老衰死とは
ベッド
老衰死とは何を指すか
老衰死とは、「老い」により生命力が低下し、木が枯れるように段々と萎れていく様子を指します。
現代の日本では医療の進歩の影響から、「病気」という形で死亡する確率は大きく減少しました。
「身近な者の死」を考えるということは必ず向き合わなければならない問題です。
「一人の人間として病気や事故に妨げられず、天寿を全うしてもらいたい」と家族の方ならば誰もがそう思うでしょう。
何かあったときにはもう遅いので、この先後悔のないように過ごすためにも、 自身に余裕のあるうちから準備をしておく必要があります。
今回の記事では 「老衰の前兆」 、 「老衰死の前に行うべきこと」 などを中心に解説していきます。
痛みを感じない老衰死
老衰死は通常の病気と異なり、 痛みを感じることなく安らかに亡くなる ことが特徴です。
この理由としまして、細胞の減少により 意識のレベル も低下し、苦痛を感じる神経が麻痺するからだと言われております。
加えて、 エンドルフィン という名前のモルヒネに近い神経伝達物質が脳から分泌され、 多幸感 を感じるまでになると言われております。
このことを知ると、親族側の心境がだいぶ楽になるでしょう。
老衰死の割合は年々増加している
老衰死 社会問題
現代の日本で騒がれている問題の一つとして「高齢化」がありますが、 老衰死 される人数もその影響を受けて大幅に上昇しております。
2018年におよそ 93,000人 の方が老衰で亡くなっており、2008年の老衰死亡者36,000人の 約3倍 であると言えます。
21世紀になってから老衰で死亡する方の人数は大幅に増えたことから、その 「背景」 に注目する傾向が増えてます。
ありがたいことに医療の進歩によって、生涯を健やかに終えることができる 成果 と見なすこともできるでしょう。
老衰の前兆
老人
老衰死 は病気とは違い、体に痛みを感じさせる最期ではありません。
そのため、事前に老衰死の前兆だと思われる状態を把握することで、心の準備を済ませておきましょう。
老衰死 の前兆は大きくわけて以下の2つがあります。
身体の不自由度の上昇
見た目が大きく痩せ始める
身体の不自由殿上昇
老衰死を迎えるにあたって、体内の細胞は炎症状態を引き起こします。
慢性的な炎症状態により体内の細胞の数が減り、筋肉や消化器官が萎縮してしまいます。
その結果として日常生活で歩ける距離が短くなる、平らなところで転んでしまうなど当たり前にできていたことが不可能となり、次第に行動範囲も狭まってしまいます。
筋肉だけはなく脳の機能も低下するため、急に忘れっぽくなるのも前兆と捉えて良いでしょう。
見た目が大きく痩せ始める
また、 人間の消化や吸収を支える部分が衰えてしまう影響 により、 食事を取っても正常に栄養を吸収することができなくなります。
だんだんと身体が食事を拒むようになるので、体重も減少する一方となります。
老衰死は、始まる兆候が見られる時期というのは明確に決まっていませんが 基本的には80歳を超えると可能性が高くなる と考えられております。
もし、高齢者の方で「最近食事がのどを通らない」、「体重がみるみる減っていく」、「身体がだるく一日中寝ていることが多い」などの様子が見られた場合は、 老衰死の予兆 だと考えるのが適切でしょう。
非常に受け入れ難い事実ですが、終末期を迎えたとして理解しておきましょう。
老衰死で事前に準備すること
チェックリスト
老衰死を迎え入れるにあたって、やってもらうべきことが3つあります。
終活
エンディングノート
遺言書
亡くなられた後の後悔を軽減するという意味でも、故人の生きた証を残すという意味でも下記の事項をやってもらいましょう。
終活
終活 とは、 「自身の終焉を見据えて活動すること」 に略称であり、文字通りの意味を持ちます。
「実際に何をするのだろう」と疑問に思われるかもしれません。
終活では具体的に 断捨離(身の回りの整理) 、 理想の葬儀を決定する 、 個人が所有する遺産の分配 などをします。
この中の一部、特に体力を使う断捨離などは老衰死の前兆がある高齢者の方に任せることは不可能ですので、ご家族と力を合わせて進めるようにしましょう。
また、それ以外の活動も 老衰の影響で記憶力が低下 し、自身のやりたいこと、遺産などの情報が そのまま反映されない場合 も考えられます。
終活は全体を通して老衰の前兆が見えてからでは遅い場合がほとんどですので、終活をされていない場合は早めに持ちかけるべきでしょう。
終活に関しては、こちらの記事も参考にしてください。
終活はいつから始めればいいの?終活のタイミングとメリットも解説!
