高齢者に絵画はおすすめ!実践するメリットとポイントを解説
「高齢者が絵画を始めて何か良いことがあるの?」と疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。高齢者が絵画を趣味とすることには、多くのメリットがあります。
また、介護や医療の現場では「アートセラピー(芸術療法)」と呼ばれる非薬物療法があるほどです。
この記事では、高齢者が絵画を始めるメリットやポイントについて詳しく解説します。期待できる効果などについて触れていますので、ぜひご覧ください。
高齢者のアートセラピー(芸術療法)とは
アートセラピー(芸術療法)とは、絵画などの創作活動を通して脳を活性化させることを目的とした非薬物療法(薬などを用いない療法)です。イギリスの芸術家であるエイドリアン・ヒルが初めて用いた療法とされています。
例えば、絵画や塗り絵、パステルアートなどもアートセラピーといえるでしょう。
イギリスやアメリカでは、アートセラピー(芸術療法)が積極的に実践されており、日本においては絵画以外の音楽や俳句、ダンスなども含めてアートセラピーと呼んでいます。
高齢者が絵画を始める6つのメリット
高齢者の方がこれから絵画を始めるメリットは、以下の通りです。
・低予算で始められる
・画材が手に入りやすい
・安全面でも優れている
・描くネタに困らない
・完成した作品を残せる
・日常生活でも役に立つスキルが身につく
1. 低予算で始められる
何かを始めるときにハードルとなるのが初期費用です。初期費用が高いと始めづらい場合もありますが、絵画の場合は低予算で始められます。
例えば、塗り絵の場合であれば塗り絵の本と色鉛筆などがあれば始められますし、パステルアートでも数百円程度あればパステルを購入できます。
また、画材は1回で使い切るものではなく、揃えた後は長期間使用可能です。
紙に関しても、分割分して使用したり、チラシの裏を利用したりできるため、低予算で始められる大人の趣味といえるでしょう。
2. 画材が手に入りやすい
画材が低予算で揃えられることに加え、手に入りやすいのもメリットです。画材を販売している文房具屋さんは多くありますし、最近ではコンビニやスーパーでも画材を販売しているケースも珍しくありません。
スポーツ用品などであれば、販売している場所はスポーツショップなどに限られますが、画材は比較的手に入りやすいのも特徴です。
始めようと思った際に画材を揃えやすいのもメリットといえるでしょう。
3. 安全面でも優れている
絵画は、絵を描く・塗り絵するだけなので、危険性を伴いません。ケガにつながりにくいため、安全面を考慮しても始めやすいものといえます。
例えば、3色パステルアートで使用されるパステルには、APマーク(ACMI(米国画材/工芸材料協会)によって定められている評価基準に適合した人体に害のない製品)が付いています。
もし、誤って口に含んだ場合でも慌てる必要なく対処できます。ただし、食べても大丈夫というわけではないため、可能な限り口に含まないような対策が大切です。
絵画は、安全に始められる大人の趣味といえるでしょう。
4. 描くネタに困らない
絵画では、「次は何をしよう」と悩みにくいのが特徴です。描くテーマが豊富なだけでなく、塗り絵などのバリエーションもあるため、題材を用意しやすいのがメリットといえます。
例えば、絵を描く場合は、自分が好きなキャラクターやリクエストされたもののイラストを描くことが可能です。
塗り絵であれば、本にある絵に沿って塗り絵を進めるだけなので、テーマに困ることはありません。
自分の想像力に合わせて様々なバリエーションを持たせられるのも、絵画の良い点といえるでしょう。
5. 完成した作品を残せる
絵画は、完成した作品が残ります。描いたり塗ったりした後の作品を視覚的に楽しめるのもメリットといえるでしょう。
例えば、はがきサイズの画用紙に絵を描けば、ポスト投函も可能です。暑中見舞いや年賀状の手紙として家族に届けられます。お手紙が届くことで喜ばれる家族は多いため、ぜひ試してみましょう。
また、絵画を通じて元気に過ごしていることがわかれば、ご家族も安心です。自分と家族の両方にもメリットのある趣味といえます。
6. 日常生活でも役に立つスキルが身につく
絵画は、日常生活の中でも役に立つ趣味です。
絵画と聞けば、額縁に入り美術館などに飾られている作品が思い浮かぶかもしれませんが、手紙やはがきなどに添えられた小さなイラストも立派な絵画といえます。
そしてイラストを含む絵は、世代や国を超えて世界中の人々とコミュニケーションが可能な手段でもあります。ですので、ふとした時に絵を描くことができれば、コミュニケーションが円滑になる場面が必ずあるでしょう。
そして絵は贈り物にもなります。誰かのために絵を描いてあげれば、それは唯一無二のお金で買えない価値のある一枚となって喜ばれるでしょう。
こうした意味でも、創造力や発想力はもちろんですが、コミュニケーション能力というスキルを身に付けることができると言えるでしょう。
絵画は認知症ケアの効果も期待できる
絵画を始めることで認知症をケアする効果も期待できます。絵画を通して、手先や脳が刺激されるためです。
絵や音楽をはじめとした芸術は、右脳をよく使うとされています。現代人の脳は、スケジュール管理・文章力・記憶力など左脳をよく使いますが、右脳が使われる機会はあまりありません。
絵画を通して、今まで出番が少なかった右脳に新しい刺激を入れ、老化とともに生じる右脳の機能低下を抑えやすくなります。
また、昼間の活動量を増やすことで、体内リズムを整えやすくなります。昼夜逆転の改善などにも効果が期待できるでしょう。
このほか、ご家族と一緒に塗り絵や絵画を楽しめば、共通の話題から会話が生まれます。コミュニケーションを図ることで、精神的な安定にもつながるでしょう。
外出が難しい高齢者でも絵画は始められる?
外出が難しい高齢者の方でも、絵画は簡単に始められます。
通販などを利用すれば画材はすぐに用意できますし、教室で習いたい場合でもオンラインレッスンなどがあるためです。
2020年の新型コロナウイルスをきっかけに、絵画教室の多くがオンラインレッスンを始めました。動画配信のレッスンと異なり、同時中継で会話をしながら進められるため、コミュニケーションを取りながら楽しむことが可能です。
また、自宅で楽しむ場合、移動やトイレの心配も必要ありません。ご家族や教室の方との輪も広がるため、この機会にぜひ始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
高齢者の趣味として、絵画は非常におすすめです。絵画は低予算で始められるだけでなく、安全にできる趣味となります。
50代・60代のシニアライフは、やりたいことができる時間が増え、実践するだけの体力も残されています。人生の後半を充実させるためには、自分に合う時間の使い方を見つけて楽しむことが大切です。
「絵を描いてみたかったけど始められなかった」「久しぶりに塗り絵して子どもの頃とは違った楽しみ方を得たい」といった方は、この機会に絵画を始めてみてはいかがでしょうか。
画材が低予算で簡単に手に入るだけでなく、認知症のケアとしても効果が期待できます。
外出が難しい高齢者の方でも絵画は始めやすいため、ぜひ始めて自分なりの楽しみ方を見つけてみましょう。