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健康

2024.04.30

男性の平均寿命は81歳!女性よりも短い理由や伸びている理由とは?

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日本は世界でもトップクラスの長寿大国で、男性の平均寿命もついに80歳を超えました。
ところでなぜ男性の平均寿命が女性よりも短いか疑問に思ったことはないでしょうか?

男性の平均寿命が短い理由は、生物学的な理由はもちろんのこと、社会的・文化的な要因も強く影響しています。
なぜ男性の平均寿命が短いのか、平均寿命が伸びているのか、その理由をお答えします。

日本人の平均寿命の定義
高齢者 孫
そもそも平均寿命とはなんでしょうか。

平均寿命は私たちが誕生したときからどれくらい生きるのか、という期待値のことを 言います。
平均余命とも呼ばれていますが、 特に0歳での平均余命のことを平均寿命と呼んでいる のです。

さて平均余命ですが、 平均余命は年齢ごとの死亡率と国税調査の統計で割り出されています。
日本では厚生労働省が公表しており、生命表と呼ばれています。

平均寿命(0歳時点での平均余命)は生命表を元に、全ての年齢と全ての年齢毎の死亡率を掛け、合算して求めることができます。

1×(1歳の死亡率)+2×(2歳の死亡率)+・・・・・
なお 日本の平均寿命の計算には、あまりにも少数である高齢者のデータは含まれていません。
その方々のデータを加味すると、その生死によって統計上大きな影響を受けてしまうからです。

発表されている統計は実際の平均寿命よりも小さいことに注意しておきましょう。


日本人の平均寿命の推移【男性・女性別】
人生時計「平均寿命の年次推移」
戦後から平均寿命が50年を超えた
現在は人生100年時代と言われるほど平均寿命が延びていますが、これほどまでに長生きできるようになったのは、つい最近のことです。

戦前まで日本人の平均寿命は男性・女性とも50年を超えることがありませんでした。
衛生面の問題や戦争など様々な要因がありましたが、それが戦後に入って昭和22年、初めて平均寿命が50年を超えるようになったのです。
そこから 50年あまりのうちに男性・女性の平均寿命は80を超え、日本は世界的な長寿大国となった のです。

平均寿命の推移
厚生労働省が公表している平均寿命の推移を見ていきます。

戦後間もない 昭和22年の女性の平均寿命は53.96歳で、男性は50.06歳 でした。
その後順調に平均寿命は延び続け、 2019年7月に公表された平均寿命は男性で81.25歳、女性で87.32歳 です。

1995年、2011年に男性・女性ともに平均寿命が下降する現象が見られます。

この年に阪神淡路大震災、東日本大震災が発生していました。
こういった 大規模な自然災害は、性別に関わらず、平均寿命に影響を及ぼすことがあります。

そのため地震や熱中症・交通事故といったいわゆる不慮の事故を平均寿命から除外して計算されることもあります。

内閣府の「平均寿命の将来推計」では、 平均寿命は今後も伸び続け、2060年には男性84.19歳、女性は90.93歳になると予測 されています。

日本人の平均寿命は84.2歳!人口の推移も解説
第三人生編集部

男性の方が平均寿命が短い理由
高齢者 趣味
男性ホルモンの影響
喫煙が平均寿命に影響を与えている
離婚による健康リスク
そもそも健康意識は女性の方が高い
男性ホルモンの影響
世界的に見ても平均寿命は女性の方が長く、日本も例外ではありません。
生物学者がヒト以外の霊長類を対象に行った調査でも、雌の方が雄よりも平均寿命が高いと報告されており、 性差での平均寿命の差は明らか です。

その要因の一つが男性ホルモンであると言われています。

男性ホルモンの役割は筋肉を発達させ、内臓脂肪を減らすことです。
一方で男性ホルモンがもたらす興奮性による突然死(事故など)や免疫機能の低下、心臓発作などの循環器系の死亡リスクが高まる ことが分かっています。

