この記事の結論
墓標とは木材の仮墓・墓誌・墓石の3つを指します。必ず立てないといけないものではありません。
墓標の価格は、木材の仮墓(約10万円)墓誌(10~50万円)墓石(60~200万円)です。墓誌と墓石は彫刻費用が別途必要になります。
墓標とは?
卒塔婆墓
お墓の標(しるし)と書く墓標。
文字通り、そのお墓に誰がまつられているのかを書いたものの事を言います。
そんな墓標には、3つの種類があります。
それぞれの墓標が何を示すのか、基本的な点から考えてみましょう。
木材の仮墓
墓誌
墓石
木材の仮墓
木材で出来た仮墓は、墓石を建てる前に墓地に立てる墓標のことです。
石材業者や墓石の業者の間では、「墓標」はこの仮墓のことを指します。
したがって、事項で説明する墓誌や墓石を「墓標」とは呼びません。
木材の仮墓は、亡くなった方の享年や名前、戒名等を書き入れた木材で、通常は角材の形状をしています。
墓石を建てるまでの間、骨壺を埋めた場所の上に立て、その前には線香やお花を供える場所を用意します。
様々な理由により、墓石を建てるのを先送りしたい場合、木材の仮墓を墓石の代わりとして当面の間つかいます。
墓誌
墓誌(ぼし)もまた、一般的には墓標と呼ばれているものの一つです。
墓誌は、その墓地にまつられている人の情報が書かれた、石の板のことです。
一つの墓地に複数の人をまつる場合、墓石に「〇〇家代々之墓」と刻み、各個人の情報を墓誌に刻みます。
墓誌は必ず建てなくてはいけないものではありません。
墓地にまつる人数が増えた場合や、用意した墓地を代々の墓地にしたい等、必要に応じて用意します。
墓石
墓石のことを、墓標と呼ぶ場合もあります。
一般的に墓として一番初めに想像するものは、墓石でしょう。
墓石には、故人の情報が刻まれていますので、「墓の標」という意味で墓標と呼ばれることがあります。
墓標の文字の意味
墓
墓標には、故人や先祖に関する文字を刻みます。
これは、先ほど説明した3つの墓標全てに言えることです。
彫り入れる文字の意味も、きちんと理解しておきましょう。
彫刻する文字
戒名とは
彫刻する文字
墓標に彫刻する文字は、故人や先祖に関する内容です。
3つの墓標ごとに内容が異なりますので、それぞれを考えていきましょう。
木材の仮墓
墓誌
墓石
木材の仮墓
木材の仮墓に刻む文字は、仮墓に埋葬された個人に関する内容です。
故人の名前、戒名、享年月日、享年を書き入れます。
木製の為、多くは彫刻ではなく墨書きされていることも、仮墓の特徴の一つです。
墓誌
墓誌に彫刻する内容は、墓地内に埋葬された人に関する内容になります。
仮墓と同じく、故人の名前、戒名、享年月日、享年を埋葬された順に彫刻するのが一般的です。
何を記載しなくてはいけない、という決まりはありません。
ですが、墓誌は子孫に先祖の情報を伝えるという意味合いもありますので、出来るだけきちんとした情報を刻みいれる方が良いのです。
墓石
墓石に彫刻する内容も、他の2つと同じです。
故人の名前、戒名、享年月日、享年を墓石の裏側に入れます。
墓誌と異なるのは、墓石の場合は大人数の情報を入れない、ということです。
多くの場合、夫婦は同じ墓石に名前を刻みますが、次の代はまた別の墓石を建てます。
その為、墓地を代々の墓とする際には、墓誌という選択が有効なのです。
戒名とは
墓標には戒名という、仏教徒に与えられる特別な名前を刻みます。
戒名とは、仏の弟子となった証に付ける名前の事。
仏教の各宗派により、様々な名付け方があります。
勿論、生前や死後に戒名を頂かなかった方、仏教以外を信仰する方には戒名は存在しません。
故人の状況に合わせて、戒名の彫刻を考えると良いでしょう。
戒名に関しては、こちらも参考にしてください。
