六曜とは
六曜
「六曜」(ろくよう、または、りくよう) とは、暦上で日時や方角の吉凶や運勢を示す「暦注」(れきちゅう)の一種です。
先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種 で構成され、それぞれに意味があります。
六曜の由来
六曜は中国で、六壬時課という吉凶占いとして発祥したとされていますが、暦注として確立された時期は未だ不明です。
日本には鎌倉時代に伝来し、江戸時代に庶民に流行したといわれています。
しかし暦に記載され、一般的に六曜が利用され始めたのは第二次世界大戦後と日は浅いです。
中国では勝負事や争いの吉凶について六曜が使われていましたが、日本では葬儀など冠婚葬祭の日取りの縁起担ぎが主な意味合いで使われます。
江戸時代に六曜が流行した途中で、陰陽道や仏教など、日本古来の占いや宗教の言語や思想が混ざったためとされています。
六曜の種類や順番
null
六曜では暦上、 先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の順番で旧暦の日に割り当てられています。
しかし下記の表のように、月の始めに当てはめられる六曜は決められています。
六曜 始まりの月日(旧暦)
先勝 1月1日・7月1日
友引 2月1日・8月1日
先負 3月1日・9月1日
仏滅 4月1日・10月1日
大安 5月1日・11月1日
赤口 6月1日・12月1日
例えば、旧暦による8月最終日が大安であった場合、次は赤口ですが、旧暦9月1日は先負で開始されることが決まっています。
これをさらに新暦に当てはめて現代のカレンダーには記載されています。
次に六曜の各言葉の意味をご紹介します。
先勝
先勝は、「せんしょう・さきかち」 などと読みます。
「先ずれば即ち勝つ」 という意味で、何事も早く行うよう促しています。
午前中が吉、午後2時~6時が凶です。
友引
友引は「ともびき」 で、本来は「共引」と書き、引き分けの意味でした。
転じて勝負事がつかない日とされていました。
「友人を引き込む」 という意味で普及しています。
六曜が日本で流行した際に、陰陽道における「友引」と混同して伝わったためといわれています。
先負
先負は「さきまけ・せんぷ」 と読みます。
「先ずれば負ける日」 という意味で、争い事を起こすのはタブーとされました。
午前は凶、午後は吉です。
仏滅
仏滅は「ぶつめつ」 と読み、六曜では1日を通して凶の日とされています。
本来、六曜では「物滅」と記されていましたが、日本で広く信仰されている仏教と混同し、 「仏も滅びるほどの日」 という意味になりました。
大安
大安は「たいあん」 と読み、 「大いに安し」 とされ、1日を通して吉日とされています。
婚礼などおめでたい事はもちろん、起業や引っ越しなど物事を開始するのにも良い日とされています。
赤口
赤口は「しゃっこう・せきぐち」 などと読み、正午ごろのみが吉、それ以外は凶の日です。
日本に入ってきてから陰陽道における凶の日である「赤舌日」と混同されました。
特にお祝い事において凶 です。
また赤という字が入っており、火や血には注意する日とされています。
意外と葬儀をしても良い六曜
葬儀
縁起を重視する六曜において、葬儀をしてはいけない日が多いのではないかと気になりますね。
しかし意外にも 、葬儀は六曜を踏まえた日取りを気にしなくてもよいのです 。
以下にご紹介します。
大安
大安は、入籍や婚礼などのお祝い事や、起業、引っ越しなど何かを始める事など慶事において吉の日だと言われています。
だからといって、 通夜や葬儀などの弔事を行うのはタブーであるという決まりや言い伝えはありません。
特に葬儀などは日取りが決めにくいので、葬儀が出来る日が大安であれば気にせず行いましょう。
大安の葬式に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
大安に葬式は可能!日程の注意点や六曜との関係、避けるべき日も解説
第三人生編集部
仏滅
仏滅はすべての物事において凶といわれていますが、 弔事においては別と捉えられています。
ゆえに仏滅に弔事を行うことは多くあります。
また、日本の通夜や葬儀などはほぼ仏式で行われますが、 仏教の教えと六曜は無関係です 。
仏教では基本的に「占いなどの類を信じることは、逆に気持ちを乱す」とされており、仏教の教えにありません。
「仏滅」は特に漢字から仏教用語だと勘違いされがちですが、本来の六曜での表記「物滅」からの漢字の変化のみで仏教用語ではありません。
仏滅においては気にせず葬儀の日取りを決めましょう。
