大人になったからこそ始めるべき書道
パソコンやスマートフォンの発達によりデジタル化が進み、文字を書く機会が減ってきている現代。
いざ手書きで文字を書こうと思っても、書き順を忘れていたり、なんだかバランスよく書けなかったり、そんなことがあるかもしれません。
このようなデジタル化の進んだ時代だからこそ、原点に立ち返り、伝統的な文化の一つである書道を嗜んでみたいという方は少なくないはずです。
今回は、大人になってから始める書道というテーマで解説していきます。
書道の魅力
書道というと、小学生の頃に授業でやった記憶があるでしょう。
ですが、それ以降は書道に触れていなかった方がほとんどだと思います。
また、書道教室がありますが、なんとなく子どもが通うものというイメージがついているかもしれませんね。
ここでは、そんな書道を学ぶ魅力をご紹介します。
美しい字を書けるようになる
まずはなんといっても、これに尽きると思います。
「文字なんて大人になってから今さら上手になるの?」と思うかもしれませんが、大丈夫です。上手になります。
子どもの頃には理解しにくかった文字を書くための“コツ”を、大人になった今ではしっかりと理解した上で書くことができます。
このような理由もあり、意外かもしれませんが大人になっても十分に文字の上達が見込めるのです。
また書道は毛筆ですが、日本語のトメやハネ、バランスなどを学ぶ中で、自然とペンで書く字も美しくなっていきます。
そして、美しい文字を書けるようになれば、年賀状や暑中見舞いなどはもちろんですが、アンケートや荷物受け取りのサインなど、ちょっとした文字を書くだけでも楽しくなります。
教養が身につく
書道は非常に古い歴史があり、日本文化とも密接に関係しています。
ですので書道を学ぶことで、日本文化に触れながら、その根幹でもある日本語がどのように発展・変化していったかを同時に学ぶことができます。
また美しい姿勢や筆の持ち方など、正しい所作を知ることで、茶道や華道などの伝統芸能にも通ずる精神性を身に付けることができ、これはあなたの一生の財産になるのです。
ただ単に、紙に文字を書くという作業だけでは終わりません。
手軽に始められる
運動のような習い事と違い、身体に大きな負担をかける必要もありません。硯と筆と紙さえあれば始められます。
高価な道具を用意する必要もありません。(もっとも書道にのめり込むことで、道具にもこだわりたくなってくるとは思いますが)
この手軽さも書道の魅力の一つと言えるでしょう。
芸術的感性が研ぎ澄まされる
書道は芸術的な側面を持ち合わせており、文字はとても個性を演出しやすいのです。
それもあってか現代ではパフォーマンスの中に書道が取り入れられることも珍しくありません。
つまり書道は、日本の伝統芸能であり、伝統芸術なのです。
ただ文字を機械的に書くのではなく、筆圧に角度、バランスやレイアウトなど、多くのことを考えながら文字を完成させる書道は、絵画のような一つの芸術作品を作り上げることと、なんら遜色ありません。
ですので、書道を学んでいく内にあなたの感性もどんどん研ぎ澄まされていくでしょう。
新しいコミュニティへの参加
書道をこれから学ぼうと考えている方は、何もあなた一人ではありません。
同じ志を持つ仲間はたくさんいます。そんな人たちとコミュニティを形成し、交流しながら学べるのも魅力の一つでしょう。
もちろんこれは書道に限らず、その他の習い事に対しても言えます。
書道教室に通って、仲間を見つけるのも良いでしょうし、インターネットやSNSでコミュニティを探すのも良いでしょう。一人で学ぶよりも楽しく、そしてたくさんのことを身に付けられるはずです。
特に、書道は海外でも人気が高いので、書道をきっかけに異文化交流できるかもしれませんね。
書道の学び方
書道教室に通う
書道教室は全国に1万件程あります。ですので、基本的には通いやすいお住いの地域の書道教室に通うのが望ましいと思われます。
ですが教室に通う以上、「どんな先生から学ぶのか」「何を学べるのか」「どんな雰囲気の教室なのか」ということは重要視していただきたいです。
「ただ近いから」「とにかく安いから」といった理由だけで教室を決めてしまうと、せっかく書道を学ぼうというやる気が起こったのに、後々後悔して途中で挫折してしまうかもしれません。
そうはならないよう、慎重に選びましょう。
・どんな先生から学ぶのか
一口に先生と言っても、経験や能力に当然差があります。そして流派が違えば、得意な書体も先生によって異なります。ですので、まずは教室見学やお話しを聞きに行って、先生と実際に会ってみるのが良いでしょう。
・何を学べるのか
書道教室というと基本的には毛筆ですが、場所によってはペン習字を学べるところもあります。そもそもなぜ書道を学びたいのか、これを明確にした上で自分に合った書道教室を探しましょう。
・どんな雰囲気の教室なのか
教室に通うということは、もちろんその教室で書道を行うので、その教室に馴染めるかどうかということも重要な要素です。
せっかく書道教室を見つけて入会しても、教室では集中できないという事態になってしまっては本末転倒です。
体験教室などを開いているようであれば、積極的に参加してみましょう。
臨書で学ぶ
みなさんは「臨書」とは何かご存じでしょうか。
臨書というのは、書道において手本を見ながら字を書くことです。小学生の授業でも先生のお手本を見ながら書いていましたよね。あれも臨書と言ってよいでしょう。
しかし、書道における一般的な臨書とは「古典作品をお手本にすること」を指します。
小学生の頃は、先生のお手本をみながら正しく整った字を書くことに重きを置いていましたが、大人になってからは古典作品をお手本にして、昔の書道家が生み出した芸術的美しさのある文字を学ぶのです。
そしてこの臨書には、形臨・意臨・背臨という3つの段階があります。ざっくり説明しますと、
・形臨:古典作品の字形をそっくりそのまま真似します。
・意臨:古典作品を書いた作者の考えや意図を感じ取り、作者になりきって文字を書きます。
・背臨:お手本となる古典作品を見ることなく書きます。
こうしてみると、同じく歴史ある日本文化の剣道や茶道の修行で使われる“守破離”と非常によく似ていますよね。
このような歴史的文化的背景を感じながら書道を学ぶことで、より奥深い書道の世界を感じることができますね。
もちろん、臨書は書道教室で行うこともありますが、臨書に関する書籍を購入し独学することもまた可能です。
大人になったからこそ書道を
大人になって学ぶ書道は、子どもの頃学んだ書道とは異なる魅力を感じさせてくれます。
手軽に始められますが、その歴史は長く、現代にいたるまで研鑽が続いている壮大な日本文化です。
学びがいは十分にあります。ぜひこれを機に書道の世界にどっぷりと浸ってみてください。