺骨の埋葬や保管を依頼されたら、正当の理由がない限り断れない、と定めています。
この墓地埋葬法をめぐって2つの判例を示します。

老人ホーム附属の納骨堂
他宗派の遺骨の埋蔵依頼

老人ホーム附属の納骨堂
1968年に「納骨堂の許可について」と題された質問が、鳥取県の養護老人ホームから発せられましたが、その中に墓地埋葬法の第13条の「正当な理由」について具体的な例で聞いています。
質問は、「当該施設の収容者のみを対象として設置された納骨所に、施設の利用者以外から納骨を求められた場合、正当な理由として納骨を断れるか。」です。

これに対する厚生省環境衛生課長の回答は、「お尋ねのような場合には焼骨の収蔵を拒むことにつき正当の理由があるものと解する。」でした。

他宗派の遺骨の埋蔵依頼
寺院の墓地に、他宗派の遺骨の埋蔵を求められた時、寺院側が拒否して、裁判で争われました。
判決では、埋蔵には宗教儀礼が伴い、その際に寺院側は自派の典礼する権利を有し、その権利を差止める権限は依頼者には無い、という判断が下されました。

墓地埋葬法は多様な価値観に対応すべき
日本は「多死社会」に向かって一気に加速しています。
多くの高齢者が亡くなり、死がより日常的な社会になっていくでしょう。

年間に150万人もの人が亡くなるようになったら、シンプルな葬儀を選択する人が増加するとおもわれます。
また、都心部近郊では墓地の形態も変わらざるを得ないでしょう。

その様に多様な価値観で葬儀や埋葬の選択がされて行くでしょう。
宇宙葬の話も出てきて、本当にどんな葬儀をしたいかも、生前から選ぶ人が多くなってくるでしょう。

遺骨を大事にする日本人というイメージも変わってくるかもしれません。
それに応じて、火葬場もどんな形で遺骨を扱うのかが、変わるかもしれません。

これまでのように遺骨の形を貴ぶのか、それとも限りなく灰や粉にするのか、それとも他の方法があるのでしょうか。
先祖を大切にする心、故人を偲ぶ心には変わりがなくても、葬儀や埋葬そしてお墓については、墓地埋葬法も含め、これからの多様な価値観に合わせて変わっていくと思われます。

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