たとえば猫や犬を去勢したとき、寿命が延びることが知られていますね。
これは男性ホルモンの供給を減らすことで心臓病のリスクを減らし、免疫機能が高まったためと考えられています。

喫煙が平均寿命に影響を与えている
日本の男性の死因で多いのはがん(悪性新生物)です。
次いで心疾患、脳血管疾患の順番で多くなっています。

がんには大腸がん、肺がん、肝臓がんなどありますが、とりわけ 男性に多いのは気管支や肺など呼吸に関わるがん です。

日本は先進7ヶ国(G7)の中では2番目に喫煙率が高い国です。
男性の方が平均寿命が短い理由として、この高い喫煙率に注目が集まっています。

タバコを吸う人は吸わない人に比べで寿命が8年から10年短くなる という論文があり、がんの他にも脳卒中や糖尿病の原因にもなります。
成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)を見ていくと、 タバコを習慣的に吸っている人の割合は男性でおよそ30%、女性で8%と圧倒的に男性の方が多い です。

男性の平均寿命の短い理由に喫煙率と健康について考える余地は十分にあるでしょう。

離婚による健康リスク
男性・女性で 平均寿命に差が大きいことは社会的要因と大きな関わりがあります。
その一つが離婚したときの健康リスクです。

離婚したとき女性の余命は延び、男性は短くなると言われています。
離婚した男性が糖尿病で死亡した割合は、既婚男性のおよそ12倍 ともいい、次いで肝疾患、脳血管疾患で割合が大きくなっています。

これらの病気は生活と密接に関わっている病気です。

残念ながら日本では、家庭の仕事は女性が担うという認識が根強く残っており、現在も食事や洗濯といった家事は妻に任せてしまっている男性は少なくないのではないでしょうか?

離婚によって男性は生活環境が著しく変化しやすく、平均寿命を縮めてしまっているという節も あります。

そもそも女性の方が健康意識が高い
男性の方が平均寿命が短い理由の一つに、 そもそも相対的に女性の方が健康に関して意識が高い ことが挙げられます。

女性の体は妊娠・出産や閉経など人生を通して大きく変化することや、社会文化的に男性以上に外見で評価されやすいため 健康意識が強いといいます。
実際の市場でも、ストレスを溜めないためのリラックスグッズや、体の不調を予防するためのサプリメントなど、女性の健康意識に訴えた商品が多数展開されていますね。


男性の平均寿命が伸びている理由
高齢者
男女の平均寿命の差は平成27年度から少しずつ小さくなっている傾向にあります。
医療技術の向上はもちろんのこと、健康志向の高まりも影響し、男性の平均寿命が伸びた ことが考えられます。

健康意識の高まり
若者の食生活の変化
喫煙率の低下
健康意識の高まり
たとえば運動をすることで保険料の支払いを安くできる生命保険や、従業員の健康に配慮する健康経営を導入する企業など、 各分野で健康意識が高まっています。

実際に経済産業省も健康経営を推進し、2016年には健康経営を実践する企業を表彰する制度を導入し始めました。

男女の健康意識に関する調査報告書(平成29年内閣府委託事業)によると、 男性・女性ともにがん検診の受診率が増加 しています。
これにより 病気の早期発見や予防に繋がり、平均寿命が伸びた 要因のひとつと考えられます。

若者の食生活の変化
グルテンフリーやマクロビオテックなど、これらは一見、女性が好む食のトレンドのように思えます。
しかし2016年頃から 20代男性の健康意識が上昇している ことが分かってきました。

たとえば20代男性は

トクホ飲料を選ぶ
甘いものを控える
グリーンスムージーを飲む
など食と健康に関わるアンケート調査(電通ヘルスケアプロジェクト)で少しずつポイントを伸ばしています。

健康への意識や行動が昔よりも特別なことでなくなり、体に良いものを選ぶのに男性・女性という差が小さくなった のでしょう。

喫煙率の低下
2020年の東京オリンピック開催で注目を集めていたのが日本の喫煙率です。
日本は先進国の中ではまだまだ喫煙率が高い傾向にあり、海外では批判の対象にもなっています。

