米寿とは
はてな
日本では 誕生日の他に長寿をお祝いするしきたりがあります。
そのひとつに米寿という節目の歳があります。
「米寿」は「べいじゅ」と言い、 基本的に 88歳になる年にお祝いします。
米という漢字を崩すと数字の八十八が現れることから米寿と呼ばれています。
八は、裾に向かって広がっていく 末広がりの形から縁起の良い数字と言われています。
そのため米寿の歳は、長寿に加え縁起が良いという意味も込めて喜ばしいことなのです。
日本の長寿のお祝いは、他にも還暦(60歳)、古希(70歳)、喜寿(77歳)と複数あります。
ちなみに米寿の次は卒寿(90歳)と言い、どの節目でも家族でお祝いするのが一般的です。
代表的な米寿のお祝いの仕方が、 その節目の歳のテーマカラーのちゃんちゃんこを贈ることです。
しかしお祝いの仕方については地方によって異なったり、伝統の風習があります。
長寿のお祝いの仕方は、 決まった形式がないため基本的にお祝いの方法は自由です。
ですので、その土地の文化に習ったり、ご本人の喜ぶ祝い方でお祝いすることをおすすめします。
また、風習に関係なく米寿祝いとして言葉やお花などを贈るのも喜ばれるプレゼントです。
米寿はいつ迎える?
米寿
米寿は前述したとおり88歳を記念するお祝いですが、歳の数え方に諸説あります。
それは 数え年か満年齢のどちらで計算するかの違いです。
数え方の違いによってお祝いする年が1年ずれることになるため、それぞれ解説します。
まず 満年齢は、生まれた年を0歳とし誕生日を迎えると1つ歳を重ねたとカウントします。
4月から翌年の3月という年度で1年を考える概念です。
私たちにとって一般的で馴染み深い数え方が満年齢だと覚えておきましょう。
一方 数え年とは、0歳という概念がなく生まれた瞬間から1歳として歳を重ねていく数え方です。
生まれた日を起点にするのではなく、生まれた年で年齢を数えます。
1月からその年の12月を1年とする暦年(暦のうえでの1年)の概念です。
ですので新年を迎えることを境に1つ歳を重ねるということになります。
数え年は現在では馴染みがありませんが、昔の日本は数え年の計算方法が主流でした。
数え年の名残で厄年の数え方や、1月から3月生まれを早生まれと言うことなどがあります。
今主流なのは満年齢ですが米寿を迎えるお年の方は、数え年の方がしっくりくるかもしれません。
そのため、あまり歳の数え方に固着し過ぎず、各々のタイミングで米寿をお祝いして下さい。
米寿の由来
高齢者
米寿は米という字は漢数字の八十八から成り立っていることに由来すると前述しました。
文字の形に関わりがある以外にも 「お米」という文字自体、縁起が良いとされています。
それは、お米は古くから日本人にとって命を繋いできた大切な主食だからです。
日本のお米文化は何千年も前から始まり、今も日本人の主食はお米です。
また お米は日本神話に「五穀豊穣を願って神様から渡されたもの」として登場します。
それほどまでに、日本人にとってお米は切っても切れない大事な食べ物とされています。
そのため 、米寿には長寿ともう一つとても縁起が良いという意味が込められています。
米寿の色
鶴
米寿のお祝いの色は黄色・金色・金茶です。
黄色や金色、金茶という色は、 米寿の米の稲穂を連想させるということに由来します。
ですので、米寿祝いとして何かプレゼントをされる際は黄色系のものを選ぶと良いでしょう。
色味ごとに持つ意味合いが異なるので、それぞれの特徴を知るのもおすすめです。
例えば 黄色だったら活発、幸せの象徴などの意味合いがあります。
また 金色は豊かさの象徴、金茶は高級感をもたらすとされています。
上記のようにそれぞれ意味合いが違うので、ご本人の好みも考慮すると良いでしょう。
ちなみに他の長寿のお祝いにもテーマカラーが決まっています。
還暦(60歳)は赤、古稀(70歳)は紫、傘寿(80歳)は黄色・金茶と節目によって異なります。
そのため 80代の長寿のお祝いの色は黄色や金色と覚えておくと覚えやすいでしょう。
米寿の色に関しては、こちらも参考にしてください。
米寿のお祝いの色は黄色・金色!米寿の由来やプレゼント・花の選び方も解説
第三人生編集部
米寿のお祝いの仕方
長寿
「米寿」のお祝いと言っても、 全国的に統一された方法があるわけではありません。
そのため、一般的には以下のようなお祝いをされる家庭が多いようです。
旅行に出かける
食事をする
プレゼントを贈る
旅行に出かける
米寿のお祝いとして外出が可能であれば旅行がおすすめです。
