70歳以上になると、運転免許の更新方法が変わります。
「どんな講習を受けるのか」「かかる費用はいくらなのか」と不安に思う方も少なくないでしょう。
この記事では、高齢ドライバーの方やそのご家族に向けて、高齢者教習の内容やかかる費用などを詳しく解説します。
免許更新をスムーズに進めるために、ぜひ参考にしてください。
高齢者教習とは?
高齢者教習(高齢者講習)とは、70歳以上のドライバーが運転免許証の更新手続きを行う際に義務付けられている講習です。
70歳以上の方は高齢者講習を、75歳以上になると、この講習に加えて認知機能検査も受けなければなりません。
さらに、過去3年以内に交通違反歴がある方は、運転技能検査の受検も義務付けられています。
なお、公安委員会が認定する運転免許取得者等教育(高齢者講習同等課程)を受講した方は、高齢者教習が免除となるケースもあります。
対象者は3段階に分けられる
高齢者教習は、ドライバーの年齢と違反歴によって3段階に分けられます。
まずは、ご自身がどの講習を受けるべきか、確認しましょう。
70歳以上
・ 高齢者講習のみ
・ 合否はなく、期間中に1回受講すれば更新が可能
75歳以上
・ 高齢者講習
・ 認知機能検査
合格基準点(36点)以上で、高齢者講習の受講後に免許更新が可能
75歳以上で過去3年以内に一定の違反歴がある場合
・高齢者教習
・認知機能検査
合格基準点(36点)以上で、高齢者講習の受講後に免許更新が可能
・運転技能検査
※原付や二輪、大型特殊免許のみを更新する方は対象外
講習を受けられる期間は?
高齢者講習が受講できるのは、免許更新期間満了日の6ヶ月前からです。
講習が受けられる場所
高齢者講習は、教習所や運転免許センターで受講できます。更新ハガキが届いたら、できるだけ早めに予約をしましょう。
特に75歳以上の方は認知機能検査も必要なため、余裕をもって更新満了日の2〜3ヶ月前に予約を済ませるのがおすすめです。
ハガキが届かない場合や紛失した場合は、お住まいの地域の運転免許センターや警察署に問い合わせて確認しましょう。
受講しないとどうなる?
高齢者教習を受講しないと、免許更新の手続きができません。
免許が失効すると、再取得するために学科試験と技能試験の両方に合格しなければなりません。時間と費用がかかるため、必ず更新期限内に受講しましょう。
高齢者教習の内容と流れ
高齢者教習の内容はドライバーの年齢や違反歴によって異なります。
ここからは、各講習の具体的な内容と流れを紹介します。
高齢者講習(70歳以上)
70歳以上の方が免許を更新する際は、「高齢者講習」を受講する必要があります。
高齢者講習は、座学・運転適性検査・実車指導の3つの内容で構成されており、所要時間は2時間程度です。
二輪・原付・小特などの免許更新の方は実車指導が免除され、約1時間で終わります。
【高齢者講習の内容と流れ】
座学(30分):DVDなどを見て交通ルールや運転知識を再確認する
↓
運転適性検査(約60分):器材を使って静止視力・動体視力・夜間視力・視野の検査
↓
実車指導(約60分):教習所のコースを実際に運転しながら安全運転の指導を受ける
↓
高齢者講習修了証明書が発行される
認知機能検査(75歳以上)
75歳以上の方には、「認知機能検査」の受検が義務付けられています。
手がかり再生と時間の見当識の2つで構成されており、検査は30分程度で終わります。
【認知機能検査の内容】
手がかり再生:
複数のイラストを記憶し、後で思い出せるかを確認するテスト
時間の見当識:
現在の年月日や曜日を回答するテスト
※以前は「時計描画」の検査もありましたが、2022年5月13日に施行された道路交通法改正で廃止となっています。
認知機能検査は、「認知機能低下のおそれなし(36点以上)」「認知機能低下のおそれあり(35点以下)」の2段階で判定されます。
