離檀料は義務?
お墓
檀家とは、お墓の供養・管理をお寺に任せる代わりにお寺に対して経済的な支援を行う家のことを指します。
お寺と檀家の関係は、鎌倉時代に発生したと言われています。
檀家については以下の記事で解説しています。
檀家とは?檀家になるには?やめるには?かかる費用やメリット・デメリットも解説
第三人生編集部
離檀料とは
お寺にあるお墓を移転、または撤去・処分し、お寺との関係を断つことを離檀といいます。
離檀料とは「離檀を行う際に支払う料金」であり、支払うのが義務のように感じられますが、実際には離檀料を支払う義務はありません。
「離檀料」という言葉は最近になって使われるようになりましたが、本来は「お布施」のことです。
お布施とは、お寺の僧侶が読経など何かをしてくれた際に、お礼としてお渡しする金品のことを指します。
いわば、感謝の気持ちでお渡しするお礼が離檀料です。
ですので、 離檀料を支払わなければいけないといった義務は全くありません。
一例として、宗派の本山から「離檀料をもらわないように」と言われているお寺もあります。
ただし、離檀料を払って離檀するのが一般的です。
今まで家族のお墓を供養・管理してくれたお寺に対して感謝の気持ちを伝えたいという方が多いからです。
気をつけたいのが、自分の家が檀家でありながら気がついていない場合です。
基本的に、お寺にお墓がある場合は「そのお寺の檀家になっている」と考えましょう。
檀家を意識していない方も、お墓の供養・管理をお寺にしてもらっている方は離檀料を払った方が良いかもしれません。
離檀料の相場
プライス
離檀料を払うとして「いくら払えばいいのか」気になる方がいらっしゃると思います。
次は、離檀料の相場を紹介します。
先ほども述べましたが、離檀料とは今まで先祖のお墓を供養・管理してくれたお寺に対して感謝の気持ちでお渡しするもので、金額に決まりはありません。
ここでは、離檀料で支払われている一般的な金額を紹介します。
基本的に、離檀料は法要1~3回分のお布施の金額が妥当であると言われています。
具体的には 3万~20万円程度 だと言われています。
先祖のお墓から代々と供養・管理してくれたお寺等、長年に渡って関係がある場合は、少し高め(10万~20万円)の値段の離檀料にしておくとよいかもしれません。
もっと詳しく知りたい方は檀家総代等に予め伺っておくとよいです。
離檀料のトラブルが増加中
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最近、お寺側に支払う離檀料のトラブルが増加しています。
お寺側から高額な離檀料を請求されるケースが多いようです。
悪徳なケースででは数百万、数千万円と法外な請求をされることもあります。
「離檀料を支払わないなら、離檀を認めない」といった脅迫じみた要求をされて、どうすればよいのかわからず、離檀したくてもできないと諦めてしまう方もいらっしゃいます。
なぜ、離檀料を巡って揉める事例が増えたのでしょうか?
近年では、人口が都心に集中し地方の人口が減少しています。
それに伴って、家の近くにお墓を引っ越す「改葬」を行う方が増えてきています。
檀家を離れる家が増えたため、檀家・門下が減り、経営的に苦しくなっているお寺が増えてきているのも現状です。
また長年、先祖代々のお墓を供養・管理してきたのに対してあっけなく離檀する方に対してお寺側としても納得いかないことがあります。
離檀料の金額は、お寺や住職によります。
例えば、前職の住職の時は高額な離檀料を求められたけど、新しい住職は離檀料を全く請求しないこともあります。
檀家を離れようかと考えている際は、一方的に離檀を言い放つのではなく、きちんとお寺に伺って離檀する理由を伝える時間を作りましょう。
また、今まで自分たちに代わって、お墓の供養・管理を行ってくれたお寺に対して丁寧に感謝の気持ちをお伝えしましょう。
お寺に対して誠意を見せることで高額な離檀料を求められるといったトラブルを避けられます。
離檀料を高額請求された場合
金額
きちんと離檀する旨をお寺にお伝えする時間を作り、今までのお墓にしてくれたことに対してお礼の気持ちをお伝えしてください。
前述の通り、離檀料とは感謝の気持ちを示すお礼です。
支払う義務は全くなく、当人の任意で支払うものです。
「離檀料を支払わないなら、遺骨を渡さない」など脅迫じみたことを言われるトラブルも出てきています。
しかし、 お寺側に檀家を離れることを拒む権限はありません。
交渉によって解決できますので、「言われたとおりに離檀料を支払う」「諦める」といったことは絶対にやめましょう。
憲法の第20条では「信教の自由」が以下のように規定されています。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」
こちらの憲法の解釈として、信仰するものを変える自由、宗教団体へ加入の自由があります。
ですので、私たちの持っている権利として、お寺を変えて改葬するなどの自由が日本の憲法によって守られていますので安心してください。
万が一、相手が強硬な姿勢で交渉に応じてくれない場合などでしたら、 行政書士や弁護士 などの専門家に相談するのがおすすめです。
特に行政書士でしたら、お寺との交渉だけでなく、改葬する際の役所での手続きなど面倒な部分も代行で行ってくれるサービスもありますので、おすすめです。
行政書士や弁護士などの専門家だけでなく、そのお寺の 宗派の本山 に離檀料の相談をしてみるのもおすすめです。
離檀料の表書き
お布施
離檀料のお金は、封筒に入れてお渡しします。
そのままの状態でお渡しません。
封筒は 白い無地の封筒 を選びましょう.
