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葬儀

2024.04.30

エンゼルケアとは?手順・相場費用は?エンバーミングとの違いも解説

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エンゼルケアとは死後遺体に行われる医療行為を指します。
聞きなれなれず首をかしげる方もいらっしゃる方も多い単語をこの記事では注意点を初めとして、実際の流れや道具についても解説してきます。

エンゼルケアとは
メイク 道具
エンゼルケアとは、亡くなった方の遺体に化粧等を施すなどの施術全体を指します。
エンゼルケアは病院で正式に死亡が確認された後、点滴の管などの医療用器具を取り除くことが一般的でした。

穴詰めなどの体液等が流出するのを防止する措置を行ったり、遺体をアルコール綿でふき取ったり、安らかな寝顔となるよう口を閉じさせたりするのが病院で行われるエンゼルケアです。

現在のエンゼルケア
遺体をみた遺族の方際の精神的衝撃が少しでも和らぐようにとの病院の心づかいでエンゼルケアは行われています。
最近では、より清らかなお顔にすることを目的として、お化粧等を伴うエンゼルケアを葬儀社が提供するケースも増えてきました。

エンゼルケアの意味
エンゼルケアは故人の方の遺体を清めるために行われます。
なぜ、エンゼルケアを行うのでしょうか。

主な理由としては

清らかな遺体の状態を保つ
その人らしい姿にする
の二つがあります。

清らかな遺体の状態を保つ
臨終を迎えると人の体の機能はとまり、体液や老廃物などが穴から流出していきます。
そのため、耳や鼻などに穴詰めを行うことで、少しでも清らかな状態で遺族の方とのお別れをするのが目的の一つです。

また、体液や老廃物の遺体からの流出を止めることで、病原体となる病原微生物に触れる危険性を減らすのも目的となります。

その人らしい姿にする
お化粧や縫い取りなどを伴うエンゼルケアを希望する方の理由としては 故人の方のその方らしい姿で、お別れをしたい という願いを抱いている遺族の方が多いです。
事故等で遺体が激しく損傷してしまったり、闘病期間が長かったり、特に麻痺等が残ったまま亡くなってしまった方は、顔が歪んだままなくなってしまうこともあります。

その際、病院側が行う軽いエンゼルケアですと苦し気な表情のままなことが多く、 最後にお別れを告げる際はせめて綺麗な姿で送ってあげたい、 という思いやりから葬儀社の方にエンゼルケアを依頼する遺族の方もいらっしゃいます。

その人らしい姿で見送りを行う事も、亡くなった親しい人への恩返しの一つといえます。
大切な人の死を受けいれ、遺族の方が少しでも前を向くきっかけとなるのもエンゼルケアを行う理由でしょう。

エンゼルケアの依頼先
病院
先ほども述べましたが、エンゼルケアは死相をやわらげ、少しでも故人の方らしい姿で別れをつげたいと思って希望される遺族の方が多いです。

その際、依頼先は以下の通りです。
家族が行える場合もあるので合わせて解説します。

病院のエンゼルケア
葬儀社のエンゼルケア
家族の方がエンゼルケアを行うことも
エンゼルケア依頼の注意点
病院のエンゼルケア
病院での遺体の死後処置は主に医療機器の取り外しや穴詰めなどが中心です。
これらは看護師方が中心となって行います。

介護施設で亡くなった際は施設の方が看護師の役割を担うことが多いです。
死後処置のみを行う病院もありますが、病院によっては外部の業者により化粧や縫い取りを行うところもあります。

葬儀社のエンゼルケア
葬儀社のエンゼルケアは死後処置よりも 生前に近い生き生きとした姿にする ことを目的としたものが多いです。
キリスト教式の一連の葬儀は故人の方が臨終を迎えた時から始まり教会の人々主体で行われます。

また、遺体が他の宗教と比べ家族以外の人々にみられるのも特徴です。
そのため美しい姿で神の国へといってほしいという思いから葬儀社の方に依頼する方もいます。

家族の方がエンゼルケアを行うことも
医療器具を取り外した後、病院側や葬儀社の方から、遺族の方にエンゼルケアに携わるかどうかを提案される事例も存在します。
故人の方の死因が感染症の場合、亡くなった方の遺体に触れることは、感染症にかかるリスクを不安に思う方をいると思いますが、病院側や葬儀社が感染予防に必要なものを貸し出してくれる場合が多いです。

