お車代とは何か
お車代 御車代
お車代とは、葬儀や法要を行う際に、僧侶に葬儀会場まで来ていただくための交通費のことです。
古くは喪主、または親族が僧侶の送り迎えをするという習わしがありました。
しかし、現在は僧侶自らが葬儀会場まで足を運んでくれるようになり、送り迎えを断る僧侶も増えてきました。
お車代は、一般的には葬儀会場まで僧侶に来てもらう際に用意するものですので、失礼のないよう、正しい渡し方でお渡ししなければなりません。
しかし、宗派や宗教によっては受け取らないケースも少なくありません。
例えば、喪主が車を手配する場合、お寺で葬儀、法要を施行する場合です。
お車代で悩んだ時は、依頼した葬儀社の担当者、もしくは親族の年長者に前もって訪ね、正しい渡し方を教えてもらっておきましょう。
お車代の金額相場
費用
お車代の金額相場は3000~5000円となっていますが、移動距離によっては10000円を超える場合も少なくありません。
お車代の金額相場は以下の通りです。
金額相場
葬儀 5000~10000円
四十九日 5000~10000円
納骨 5000~10000円
一周忌 5000~10000円
三回忌 5000~10000円
このように、葬儀の際にお渡しするお車代の相場は5000円~となっています。
ですが、 遠方から電車、バス等の公共機関を利用する場合には実際に必要な利用料金に不足しない金額をお渡しするのが、正しい渡し方です。
この場合には、実際にかかる交通費に3000~5000円を加算してお渡しするのが基本であり、正しい渡し方になります。
実際の例
例えば、 往復のタクシー料金が7650円だった場合 です。
キリの良い10000円をお渡しするのが正しい渡し方であり、失礼のない金額になります。
また、 遠方から来てもらう場合には宿泊施設を用意しておかなければならないことがあります。
その場合には、宿泊施設の予約、宿泊料金を確認しておかなければなりません。
この場合のお車代に関しては、宿泊料金に3000~5000円を加算した金額になります。
このように、お車代の金額相場はその時々の状況によって異なりますが、失礼のないように包むのが、正しい渡し方です。
はっきりとした金額が分からない時は寺院に問い合わせてみるのも、一つの手段です。
事前に寺院に相談しておくことで、僧侶、喪主の精神的な負担を減らすことができる上、お車代の金額、渡し方で悩むこともありません。
お車代の渡し方【包み方】
お車代
お車代の金額を決めたら、お渡しする際の袋を用意します。
どのような袋を用意し、どのような渡し方をすれば良いのでしょうか。
封筒の選び方
表書きの書き方
中袋を使用する場合の渡し方について
お札の種類
不祝儀袋、白封筒に入れるお金の枚数について
お札の向き
封筒の選び方
一般的には無地の白封筒を使用しますが、黒白、もしくは双銀の結び切りの不祝儀袋でも構いません。
宗派、エリアによっては黄白の水引を使用することもあります。
不安な時は葬儀業者、または年配の方に相談し、袋の選び方、渡し方を聞いておきましょう。
表書きの書き方
お車代を入れる袋への表書きは、一般的には「御車代」「御車料」「お車代」「お車料」と書きます。
使用するペンは筆ペン、毛筆になります。
僧侶にお渡しするものですので薄墨ではなく、通常の墨を使用します。
薄墨で書くと、失礼な渡し方になる場合もありますので、注意しましょう。
「御車代」の下側に「〇〇家」もしくは「〇〇 ○○」と喪主の氏名を書きます。
金額の書き方は、通常の場合とは異なりますので、注意が必要です。
一般的には1万円、もしくは10000円と書きますが、葬儀の場合は大字を用います。
ちなみに、この大字を使うのは金額の書き換えを防ぐためです。
数字 大字
1000円 壱千円、壱仟圓
3000円 参千円、参仟圓
5000円 五千円、伍仟圓
10,000円 壱万円、壱萬圓
20,000円 弐万円、弐萬圓
30,000円 参万円、参萬圓
日ごろ使用する漢数字とは異なりますので、間違って書くことのないよう、十分に注意しましょう。
お車代の書き方に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
【図解】法事・法要のお車代の表書きの書き方は?封筒の選び方・入れ方・渡し方も解説
第三人生編集部
中袋を使用する場合の渡し方について
中袋のある袋を使用する場合には、表には中に入れた金額を「○千円」「○萬円」と記入し、裏側に喪主の住所、氏名を書き入れます。