戒名とは?宗派別の付け方やランク別の値段を解説!生前戒名も
第三人生編集部
墓標の一般的な価格相場
お金 相場
3つの墓標は、それぞれ作成する目的が異なりますので、当然相場価格も異なります。
一般的な相場は、以下のようになります。
金額 備考
木材の仮墓 約10万円 -
墓誌 10~50万円 彫刻費用等は別途必要
墓石 60~200万円 彫刻費用等は別途必要
墓誌と墓石に関しては、石材の種類によっても相当の値段幅があります。
相場表の金額よりも安価な石材もあれば、更に高価な石材も存在します。
また、デザインによっても価格は様々ですので、実際の購入の際には幾つかの石材店で見積もりを取ると良いでしょう。
墓標(木材の仮墓)を建てる理由
理由
木材の墓標を建てる本来の理由は、遺体を埋めた場所の目印とするためです。
昔の日本は土葬が一般的であったため、遺体は自宅等に置くことなく、すぐに埋葬する必要がありました。
ところが、墓石を用意するにはどうしても時間がかかります。
そんな時に遺体を埋めた場所の目印に、木材の仮墓である墓標を建てたのです。
つまり、火葬が一般的となった現代では、木材の墓標は必ずしも建てる必要はありません。
では、現代において木材の墓標を建てる意味はどこにあるのでしょうか?
建てる理由としては、以下のような状況が考えられます。
墓石をまだ決めていない場合
木材の墓標を用意する一番の理由は、墓石がまだ決まっていない場合です。
これは、土葬の風習があった時代と全く同じ理由になります。
遺骨は墓地に埋葬するが、墓石はまだない。
そういった場合に、木材の墓標を用意します。
家に遺骨を置いておけない場合
たとえ墓石が決まっていなくても、火葬が一般的である現代では、すぐに遺骨を墓地に埋葬しなくても構いません。
墓石が決まるまで、遺骨は自宅で保管すれば良いのです。
ところが、自宅に仏壇や祭壇がない、自宅に遺骨をまつる場所がない場合は、遺骨は墓地に埋葬するしかありません。
そんな時も、やはり木材の墓標が必要になるのです。
墓標(木材の仮墓)を取り除くタイミング
時間
このように、木材の墓標には墓石を建てるまでの仮の標という、明確な目的があります。
その為、目的が果たされた際には、木材の墓標を取り除く必要があるのです。
どのタイミングで墓標を取り除けば良いか、ご説明いたします。
石の墓石ができた時
木材の墓標は、墓石を建てるまでの仮のものです。
その為、墓石を建てる際には、取り除くことになります。
墓石を建てるまで、という一定の時期だけ使用するのが、木材の墓標の役割。
役割を終えた時が、取り除くタイミングなのです。
強度が弱いためそのままお墓とはしない
木材の墓標は、そのままお墓として使用はできません。
先ほどの墓標の相場では、木材の墓標が一番安価で済みます。
ですが、仮の標は、あくまでも「仮」のものです。
木材であるため強度がなく、お墓として長期間使用することはできません。
どんなに管理を行っていても屋外にある墓標は風雨に晒され腐食していくので、当然ですよね。
木材の墓標は、仮墓であることを前提に建立しましょう。
墓標(墓誌)を建てる理由
疑問
墓誌を建てるのは、墓地に埋葬する人数が多くなった場合です。
墓石に刻めない程の人数となった場合、新たな墓石を用意するよりも、墓誌を建てる方が経済的です。
墓誌の役割について、詳しく見ていきましょう。
埋葬されている人の名前が多い場合
墓誌を建てる一番の理由は、埋葬されている人数が多くなった時です。
何代にも渡って同じ墓地を使用していれば、一つの墓石では全員の情報を刻みきれません。
加えて、墓地の広さにも限度があります。
その都度高価な墓石を建立していては、経済的とは言えませんよね。