特に 家族でゆっくり過ごすことができる温泉は、健康にも良く人気です。
ホテルや旅館によっては 宿泊プランに米寿のお祝いがあるところもあります。
ご本人も家族も思い出に残る旅行になるよう、ぜひチェックしてみて下さい。
食事をする
家族全員が集まる時間を取ることが難しいご家庭は、食事をするのがおすすめです。
自宅でパーティするのも良いですし、お店で美味しい料理を食べるなど選択肢も増えます。
お店で予約する場合は、 長寿のお祝いプランなどが用意されているところもあります。
お店によっては アレルギーや食品の制限を相談できる ところもあるのでぜひご利用下さい。
プレゼントを贈る
気軽に用意できるのはプレゼントを贈ることです。
旅行や食事と合わせて サプライズをするのもおすすめします。
贈り物はご本人の好みに合わせて選ぶと良いですが、相手を思う気持ちが何より大切です。
予算や贈る時季を相談しながら選んでみて下さい。
米寿のお祝いの注意点
高齢者
よかれと思って選んだ米寿のお祝い品でも、実は 贈り物として縁起が悪いということがあります。
長寿をお祝いする米寿だからこそ、気を付けるべき点を解説します。
米寿だけでなく、長寿のお祝いに共通していることがあります。
それは 「死」「老い」「苦しみ」を連想させる贈り物はNGだということです。
神経質になる必要はありませんが、最低限のマナーとして避けたい代表的な物を紹介します。
櫛(くし)
履物
椿の花
お茶
ハンカチ
櫛(くし)
櫛は、 文字の語呂で「苦」「死」を連想させる言葉のため、長寿のお祝いでは避けましょう。
その延長で4や9といった数字が入ったものも出来れば選ばない方が無難です。
また櫛という言葉には 櫛の歯が欠けたよう という慣用句もあります。
これは 切れ目なく続くはずのものが途切れてしまう という意味合いがあります。
そこから 寿命が途切れる といった解釈に繋がるため、なおさら櫛は贈り物に不向きなのです。
履物
靴や靴下は、履いて地面を踏むものであるため 相手を踏みつける という意味があります。
そのため、米寿のお祝いや目上の人への贈り物には選ばない方が良いとされています。
椿の花
椿は他の花のように花びらが1枚ずつ散っていかず、花の部分が丸ごと落ちてしまいます。
その 終わり方が首から落ちる様子を連想させる ことから、椿の花は縁起が悪いとされています。
お茶
贈り物としてメジャーなイメージのあるお茶ですが、米寿の贈り物としては好まれません。
それは、 お茶が香典返しによく使われることからお通夜やお葬式を連想させるためです。
ハンカチ
ハンカチは漢字で書くと「手巾(てぎれ)」となります。
てぎれ⁼手切れや縁が切れると連想されるため、縁起が悪いと解釈されてしまうようです。
いくつか注意すべき品物を挙げましたが、ご本人の望むものが上記に該当するかもしれません。
その場合は、何か縁起の良いものを一緒に渡したりなどして工夫してみて下さい。
米寿のお祝いメッセージ・言葉
手紙
「米寿」のお祝いでは、 贈り物の際にメッセージも添えるとなお気持ちが伝わります。
立場別に「米寿」のお祝いの言葉の例文を3つ紹介します。
子どもから
孫から
仕事・組織などの後輩から
子どもから
「米寿」おめでとうございます。
これまで沢山の愛情を注いでくれましたね。
本当に感謝しています。
いつも笑顔で優しいお父さん(お母さん)は、私の人生のお手本です。
これからもあまり無理をしないで、いつまでも元気で長生きして下さい。
孫から
「米寿」おめでとう!
88歳とは思えないほどパワフルで、いつも色んな場所に連れて行ってくれてありがとう。
これからも沢山遊ぼうね。
いつまでも元気で健康でいてください。
仕事・組織などの後輩から
「米寿」を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。
〇〇さんとご一緒に仕事させていただいた経験は、私の人生でかけがえのない時間となりました。
時が経つのは早いものですね。
これからも健やかでいらっしゃいますよう、お祈り致しております。
立場によってニュアンスが異なりますが、 形式に囚われて綺麗な言葉を並べる必要はありません。
「米寿」のお祝いのメッセージは、 気持ちが伝わるように自分の言葉で書くのが1番です。
せっかくの機会なので、日頃の感謝も込めてぜひメッセージを送ってみて下さい。
米寿のお祝いメッセージに関しては、こちらも参考にしてください。
米寿のお祝いで喜ばれるメッセージとは?書き方や文例を紹介!
