葬儀保険とは
葬儀費用の負担を減らすための少額短期保険を葬儀保険といいます。
保険に加入するためには、加入者と保険会社の間で契約を結ばなければなりません。
しかし、葬儀保険はほかの保険とは違い厳しい書類審査がありません。
また、告知すらないこともあります。
身内に迷惑をかけたくない、自分のことは自分の責任の範囲内に納めてたいなどの人に人気があります。
互助会との違い
互助会は、毎月3,000円から会費を積み立てることにより、いざ葬儀を行わなければならないなどの場合に 一時的な出費が軽減される仕組みのことを指します。
互助会に加入することで、互助会が所有もしくは提携している斎場などの費用が抑えられる可能性があります。
互助会と葬儀保険の違いは、積立であるかです。
基本的に、互助会を解約した場合は解約返戻金があります。
しかし、葬儀保険にはその解約返戻金はありません。
一方、解約払戻金がない利点は、解約払戻金がないためその分の費用を考えることなく価格設定が行えるため、 同じ内容で比較した場合に料金が安くなることが挙げられます。
互助会とは?メリット・デメリット、掛け金・会費相場!解約は?
第三人生編集部
互助会と葬儀保険の違い
下記に互助会と葬儀保険の違いについて簡単にまとめたので参考にしていただけたら幸いです。
種類 葬儀保険 互助会
方法 掛け捨て 積立
受け取り 現金 サービス
場所 どこの葬儀社でも対応可 指定された葬儀社
用途 自由 限定される
プランの変更 容易 基本不可
途中解約 可能 可能(解約金がかかる)
倒産したとき 保証なし 半額返金
葬儀保険の種類
行政書士
葬儀保険の種類は2つに分けられ、支払われる保険金が定額である「保険金定額タイプ」と毎月もしくは毎年支払う保険料が一定である「保険料一定タイプ」に分けられます。
保険金定額タイプ
保険金定額タイプは、 ご自身の年齢によって支払う支払い額は増えますが、受け取る保険金は変わりません。
具体的には、保険金100万円を受け取る契約を締結した場合、59歳までは毎月1,000円の支払い、60代では、毎月の支払い額が1,500円というようにご自身の年齢が上がるにつれて、月々の支払い額が高くなります。
しかし、受け取る金額は変わらず100万円です。
保険料一定タイプ
保険料一定タイプは、 年齢が上がるにつれて受け取れる保険金は減額されますが、支払う額は亡くなるまで一定です。
つまり、支払う保険料は一定、保険金は変動します。
具体的には、毎月3,000円の保険料の支払う契約を結んでいるときには60歳までに亡くなると150万円の減額、70歳までに亡くなると100万円の減額と年齢を重ねるごとに保険金が減額されます。
葬儀保険の金額相場
お墓掃除代行 費用
プランにより異なるため一概には言えませんが、基本的な保険金と年額の保険料の目安は以下の通りです。
年齢 30万円 60万円
40~49歳 4,000円 7,000円
50~54歳 4,500円 9,000円
60~64歳 7,000円 14,000円
70~74歳 13,000円 26,000円
葬儀保険の選び方
選択
葬儀保険の選びからはすぐに受け取れるかと保障内容の充実さを重視しましょう。
以下で詳しく説明していきます。
すぐに受け取れるか
保険金をすぐに受け取れるかは、保険を選ぶうえで大切な要素になります。
ご臨終後、数日後にはお通夜や葬式などが行われるため多くの現金が必要になります。
僧侶にお布施を渡す際などにも確実に現金は必要になります。
そのため すぐに保険金を受け取れるか は重要です。
保障内容の充実さ
保障内容が充実した保険を選択しましょう。
亡くなった際に必要なお金は葬儀代や墓地代だけではなく、医療費の清算や遺品の整理などのお金がかかる可能性があります。
そのような葬儀代以外のお金も負担してくれる保険会社や商材もあるため 納得したものを選択しましょう。
葬儀保険の加入手続きの流れ
手順・流れ
葬儀保険の加入手続きの流れは、各保険会社により異なりますが、基本的には以下の通りです。
問い合わせ
見積もり
申し込み
審査
契約
以下で詳しく説明します。
1.問い合わせ
ウェブサイトや電話にて保険会社に問い合わせを行います。
この際、様々な保険会社やプランを比較検討し予算の希望や補償内容など優先順位をつけましょう。
