御影石の意味
御影石は、現在の日本において、墓石に使われている石のほとんどを占めています。
暮石を探す際に、石材店のパンフレットなどを覗けば、「黒御影石」や「白御影石」といった単語が高い確率で入っているはずです。
御影石は、岩石として分類される際には「花崗岩(かこうがん)」との名称で扱われ、こちらの名前は地理の授業などで耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
そもそも、御影石という呼称は日本ならではで、御影石の「御影」は神戸市東灘区にある地名から由来しており、旧兵庫県武庫郡御影町一帯のことをさしています。
そこにある澤之井という湖の水面に、神功皇后が御姿を映したことからが、「御影」と呼ばれるようになった起源とされています。
大正から昭和初期にかけて、ここで発掘されていた本御影石が、花崗岩の銘柄の代表として全国に名を馳せたことから、日本で花崗岩が「御影石」と呼ばれるようになりました。
御影石の特徴
お墓
石材は、その出来方によって大きく3つに分けることができます。
マグマが冷えて固まって出来た 火成岩 、土や泥、火山灰などが堆積して固まって出来た 堆積岩 、火成岩や堆積岩が圧力や温度の影響を受けて特性が変化して出来た 変成岩 です。
御影石は、これらのうちの 火成岩 に分類され、地下のマグマが地殻内深くで固まって出来る結晶質の石材のため、 硬く ・ 重く ・ 風化に強く ・ 吸水率が低い という特徴を持ちます。
耐久性に優れ、丈夫である点を活かして、古くから道標や石の鳥居、石垣などにも使われていましたが、硬い材質ゆえに、加工技術が発達していない時代に作られたものは、少し跡が残ることもありました。
しかし、現在では、鏡面のように美しく磨くための加工技術などが優れたことにより、細かい細工を施したり、御影石の持つ天然模様がよく映えるようになりました。
また、御影石のもう一つの特徴として、同じ御影石でも 様々な色や模様 のものが存在するということが挙げられます。
御影石は、石英・カリ長石・斜長石・黒雲母・白雲母・普通角閃石などの鉱物から生成されますが、これら鉱物の混ざり方が一定ではないため、産地ごとにはもちろん、同じ産地であっても、採石する場所が違えば模様や色などが異なってくるというわけです。
特に、日本は地質が複雑であり、数多くの火山を有していることから、非常に多様な御影石が産出されています。
お墓参りの際などに注意深く暮石を見てみると、黒やグレーだけでなく、赤っぽかったりピンクに近いものまで見つけることができるでしょう。
墓石に用いられる御影石の種類・価格
田舎のお墓参り 代行
次に、暮石に用いられる代表的な御影石の種類を、国産のものと海外産のものに分けて紹介していきます。
国産の御影石
先ほども述べたように、日本は地質や地形の影響もあって様々な御影石が採掘されます。
中でも、西日本では白御影石、東日本では黒御影石が多く産出される傾向にあります。
近年では、国産の御影石の採石量は大きく減少していますが、それでもなお品質や加工精度の高さから一定の人気を集めています。
ここでは、 庵治石 ・ 大島石 ・ 万成石 の3種類を例に挙げて説明します。
庵治石
庵治石とは、香川県高松市で採掘できる、品質と価格が共に世界最高峰、世界でも 花崗岩のダイヤ と呼ばれるほどの石材です。
正式名称は、黒雲母細粒花崗閃緑岩で、主成分が石英と長石、そこへわずかに黒雲母が混ざっているため、青みを帯びた石目に「斑(ふ)」と呼ばれる二重の絣模様が現れるのが特徴です。
石材という観点から、花崗岩は細目(こまめ)・中目(ちゅうめ)・荒目(あらめ)の3種類に分類されますが、その中でも庵治石は細目と中目に分類され、より細かい模様である細目ほど高価となっています。
硬度が御影石の中で最も高く、水晶に近いほどです。
きめ細やかであるゆえに 風化に強く 、一度加工してしまえば変色や劣化は少なく、磨けば磨くほどに艶を増します。
大島石
大島石とは、愛媛県今治市の大島で採掘できる、江戸時代から西日本において広く流通した石材です。
採石技術の未熟さや、搬出の難しさなどから、一部の人にのみ知られる名石でしたが、明治・大正・昭和にかけて、採石技術の進歩や機械化などによって、採石量が増えてからというもの、特に産地に近い関西などの地域で絶大な信用と支持を得ています。
大島石は白御影石に分類され、見た目の特徴としては、雲母・石英・長石のバランスよく混ざっていることによる、 深みのある青磁 のような色合いが挙げられます。
建墓時の状態を長く保って色褪せないことや、時間が経つにつれて強くなる青みなどから、暮石材として最適とされています。
万成石
万成石とは、岡山県岡山市北西部万成で採掘できる、「 桜御影 」とも呼ばれる桜色をした御影石です。
気品のある美しい淡紅色とともに、 硬質 で 吸水性がとても低く 、 変色しづらい 特徴が挙げられます。
質が良いだけでなく、大きな原石を取ることができるため、石目が揃えやすく大きな和型のお墓にも用いることが可能です。
外国産の御影石
御影石は国内に限らず界各国でも産出されています。
産地によって特徴は様々で、古くから御影石を産出しているインドでは、品質の安定が特徴に挙げられ、近年人気を集めている南アフリカでは、特徴ある色物石材が豊富という特徴が挙げられます。
ここでは アーバングレー と インパラブラック 2種類を例に挙げて説明します。
アーバングレー
アーバングレーとは インド で採掘される 白御影石 のことで、現在では海外産の御影石の代表的存在となっており、産出量が多いことから比較的 リーズナブル となっています。
見た目の特徴としては、柔らかいグリーンに近いグレーの色合いがガラスのような透明感を出しており、色が濃くなるほど等級が高くなります。
石目は、やや粗めに感じる人も少なくなく、そのような場合には外柵にのみ使うケースもあるようですが、石質がとても良質であるため、和型・洋型問わず暮石本体に使用するのにも申し分ありません。
吸水性の低さ による 耐久性の高さ から、日本の暮石にも古くから選ばれてきました。
インパラブラック
インパラブラックは、 南アフリカ で採掘される 黒御影石 のことで、産出量が多く安定していることから、一般的に高価と言われる黒御影石の中でも比較的 安価 に手に入れることができます。
落ち着きある色合いも、具体的には黒から薄いグレーまで様々で、暮石だけでなく建材やキッチンの天板などのインテリアなどにも幅広く使われる石材です。
価値としては、色が濃く、石目が細かいほど高級とされています。
硬さ と 吸水性の低さ は国産の御影石を凌ぎ、 耐久性 にも定評がありますが、 石目に向きがある ため大きなお墓では石目を合わせづらいという難点があります。
暮石の定番「御影石」
ここでは、御影石についての様々な情報を紹介してきました。
暮石に使われる石材は他にも多々あるものの、日本の暮石において圧倒的存在感を放つ御影石。
暮石を探す際には、絶対に目にするであろう「御影石」の知識を持って、ご自身の好みにあった暮石の石材選びをしてみてはいかがでしょうか。