「認知機能低下のおそれなし(36点以上)」の場合は、高齢者講習を受講した後に免許証の更新手続きに進むことができます。
反対に、「認知症のおそれあり(35点以下)」の場合は、専門医の診断が必要です。
結果次第では、運転免許の取り消しや停止措置が取られることもあります。
参考:認知機能検査について|警察庁Webサイト
運転技能検査(一定の違反歴がある方のみ)
運転技能検査は、75歳以上で過去3年以内に特定の違反をした方が対象です。
この検査では、教習所内のコースを普通自動車で運転し、安全に走行できるかどうかを確認します。
所要時間は約1時間です。
【運転技能検査の内容】
指示速度による走行:
指定された速度を維持して運転できるか確認
一時停止:
適切な場所で確実に停止できるかを評価
右折・左折:
交差点での適切な操作ができるかチェック
信号通過:
信号を正しく認識し、適切に通過できるかを確認
段差乗り上げ:
道路状況に応じた操作ができるかを検査
その他:
検査員が危険を回避するためにハンドルやブレーキを操作した場合、減点の対象
【検査の対象となる違反】
信号無視 、通行区分違反 、通行帯違反 、速度超過 、横断等禁止違反 、踏切不停止等 、遮断踏切立入り 、交差点右左折方法違反等 、交差点安全進行義務違反等 、横断歩行者等妨害等 、安全運転義務違反
運転技能検査は、減点方式で採点されます。
100点満点のうち普通免許などの第1種免許は70点以上、タクシー・バスなどの第2種免許は80点以上が合格ラインです。
合格基準に達しなかった場合でも、更新期限内であれば再受検できます。
ただし、その都度、検査の手数料がかかるため、十分な準備をして受検しましょう。
高齢者教習の費用と必要なもの
高齢者教習を受講する際には、以下の持ち物を忘れずに準備しましょう。
・免許更新のハガキ
・運転免許証
・受講内容に応じた手数料
・筆記用具(黒ボールペン)
・眼鏡や補聴器(運転時に必要な方)
手数料は現金払いが基本のため、事前に必要な金額を用意しておくと安心です。
以下では、受講に必要な手数料および検査料を紹介します。
高齢者講習(70歳以上)
・ 普通自動車対応免許:6,450円
・ 二輪・原付・大特・小特のみ:2,900円
※別途、免許更新手数料(2,500円)が必要
運転技能検査(一定の違反歴がある場合)
検査料は実施する教習所によって異なる
高齢者教習に関するよくある質問
ここでは、高齢者教習に関するよくある質問を紹介します。
高齢者の免許更新は何年おき?
【ゴールド免許の場合】
・ 70歳未満:5年おき
・ 70歳:4年
・ 71歳以上:3年おき
※グリーン免許(新規取得者)やブルー免許(初回更新者、違反運転者)は70歳以下でも3年です。
なお、75歳以上のドライバーには、免許更新時に認知機能検査の受検が義務付けられています。
免許更新のハガキはいつ届く?
免許更新のハガキ(更新連絡書)は、誕生日の35日〜40日前に届くことが一般的です。
万が一、有効期限の1ヶ月前になってもはがきが届かない場合は、最寄りの警察署や運転免許センターに問い合わせてください。
免許を返納、更新しない場合は講習を受ける必要はあるか?
免許を返納する場合や更新しない場合は、高齢者教習を受講する必要はありません。
なお、免許の自主返納は、最寄りの警察署や運転免許センターで手続き可能です。
その際に、公的な身分証明書として使える「運転経歴証明書」が申請できます。
まとめ
70歳以上の方は高齢者講習、75歳以上の方は高齢者講習に加えて認知機能検査、さらに一定の違反歴がある方は運転技能検査も受けなければなりません。
更新ハガキが届いたら、記載されている内容に従って予約を取り、必要なものを準備してください。
高齢者教習は、高齢ドライバーに義務付けられた制度ですが、自身の運転技術を見つめ直すよい機会です。
この機会に、安全運転のポイントを再確認しましょう。