エリア、宗派によっては中袋には何も記載しない場合もありますので、気になる時は葬儀業者等に確認しておきましょう。
また、 宗派、エリアによっては、中袋を使用する場合、袋が二重になることから「不幸が重なる」を連想させるとして敬遠されることがあります。
その場合は無地の白封筒、もしくは黒白、双銀の結び切りの不祝儀袋のみを使用しません。
それが、正しい渡し方です。
お札の種類
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葬儀の場合、古いお札を使用するというエリアもありますが、 基本的には僧侶への感謝を表すものですので、新札が望ましく、正しい渡し方だとされています。
ただし、 宗派によっては新札を予め用意していたと見られることから、古いお札が望ましいとされ、古いお札を使用することが正しい渡し方だとされる場合があります。
失礼のない渡し方ができるよう、前もって確認しておくことをおすすめします。
正しい渡し方が分からない時は、葬儀業者の担当者、葬儀の経験のある親族等に相談してみてはいかがでしょう。
新札でなければならない場合、土曜日曜で新札に交換することができないことがあります。その場合も、葬儀業者の担当者に相談することで解決できます。
実は、葬儀業者では、葬儀において新札が必要になることがあることから、日ごろよりいくばくかのお金を新札に交換し、用意しています。
相談すれば、すぐに対応してくれますので、まずは、問い合わせてみることをおすすめします。
不祝儀袋、白封筒に入れるお金の枚数について
お車代を不祝儀袋、白封筒に入れる際、注意しなければならないことがあります。
それは、お車代に使用するお札の枚数です。
例えば、お車代として5000円を用意するとしましょう。
1000円札5枚でも問題ないという方もいらっしゃいますが、 一般的には割り切れない枚数を入れるのが、正しい渡し方です。
この場合は5000円札1枚、10000円の場合は1万円札1枚が望ましいとされています。
お車代に使用するお札で、枚数が不足している場合も葬儀業者に相談してみましょう。
葬儀のプロである葬儀業者は葬儀に必要なものであれば、どんなことでも迅速に相談に乗ってくださいます。
気になる時は、まずは相談が原則です。
失礼のない渡し方ができるよう、お車代を用意する前に相談しておくことをおすすめします。
お札の向き
袋に入れる際のお札の向きに関してですが、 正しい渡し方は僧侶が袋を開けた時に上にお札の顔が見えるよう、顔が左側になるように入れます。
間違っても、顔が下にくる、裏側になっている、入れ忘れる等のないよう、注意しましょう。
お車代の渡し方【タイミング】
時計
お車代の渡し方についてですが、お渡しするタイミングは葬儀が終わった後です。
僧侶へのお布施と一緒にお渡しするのが、正しい渡し方です。
葬儀の後はバタバタしていることもあり、お渡しするタイミングを逸してしますことがあります。
その場合は葬儀が終わるころを見計らって、早めに用意しておきましょう。
ちなみに、 葬儀会場で渡す場合は僧侶の控室へ出向いてお渡しするのが、正しい渡し方です。
タイミングが分からない時は葬儀業者の担当者にその旨を伝えておき、タイミングを教えてもらうようにしておくと安心です。
また、参列者が多く喪主が忙しい場合には遺族、親族、または葬儀業者の担当者に依頼することもできます。
葬儀当日が難しい場合は、葬儀を終えた翌日でも構いません。
寺院まで足を運び、僧侶に無礼をしたお詫び、葬儀のお礼を伝えましょう。
お車代の渡し方【作法】
渡す
お車代をお渡しする際は、 お盆に乗せて渡す、袱紗を使用する場合の2パターンがあります。
それぞれの正しい渡し方を説明します。
お盆を使った正しい渡し方
袱紗を使う正しい渡し方
お盆を使った正しい渡し方
まず、 お盆に乗せてお渡しする渡し方ですが、使用するお盆は小さめの丸いお盆、または切手盆と呼ばれている四角いお盆を使用します。
そのお盆の上にお車代と書いた不祝儀袋を乗せ、僧侶の方から見て正面になるように置くのが、正しい渡し方です。
この際、 絶対に自らの手で不祝儀袋をもち、僧侶に手渡すことのないよう注意しましょう。
直接手渡しでお渡しする渡し方は、マナー違反です。
切手盆に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
切手盆とは?使い方、色・柄・サイズ!販売場所や費用相場も
第三人生編集部
袱紗を使う正しい渡し方
