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葬儀

2024.04.30

末期の水とは?由来や手順を解説!必要性は?浄土真宗では行わない

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末期の水という儀式をご存知でしょうか?
末期の水とは、臨終の間際に死にゆく者の口を水で潤すことです。

その由来や込められた意味を知ることで、故人との最後の時間を有意義にすることに繋がります。
ここでは由来や意味の他に、手順や使用するものの作り方も紹介します。

また、末期の水の他の宗派での扱い等にも触れてみましょう。

この記事で解決される疑問

末期の水を行うタイミングは?

末期の水を行う順番は?

末期の水の手順は?
末期の水とは
はてな
末期の水(まつごのみず) とは 死にゆく者に対しその口元を水で潤すことを指します。
葬式の一番最初の儀式となり、息をひきとる瞬間に立ち会った人間全員が一人一回行います。

昔から行われてきた儀式で、かつては臨終の直前にするものでしたが、現在は息を引き取った後に行われています。
また、最近では自宅に故人の遺体を戻して布団に安置したのちに行うことも多いです。

死にゆく者への最後のはなむけとも言われます。
また、「死に水を取る」も同じ意味を持ちます。

水以外で儀式をすることも
近年では、末期の水の儀式は水で行わなければならないという決まりはありません。
葬儀社は柔軟な対応をしてくれますので、遺族の希望や故人の生前の意思があれば水以外で執り行うことも可能です。

亡くなった方が生前好きだった日本酒やワインなどのお酒、またはジュースやお茶などを用意し、それで末期の水を行っても問題ありません。
大切なのは亡くなった方を偲ぶ気持ちです。


末期の水の由来
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末期の水のいわれは諸説あります。
仏教の経典である「長阿含経」には、こんなお話が記されています。

釈迦は自らの死を予期した時、弟子に対して喉の渇きを訴えました。
しかし近くの川の上流では沢山の車が通行していたために水が濁っており、綺麗な水を手に入れることができません。

釈迦の願いを叶えられずに弟子は困ってしまいます。
そんなところに、雪山に住む信心深い鬼神が現れます。

鬼神が少し遠くの他の川の浄水を汲んできて釈迦に与えると、釈迦は喉を潤して安らかに息を引き取っていきました。
一番有力とされているのが、このエピソードが受け継がれて今の末期の水の儀式に至るという説です。
「故人の喉が乾かないように」との想いや、「水を飲んで故人が生き返ってほしい」という願いが込められています。

また、死後の世界では食べたり飲んだりすることができないという仏教の考え方があります。
それ故に旅立つ前の最後に水を飲ませてあげる、という意味も込められています。


末期の水の手順 
手順・流れ
病院で息を引き取った場合は病院の人が用意をして教えてくれるので、それに従います。

自宅などで儀式を行う時は、喪主が準備します。
脱脂綿、箸、お椀、顔を拭く布の4つがあれば大丈夫です。

最近ではエンゼルケア専用のものとして末期の水で使用するものを一式セットにして取り扱っている葬儀社もあります。

ここからは末期の水の具体的な作法・手順を紹介します。

箸の先端に脱脂綿やガーゼを巻いて白糸で縛る
桶やお椀に水を汲み、脱脂綿をつけて湿らせる
故人の唇を湿らせる
顔を拭く
1. 箸の先端に脱脂綿やガーゼを巻いて白糸で縛る
作り方の手順は以下の通りです。

脱脂綿を10cm×10cmのものと2cm×10cmのもの2つ切り出す
脱脂綿の小さい方を割り箸の先端に巻きつける
その上から大きい方の脱脂綿で覆う
白糸で縛る
形を整える
この時脱脂綿の代わりに新品の筆を濡らして使ったり、シキミや菊の葉っぱ、鳥の羽根などを使うこともあります。

2. 桶やお椀に水を汲み、脱脂綿をつけて湿らせる
脱脂綿を水に湿らせます。
水を含ませすぎると故人の顔に垂れてしまいますので、少し湿らせる程度で抑えます。

この時水を汲むお椀は故人の湯呑みや茶碗を使ったりもします。

また、 水は組んだばかりの綺麗な水を使用します。
盛り塩をして一晩清めた水が良いとも言われますが、長時間放置していた水はあまり綺麗とは言えませんし、事前に準備しておくのは死を予感しているようで縁起が良くありません。

