本葬とは?
葬儀
本葬とは、密葬のあとにおこなう大規模な葬儀のことを言います。
著名人が亡くなられたときに、「葬儀は近親者のみでおこなわれました。お別れの会は日を改めて後日予定しています。」という言葉をテレビで耳にしたことがありませんか?
近親者のみでおこなわれたのが密葬であり、後日予定している儀式が本葬です。
密葬では、通夜・葬儀・火葬までを親族や親しい方と内々で済ませお別れをします。
そのあとに一般の参列者にお別れの場として本葬を執りおこなうのです。
本葬の別名として「お別れの会」や「故人を偲ぶ会」と呼ばれることもあります。
密葬と本葬を分けておこなうのは、参列者の人数が通常の葬儀より多くなる場合です。
著名人や功績を残した方、殉職した人の場合などにおこなわれるのが一般的でしょう。
社葬も本葬の一部
現役の取締役社長や会長が亡くなったときにおこなう社葬も本葬の一部です。
社葬は会社が主体となっておこないます。
段取りや社葬の費用は会社で負担しますが、挨拶は親族の役割です。
亡くなった直後は、親族にとって体力的にも精神的にも辛いものがあります。
そのため、逝去後1ヶ月ほど時間を空けてから社葬をおこなうことが多いようです。
社葬に関してはこちらもご覧ください。
社葬とは?参列者の範囲や目的!当日の流れ・準備・挨拶も解説
第三人生編集部
家族葬と密葬の違い
最近では、故人の意思により、一般の参列を望まずに身内だけで済ませる家族葬が多くなってきました。
家族葬も密葬も、儀式として執りおこなう内容は変わりません。
どちらも、近親者のみでおこなうという点に関しては同じです。
ただ家族葬の場合は、本葬をおこなうことがありません。
1度のみの葬儀となり、本葬を執りおこなう場合は密葬と合わせて2回となります。
家族葬に関してはこちらも参考にしてみてください。
家族葬の流れ!遺体搬送・安置から通夜・告別式、出棺・火葬まで解説
第三人生編集部
本葬は密葬の後におこなう儀式
葬儀
本葬は密葬の後におこなう儀式ですが、密葬は親族や親しい方が参列するものです。
葬儀に呼ぶ方以外には口外しないことが原則で、もちろん呼ばれた方も周りに言わないことがマナーです。
これには、以下のような理由があげられます。
親族が一般の参列者に気を使うことなく故人とのお別れに集中するため。
葬儀に呼ばれていないなどのトラブルになる可能性がある。
ですから、人づてに葬儀があることを知ったとしても、親族から直接連絡が来ていない場合は参列は控えましょう。
日を改めて挨拶状が届いたときに、対処しましょう。
ただ密葬をおこなう立場であるなら、出席してもらう人以外にも訃報の連絡は必要です。
そのときに密葬であることを伝えましょう。
本葬を開く際の流れ
手順・流れ
本葬を開くときの流れを確認しておきましょう。
本葬の形式を決める
葬儀社の選定
葬儀社と打合せ
告知
本葬の形式を決める
本葬をおこなう場合は、会議で協議してスケジュールの見通しを立てます。
事前に親族のみで密葬という形でお別れが済んでいるはずなので、日程や本葬の内容を親族と打ち合わせをし決めましょう。
故人の信仰していた宗教・宗派で送るのが一般的です。
なかには、本葬は宗教・宗派関係なくお別れしたいという要望もあるので、それに従います。
本葬はこうしなければならないという決まりはないので、親族の要望に沿って進めましょう。
葬儀社の選定
本葬の形式が決まったら、どこの葬儀社に依頼するのかを決めます。
本葬は密葬後1ヶ月程度空くことが多いので、その間に親身に相談に乗ってくれる葬儀社を選びましょう。
葬儀社を選ぶポイントは以下の通りです。
本葬に対応している
きちんとした知識がある
多くの参列者が入る場所を所有している
葬儀社なら知識はあるのはもちろんですが、本葬となると一般の葬儀とは異なるため、きちんと本葬を遂行できる葬儀社を選ぶことが重要です。
葬儀社と打合せ
葬儀社が決まったあとは、本葬の内容を具体的に打ち合わせしていきます。
日程を調整して本葬をおこなう日にちを決めます。
宗教や宗派をもとにしておこなうのであれば、宗教者のスケジュールや予算も確認しておきましょう。
告知
すべての段取りが整ったら、本葬をおこなうことをお知らせしなければなりません。
方法としては、案内状の送付または新聞の広告などです。
