団塊の世代とは?
団塊(だんかい)の世代とは、 1947~1949年に生まれた世代のことを指します。
命名したのは当時の経済企画庁官僚だった堺屋太一氏で、彼の小説の題名から広まりました。
彼らは日本においての「第一次ベビーブーム」に生まれた世代です。
このベビーブーム発生の理由は、太平洋戦争を含む第二次世界大戦が集結し、戦争からの帰還兵や、戦争の終結に安堵した人々たちが子供を作ったためです。
このベビーブームは世界的に起こっており、前後の世代に比べ極端に人口比が高い現象が各地で見られました。
団塊の世代が生まれた3年間の年間出生数はそれぞれ260万人を超えています。
厚生労働省の統計によれば、1947年生まれは267万8792人。
1948年生まれは268万1624人。
1949年生まれは269万6638人。
この3年間の合計出生数は約806万人にのぼります。
前年の1946年生まれの157万6000人と比べると約1.7倍、現在の2018年生まれの91万8397人と比べるとなんと約3倍の出生数ということがわかります。
このように、 団塊の世代は世代人口が圧倒的に多くなっていて、雇用や消費、教育などにも多大な影響を与えました。
団塊の世代の年齢は?
地方創生 町
では、団塊世代の年齢は現在、いくつなのでしょうか。
2019年現在の彼らの満年齢は70歳から72歳であり、みな70歳を超えてきました。
この年齢は、前期高齢者に当たります。
では、団塊の世代の前後の世代についても少しふれておきましょう。
プレ団塊
ポスト団塊
プレ団塊世代
「プレ団塊世代」のプレは接頭語で「以前」という意味をあらわします。
つまり、 プレ団塊世代とは団塊の世代以前の世代ということです。
一般的には1943年~1946年に生まれた世代を指しており、彼らは2019年現在で73歳~76歳になります。
ポスト団塊世代
つづいて、「ポスト団塊世代」です。
ポストは接頭語で「以後」という意味、つまり、 団塊の世代以後の世代を指しています。
一般的に、1950年~1955年生まれの世代をポスト団塊世代と呼び、「しらけ世代」にも重なります。
先を行く団塊の世代の陰に隠れてしまい、あまり目立たない世代です。
彼らは2019年現在で64歳~69歳になります。
団塊の世代の問題
地方創生
ここからは、団塊の世代にまつわる4つの問題をみていきます。
2007年問題
2012年問題
2015年問題
2025年問題
団塊の世代の問題①【2007年問題】
まず、2007年問題から見ていきましょう。
団塊の世代にまつわる「2007年問題」とは、団塊の世代の筆頭である1947年生まれの人たちが、 その年に60歳となり定年退職を迎えることに起因して取り上げられました。
彼らの定年退職においては、様々な問題が想定されており、心配された主な2007年問題は以下の通りです。
労働力人口の大幅な減少
知識や技術の継承断絶
退職給付の企業負担増や企業収益の低下
退職する団塊の世代の貯蓄切り崩しによる国内の貯蓄率の低下
団塊の世代の問題②【2012年問題】
つづいて、2012年問題について解説します。
団塊の世代にまつわる「2012年問題」とは、2007年問題での働き手不足への懸念に通じています。
2007年問題での労働力不足をクリアするため、法改正が行われ、団塊の世代が基礎年金をもらえるようになるのが、63歳~65歳に引き上げられました。
そのため、年金がもらえる年齢まで、退職せず働き続ける人が多くなりました。
しかし、 団塊の世代が年金を受け取れるようになると、仕事を辞める人が増えるという懸念が新たに生まれ、それが2012年前後に起こることから、2012年問題と言われるようになったのです。
主な2012年問題は以下の通りです。
労働力人口の大幅な減少
団塊の世代の問題③【2015年問題】
さらに、2015年問題についてみていきます。
団塊の世代にまつわる「2015年問題」とは、 年金財政への圧迫の懸念からうまれました。
これは、団塊の世代が2012年から65歳を迎え始め、2015年にはすべての団塊の世代が65歳以上となり、年金の全額が給付されることからきています。
主な2015年問題は以下の通りです。
労働力人口の大幅な減少
年金財政への圧迫
団塊の世代の問題④【2025年問題】
最後にお伝えする問題は、2025年問題です。
