再雇用とは?
再雇用とは、一度、定年退職を迎えた社員が再度、雇用手続きを行うことができるこの制度は、現在では広く浸透しています。
どういった契約内容なのかなどについて触れていきます。
更新は1年置き
再雇用になると、正社員としての扱いではありません。
はあくまでも嘱託社員扱いとなります。
嘱託社員という法的なルールはありません。
ただ、正社員とは違い、労働時間などが短縮されることがあります。
また、給与面においても正社員に比べて少なくなることがあります。
正社員ではなく嘱託社員
あくまでも年間契約扱いになります。
つまり、更新手続きは1年置きに行われて、その都度、契約しなおします。
この更新手続きは、書類手続きも行われますが、そもそも継続して仕事を続ける意思があるかどうかの確認も行われます。
再雇用と勤務延長の違いは?
再雇用と勤務延長との違いはどこにあるでしょうか。
一般的によく耳にする再雇用は、多くの人が経験していますが、勤務延長はあまり耳にしないでしょう。
実はこの2つはとても大きな違いがあります。
勤務延長とは
まず、そもそも勤務延長とはどういった雇用形態でしょうか。
勤務延長とはその名の通り、今までの勤務がそのまま延長されることを示しています。
つまり、正社員として仕事をしていた人は、その雇用形態のまま仕事を継続することになります。
主な違いは退職の有無
一番明確な違いは、退職があるかどうかです。
再雇用については、まず一度退職手続きが行われます。
この時点で会社によっては退職金等が支払われることになります。
しかし、勤務延長は現在の勤務状態のまま継続されます。
つまり退職はありません。
企業では再雇用の方が多い
ただ、一般的な企業は再雇用が多いです。
勤務延長を行っている企業はまれな存在です。
給与形態や労働形態を鑑みて、多くの企業はこのスタイルを取っています。
再雇用が導入された背景
進む少子高齢化
深刻な労働力不足
高齢者人材の活用が重要
では、なぜこの雇用が企業の中で導入されるようになったのでしょうか。
今までは退職を迎えると同時に、会社との繋がりはなくなりましたが、現在ではこうされる方が多くなっています。
進む少子高齢化
少子高齢化 社会問題
参考:高齢社会白書
上のグラフは政府の統計データをもとに作成したものですが、上のグラフにもある通り、日本は今人口全体の少子高齢化が加速的に進んでいます。
高齢化率に関しては1990年では12%だったのが、10年後には23%と2倍として各段に上がっています。
今後も、少子高齢化は進み、2060年には町行く人の10人のうち4人が高齢者という社会になると見込まれています。
少子高齢化による問題の第一の問題として、労働者自体の減少が挙げられます。
企業は新しい人材の雇用を求めています。
しかし、少子高齢化が進んでいる昨今、新しい人材の確保は至難の業です。
そのため、今企業ができることは、既存の業務内容を可能な限り効率化し、現在の人員で乗り切ることです。
少子高齢化に関してもっと知りたい方は以下の記事も参考にして下さい。
少子高齢化の現状をわかりやすく解説!今後の少子高齢化社会に関する展望も!
第三人生編集部
深刻な労働力不足
また、そもそも実働舞台で働ける人材が不足していることも問題です。
企業は常に向上意欲がありますが、労働力が極端に不足していますので、思ったように業績が伸ばせないでいます。
せめて現状維持を行うためにも、労働力不足を補うための再雇用という流れになっています。
この流れはこれからも続いていくことは間違いありません。
高齢者人材の活用が重要
結果的に高齢者の人材が活用されています。
また、高齢者と言っても今まで第一線で仕事をしてきた人材ばかりです。
そのため、高齢者がまだまだ活躍していけば、企業の大きな発展も見込める可能性はあります。
高齢者にとっても長く雇用してもらえるメリットがありますので、Win-Winの関係が保てています。
そして、現在では人生100年時代という言葉が当たり前になってきました。
昔のように60才でキャリアを終え、その後は隠居生活という言葉は徐々に廃れていっています。
人生100年時代とあるように、60を越えても働き続ける人生設計も重要になっきています。
人生100年時代に関しては以下の記事もご覧ください。
人生100年時代をどう生きる?政府の取り組みや老後に与える影響は?
