退職した後の健康診断はどうしたらいい?【徹底ガイド】
会社勤めの時は、会社の健康保険に加入しています。そして労働安全衛生法により、会社は労働者に対して健康診断を実施することが義務付けられています。
ですので、会社主導で定期的に健康診断を受けていたはずです。
ですが退職すると、健康保険から離脱することになり、当然退職者に対して健康診断を実施する義務も発生しません。また、保険証も破棄する必要があります。
退職後、他の会社に再就職すれば、再就職先の会社で健康診断を受けることができますが、退職して会社勤めではなくなった場合はどうなるのでしょうか。
会社を退職した後に選べる健康保険
健康診断を受けるためには保険証が必要なので、会社を退職した後にも健康保険に加入して、保険証を手に入れる必要があります。
ここでは、退職した後に選べる健康保険「健康保険任意継続制度」と「国民健康保険」の2つをご紹介します。
健康保険任意継続制度
健康保険任意継続制度とは、退職してから2年間は、在職していた健康保険組合に継続して加入できる制度のことです。
会社での被保険者期間が2カ月以上であることが条件ですが、退職日の翌日から20日以内に、協会けんぽへ申請書を提出することで、2年間継続して加入することが可能です。
(※健康保険組合に加入されていた場合は、健康保険組合で手続きを行います)
ですが、元々会社が半分負担してくれていた保険料が全額負担となりますので注意が必要です。
主なメリット
・勤めていた際の健康保険で独自給付を行っていた場合は、退職後も引き続き以前までの健康保険の給付を受けられます。
・任意継続でも家族の扶養を外す必要がないため、国民健康保険よりも保険料の負担を抑えられます。
主なデメリット
・保険料は全額負担となります。
・期間は最長2年間。その後は別の健康保険に加入しなければなりません。
提出書類である「任意継続被保険者資格取得申出書」のダウンロードはこちらから
国民健康保険
国民健康保険は、その他の医療保険制度に加入していない方を対象とした医療保険制度です。
会社の健康保険から離脱した日から14日以内に、必要書類をそろえた上で加入の届け出を出してください。届け出は、各地域の役所や郵送でも可能です。
また、14日を過ぎた場合でも対応自体はしてくれますが、早めの提出をお勧めします。
国民健康保険は、定期健康診断だけでなく、40歳から74歳の被保険者・被扶養者を対象にした特定健診があります。この特定健診では、生活習慣病の発症リスクを抑えるためのサポートが受けられます。
主なメリット
・健康保険任意継続とは異なり、期間の制限がありません。
・退職や廃業などで保険料を納めるのが難しい場合は、軽減・減免の申請ができます。
主なデメリット
・健康保険に扶養として入っていた家族がいた場合、その家族の方は扶養から外れて個別で国民健康保険に加入する必要があり、保険料が上がる場合があります。
・75歳以上の方は後期高齢者医療制度に
75歳以上になると、後期高齢者医療制度に加入することが義務付けられています。
それまで健康保険へ加入していようとも、国民健康保険に加入していようとも、自動的に後期高齢者医療制度へ加入することになります。
退職した後の健康診断は
健康保険任意継続制度を使えば
退職後2年間は、保険料が全額負担となるものの、任意継続の保険証で健康診断を受けに行くことができます。
国民健康保険を使えば
再就職しない限りは、国民健康保険の保険証で健康診断を受けに行くことができます。
また、40歳以上になれば特定健診を受けに行くことをお勧めします。
マイナンバーの健康保険利用について
ニュースなどでご存じの方も多いと思われますが、現行の保険証は令和6年(2024年)12月2日以降新しく発行されなくなり、その後はマイナンバーカードが保険証の代わりとなります。
ですので、現在マイナンバーカードを持っていない方は早めに取得してください。マイナンバーカードを既に持っている方は、マイナンバーカードの健康保険利用登録を行ってください。
利用登録は、医療機関や薬局の受付、マイナポータル、セブン銀行のATMから行えます。
また現在手元に保険証がある方は、令和6年12月2日以降でも、有効期限までの間、最長1年間使用ができます。
これからも続く長い人生のために
身体の不調や病気は、何の前触れもなく唐突にやってくることがあります。そんなときに後悔しないためにも、あなたが長く充実した人生を歩むためにも、定期的な健康診断を受けていただきたいです。