団塊の世代にまつわる「2025年問題」とは、2025年、 団塊の世代が75歳を超え後期高齢者となることからくる問題のことです。
厚生労働省による人口見通しでは、2025年には65歳以上の高齢者が人口の30%を占めるようになり、さらに75歳以上の後期高齢者が人口の20%程を占める超高齢化社会を迎えます。
主な2025年問題は以下の通りです。
若い労働力が減少
高齢者に対しての介護、保険給付の増加
社会保障費のバランスの崩壊
団塊の世代の人口
地方創生
総務省統計局が発表した2019年1月1日時点の日本の人口推計から、人口のおおまかな動向を把握することができます。
ここでは、現在の日本の人口や、現役世代と団塊の世代の含まれる65歳以上の高齢者の比率などを見てみましょう。
日本の人口
2019年1月1日時点の、日本の人口は「1億2631万7千人」でした。
これは前年1月1日よりも、 27万5千人少なく、0.22%減少しています。
日本の人口を性別で見ると、男性が6142万人、女性が6480万人で、女性の方が338万人多くなっています。
男女比では、 0歳から54歳までは男性、55歳以上では女性が多くなります。
とくに65歳以上の高齢期に入ると、女性の方が多くなり、100歳以上では、女性は男性の6倍になります。
団塊の世代を含む世代と現役世代との比率
次に、団塊の世代を含む世代と現役世代との比率を見てみましょう。
15歳~64歳の「生産年齢人口」は7514万人です。
これに対して、 団塊の世代を含む65歳以上の「老年人口」は3579万人となります。
現役世代が全体の60%を占め、団塊の世代を含む老年人口はおよそその半分。
いわゆる「高齢化率」は「65歳以上の人口の比率」ですから、現在「28.4%」になります。
団塊の世代と団塊ジュニア世代
団塊ジュニア世代とは、団塊の世代の子供たち世代のことです。
1971年~1974年生まれを指し、現在45歳~49歳になります。
団塊ジュニア世代は、第二次ベビーブーム世代と呼ばれ、1973年のピークでは210万人が誕生しました。
彼らは、バブルを経験し物質的に豊かな時代に育ちました。
また、競争時代を生き抜いてきた団塊の世代の親たちの影響で、出世のため高学歴を目指す受験戦争最も厳しかった世代です。
さらに、バブル崩壊後は就職氷河期を経験した最も恵まれない世代でもあります。
団塊ジュニアには、就職活動に失敗しフリーターや派遣社員の道を選び、経済的な事情から卒業後も親に頼った生活をするパラサイトシングルを長く続ける人も見られます。
また、団塊ジュニアは小さい頃から自分の部屋を与えられたり、食事も一人で摂ったり、一人で過ごす時間が多い中で育ってきました。
コンピューターゲーム、アニメやマンガなどの若者文化を担った世代でもあります。
団塊ジュニア世代に関しては以下もご覧ください。
団塊ジュニアとは?言葉の意味や世代が抱える注意点もご紹介
第三人生編集部
現在の団塊の世代の就労状況
高齢者 学習
では、内閣府による2013年の高齢社会白書を参考に作成した以下のグラフから、団塊の世代の60歳時と現在との就業形態の変化をみていきましょう。
団塊の世代の多くは60歳時、28.8%の人が正社員・職員(一般社員)として働き、パート・アルバイトが15.9%、個人事業主が15.1%と続きました。
そこから64歳~66歳となった現在の就業形態は、パート・アルバイトが27.6%と最も多く、個人事業主21.4%、嘱託・契約社員17.7%という結果となっています。
このことから、 60歳以降定年を境として、正社員から、嘱託・契約社員あるいはパート・アルバイトの非正規社員に移行していることが覗えます。
団塊の世代の仕事への価値観
つづいて、同高齢社会白書を参考に、団塊の世代の仕事への価値観を見ていきましょう。
団塊の世代の就労目的
団塊の世代が60歳時就労する目的は、「生活費を得る」、「将来に備えて蓄えを増やす」、「ローンを返済する」といった経済的な理由が主な目的でした。
一方、65歳前後となってかたの就労理由は、経済的理由もさることながら、「健康維持のため」、「生きがいがほしいため」という目的が目立つようになっています。
経済的な理由よりも、経済的な理由以外にシフトしていることが分かります。
団塊の世代の就労希望年齢
団塊の世代に対し、何歳まで働きたいかという就労希望年齢をみると、「働けるうちはいつまでも」という回答が最も多くなっており、65歳以降も働きたい人は過半数を超えています。