墓誌を建てれば、墓石は一基で済み、後は代々墓誌に名前を刻むだけで済みます。
開眼供養を何度も行わずに済む
墓誌を建てるもう一つの理由に、開眼供養が必要なくなる、という理由があります。
開眼供養は、墓石に手を加える際、まずはそこに眠る人の魂を墓石から抜き出す為に行う儀式です。
墓じまい等の大掛かりな行事でなくとも、墓石に文字を刻む際には開眼供養が必要となります。
ところが、墓誌の場合は、故人の情報が刻まれているだけですので、新たに彫刻する際に開眼供養は必要ではないのです。
開眼供養に関しては、こちらも参考にしてください。
開眼供養・開眼法要とは?流れ・費用は?時期・服装・マナーも紹介
第三人生編集部
墓標(墓誌・墓石)と共に建てるのが一般的なもの
墓誌
墓誌や墓石を建てる際は、墓地の装飾を共に建てることが一般的です。
勿論、それぞれ別途費用が掛かりますし、墓地の広さによっては全てを建てることは出来ない場合もあります。
必ずしも全てを建てる必要はありませんが、墓地に建てる墓標以外のものについても、必要に応じて用意しましょう。
外柵
塔婆立て
灯籠
外柵
外柵(がいさく)は、墓地の周囲を囲む柵のことです。
隣の墓地との境界を示す為に建てられます。
外柵の相場は、石材の価格や墓地の広さによって様々です。
小さな墓地の場合は30万円程度、大きな墓地になると100万円近くかかる場合もあります。
ただし、とても小さい墓地の場合や、隣との境界が存在しない墓地の場合外柵は作りません。
外柵が必要かどうかは、同じ墓地内の状況等を考慮した上で決めましょう。
塔婆立て
塔婆立ては、卒塔婆を立てる為の道具です。
素材は主にステンレス製で、価格は1万円~3万円が一般的な相場となっています。
塔婆立ては、外柵と一体となっているタイプもありますので、外柵に付いている場合は新たに設置する必要はありません。
また、浄土真宗の場合は卒塔婆を使用しませんので、塔婆立ても必要ありません。
灯籠
灯籠は、墓石の両脇に一対設置します。
大きな墓地等の場合は石灯籠等の大きい灯籠を設置しますが、スペースがない場合は小さいサイズの灯籠もあります。
一般的な相場は3~10万円程度、ただし大きさやデザインによっては100万円に達するものもあります。
墓地の大きさを考慮し、用意するようにしましょう。
灯籠に関しては、こちらも参考にしてください。
灯篭・灯籠とは?灯篭流し・飛ばし、墓前灯篭・石灯篭も解説
第三人生編集部
墓標は必ずしも建てる必要はない
墓標には、3つの意味がありました。
ですが、これら3つの墓標は、それぞれに建てる意味合いが異なります。
特に、木材の仮墓や墓誌については、必須のものではありません。
木材の仮墓
木材の墓標は、あくまでも墓石を用意するまでの仮墓です。
火葬後にすぐ墓地に遺骨を埋めない場合は、建てる必要はありません。
墓石を用意するまでは自宅等で遺骨を保管しても問題ありませんので、木材の墓標を建てるかどうかは、家族と相談して決めましょう。
墓誌
墓誌は、その墓地が今後も代々の墓として使用する場合は、経済面からも建てた方が良いです。
ですが、近年、次の代への負担を減らしたいと墓じまいを行うことも増えました。
墓が代々継いでゆくものではなくなりつつある現代、今から墓誌を建てる場合はあなたの墓を継ぐ人物ともよく話し合って建てるようにしましょう。
墓誌の役割などに関しては、こちらも参考にしてください。
墓誌とは?役割や歴史、費用を解説!購入の流れ・名入れも紹介
第三人生編集部
墓標とはお墓に眠る人の墓標
墓標はどれも、標という意味で使用するものです。
それぞれの意味をよく知り、あなたの墓地に必要な墓標を選択して設置するようにしましょう。