以下に、本葬告知の例文を紹介します。
父○○○○(享年○○才)が○月○日逝去致しました。
ここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます。
なお密葬の儀は親族にて相済ませました。
つきましては下記の日程にて「お別れの会」を執りおこないます。
令和○年○月○日
日時○月○日 ○時から○時
場所○○○○
TEL○○○-○○○○
誰が亡くなったかと、本葬を執りおこなう日程を書きましょう。
本葬の流れ・時間
流れ
続いて、本葬の流れや時間について確認していきましょう。
親族など関係者が集まる
遺骨などをお出迎えする
参列者の受付開始
開式
僧侶による読経
弔辞・弔電の読み上げ
焼香
宗教者が退場する
閉式
親族など関係者が集まる
親族や本葬の実行委員は、受付が開始する1時間前には集合します。
当日の段取りを最終的にしっかりと確認するためです。
着付けなどの準備があれば、もう少し早めに会場に入りましょう。
遺骨などをお出迎えする
本葬をおこなう場合、場所によっては遺骨の持ち込みを制限していることもあります。
会場が本葬以外のイベントでも使われているような場合は、遺骨の持ち込みを断られる場合もあるため確認しておきましょう。
参列者の受付開始
参列者が早めに会場にくることも予想されるので、受付が開始する10分前には定位置にて待機します。
参列者に失礼がないように、受付と案内係の連携が大切です。
親族は開会前に着席しておきます。
開式
会式の時間になると、司会が開会の挨拶をおこない、宗教者が入場します。
僧侶による読経
宗教・宗派の流儀に沿って、僧侶による読経がおこなわれます。
読経の時間は宗教・宗派によってさまざまですが、30分~45分ほどが目安です。
中には読経と合わせて、儀式を執りおこなう場合もあります。
弔辞・弔電の読み上げ
弔辞や弔電を読み上げます。
時間は5分ほどなので、送られてきた弔電は全部を読めないこともあるでしょう。
その場合は、2~3通を選んで読み上げます。
焼香
焼香は、喪主が最初におこない、続いて親族、故人に近い人という順番でおこないます。
その後、一般の参列者へと順番が移ります。
祭壇の方へ移動して焼香するパターンと、座ったまま焼香台が回ってくるパターンがあるので、その場の流れに沿っておこなってください。
宗教者が退場する
読経が終わると宗教者が退場します。
宗教者が退場したら、喪主の挨拶として参列者に感謝の気持ちを述べましょう。
喪主の挨拶は、司会者が代弁することあります。
閉式
ひと通りの儀式が終わったら、閉会時間をもってお開きです。
終礼をおこない、喪主や本葬の実行委員が挨拶をして解散となります。
最後は忘れ物がないかを確認して、参列者をお見送りします。
本葬でのマナー
マナー
本葬に参列するときに気をつけなければならない点がいくつかあります。
まず、親族に対して忌み言葉は避けましょう。
忌み言葉とは、「割れる」「消える」「落ちる」など、不幸を連想させる言葉のことです。
「重ね重ね」「たびたび」「引き続き」など繰り返す言葉も、不幸が重なるととらえられるため、本葬などの儀式では避けましょう。
「死去」「事故死」「生きていた」など直接的な言葉も避けます。
「ご逝去」「突然の不幸」といった言葉に言い換えましょう。
宗教・宗派に沿っておこなわれる場合は、その形式に従い参列してください。
自由なスタイルでおこなわれる場合は、故人の思い出を振り返るような和やかな会になるでしょう。
しかし密葬から時間を空けての会とはいえ親族の心情は悲しみでいっぱいです。
神妙な雰囲気とまではいいませんが、親族の心情を汲み取った振る舞いを心がけてください。
事前に案内状等で、どのような形式でおこなわれるか確認しておきます。
分からないことがあれば、親族へ失礼のない範囲で確認するのもよいでしょう。
本葬の香典相場
お金 相場
本葬の香典には2つのパターンがあります。
会費制で執りおこなう場合と、葬儀同様に香典を持参する場合です。
会費制の相場は1~2万円で、その際の香典は必要ありません。
本葬の場合、香典辞退の通知がなければ、香典を持参する必要があります。
香典は、故人との関係によっても金額がかわります。
ここでは、本葬に持っていく香典の相場を見ていきましょう。
実親 50,000円