しかし一方で、65歳までで退職したいと希望する人が38.5%となっています。
現在仕事をしている人に限ると、65歳以降も働きたい人の割合は69.1%に上ります。
このように、 団塊の世代は働けるうちはいつまでも働きたいと考えており、就労意欲の高さが良く伝わります。
団塊世代の経済状況
パソコン 電卓 お金
つづいて同高齢社会白書を参考にし、団塊世代の経済状況についてみていきましょう。
団塊世代の経済状況①【収入面】
団塊世代の経済状況②【貯蓄面】
団塊世代の経済状況①【収入面】
ではまず、収入面からみていきましょう。
主な収入源
団塊の世代の世帯の主な収入源は、 53.4%の人が年金と答えており最も多くなっています。
次いで給与、事業や不動産の収入と続いていきます。
世帯収入状況
世帯年収についてみると、240万円~300万円が最も多く17.3%、次いで300万円~360万円が14.0%、360万円~480万円も14.0%となっています。
480万円以上も18.8%いる一方、年収120万円未満(収入はないを含む)も8.3%おり、 所得格差が大きいといえます。
団塊世代の経済状況②【貯蓄面】
つづいて、貯蓄面をみていきます。
団塊の世代の貯蓄額
世帯の貯蓄額に関して特に着目すべき点は「貯蓄額に格差がある点」です。
2,000万円以上の貯蓄がある世帯が全体の二割近くある一方、貯蓄額100万未満の世帯も2割近くなっています。
収入での所得格差があったように、貯蓄額においても格差があり、二極化していると言えるでしょう。
団塊の世代の貯蓄の目的
また、貯蓄の目的についてみると、普段の生活を維持するためが最多となっていました。
しかし今後の目的は、 病気・介護が必要になったとき、万が一の場合に備えるためが最多となり、貯蓄の目的にも変化が起こっているようです。
老後資金や貯蓄に関しては以下の記事もご覧下さい。
老後資金は2000万円で足りる?人生100年時代に備える老後資金の貯め方
第三人生編集部
団塊の世代の社会参加
ゲートボール
定年を迎え、有り余る余暇ができた時、仕事に熱中していた団塊の世代はどのように過ごすのでしょうか。
団塊の世代の社会参加についても同高齢社会白書を参考にみていきます。
団塊の世代の社会参加状況
不参加の理由
参加するきっかけ
団塊の世代が参加したい社会活動
団塊の世代の社会参加状況
団塊の世代において、既に地域活動やボランティアなどの社会参加している人は、38.7%。
社会参加の中でも、 最も多いものが趣味やスポーツを通した活動です。
そして、自治会や老人クラブ等での活動、地域の催しやお祭りの運営などといった地域行事への参加も多いようです。
不参加の理由
では、社会活動に不参加の人は、なぜ不参加なのでしょうか。
不参加の理由で最も多いのが、男女ともに仕事が忙しくて時間がないというものでした。
白書がまとめられた2013年、団塊の世代は64歳〜66歳。
定年後の再雇用も終了している人も多かったはずです。
仕事をしていない人に限ってみると、社会参加よりも自分や家族のことに時間を費やすという人、自分や家族の健康上の理由で不参加という人もいます。
しかし、 何かしたいが、何をしていいのかわからないという人が多くいるのも事実です。
参加するきっかけ
では、社会活動への参加している人の参加のきっかけは何だったのでしょうか。
友人や地域住民と一緒に参加したことがきっかけとなったことが多く、やりたい活動があったことや、時間的な余裕ができたこともそのきっかけとなったようです。
また、現在参加していない人も、時間的余裕ができたり、やりたいと思う活動が見つかれば参加する意思はあるとのこと。
団塊の世代が社会活動に参加しやすいよう、情報提供や出会いの場の提供が必要といえるでしょう。
団塊の世代が参加したい社会活動
団塊の世代に人気のある社会活動は、男女ともに趣味やスポーツでした。
気の合う仲間と趣味やスポーツに打ち込めたら、セカンドライフも充実するでしょう。
さらに、地域行事への参加や、地域の高齢者支援、子育て支援なども人気が高く、 暮らしに身近な地域の人々との交流を望む意向もあるようです。
生涯スポーツという言葉も昨今では出てきています。
以下の記事もご覧ください。
生涯スポーツとは?意義と歴史・シニアにおすすめのスポーツも紹介!