第三人生編集部
再雇用制度の給与・賃金の決め方は?
お金
再雇用制度の給与や賃金は、どのような方法で決められているのでしょうか。
これからこの雇用方法を行う機会がある人は、ぜひしっかりとチェックしておくべきです。
一般的な社員とは違った給与や賃金形態が取られていますので確認しておきましょう。
賃金は正社員の8~7割程
賃金は正社員の8~7割程というのが一般的です。
通常の賃金よりも少なくなる理由としては、再雇用の方の年齢が老齢厚生年金を取得できる年齢に達しているからです。
老齢厚生年金は60歳以降から受け取ることができますので、給与と合わさることで今までとほとんど変わらない所得になることが多いです。
定年の定めは企業によって異なりますが、こうした理由があることも事実です。
なぜ賃金が低くなるのか?
賃金が低くなる理由として、日本の年功序列制度が大きく影響している背景もあります。
年功序列制度は、50歳を所得のピークとして、それ以降は所得が少なくなるようになっています。
60歳を過ぎて、高い賃金のまま雇用し続けることは企業にとって大きな負担になるため、年功序列制度に基づいて賃金が低くなるケースがあります。
手当について
また、再雇用者は手当関係も削除されることが多いです。
資格手当などを今まで取得していた場合、その手当を削除して支給されるのが一般的です。
こうした理由から、企業から支給される給与等は減ってしまいますが、トータルで考えればそれほど大幅な減額にはなりません。
再雇用制度で仕事はどうなる?
高齢者 学習
正社員と同じ仕事内容とは限らない
これまでと関連した業務内容に
働く時間は短くなることも
再雇用制度を行うことで、今までとの仕事の違いはどうでしょうか。
賃金も気になるポイントですが、やはり仕事内容がどのように変化するのかはとても気になるポイントです。
同じような仕事内容なのか、または賃金が変わるので今までの仕事内容とは大幅に異なるのかについてご説明いたします。
正社員と同じ仕事内容とは限らない
企業にもよりますが、通常は再雇用を行った場合、今までの仕事内容とは異なることが一般的です。
できれば今まで同じような仕事内容が良いと考えている人も多いでしょうが、雇用形態が変わることもあるためそのようにはなりません。
今まではフルタイムで仕事をしていたが、週に4日になったというパターンありますので、同じ仕事内容にはできない場合が多いです。
これまでと関連した業務内容に
ただし、大幅に仕事内容が変わることはほとんどありません。
通常はこれまでと関連した業務内容で仕事を進めることが多いです。
全く同じ仕事内容というわけにはいきませんが、関連した業務内容で仕事を進めていくことが一般的です。
働く時間は短くなることも
また、再雇用を行った場合、働く時間は短くなることもあります。
週に出勤する日が少なくなることもありますが、就業時間が短くなることもあります。
こうした雇用形態の場合、今までと同じ仕事内容で続けることは難しいため、多くの場合では仕事内容が変わります。
再雇用の給料削減対策は給付金
お金
60歳以降新たに活用できる給付金
高年齢雇用継続給付金
教育訓練給付金
再雇用を行ってもらうことで、退職後も収入を得ることができます。
しかし、どうしても今までと同じ所得を守りたい、減額されることは避けたいと考えてしまうでしょう。
しかし、企業側とすれば、そのような希望はなかなか答えてあげることはできないでしょう。
そうしたときに活用する制度が給付金です。
給付金を活用することで、給与減額対策を行うことができます。
60歳以降新たに活用できる給付金
低下した賃金を補うためには、給付金を活用することが一番です。
給付金の中には60歳以降、新たに活用できるタイプがあり、こうした給付金を利用することで正社員と変わらない所得を維持することも可能です。
企業から支給される給与と老齢厚生年金、さらにはこの給付金を活用すれば、比較的安定した、そして正社員時とそれほど大きな違いがない所得を得られます。
高年齢雇用継続給付金
高年齢雇用継続給付金を活用することもおすすめです。
多くの人が活用をしています。