もちろん日本でも タバコの害は周知されているため、男性の喫煙率は昭和41年をピークに(83.7%)どんどん低下 しています。
2018年のJT全国喫煙者率調査では27.8%で、ピーク時と比べるとおよそ50%以上も下げました。

喫煙率が低下した理由は、

タバコが高価になった
健康被害の周知が進んだ
吸う場所がなくなった
喫煙はダサいというイメージ
などが挙げられます。

お金の節約や妻の妊娠、自分の健康のため、 理由はさまざまですが、喫煙率の低下が結果的に男性の平均寿命を底上げしています。

文部科学省が行った平成24年度の「薬物等に対する意識等調査」では、高校性の喫煙者に対する印象が「かっこわるいと思う」は増えています。

こうして 将来を担う世代の非喫煙の意識が高まると、ますます男性の平均寿命が伸びていく可能性が あります。


日本人の平均寿命と健康寿命の違い
違い
男性も平均寿命が80歳を超え、私たちのセカンドライフはますます長くなってきました。
ここで登場してきたのが 「健康寿命」 という言葉です。

健康寿命の定義
健康寿命は2000年にWHOが提唱したものです。
その定義は以下のようなものです。

健康上の問題で日常生活が制限されることがなく生活できる期間


平均寿命が伸びると次に問題になってくるのが、健康的に過ごせる期間の延長 です。
当然ながら年齢を重ねると足腰も弱まり、食べることも難しくなってきます。
日本では介護費や医療費の増加による社会保障の負担が懸念されているため、政府としても平均寿命と健康寿命の差を小さくしたいという考えがあります。

私たちも 食べ物を制限される生活よりも、好きなものを好きなだけ食べたいし、人の手を借りずに自由に行動したいと思う でしょう。

健康寿命を決める要因
健康寿命を決める要因には大きく3つあります。

身体的要素(ロコモ・生活習慣病の予防など)
心理的要素(認知症予防など)
社会的要素(地域コミュニティや交友関係など)
普段から運動をしたり栄養バランスに気を遣った食生活をしたりすることで、病気やロコモティブシンドロームを防ぐ効果が あります。
ロコモティブシンドロームは「立つ」「歩く」「座る」といった基本的な動作がしにくくなった状態を指します。
人間は立って歩く生き物ですので、足腰が弱まることが健康寿命を縮めることに直結します。

また意外に思われるかもしれませんが、 社会性も健康寿命に密接に関わっています。
とくに男性に多いのですが、退職して人との関わりが減り引きこもりがちになるケースです。

たとえば趣味を一緒に楽しむ仲間や、地域ボランティア活動など自分の居場所が複数あると、気持ちがポジティブになり笑顔も増えるでしょう。

笑うという行為は認知症予防や免疫機能を高める効果がありますし、人との関わりは体を動かす動機付けにもなる のです。
平均寿命が伸びている現在、より良いセカンドライフを過ごすためには健康寿命に配慮することが不可欠です。


【コラム】日本人男性の三大疾患
高齢者 病院
平均寿命が伸びたことで、私たちの老後の生活も長くなります。
引退した今こそ、趣味に打ち込んだりパートナーと旅行に出かけたり、充実したセカンドライフを送りたいと思うはずです。

健康的に過ごすために、今から私たちにできることはないでしょうか。
日本人男性の死因になりやすい病気を知ることでそのヒントが得られます。

日本の死因ランキング1位:がん
日本の死因ランキング2位:心疾患
日本の死因ランキング3位:脳血管疾患(のうけつかんしっかん)
日本の死因ランキング1位:がん
日本人男性で最も多い死因はがんです。
とりわけ多いのが、気管や気管支・肺といった呼吸を司る部分のがんと、胃や腸といった食に関わるがん、そして肝臓がんです。