3.故人の唇を湿らせる
水を含ませた脱脂綿で故人の上唇を左側から右側になぞって湿らせます。
上唇が終わったら次は下唇を左側から右側になぞります。

この時脱脂綿の部分を無理やり口の中に入れてはいけません。

立ち会った人たちで一人一回ずつ行いますが、その時の順番は故人と間柄が深い順に行います。
また、極力遺族全員が揃った状態で行うのが理想です。

4.顔を拭く
次に故人の顔を綺麗に拭いてあげましょう。
おでこを左から右へ拭き、次に鼻を上から下へ拭きます。
最後に顎を左から右に拭くのが正しい手順です。

この時故人に対して、「お疲れ様でした」などと感謝や労りの言葉をかけてあげましょう。


末期の水の必要性
喪服
末期の水の儀式は、省略して行わない地域や宗教も存在します。
すなわち絶対に行わなければならないものではありません。

末期の水をとることを、英語表記では次のように表します。

be with (a person) when he dies
attend a person's deathbed
つまり、末期の水とは単に儀式を指すだけでなく「死に際に立ち会う」という意味でもあるのです。
故人の死に際に立ち会い、そして故人を偲ぶという意味では、末期の水の必要性はあるとも言えるのではないでしょうか。


浄土真宗では末期の水を行わない
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浄土真宗は、「人は亡くなった後、苦しむことなくすぐに成仏する」という考え方を持ちます。
従って、故人が死後の世界で食べたり飲んだりすることができずに苦しむことはないので、浄土真宗では末期の水は行いません。

このように、宗派によって末期の水の儀式をやるかどうかやその方法は異なります。
他の宗教・宗派の例も見てみましょう。


他の宗教・宗派の末期の水
キリスト教
キリスト教における末期の水
神道における末期の水
他の宗派・宗教を信仰する人がいる時は配慮を
キリスト教における末期の水
死ぬことを安息と考えるキリスト教では、浄土真宗と同様に末期の水は行いません。
似たものとして「聖体拝領(聖餐式)」という儀式が協会によっては行われます。  

これはキリストの体と血を表すパンと赤ワインを故人に分け与えるという儀式です。

神道における末期の水
神道の葬儀(神葬祭)でも、末期の水は行います。
仏式と異なるのは、脱脂綿ではなく 榊の葉 を用いる点です。

神道では死を「穢れ」と捉えています。
その「穢れ」を祓う意味を込めて末期の水を行うので、「魔除け」の意味がある榊の葉を用います。

他の宗派・宗教を信仰する人がいる時は配慮を
このように、宗教や宗派ごとに末期の水の儀式をやるかどうかやその方法は異なるので、前もって親族や葬儀社に確認を取っておくのが良いです。

立ち会った親族の宗派が違ったりキリスト教徒であったりする時は配慮ができるようにします。


末期の水をとることを通して故人を偲びましょう
この記事の結論は以下の通りです。    

末期の水は故人が息を引き取った後に行いますが、最近では故人を自宅の布団に安置した後に行うこともあります。
末期の水は故人と縁の深い人から行います。配偶者、子ども、両親、そして子供の配偶者、孫の順に行います。
この記事では、末期の水とは何なのかから始まり、その由来や手順、宗派による違いを確認してきました。
末期の水は、生きる上で必要だった水を最後に故人に飲ませてあの世に送り出す大事な儀式です。

古くから行われている儀式ですが、そのやり方は様々です。
病院や葬儀社のスタッフの指示に従えば間違うことはありませんが、ご自身でも大体の方法を知っておくことでよりスムーズな儀式の進行に繋がります。

また、儀式に込められた意味を知っておくことで、故人との最後のひと時がより有意義な時間となるに違いありません。
故人を偲ぶ気持ちを一番に持って儀式を執り行いましょう。

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