次に袱紗を使用する渡し方ですが、 袱紗をお盆代わりに使用することで正しい渡し方ができます。
お布施と一緒にお渡しする時はお車代の上にお布施を置くように乗せましょう。
間違っても、お布施の上にお車代を置くことのないようにしてください。
この渡し方は失礼に当たりますので、注意しましょう。
順番は上にお布施、下にお車代です。
袱紗への包み方は以下の画像のような手順で包んむと綺麗に包むことができます。
袱紗 包み方 前半
袱紗 包み方 後半
袱紗に包んでお渡しする場合は袱紗を一度開けて、お布施とお車代を取り出したら、袱紗の上に僧侶から正面になるように置き直します。
袱紗(ふくさ)に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
ふくさとは?弔事用の色や不祝儀袋の包み方!購入場所や代用品も
第三人生編集部
お車代の渡し方【添える言葉】
僧侶
お車代は正しい渡し方でお渡しなければなりません。
その上で、 僧侶へのお礼を込めてひと言添えて渡すと、気持ちが伝わる ものです。
添える言葉の例文をいくつか紹介しましょう。
葬儀後の場合
葬儀前の場合
葬儀後の場合
お車代は、葬儀後にお渡しするのが一般的です。
本日はありがとうございました。些少ではありますが、こちらはお礼でございます。
本日は誠にありがとうございました。どうぞ、お納めください。
本日は◯◯の葬儀のために供養いただきまして、ありがとうございます。
葬儀前の場合
お車代を葬儀前にお渡しする場合は、葬儀後にご挨拶できないことを想定し、その旨をひと言添えておきましょう。
本日はありがとうございます。葬儀後、ご挨拶が叶わないかもしれません。どうぞよろしくお願いします。
本日は故人〇〇の供養のためにありがとうございます。葬儀後にご挨拶できないかもしれませんので、ここでお礼を申し上げます。どうぞよろしくお願いします。
本日は○○の供養のためにありがとうございます。些少ではございますが、こちらはお礼です。どうぞよろしくお願いいたします。
お車代の渡し方の注意点
! 注意
お車代をお渡しする際、お布施と一緒に不祝儀袋に入れても良いのか、分けてお渡しするものかと渡し方で迷う方も少なくありません。
失礼のない渡し方とは、また、参列者にお車代は必要なのでしょうか。
お布施とお車代の正しい渡し方
参列者へのお車代は必要なのか
お布施とお車代の正しい渡し方
まず、結論を申し上げますと、 お布施とお車代は同じ不祝儀袋に入れてはいけません。
必ず、お布施、お車代と別々の袋を用意し、それぞれに表書き、氏名を書きます。
なぜ、一緒ではいけないのか、不思議に思われる方もいるでしょう。
お布施は僧侶に葬儀に来てもらって故人を供養してもらったお礼になりますが、お車代は僧侶が葬儀会場まで来るための対価になります。
お礼と対価は、同じ袋に入れてお渡しするのは失礼にあたります。
また、意味合いが違っていることから、それぞれ別の袋に入れてお渡しするのが、一般的です。
お布施に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
お布施の封筒の表書き・中袋・裏面の書き方!お札の入れ方や渡し方も
第三人生編集部
参列者へのお車代は必要なのか
参列者へのお車代ですが、こちらは用意しなくても問題ありません。
故人を偲び、葬儀に参列していただくものですのでお車代は必要ありません。
ただし、参列者が遠方よりお越しの場合は、遺族側が気を遣わなければなりません。
宿泊できる葬儀会場でない場合には、土地勘のある親族が代表して宿泊施設を探してあげましょう。
その場合には参列者に宿泊料金を請求するわけにもいきませんので、喪主側の負担となります。
お車代の渡し方、金額相場について分かりやすく解説
今後長いお付き合いになる僧侶に対して失礼があってはいけないと思っても、いざ葬儀になれば、誰もが慌ててしまうものです。
お車代の正しい渡し方まで頭が回らなかったと、葬儀の後に後悔する方も少なくありません。
僧侶は葬儀を施工する上で最も重要な役割を果たしてくださる大切な人です。
それだけに急な不幸にそなえ、葬儀の正しいマナーは身に着けておく必要があります。
特に、お車代の金額相場、渡し方は宗派、地域の習慣等によって渡し方が変わってくるため、知らずに渡してしまえば、失礼に当たることがあります。
お車代の正しい渡し方で悩んだ時は、葬儀のプロ、もしくは親族の年長者を頼りましょう。
大切な故人の葬儀で後悔することのないよう、正しい渡し方を身に着けておくことをおすすめします。