第三人生編集部
米寿のプレゼントの選び方
プレゼント
「米寿」のプレゼントを考える時は、 ご本人が貰って嬉しいもの を贈るのが最適です。
また「米寿」ならではの贈り物もあるため、よく検討して選ぶようにしましょう。
「米寿」のお祝いのプレゼントとしてメジャーなのが、 お花やお酒 などです。
基本的には、ご本人の好きな色や味の好みなどを考えると良いでしょう。
特にお花は華やかさが演出でき、メッセージも添えられるためお祝いごとにぴったりです。
また、お酒だとラベルにメッセージを入れてカスタマイズできるため特別な贈り物になります。
さらに「米寿」という言葉に倣って、 上等なお米 を贈ることも多いようです。
米寿のちゃんちゃんこ
「米寿」ならではの贈り物として、テーマカラーの 黄色の色味が入ったものもおすすめです。
黄色いちゃんちゃんこを贈る風習もありますが、必ずという訳ではありません。
ですが贈る場合、や記念写真を撮る場合などで着る機会があるかもしれません
米寿のちゃんちゃんこに関しては、こちらも参考にしてください。
米寿のちゃんちゃんこの色は?販売場所や金額相場、レンタルも解説!
第三人生編集部
米寿のプレゼントの金額相場
お金
金額の相場としては、 子どもの場合は3万~5万、孫の場合は1万前後が一般的です。
相場と上記の選び方をプレゼントの参考にしてください。
ですがお祝いしたい・ありがとうと伝えたいという気持ちが一番大切です。
予算については、子どもが複数人いる場合はよく相談して決めるようにしましょう。
予算は以上の通りです。
次はプレゼントを贈る際の熨斗について見ていきましょう。
米寿のプレゼントの熨斗(のし)
米寿 のし
米寿の贈り物をする場合ののしは、このようなものとなっています。
品物を贈る時は、「米寿」の場合のみならず 「かけ紙」と呼ばれる熨斗をかけます。
熨斗は慶弔どちらの場面でもかけるため、正しいルールでかけるよう気を付けましょう。
熨斗のかけ方
水引の選び方
表書きの書き方
それぞれ説明していきます。
熨斗のかけ方
「米寿」の贈り物が入った包装紙の上から熨斗をかけ、 裏面は右側が上になるようにします。
お祝い事の熨斗の裏面はすべて右側が上になる ので、覚えておくと便利です。
水引の選び方
「水引(みずひき)」と呼ばれる飾り紐は、 蝶々結びを選びます。
色は、 「赤白」や「赤金」などのおめでたい色の象徴 を選ぶようにしましょう。
水引の結び方にも意味があり、蝶々結びの水引は 何度あっても良いお祝い事 に使われます。
そのため 結婚のお祝いには蝶々結びの水引を選ばないよう注意が必要です。
表書きの書き方
表書きについては、 水引を境にして上にお祝い事の名称、下に贈り主の名前を書きます。
上の方には、「祝米寿」や「米寿御祝」などと記載するのが一般的です。
また贈り主の名前については、2名まではそれぞれフルネームで記載します。
3人以上だと「〇〇一同」「子ども・孫一同」などとしてまとめます。
せっかくの「米寿」のお祝いですので、正しい贈答マナーを押さえるようにしましょう。
【コラム】そのほかの長寿祝い
ここまで「米寿」について解説してきましたが、 「米寿」は日本の長寿祝いのうちの1つです。
「米寿」も含めた日本の長寿のお祝いを下記にまとめました。
年齢は全て満年齢で記載しています。
長寿祝いの名称 年齢 テーマカラー
還暦(かんれき) 60歳 赤
古希(こき) 70歳 紫
喜寿(きじゅ) 77歳 紫
傘寿(さんじゅ) 80歳 黄・金・金茶
米寿(べいじゅ) 88歳 黄・金・金茶
卒寿(そつじゅ) 90歳 白
白寿(はくじゅ) 99歳 白
百寿(ひゃくじゅ) 100歳 白
長寿のお祝いは60歳から始まります。
70歳以上になると、数字がゾロ目になる満年齢の年にお祝いすると覚えておくと良いです。
「米寿」の名前に由来があったよう、他の長寿のお祝いにもそれぞれ意味があります。
還暦
例えば「還暦」は、 60年で一巡して生まれた干支に還る という節目の意味があります。
特に60歳を節目にする国が目立ち、 中国では日本と同じように家族でお祝いします。
アメリカでは、60歳の誕生日を迎えた人にダイヤモンドを贈る習慣があります。
これを「ダイヤモンド記念日」と呼び、盛大にお祝いするようです。
古希
さらに「古希」は中国唐の詩人である杜甫が詠んだ「人生七十古来稀なり」に由来します。
この詩句は 「70歳まで生きることは滅多になく喜ばしいこと」 という意味があります。
この詩句を由来にし、70歳を迎えると「古希」として節目のお祝いをするようになりました。
70歳のお祝い・古希とは?お祝いの言葉やプレゼントの選び方を解説
第三人生編集部
米寿はお祝いするの気持ちが大切
日本の平均寿命が上がってきているとは言え、 「米寿」祝いができるのは貴重なことです。
また「米寿」は長寿のお祝いと共に 日頃の感謝の気持ちを伝えることができる機会でもあります。
お祝いの手段は複数ありますが 「米寿」を祝う気持ちを伝えること自体がとても素敵なことです。
そのため、その気持ちが伝わるよう家族でよく相談して思い出に残るお祝いにして下さい。