位牌の種類を素材・デザイン・宗派別に解説!繰り出し・夫婦位牌も
位牌とは、白木位牌、本位牌、寺位牌の3つの種類に大きく分けることができます。
本位牌がもっとも私たちに身近なものですが、多くの種類があることはご存知でしょうか?
意外と知らない位牌の形や戒名などについても解説していきます。
位牌の種類
そもそも位牌とは
位牌とは、亡くなった方の 戒名または、法名を彫った木の札 のことを言います。
歴史は、今から 2千年ほど前の後漢時代にまで遡ります。
当時の中国では、 ご先祖の生前の位や名前を「木簡」呼ばれる板に彫って祀っていた ことが由来しています。
日本に入ってきたのは、 鎌倉時代の禅宗からで、位牌を祀る儀礼が広まった後、江戸時代に庶民も自宅に位牌を置く ようになりました。
位牌が大事にされる理由は、**空中に存在している先祖の魂を地上に呼ぶという儒教儀礼の影響が非常に強いのです。
つまり、 位牌を目印に故人や先祖が帰ってくる とされているのです。
戒名・法名とは
戒名とは、 仏門に入った者が仏様の弟子になった証明 として与えられる名前のことを言います。
本来であれば、 教えと規律である戒律を受ける受戒した者だけが与えられる者でしたが、出家していなくても与えられ、近年では逝去したら誰でももらうことができます。
しかし、浄土真宗や日蓮宗、神式では、戒名という言い方はされませんので、注意してください。
浄土真宗では、受戒そのものが存在しませんので、帰敬式(おかみそり)という儀式によって、「法名」を授かります。
日蓮宗では、「法号」といい、神式では、霊号をそれぞれ授かります。
戒名については、こちらの記事も参考にしてみてください。
位牌は三つの種類に分けることができる
位牌の種類は大きく分けて
木位牌
本位牌
寺位牌
の 三つの種類 :に分けることができるのです。
木位牌(白木位牌)
これは、 49日法要までの間に本位牌の代わりとして葬儀の際などに祭壇の上に安置する用意する位牌 のことです。
表面に塗りはなく、享年、俗名、戒名が書かれています。
また、野位牌とも呼ばれ、遺族が埋葬する場所まで棺を運ぶ時に、喪主がこれを持っていくことを野辺送りというため、これに由来しています。
本位牌
私たちにはもっとも馴染み深い種類の位牌で、 49日法要の際に仮位牌から本位牌に代わります。
49日法要の際には、魂を本位牌に移し替える開眼法要(かいげんほうよう)が行われます。
本位牌の種類を選び、名前を彫って、自宅に届くまでには 1〜2週間ほど かかりますので、葬式やお通夜、告別式など法要が続き忙しいとは思いますが、 しっかりと準備しておくようにしてください。
本位牌の種類などについては、以下で詳しく解説していきます。
寺位牌
寺位牌とは、 自宅にある本位牌とは別で寺院に安置する場合や、供養をお願いして納める位牌のこと を指します。
これは、家に仏壇や位牌を置くことができない方や、自分の代以降に継承をしていくのが難しい方が寺位牌として 永代供養してもらう場合 にも用いられます。
寺位牌には、すでにお寺にある位牌に追加で名前を彫ってもらうことが多いです。
また、 永代供養をする場合は、上記のように位牌を供養してもらった後に、お焚き上げといって、感謝の気持ちとともに天に返す儀式を行い、霊として供養してもらうことができます。
本位牌の種類①素材別
では、本位牌の種類について解説いたします。
塗り位牌
白木地に漆を塗って、 金や蒔絵など の装飾を加えた位牌を指します。
もっとも一般的な位牌の種類とも言え、表面を黒く塗って仕上げているため塗り位牌と呼ばれています。
蒔絵とは、漆の工芸手法の一つで、漆を塗った後に、乾き切る前に金粉や金箔を付着させる技法のことを言います。
唐木位牌(からきいはい)
素材が「唐木(からき)」と呼ばれる高級木材を用いた位牌を指します。
紫檀(したん)・黒檀(こくたん)・白檀(びゃくだん)の3種類の木材が「唐木三代銘木」として有名**で、日本では、遣唐使の時代に多く輸入されたことからも古くから利用されています。
唐木位牌の特徴は、 漆を上から塗って装飾する塗り位牌とは異なり、素材本来の木目や光沢感や色を利用している点 にあります。
中でも、黒檀は 「木のダイヤモンド」 と呼ばれるほど黒地の木目が美しい木材で、唐木位牌に用いられる 代表的な木材の種類 です。
その他の位牌
近年では、 伝統的な種類の位牌から離れ、クリスタルや陶器、樹脂などの素材を用いた位牌も存在します。
色々な種類デザインに加え、一般的な位牌に比べて価格帯も広く選ぶことができるため利用されることも増えてきています。
本位牌の種類②デザイン別
位牌のデザイン・形には非常に多くの種類があることをご存知でしょうか?