2.見積もり
ウェブサイトで行う場合はホームページで、電話の場合は要望を伝え見積もりを算出してもらい、確認しましょう。
3.申し込み
個人情報や病気などの 申告を正しく行いましょう。
この際、虚偽の申告を行うと契約解除や保険金の支払いが無くなる恐れがあります。
4.審査
申し込みや病歴などをもとに 保険会社が審査を行います。
その後、審査が通過すれば保険証や契約書類が送付されるため大切に保管しましょう。
5.契約
以上をもって大まかな加入手続きは完了します。
一回目の払い込みを行った月の初日より保証が開始されます。
葬儀保険のメリット
メリット
葬儀保険にはの良い点は以下の4つです。
突然の葬儀に対応できる
銀行と異なり、現金の受け取りがスムーズ
少額の保険料から利用できる
年齢の上限が高い
以下で説明します。
突然の葬儀に対応できる
葬儀保険の最大のメリットは、 請求から受け取りまでの日数の短さにあります。
保険会社により異なりますが、翌営業日にお金が支払われることが多く、遅くとも5営業日までには支払われるため、保険金をそのまま葬儀費用に充てることができるため、余裕がない時の手助けになります。
銀行と異なり、現金の受け取りがスムーズ
亡くなった人の銀行口座は、遺産トラブルを避けるために銀行側が凍結します。
そして、相続人全員の了承があるまで預金を引き出せないため、多額の金額を一時的にであっても負担することになります。
葬儀保険には、 引き出せないなどの制約がないため 円滑に受け取れます。
少額の保険料から利用できる
葬儀保険は、掛け捨て保険であるため 少額の保険料からでも始められるメリットがあります。
そのため、いざという時の備えという観点からでも負担を大きくさせることなく契約できます。
年齢の上限が高い
一般的な葬儀保険と比較して、加入年齢の上限が高くなっています。
終身保険などでは、高齢になると保障が打ち切られることもあります。
しかし、葬儀保険は85歳でも加入できたり、100歳まで更新し保証を受けられます。
葬儀保険のデメリット
デメリット
葬儀保険の悪い点は以下の4つです。
元本割れの可能性
年齢により保険料や保険金が異なる
保険金が少ない
倒産した際の保証がない
以下で説明していきます。
元本割れの可能性
基本的には、掛け捨て保険であるため契約期間が長い場合は保険料を回収できない可能性があります。
葬儀保険に加入するのではなく、自分で貯蓄したほうが良い場合もあります。
年齢により保険料や保険金が異なる
年齢により毎月 支払う保険料や支払われる保険金が異なります。
高齢であれば、受け取る保険金は少なくなり、支払う金額は高額になるため、各プランのバランスを見極める必要があります。
保険金が少ない
月々の支払いが少ないこともあり、 支払われる保険金が少なくなります。
生命保険の場合は、数千万以上の保険金が支払われることもありますが、葬儀保険は葬儀に関わる費用が目的であるため、100万円前後の金額であることが多くなっています。
倒産した際の保証がない
前述しましたが葬儀保険には、 会社が倒産した際の保証がありません。
少額短期保険であるため法律の保護の対象外とであるためです。
葬儀保険に加入する注意点
! 注意
葬儀保険に加入する注意点は以下のものが挙げられます。
責任開始期が決まっている
受け取る保険金は課税対象になる
告知義務違反に注意する
以下で詳しく説明します。
責任開始期が定められている
責任開始期とは、 保険会社が万が一の際に保険金や給付金を支払う責任を持ち始める期間 を指します。
申し込みを行い承諾通知が届き手続きが完了した後、一回目の払いこみが完了した時に、その月の初めより保証が開始されます。
自分が申し込みを行った日や払い込んだ日から始まらないため注意しましょう。
保険金は課税対象になる
保険金は課税対象になるため 申告漏れのないようにしましょう。
税金の申告漏れにより追徴課税を課される可能性があります。
葬儀保険の入院保障の際には、税金がかかることはありません。
しかし、死亡保険金に関しては課税されます。
契約者と被保険者が同じ人である場合は相続税が、契約者と受取人が同じ人である場合は所得税が、契約者も被保険者も受取人も異なる場合は相続税がかかります。
告知義務違反に注意する