兄弟・姉妹 30,000~50,000円
祖父母 10,000~20,000円
友人 3,000~10,000円
知人 3,000~5,000円
仕事関係者 5,000~10,000円
香典は、白黒の水引を結んだ香典袋に入れて渡します。
白い封筒に「御花料」「御香典」と記してもよいでしょう。
香典に関しては、こちらで詳しく取り上げています。
【アンケート&監修】香典の金額相場は?間柄・年齢で変わる?避ける金額も
第三人生編集部
【図解】本葬に参列する際の服装(男女別)
義父の葬儀の服装
通常であれば、葬儀には喪服を着用するのが一般的です。
ただ、すでに火葬まで終わっている本葬や社葬の場合は、その限りではありません。
案内状に「平服でお越しください」と記載しているのであれば、喪服を着ないのがマナーです。
それでは、本葬の参列にふさわしい服装を、男女別にご紹介します。
男性の服装
喪服 メンズ ダブル 準喪服
男性が本葬に参列するときは、黒のスーツかダークスーツといった地味な色を選択しましょう。
もし指定がない場合は、ネイビーやグレーなどのビジネススーツもOKです。
ワイシャツは白が無難です。
明るい色、派手な色は避けてください。
ネクタイと靴下も同様に派手な色合いは避け、落ち着いた色合いのものを選びます。
光沢のある素材は避けて、大きい柄模様も身に着けないようにしましょう。
主催者側との関係性にもよりますが、カジュアル過ぎてもいけませんが、かしこまりすぎる服装もよくありません。
控えめな色であれば失礼にあたりませんので、シンプルなコーディネートでまとめましょう。
女性の服装
女性 準喪服
女性が本葬に参列する場合も、基本的にはシンプルな色合いの服を選びます。
黒やネイビー、グレーといった、おとなしい色のスーツやワンピース、アンサンブルがよいでしょう。
タイツやストッキングも、黒などのダークカラーを選びます。
アクセサリーはつけてもよいですが、大ぶりのものや派手なものは避けましょう。
それ以外のシンプルなデザインであればつけても大丈夫です。
化粧は、その場に合わせて薄めに、落ち着いた印象を与えられるように心掛けましょう。
女性は男性に比べると、荷物が多くなりがちです。
会場によっては預かってもらえないこともあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
預かってもらえない場合、荷物がたくさんあると、会場へ持ち込まねばなりません。
式典の邪魔になることもあるので、最低限の持ち物で行くようにしましょう。
【例文紹介】本葬での挨拶
挨拶
本葬での挨拶では、どのようなことを話せばよいのでしょうか。
お通夜と告別式に相応しい挨拶の例文をご紹介します。
お通夜
お通夜では、参列していただいたことに対する感謝の気持ちと、故人の話、告別式の日程などをふまえて挨拶とします。
本日はご多忙のところ、ご弔問いただきましてありがとうございました。
皆様にお越しいただいたこと、故人もたいへん喜んでいることと思います。
なお、明日の葬儀・告別式は○時から、こちらの斎場にておこないます。
ご都合よろしければ、ご参集いただければと思います。
本日は誠にありがとうございました。
話しが長くなり過ぎないよう、簡潔に手短に済ませた方がよいでしょう。
告別式
次に、告別式に相応しい挨拶の例文を紹介します。
遺族を代表いたしまして、皆様にひと言ご挨拶申し上げます。
昨日からの通夜、そして本日の葬儀・告別式もすべてとどこおりなく相済ますことができました。
生前寄せられました皆様のご厚情に対し、心よりお礼申し上げます。
また、本日は最後までお見送りいただいたこと本人もさぞかし感謝してることと存じます。
簡単ではございますが、ひとことご挨拶申し上げお礼とさせていただきます。
本日はご参列いただきまして誠にありがとうございました。
故人を最後まで見送っていただいたことへの感謝を、しっかりと伝えましょう。
本葬にもマナーはある!相応しい行動をこころがけて
本葬は、故人とのお別れをする儀式としては--比較的自由度が高いものです。--
アットホームな雰囲気であったり、和やかなムードの中でおこなわれることもあるでしょう。
しかし、相手に失礼にならないような配慮は必要です。
今回紹介したマナーを参考に、相応しい行動を心掛けましょう。