エンゼルケア依頼の注意点
故人の方の遺体を見ると生きていたころを思い出してしまい辛くなってしまうような場合は丁重に断りの言葉を述べましょう。

故人の方が好んでいた衣服や装飾品を着せたい際は予めエンゼルケアの処置前に渡すようにしましょう。
また、髪型とかに特に希望がある場合は、実際の写真などを見せながら要望を伝えると、処置をする側にとってもやりやすいです。

エンゼルケアの道具
香典返し タオル
呼吸マスク等などの医療器具を取り外した後にエンゼルケアは行われます。
実際の医療現場や葬儀社等で使われているのは以下のようなものです。

感染防止のためのガウン、マスク、手袋。
タオル等清拭に使用するための道具。
髪や爪を整える爪切りやくし。
口腔ケアのための歯ブラシやガーゼ
他にもピンセットや絆創膏等が実際の現場では使われています。
また、以下のように必要な道具をまとめた物も売られています。

エンゼルセット 15135
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エンゼルケアの手順
手順・流れ
死後の遺体におこる症状としては、

皮膚に浮かび上がるあざに似た死斑
筋肉や皮膚が硬化する死後硬直
皮膚の乾燥、体液の流出
体内の食物や老廃物による腐敗
があげられます。
経過時間に伴う内容としては以下のようなものです。

経過時間    内容
30~1時間後    点状の死斑が出現
1~2時間後    死後硬直開始
3時間後    蒼白化が顕著に
ゆえに、実際に行うエンゼルケアは特に以下の点を重視して なるべく短時間で行われます。

遺体の腐食防止
人工的に油膜の層を作ることでの皮膚の保湿
遺体からの体液・血液流出防止
まず、看護師の方や葬儀社の方が実際に行うエンゼルケアの手順について以下の表に示し、その後、各手順において何が行われているのかを解説してきます。

エンゼルケアの流れ
医療器具の除去
傷の手当
体内にある老廃物等を取り除く
口腔ケアを行う
腔部に詰め物を入れる
全身の清拭(せいしき)
※清拭(せいしき)の注意
衣服を着せる
化粧を施し、髪を整える
①医療器具の除去
点滴の管などの医療器具を除去します。
また注射痕の止血をしたり、漏れ出た体液などは吸引除去を行います。

遺体を清潔に保つことを重視し、血液などで遺体の衣服が汚れたりしないように医療器具は除去されます。

②傷の手当
医療器具の除去に伴いできた傷の失血や、傷に含まれる膿を消毒液を用いてかきだします。
膿があった傷口にはガーゼを当てたうえで、防水の処置を行います。

場合によっては傷にガーゼを詰めたりします。

③体内の老廃物等を取り除く
細菌の増殖を抑えるために胃の内容物や排泄物を遺体から取り除きます。
また、遺体に紙おむつが着せられてる場合もありますが、これは自宅で故人の方と遺族が最後のお別れをするために自宅に戻す際に、輸送の振動による体液の流出を考慮したためです。

④口腔ケアを行う
口腔は具体的には鼻や喉など、対外から空気や食物を取り入れるためにある体の空洞部分です。
特に外気に触れる箇所であることから、腐敗防止・口臭除去のために口腔ケアは行われます。

口腔ケアは消毒液をしみこませたガーゼなどを口や鼻からいれることで行います。

⑤腔部に詰め物を入れる
口、鼻、耳、膣、肛門の部分をまとめて腔部といいます。
死後の機能が止まった体は重力に従い、体液が流出し、水分が垂れ流しの常態となります。

清らかな遺体を保つためにも口腔ケアによる消毒を行った後は腔部に詰め物を行います。
なお、特に口や鼻への詰め物の体液流出防止効果は薄いとし、腔部の詰め物を行わず冷却等の手段を代わりに取る病院もあります。

⑥全身の清拭(せいしき)
清拭(せいしき)とは皮膚の汚れ等の付着物をぬるま湯のタオルで拭いて取り除く行為です。
エンゼルケアでも同じく、30度後半程度のぬるま湯でタオルを濡らし、遺体を拭きます。

介護現場でもリラックス効果のために清拭が行われます。

しかし、エンゼルケアの場合は遺族の方が故人の方の体に触れる際になるべく清らかな体で触れられるようにするため、病原体を含む汚れにより感染症にかかることなどを防止するために行われます。

水分が皮膚に付着すると乾燥が進むため、本来清拭は遺体の保存という観点からだと相応しくない行為です。
そのため、清拭を終えた後は油分の含んだクリーム等で皮膚の上に油膜を作り、保湿効果を高めます。