この告知義務違反とは、保険加入以前に虚偽の申告を行ったり重大な情報を報告しなかったりした場合、 契約解除や保険金が支払われなくなるものです。
葬儀保険の場合は、医師の診断が要らないなど他の保険と比較して審査が緩い傾向にありバレないという考え方になる可能性も否めません。
告知は正確に行いましょう。
【コラム】葬儀にかかる費用
費用
葬儀にかかる費用は、主に以下の3つに分けられます。
葬儀一式費用
実費費用
お布施
以下で説明していきます
葬儀一式費用
これは葬儀費用の半分以上を占める、葬儀における費用です。
葬儀全体にかかる費用から、お葬式やお通夜、火葬にかかる費用と考えるとわかりやすいです。
具体的には以下のものが含まれます。
寝台車
ドライアイス
安置代
棺
仏衣
書類手続き代行
斎場使用料
祭壇
スタッフの人件費
火葬料金
骨壺・骨箱
斎場使用料や祭壇の費用は、 少人数、小規模な葬儀になるほど費用は小さくなります。
実費費用
実費費用は、参列者に対しての接待費やお礼に使うための費用と考えるとわかりやすいでしょう。
具体的には以下のものが挙げられます。
通夜振る舞い
精進落とし
香典返し
以下で詳しく見ていきます。
通夜振舞い
通夜振舞いとは、お通夜後に参列していただいた方に軽食やお酒を振舞い、お礼と思い出を語り故人を偲ぶための時間を指します。
この際の費用相場は、 弔問客の人数×2,000円前後を用意しておけば問題ありません。
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精進落とし
精進落としも通夜振舞いと同様に、火葬後に弔問していただいたことへのお礼として行われ、故人の思い出を語ったり冥福を祈るための時間を指します。
この際の費用相場は、 弔問客の人数×4,000円前後 でしょう。
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香典返し
香典返しは、弔問客から頂いた香典のお返しとして用意するものです。
この際の金額相場は、 香典の金額の3分の1~半分と言われてます。
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お布施
僧侶に渡すお布施やそのほかのお金は以下のものが挙げられます。
読経料
戒名料
御膳料
お車代
読経料
読経料とは、僧侶に読経していただくためのお布施のことを指します。
お布施は、あくまでお気持ちであるため料金ではありませんが、おおよその相場があります。
僧侶との関係性や地域によって異なりますが、この相場は 3~30万円 といわれています。
戒名料
戒名とは、死後、極楽浄土に行き仏の弟子となった印として授かるもので、僧侶に葬儀の際に白木位牌に書き込んでいただきます。
その際に、僧侶に渡すお金を戒名料と言います。
戒名の位により戒名料は大きく異なるため明確な相場はありませんが、一番低い位の戒名で 20万円~ となります。
御膳料
御膳料は、僧侶に対して法事の際にお渡しする御食事代のことを指します。
これは、お斎や精進落としを僧侶が頂かない場合にのみお渡しします。
御膳料の相場は、 5千~1万円 です。
お車代
斎場や葬儀場まで僧侶に来ていただいたことへのお礼としてお渡しします。
菩提寺で行う場合は不要です。
お車代の相場は、 5千~1万円 です。
【図解】お車代の渡し方は?金額相場やタイミング、方法、添える言葉も説明
第三人生編集部
内訳 相場
読経料 3~30万円
戒名料 20万円~
ご膳料 5千~1万円
お車代 5千~1万円
葬儀・葬式の費用に関しては、こちらも参考にしてください。
葬式にかかる費用や平均相場・金額を解説!費用の内訳や抑え方も
第三人生編集部
葬儀保険はよく考えたうえで加入しましょう。
今回の記事では、葬儀の保険について選び方や良い点、悪い点、注意点などを中心に紹介しました。
葬儀保険に加入し保険料を払い続けても、いざという時にすぐに支給されなくて困ることや補償内容が少なくて手助けにならなかったということもあります。
また、補償内容がよく保険料も高いところに加入している場合は特に、葬儀保険が経済的負担になることも考えられます。
そのため、 補償内容や保険料など自分に合った無理のない保険を選択しましょう。