これらはがん全体のおよそ50%以上を占めており、明らかに生活習慣に原因をもったがんです。
国立がん研究センターなどが調べた結果、 日本人のがん予防にとって重要なことは

禁煙
禁酒
食生活
と答えています。

日本はたばこ対策に関して発展途上と言わざるを得ません。
2017年に喫煙に関する法整備がされたとはいえ、限定的でまだまだ望まない喫煙(受動喫煙)をしてしまうこともあります。

禁酒を含めた食生活の改善も重要です。
食の欧米化、加工品の食べ過ぎのよる栄養バランスの乱れ、塩分の取り過ぎはこれまでも指摘されていました。

日本人にあった食事はやはり日本食です。
味噌やしょうゆ、納豆など日本由来の発酵食品には免疫機能を高め、がん予防に繋がると期待 されています。

パン食が多ければご飯食を増やす、魚メインのお料理を増やすなどから始めてみてはいかがでしょうか。

日本の死因ランキング2位:心疾患
心疾患はがんに次いで死亡率の高い病気です。
心臓の筋肉や血管に関わるトラブルの総称で、心筋梗塞や動脈硬化などが挙げられます。

心疾患は突然死にも繋がる病気 です。
前兆として現れるのが胸の痛みで、呼吸ができないほど痛むこともあれば軽い息切れを感じる程度のこともあります。
有名人で言うと俳優の大杉漣さんやアニメ声優の鶴ひろみさんが心不全で亡くなっています。

予防策としては 食生活の改善や運動、ストレスを避けること とあります。
糖尿病や高血圧は特にリスクが大きくなるため、 定期検診を受けて自分の体の具合を知る ことも大切です。

まずは定期検診と、散歩を楽しむことから運動の習慣を付けてはいかがでしょうか。

日本の死因ランキング3位:脳血管疾患(のうけつかんしっかん)
脳血管疾患は脳の血管のトラブルが原因で起きる病気です。

脳の血管が破裂する出血性と、血管が詰まる虚血性があり 心疾患と同じく、突然死に繋がる病気 で「脳卒中」とも言います。

脳は人間の体を動かす司令塔の役割を果たし、呼吸をすること、体に栄養を運ぶこと、考えることなどを可能とします。
そのため 発症してから一命を取り留めたとしても、何らかの後遺症を残すことが少なくありません。

寝たきりになってしまったり、何らかの介助が必要になるなど、健康寿命にも影響を与えます。

有効な予防策は 生活習慣の改善 です。

特に

高血糖
高血圧
メタボリックシンドローム
不整脈
など複数の症状を持っている人は、それぞれが軽度であっても脳血管疾患のリスクが高いことが分かっています。

睡眠不足の改善、飲酒を控える、禁煙をするなど基本的な生活を見直してみましょう。

日本の死因のランキングは?年代別気を付けるべき病気も解説
第三人生編集部


平均寿命が伸びた今こそ男性もより健康的に
平均寿命が年々伸び、ついに男性も80歳の大台を突破しました。
平均寿命が伸びた背景は、 単なる医療技術の発達ではなく、「健康」に関して誰もが敏感になり行動するようになった ことが考えられます。

セカンドライフも長くなり、仕事をしている間我慢していた趣味に打ち込んだり、温めておいた将来の計画を実現する楽しみも増えたことでしょう。
一方で 社会保障の不安や生活のこと、なによりも健康的に過ごせるかどうかが重要視され始め、健康寿命という言葉を聞くように なりました。

平均寿命が伸びたといえど男性の健康に関するリスクは女性に比べて高いです。
一生懸命に仕事を頑張った分だけ引退したあとに燃え尽きてしまいがちですので、不摂生な生活や引きこもりなどに注意が必要です。

地域の活動に参加したり、毎日の散歩を楽しんだり、 今から少しずつ健康的で有意義な老後の準備を 始めてみませんか。
ポジティブな活動がこれから先、男性の平均寿命を引き上げる原動力になるでしょう。

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