その他、葬儀においては 先負・赤口なども気にしないでよい とされています。
仏滅の葬式に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
葬式における仏滅とは?各宗教ごとに解説!お通夜における仏滅も
第三人生編集部
葬儀で避けるべき六曜
お墓参り代行 悩む
葬儀の日程で避けられるべき六曜があります。
理由とともに以下にご説明します。
友引
友引は「友人を引き込む」という意味があります 。
そのため葬儀においては、 故人が生前仲の良かった友人をあの世へ連れて行ってしまうことを連想させる ため、葬儀の日取りとして避けられるようになりました。
江戸時代、庶民の間で六曜が流行した際に定着しました。
六曜における友引は本来「引き分け」の意味ですが、陰陽道において凶事に友人を引き込むという意味で使われていた「友引」と混同して広まったためと言われています。
友引に葬儀ができない理由
加えて、友引に葬儀が出来ない理由として、 友引の日は火葬場や葬儀場が休みのところが大半 ということが挙げられます。
日本で行われる葬儀などはほぼ仏式で行われます。
仏教と六曜は無関係なため、本来であれば友引に葬儀を行うことは、仏教の教えからも問題はありません。
しかし、火葬場や葬儀場が稼働していません。
友引に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
友引にお通夜は避ける?日程の決め方も【100人にアンケート】
第三人生編集部
通夜は先勝
通夜においては、友引に行っても問題ありません。
通夜はもともと「遺体を獣や自然災害から守る」として遺体のそばに交代で人が付いておく行いでした。
浄土へ送る行いではないため、人が引き込まれる心配はないとされたためです。
ただ、 通夜は「先勝」の日が避けられています 。
次の日が「友引」なので、通夜を行えないためです。
先勝の葬式に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
先勝に葬式は良い?通夜は避けるべき理由や六曜と弔事の関係を解説!
第三人生編集部
葬儀と六曜における関東と関西の違い
火葬場 遺骨処分
関西では友引でも葬儀をする
友引に葬儀は行わないことが一般的な解釈ですが、実は 関西では友引でも葬儀を行う場合が多くあります 。
火葬場や葬儀場なども友引でも稼働しているところが大半です。
関西は京都をはじめ、寺などが多く仏教と関係が深く、六曜よりも、仏教の教えである「占いなどの類を信じることは、逆に気持ちを乱す」という考えのほうが重視されてきたためだと考えられています。
友引人形
しかし関西でも、友引に葬儀を行う時は、 棺に「友引人形」を入れる習慣があります 。
友人形とは、故人が友人を引き連れて浄土へ行かないように、身代わりとして入れる人形です。
大阪では「しきま人形」と言われています。
その形状に決まりはなく、人を模った紙や、木彫り人形、もしくはおもちゃの人形など、弔う人々で自由に決めていれます。
また、他県から関西に移住した人など、六曜を気にする人もいるので、 友引の翌日は葬儀場や火葬場は混みます 。
この現象は 「友引明け」 と呼ばれています。
仏教の宗派ごとの葬儀と六曜の捉え方
線香
日本で行われる葬儀は、仏式が大半です。
しかし仏教はいくつかの宗派に分かれており、それぞれに葬儀の仕方や考え方にも少しずつ違いがあります。
しかし、 どの宗派も六曜を取り入れているところはありません 。
六曜と仏教の教えは無関係だからです。
六曜は、縁起を重んじる日本の風習として残っているといえるでしょう。
次に代表的な宗派による葬儀をご紹介します。
真言宗
浄土宗
浄土真宗
日蓮宗
真言宗
真言宗 は教えを外に漏らさない密教の代表です。
葬儀では密教道具を使ったり、故人の頭に水をかけたり、特徴的な儀式があります。
お題目は「南大師遍照金剛」(なむだいしへんじょうこんごう)です。
お焼香は3回、線香は3本立てます。
浄土宗
浄土宗 は念仏を唱え、修業を重ねれば救われるという教えが基本です。
葬儀でのお題目は「南無阿弥陀仏」(なむあみだぶつ)で僧侶と参列者で10回唱え、成仏を願います。
お焼香は1~3回、線香は1本立てます。
故人には、仏様の弟子になるための授戒(じゅかい)や引導(いんどう)という儀式を行います。
浄土真宗
浄土真宗 では、死ぬと誰でも浄土へ迎え入れられるという教えが基本です。
そのため葬儀では、故人への供養は必要ないと考えられ、受戒や引導は行われません。