60歳時点で今までの給与が75%未満になってしまった場合に、この給付金制度を活用できるという物です。
ただ、気をつけておくことは、75%未満の給与とはさまざまな手当も含まれます。
家族手当や住宅手当、通勤手当などが支給されている場合には、その手当を含めた給与で計算が行われます。
ただ、定年後の給与の減を補ってくれる制度であることは間違いありません。
上手に制度を活用すれば、企業側にとっても大きなメリットになるでしょう。
教育訓練給付金
また、教育訓練給付金を上手に活用する方法もあります。
教育訓練給付金とは、働く意思がある者が取得を目指している資格のジャンルに応じて、一定額を支援する給付金です。
この制度を上手に活用している人も多いです。
しかし、この教育訓練給付金の制度が活用できることを知っている人は少ないのが現状です。
給与が減額されることが決まっている場合には、まずはどういった制度があるのか、そして自分にはその制度は当てはまるのかなどについてしっかりとリサーチしておきましょう。
再雇用の注意点
注意点
再雇用を行うときには、どういった点に注意しておくべきでしょうかか。
しかし、内容によっては雇用契約を行ってしまうと、後々後悔することになるかもしれません。
基本的な知識は事前に取得しておきましょう。
雇用形態が正当か確認
退職金の時期
役職の状況
有給休暇の利用
以降では上に述べた順で説明を行ってきます。
雇用形態が正当か確認
まずは雇用形態です。
今後、自分がどういった雇用形態で仕事を続けていくのかはとても重要なポイントです。
正社員から再雇用となり、自分の立場がどうなったのかは、書面で確認することが重要であり、疑問に感じることは必ず企業側に確認しておきましょう。
契約期間や更新条件を確認
そして、契約期間や更新条件も重要なポイントです。
通常は年間契約を行い、その都度更新の手続きを行うことが一般的です。
そして、どの時期に更新が行われるのかも抑えておきましょう。
また、更新される条件もポイントです。
勤務時間をチェック
雇用形態を確認するときには、勤務時間をチェックすることを忘れないようにしましょう。
賃金が大幅に減額されたにも関わらず、勤務時間が何も変わらない、今までと全く同じ出勤日数になっていないも確認しておきましょう。
もし、そうした契約内容でも問題ない場合はとくに重視しなくても良いです。
ただし、納得できない場合には、再雇用契約を行う前に企業側と協議を行っておきましょう。
いずれにしても、契約を行う前の確認が大切です。
退職金の時期
意外に見落とされがちになるのが、退職金のタイミングです。
一般的には再雇用される前に、一度退職という流れになりますので、退職金は再雇用契約の前に支払われます。
しかし、この退職金の時期を伸ばしている企業も存在しています。
退職金は退職をするために支払われるお金です。
自分が一度退職をすることになるのか、それとも退職をしないまま継続して雇用せれるのかによって変わってきますので、必ず確認しておきましょう。
退職金に関しては以下の記事もご覧ください。
企業年金と退職金の違いをわかりやすく解説!節税対策も紹介
第三人生編集部
役職の状況
再雇用が行われると、役職はどうなるのでしょうか。
これは企業によって大きく考え方は変わってきます。
また、フルタイムで仕事をするのか、パートタイムの勤務なのかによっても変わってきます。
企業によっては再雇用用の役職を設けている場合もあります。
有給休暇の利用
そして、再雇用者も有給休暇が在るのかどうかも気になるポイントです。
有給休暇は、企業が定めている出勤日数の8割以上出勤する場合にはもれなく支給されます。
再雇用契約内容によって変わってきますが、この内容に一致する場合には有給休暇は支給されます。
契約を行うときには、この部分についてもチェックしておきましょう。
再雇用は雇われる側の知識も必要
再雇用を行ってもらうときには、企業の知識も当然必要ですが、雇われる側の知識も必要です。
確実な雇用体制になっているか、賃金に問題はないかなど、事前に確認をしておきましょう。
雇う側も、雇われる側も気持ちよく仕事を続けていける体制を整えましょう。