第三人生編集部
団塊の世代の住居状況
地方創生
では続いて、団塊の世代の住居状況も同高齢社会白書を参考に見ていきましょう。
団塊の世代の住居
団塊世代の持家率は86.2%となっています。
非常に高い持ち家率と言えるでしょう。
主な住居の形態は、一戸建ての持家が75.3%で、次いで、持家である分譲マンションなどの集合住宅が10.9%となっています。
住まいに関する考え方
団塊の世代の住まいに対する考え方について、以降では説明をしていきます。
まず、現在の住まいからの転居したいか問うと、実際に転居したり、転居したいと考える人が11.7%います。
一方、現在住んでいる家に住み続けたいという人は7割を超えており、住んでいる家に住み続けるためにリフォーム行ったという人も1割ほどいるようです。
団塊の世代の持家率はとても高く、住み慣れた生活環境のもと老後を過ごしていきたいという気持ちがあるのでしょう。
そして、その住み慣れた住居で高齢になってもより快適に過ごせるよう、バリアフリーを取り入れているようです。
団塊の世代の健康・介護
高齢者 介護
では最後に、団塊の世代の健康や介護について同高齢社会白書を参考にみていきましょう。
健康状態
団塊の世代の健康状態は、健康であると回答する人が77.5%。
一方、健康ではないと回答する人がおよそ20.4%となっています。
介護に対する考え方
自分が介護が必要になったとき、どこで介護を受けたいかという質問では、団塊の世代である男女とも、「自宅」を希望する人が最も多くなりました。
自宅以外では、老人ホームや病院での介護を希望する声がありますが、特に男性によりも女性の支持が高くなっています。
また、自分が介護が必要になった場合、誰に介護を頼みたいかという質問では、上の図のように、男女とも「配偶者」と回答する人が最多でした。
男性は半数以上が配偶者を希望し、女性よりも倍近く高くなっています。
配偶者以外では、老人ホームや病院等の職員・看護師等、ホームヘルパーや訪問看護師等となっています。
こちらはいずれも、男性に比べて女性の支持が高くなっています。
また、「子ども」という回答は意外にも、男女ともに少ない結果になりました。
介護が必要になったとき、自宅での介護や、配偶者に介護を頼みたいと考えてはいるものの、介護する側の負担は大きくなります。
配偶者や同居の子どもが介護を担うことが多いです。
そのなかでも、男女ともに子どもには負担を掛けたくないと思う気持ちがあるようです。
夫婦のだけで暮らしている世帯が増えているなかで、介護する人も高齢ということもさらに増えていくでしょう。
団塊の世代が生きる高齢化社会
団塊の世代は、日本の高度経済成長期を支えた方々であり、現在の日本の高齢化社会を作り出した方々でもあります。
現在直面している問題、これから訪れるであろう問題など、団塊の世代をめぐって様々な課題があります。
これらの課題は、団塊の世代当事者の方々だけでなく、すべての人への課題といえるでしょう。
今後の高齢化社会をより豊かなものにしていくためには、団塊の世代を理解し、ともに歩んでいこうとする意志が大切です。