実家を売却する際の手順は?生じる税金や注意点について解説します
この記事では、実家を売却する際の手順について詳しく解説します。ほかにも、実家売却に関係する税金や注意点、売却以外の方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「実家を売却する」という状況に直面することはあまりないはずです。だからこそ実家売却の手順や注意点について知りたいという方がいるのではないでしょうか。
実家売却は手順に従って進めることでスムーズに済ませられます。
また、期間は約85日とされているため、期間を目安にスケジュールを立ててみましょう。
実家売却の手順
実家を売却する際の基本的な手順は以下のとおりです。
1:必要書類の準備
登記済権利証や印鑑証明書、建築確認済証・検査済証などを用意します。これらの書類が揃っていない場合、司法書士や行政機関への手続きが必要となるため、早めの確認が重要です。
2:不動産査定
複数の不動産会社に査定を依頼し、実家の市場価値を把握します。一括査定サイトを利用すると効率的です。
3:売却活動
不動産会社と媒介契約を結び、広告や内覧などの売却活動を開始します。売却期間中も固定資産税などの維持費がかかるため、早期売却を目指しましょう。
4:売買契約
買主が見つかったら、売買契約を締結します。契約内容を十分に確認し、不明点は専門家に相談することが大切です。
5:引き渡し
代金の受領後、物件の引き渡しを行います。引っ越しや清掃、必要な手続きなどを事前に計画しておきましょう。
公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」によると、中古戸建・中古マンションが売買成立するまでの期間は約85日とされています。
この期間を目安に、スケジュールを立てると良いでしょう。
参照:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」
実家売却に関する税金
実家を売却する際には、以下の税金が関係してきます。
1. 相続税
2. 譲渡所得税(譲渡所得に関する税金)
3. 登録免許税
4. 印紙税
どのような税金がかかる可能性があるのか事前に把握しておくことが大切です。それぞれの税金について詳しくみていきましょう。
1. 相続税
親から実家を相続した場合、相続税が発生する可能性があります。相続税とは、生前貸与や人が亡くなったことによって資産の移転を行った際、資産の受取人に対して生じる税金のことです。
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算され、この金額を超える部分に対して課税されます。
例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円となります。
2. 譲渡所得税(譲渡所得にかかる税金)
相続した実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が課せられます。譲渡所得は、所得税や住民税などの課税対象です。
「譲渡価格(土地や建物を売った金額)-(取得費+譲渡費用)」で計算されます。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり、課税率は約30%です。
5年以下の場合は短期譲渡所得となり課税率が約40%となります。
3. 登録免許税
相続登記や抵当権抹消登記を行う際にかかる税金です。相続登記の場合、不動産評価額の0.4%が課税されます。
4. 印紙税
不動産売買契約書や領収書に貼付する印紙にかかる税金です。売買価格に応じて税額が変わり、例えば1,000万円超5,000万円以下の場合、1万円の印紙税が必要となります。
実家売却時に気をつけたい3つの注意点
1. 家財は処分する
2. 売却前のリフォーム・ハウスクリーニングを行う
3. 相続登記を済ませる
1. 家財は処分する
実家を売却する前に、不用品を整理・処分しておきましょう。実家には思い出の品が多く残っていることが多いため、必要なものと不要なものを仕分ける作業は容易ではありません。
後回しにすると、売却の際に慌てる原因につながるため、時期に余裕をもって家財を整理することで、スムーズな売却につながります。
2. 売却前のリフォーム・ハウスクリーニング
簡単なリフォームやハウスクリーニングを行うのも有効です。家をきれいな状態にしておくことで、売却時に物件の印象を良くできます。
ただし、大規模なリフォームはコストがかかるため、費用対効果を軸に考えて判断するとよいでしょう。
3. 相続登記を済ませる
相続した実家を売却するには相続登記を行い、自分名義に変更する必要があります。登記が済んでいないと売却手続きが進められないため、早めに手続きを済ませましょう。
相続登記は、2024年4月1日から申請が義務化されています。相続登記していないと罰金が適用される可能性があるため、必ず行いましょう。
実家を売却する以外の3つの方法
実家を無理に売却する必要もありません。相続した実家の活用方法には、以下のものもあります。
1. 実家に引っ越して生活する
2. 賃貸にする
3. 土地を上手く活用する
1. 実家に引っ越して生活する
中には、売却で相続した実家を手放すと、寂しさを感じる方もいるのではないでしょうか。幼少期から過ごしてきた家を手放すとなると、寂しさや抵抗感を感じてしまいますよね。
もし、現在の住まいよりも実家のほうが立地や生活環境に優れている場合は、思い切って実家へ引っ越すのも選択肢の1つです。
築年数が経過している家でも、リフォームやリノベーションを施すことで快適に暮らせます。
ほかにも、建物を取り壊して新しく建て直す方法もあります。実家を手放す前にどうするか考えてみてはいかがでしょうか。
2. 賃貸にする
実家を有効活用して賃貸経営を始めるのも、選択肢の1つです。建て替えやリフォームを行う際には初期費用がかかりますが、入居者が見つかれば家賃収入を得られます。
ただし、借り手がいない場合は赤字になってしまう可能性があるため、立地や周辺環境の調査が必要不可欠です。入居者を確保できる見込みがあるかを考慮した上で検討しましょう。
3. 土地を上手く活用する
賃貸経営を始めたり実家に引っ越したりする以外にも、駐車場やトランクルームとして活用する方法があります。これらの活用方法は、初期費用を抑えて始めやすいのがメリットです。
ただし、先ほど同様、土地の周辺環境の考慮や需要があるのかなどの見極めは大切です。
例えば、駐車場として運用する場合、「車の利用が多い地域かどうか」や「近くに競合となる駐車場があるか」などを事前に調査すると良いでしょう。
まとめ
実家の売却は手続きが多く、税金や法律面での知識も必要です。どのような税金が生じるのか、売却時にはどのような注意点があるのかなどを把握しておきましょう。
売却を検討する際は早めに準備を進め、信頼できる不動産会社と相談しながら進めることをおすすめします。また、実家を無理に売却せず実家に引っ越したり賃貸にしたりするのも1つの方法です。
情報を収集しながら自分がどうしたいのかを決め、計画的に行動しましょう。