※清拭(せいしき)の注意
もし、故人の方の家族の方等が清拭(せいしき)に関わることになった際は 力を緩めて拭く ことを意識してください。
死後の遺体は皮膚がもろくなってるため、そのため、通常時よりも皮膚がはがれやすいです。

強く拭いたりして、皮膚が傷つくと皮膚が変色し、硬くなってしまう革様化が起こってしまいます。
また、体液等の流出にも繋がるため、看護師の方からの指示もあると思いますが、優しく拭くようにしましょう。

感染の症状や水分を多く含んだ汚れが付着している際は消毒行為を行った後に清拭(せいしき)を行います。

⑦衣服を着せる
一般的にはご遺体には白装束を着せます。

その際に注意すべき点は以下の二つです。

左前に着せる。
ひもの結び方は立て結び。
帯は結ばない。
死者であることを示すために上の二つは行われます。

帯を結ばないのは、遺体が帰宅した後、腐敗抑制のためにドライアイスで腹部を冷却をいれますが、その際に十分な冷却効果が得られない恐れがあるためです。
衣服を着せた後は顔や顔を整える行為に移ります。

ゆえに以降はご遺体をほぼ動かさないため、遺体の手は寝た状態で「きをつけ」のように両脇に置かれたり、お腹の前で重ね合わされるようにします。
遺族族の方から衣服が持ち込まれた際はその衣服を着せます。

死後硬直が進むと、遺体を動かすのがむずかしくなります。
着せたい洋服がある場合は早めに持ち込むようにしておきましょう。

⑧化粧を施し、髪を整える
髪はくしで整え、少しでも安らかな顔となるように化粧を行います。
悲しい事実ですが、 死後体の機能が失われると生前の面影が時間の経過とともに薄れていきます。

あざのようなものが皮膚に浮かび上がる死斑や、皮膚が青白くまた蒼白化なども死後変化の一部です。
保湿機能もなくなるため、皮膚からは水分が抜けてきます。

そのため、寝かせた状態だと高い位置にあたる目や唇の凹凸がなくなっていきます。

乾燥防止のためにも人工的に油分の膜を張ります。

化粧の手順は普段の化粧の手順とほぼ同じです。
乳液や化粧水で皮膚の保湿を行い、下地の次にファンデーション、仕上げにパウダーで皮膚の明るさを整えた後に、血色がよく見えるようにチークを頬やあごなどに入れ、口紅をさします。

使用する化粧品は医療用でない市販品でもかまいません。
死斑や蒼白化が始まっているため、ファウンデーションは血色のよく見せる赤みがあり、かつカバー力の高いものを選びましょう。

また男性の方などに髭をそる際は、傷油分を多く含むクリームを剃刀につけて行うようにしてください。
ワセリンにベビーオイルを混ぜると肌の滑りがよくなり、皮膚を傷つける危険性を減らすことができます。

エンゼルケアの相場費用
費用
エンゼルケアの費用は基本的に死後処置費用として払います。
死後処置費用は各医療機関等によって違うため、相場はまちまちです。

最低限の処置で終わらせると無料の時もありますが、化粧を施したり、髪のセットを依頼するほど高くなる傾向にあり、場合によっては5000円から数万円程かかる事もあります。
白装束を病院側で用意すると、浴衣料を徴収されることがありますので注意してください。

また、 エンゼルケアは保険対象外です。
医療機関や葬儀社側に具体的な要望を伝えたうえで料金の確認はとるようにしましょう。

エンゼルケアとエンバーミングの違い
違い
エンバーミングは土葬が中心の西洋地域に普及した遺体処置法で、腐敗防止や衛生上の観点を重視して行われます。
大きな違いとしては、資格の有無です。
エンバーミングは遺体処置法であり、医療行為ではありません。そのため、専用の技能の資格を取った方のみが行えます。

専門的な技術がより必要とされるので、 エンバーミングの方が費用が高額となる のも違いです。
エンバーミングに関しては、こちらの記事を参照してください。

エンバーミングとは?依頼方法や費用相場、メリットを解説!手順も
第三人生編集部

故人の方の為になるエンゼルケアを
本記事ではエンゼルケアについて解説してきました。
遺体の状況、感染症の有無、疾患性の傷の有無等で処置内容は様々に変わりますし、化粧を施すか否か、髪の毛を整えるかどうかでもかなり金額は変化します。

ですが、エンゼルケアの目的はあくまで、故人の方をその人らしい姿で送り出すことです。
亡くなった人に対しての最後の恩返しの一つとして、エンゼルケアを考えてみてはいかがでしょうか。

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