第三人生編集部
エンディングノート
エンディングノート
エンディングノート とは、 自身の生涯の終わりを踏まえて、家族や親しい友人に最後に伝えたいこと、自身の希望(お墓、葬儀の形式)などを一冊のノートにまとめたもの を指します。
遺言書との違いは、 法的効力を持つかどうか という点で差別化されております。
主な内容として、 葬儀の形式に関する希望や自身の遺産相続 などを書きます。
また、それとは別に重要なこととして、 自身が生涯を生き抜いた証を残す という意味合いがエンディングノートの記述では非常に強いです。
これらにより、エンディングノートは生前に明かされなかった事実が記されていることも多々あり、親族の方は色々な意味で驚かれることでしょう。
以下にはエンディングノートの記入例を紹介します。
遺産相続をどうするか
死後の葬儀の形式
生涯の記録
個人情報(銀行口座やパスワードなどあれば)
人間関係
老衰死の前兆が見られる状態でこれらの内容を記述させるのは非常に酷なことだと思われます。
ですがエンディングノートは後に生きる家族にとって 必要不可欠 なものです。
故人となってからでは遅いです。躊躇いはあると思われますが、エンディングノートの記述を勧めてみましょう。
エンディングノートの書き方については、こちらの記事も参考にしてください。
エンディングノートの書き方は?内容やコツ、注意点も解説!
第三人生編集部
遺言書
生きている間に 遺言書 を書いてもらう必要があります。
簡単に説明すると、 死後の財産の分配 や 未成年の子供の引継ぎ を明示した、 法的書類 のことです。(エンディングノートは法的効力を持ちません)
書いてもらうことで、ご家庭側は死後に起こるであろう混乱を大幅に
軽減すること **ができますし、 遺言書を書く側も自分の意思を書面という形で最後に残すこと**ができます。
遺言書の書き方については、こちらの記事も参考にしてください。
遺言書の書き方には種類がある!自筆証書遺言・各種類の書き方を紹介
第三人生編集部
【コラム】老衰死への周りの方の対応
核家族
老衰死というのは「死」ということに変わりませんが、 無病息災で何事もなかったことを示す名誉ある死 だと言い換えることもできます。
多くの方は「穏やかに、人に囲まれて死をむかえたい」という願いがあるはずです。
身近な人が老衰死によってお別れすることは何よりもつらいことですが、その死を穏やかに見送ることが最期の務めだと言えるのではないでしょうか。
「今までよく、健康に生きてくれました」という感謝を持ち、悔いが残らないような最期になるよう心がけましょう。
老衰死の存在を知り、受け止める準備を
老衰死というものは病気などで阻害されない限りは誰にも必ず起きることです。
人生のほとんどを一緒に過ごしてきた親族との別れは本当につらいものがありますが、最期は穏やかに笑って見送ってもらうことが本望でしょう。
日本において「死」を話題に出すことはタブーとされていますが、親の最期に寄り添うためにも周りと話し合いをし、お互いにとって後悔のない選択ができるようにしたいものです。
「老衰死」を受け止め、最期を迎える準備をしましょう。