表書きには「離檀料」とは記載せず、 「御布施」 と記載します。
ただし、宗派などによって表書きの書き方が異なる場合がありますので、本山などに確認しておくことをおすすめします。
表書きと一緒に、差出人を書くのが一般的です。
差出人をフルネームで書くよりもここでは、家族全体として「○○家」と書くとよいでしょう。
表書きについては以下の記事を参考にしてください。
お布施の封筒の表書き・中袋・裏面の書き方!お札の入れ方や渡し方も
離檀料の渡し方
袱紗
離檀料を封筒に入れたら、持ち運ぶ際は袱紗(ふくさ)に入れて運びましょう。
離檀料をお渡しするタイミングは、墓じまいをするタイミングが一般的です。
墓じまいの際は、僧侶に読経してもらう閉眼供養(へいげんくよう)を行ってもらうのが一般的です。
そういった僧侶からの供養へのお礼も含めて、お渡しします。
お渡しする際は、きちんと「今までお世話になりました。」などのお礼を述べてお渡ししましょう。
ふくさとは?弔事用の色や不祝儀袋の包み方!購入場所や代用品も
離檀の手続き
手続き
では離断する手続きはどのように行うのでしょうか?
まず、お寺からお墓を撤去・処分し遺骨を移動させますので、改葬の手続きが必要です。
改葬手続きの詳細は、墓じまいの記事を参考にしてください。
親戚に相談
お寺に伝える
改葬手続き
離檀する際は、以上の3つのステップを行います。
親戚に相談
離檀をする前にまず親戚に相談しましょう。
先祖や故人のお墓の移転に関わってきますので、家族だけで決めるのではなく親族にも電話などであらかじめ、相談しておきましょう。
相談なしで勝手に行うと、トラブルの原因となります。
お寺に伝える
家族・親族で離檀すると決定したら、お寺に行う旨をお伝えします。
電話やメールなどで簡略的に済ませるのではなく、きちんと時間を作って直接対面で伝えるようにしましょう。
前述しましたが、行う旨・理由と共に、お墓を供養・管理してくれたことに対して感謝の気持ちを述べるようにしましょう。
事務的に進めると、トラブルの原因となります。
自分たちに代わって長年、お墓の供養・管理してくれてお寺のことを気遣いましょう。
改葬手続き
お墓をお寺から移転・撤去すれば完了です。
お墓を移転・撤去するには遺骨を移転しますので、 「改葬許可証」 が必要となります。
「改葬許可証」はお墓のある場所の市町村の役所から取得することができます。
「改葬許可証」を取得するには以下の3点の書類が必要となります。
埋葬証明書
受入証明書
改葬許可申請書
埋葬証明書
「埋葬証明書」とは、誰の遺骨が埋葬されているのか証明するものです。
「埋葬証明書」は、埋葬されている場所の管理者から取得することができます。
離檀する場合ですので、ここではお墓のあるお寺から取得することができます。
離檀する旨をお伝えした際にトラブルになってしまいますと、この「埋葬証明書」を発行してもらえない場合があります。
そのため、お墓を移転・撤去できないので離檀を進めることができないということが起こってしまうのです。
お寺にお伝えする際は、丁寧に行いましょう。
【行政書士監修】埋葬許可証とは?発行に必要な書類・手順は? 紛失した場合の再発行も解説
第三人生編集部
受入証明書
「受入証明書」とは、遺骨の移転先に受入を認めてもらっていることを証明するものです。
「受入証明書」は、遺骨の移転予定先の管理者から取得することができます。
ですので、 あらかじめ、遺骨の移転先を決定しておく 必要がありますので注意してください。
改葬許可申請書
「改葬許可申請書」とは、改葬許可証の発行を申請する際に必要な書類です。
「改葬許可申請書」は、お墓のある市町村の役所から取得できます。
役所によっては、ホームページからダウンロードすることができますので確認しておきましょう。
以上の「埋葬証明書」「受入証明書」「改葬許可申請書」の3点と印鑑を持っていくことで、「改葬許可証」を発行してもらえます。
「改葬許可証」を発行してもらうには、時間がかかることもありますので早めに行っておくことをお勧めします。
また「改葬許可証」は遺骨一体につき一部、必要となりますので注意してください。
【行政書士監修】改葬許可証とは?入手先や郵送・再発行の可否、散骨する場合
第三人生編集部
お寺には丁寧に
檀家を離れる意向が決まったら、お寺に離檀する旨をお伝えしなければいけません。
お寺としては、経済的な支援を行ってくれていた家を一つ失うわけですから、いい気はしません。
実際、事務的な内容も多くありますので大変だと感じることもあると思います。
ただそこでお寺に対して事務的な態度ですと、高額な離檀料を請求される、離檀するための書類を発行してもらえないなどのトラブルとなり離檀が円滑に進みにくくなってします。
お寺に、今まで自分たちのお墓にしてきてくれたことに対して感謝の気持ちを持って接しましょう。
お寺とのしっかりとしたコミュニケーションが、トラブルを起こさないための一番有効な方法です。
お寺と話す時間をきちんと作って丁寧な態度でお伝えしましょう。