本位牌には、
春日型
蓮華春日型
勝美型
葵角切型
猫丸型
桜門・呂門型
千倉型
など多くの種類が存在するのです。
春日(かすが)型
非常にシンプルで最も多く扱われている種類になります。
札は楕円形で、札を受ける台がシンプルな四角の台となっており、価格も非常に抑えられているため そんなにお金をかけられない方 にはおすすめです。
蓮華春日型
蓮華春日型とは、春日型と全体の型は同じですが、札を受ける台に蓮華(蓮の葉)の装飾を施した種類のことを言います。
春日型では少し物足りなさを感じる型にはいいかもしれません。
勝美(かつみ)型
台座のデザイン性を重視した型で、札の頭が木瓜(もっこう)型という丸みを帯びた形になっており、シンプルな春日型とは異なります。
台座には、 「金虫喰い」といって、虫に食われたように不規則な凹凸に金箔を貼り付け、さらに漆を塗りつけた後に研ぎ出す手法を用いた装飾 がなされています。
葵角切(あおいすみきり)型
この型の特徴は、木瓜型の位牌が、通常の札よりも少し巾広となっており、後ほど解説する 夫婦位牌に用いられることもある 点です。
また、札受けの台が文字通り、角が切り落とされており、 柔らかな印象を与えてくれます。
猫丸型
台座の足の丸みが、ネコの後ろ足のように丸いことからこのような名前になったとされています。
猫丸型の札の形は様々ですが共通して、金粉や金箔を多く使う点も特徴と言えます。
楼門(ろうもん)・呂門(ろもん)型
楼門とは、二階建てのお寺にある門のことをいい、それに似ているからそう呼ばれています。
また、脚の部分がロの形になっている事から呂門型とも呼ばれています。
非常に融通の効くデザインであるため、素材を変えたモダンなデザインの位牌としても利用されます。
千倉型
楼門型に多くの装飾を施したものです。
台座には、 金箔や金粉を多く使い、蓮華の装飾などがあり、豪華で華やかな印象 となります。
本位牌の種類【繰り出し位牌】
夫婦(めおと)位牌は、一般的には、一人に対し一基の位牌を作るのに対し、 夫婦で連名で作成した種類の位牌 のことを言います。
夫婦位牌を作る際の注意点は、
片方は生きている場合
サイズを大きめにする
の二点です。
夫婦が同時に亡くなってしまうことはほぼないはずですので、名前を彫るタイミングに多少のタイムラグが生じてしまいます。
また、どっちも亡くなり、二人目も位牌に記名する際は、 一度郵送などで送らねければいけません。
こうしたプロセスを気にしない方のみ申し込むようにしましょう。
また、当然ですが、通常の種類の位牌のサイズに2人分の戒名を記入しようとすると、非常に小さい文字になるか、記名を断られる場合がありますので、大きさは、 4.0寸以上の位牌 を用いいるようにしてください。
4寸は1寸が3センチほどですので、 12センチ〜14センチほど になります。
この時、位牌の種類やサイズは良くても、仏壇に飾る際に、本尊の高さを超えてしまうことがないように注意してください。
色々な位牌を検討してみる
位牌の歴史から様々な位牌の種類まで詳しく解説してきました。
伝統的な種類のものから現代的な種類の位牌まで多くが存在し、実際に購入するとなると迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
また、最近では、ペット用の位牌も販売されており、種類が多種多様化しています。
位牌が仮位牌から本位牌に変わるのは、49日法要時が一般的ですので、バタバタしながら位牌を決めることになります。
ですが、位牌は一度購入すれば買い替えることはあまりないはずです。
故人の戒名や俗名がしっかりと残る位牌です。
他のことで忙しい時期ではあると思いますが、毎日みる仏壇に飾る位牌をいろんな種類の中からじっくり検討してみてはいかがでしょうか?