お題目は「南無阿弥陀仏」ですが、故人ではなく浄土の仏へ向けた念仏と考えられています。
線香は立てず、寝かせて置きます。
日蓮宗
日蓮宗 は法華経という教えを広めるために、日蓮上人により作られました。
葬儀では「何無妙法蓮華経」と繰り返し唱えるのが基本です。
葬儀はこの世での最後の修業という思想が特徴的です。
お焼香は1~3回、線香は1本立てます。
神式の葬儀と六曜の関係
神具
神道 をもとに、神式での葬儀を行う方もいらっしゃるでしょう。
神を敬う神道の歴史は仏教伝来より古く、日本由来の考えのため、 六曜は取り入れられていません 。
また 神式では、人は死ぬと家の守り神になるという考えのため、故人を成仏させる、供養するなどの考えはありません。
そのため六曜の友引の意味「友を引き込む」は関係のないものとされています。
葬儀は、故人に家の守り神になってもらうために行います。
また、神道において死ぬという現象は穢れ(けがれ)とされ、忌み嫌われているため、それを祓い清めるために葬儀を行うとされています。
場所は祭儀場か自宅で行われ、神社では執り行われません。
神社は神が祀られている神聖な場所だとされているためです。
キリスト教の葬儀と六曜の関係
キリスト教
キリスト教でも、六曜は無関係 です。
キリスト教では人の死は、「神から安息を許された、永遠の始まりである」という考えのもと、喜ばしいこととされます。
葬儀は弔いではなく、神への感謝と遺族への慰めとして行われています。
そのためキリスト教でも、成仏や供養などの考えはありません。
葬儀の内容は、聖書の朗読、賛美歌などの合唱や、神父のお祈り、献花などです。
祭壇には十字架を飾ります。
キリスト教には、カトリック系とプロテスタント系があります。
カトリック系は厳格な教えのもと、洗礼を受けた信者でないと葬儀を執り行うことはできません。
葬儀の日程を決めるポイント
納骨の仕方 服装
葬儀の日程として理想は、 「亡くなった日の翌日に通夜、2日目に葬儀」というのが一般的 でしたが、最近では様々な理由より、難しくなっています。
ここでは葬儀の日程を決めるポイントをご紹介します。
遺族や親族の都合
遺族をはじめ、故人に近しい親せきや友人などの都合はなるべく聞きたいものだと思います。
遠方の方の交通事情や、仕事の都合などを聞き、参考にします。
また遺族は六曜を気にしていなくても、 参列者に「友引の日は不安」という方がいらっしゃれば考慮しなければなりません 。
火葬場の状況
近年、 火葬場不足が問題になっています 。
高齢化社会により、亡くなる方が増加した一方、火葬場はほぼ増設されていないためです。
そのため関西だけでなく関東の火葬場でも、六曜における友引の日でも稼働させるところも出てきています。
また1日に対応できるご遺体の数を増やすなど、火葬場も工夫されています。
それでも空きがなく、数日待ちということがあります。
斎場やお坊さんの予定
火葬場と同じく、 斎場も希望の予定が取れない日もあります 。
加えて葬儀の規模によっては、数日の準備が必要なものもあるため、葬儀場とよく相談します。
また、 お坊さんの予定 も考慮すべき点です。
特に先祖のお墓のある菩提寺のお坊さんを呼ぶ場合、移動距離なども把握しておきます。
最近では、仕事の都合などで菩提寺が遠方になっている方が増えているためです。
葬儀の形式
最近では、2日間にわたって、親族友人で通夜と葬儀を行う 「一般葬」 だけでなく、自由な形式の葬儀プランがあります。
故人と親しかったごく少人数で行う 「家族葬」 や、遺族と故人の勤務していた企業と共同で行う 「合同葬」 、葬儀が省略されている 「直葬」 などがあります。
この形式によって、出席者や施設の都合を考慮する必要があります。
また、24時間以内は遺体を火葬してはいけない決まりがあります。
直葬を行う場合は注意してください。
葬儀と六曜の関係を知り、安心して葬儀を行いましょう
葬儀と六曜についてご紹介しました。
葬儀を行う場合は六曜の「友引」を避ける傾向にあります。
「友人を引き込む」という意味に加え、長年、友引には火葬場や葬儀場が休みであったためです。
ただし、関西では友引の日でも葬儀場や火葬場が稼働しています。
寺などが多いため、仏教の教えとは関連のない六曜は重視されていないためだとされています。
ただし 友引に葬儀を行う際は、「友引人形」という身代わりを棺に入れて火葬します。
仏教やその宗派だけでなく、神道やキリスト教においても六曜は無関係です。
ただし葬儀にはそれぞれの考え方や儀式があるため注意しましょう。
また葬儀を行う際には、参列者の六曜への考え方も考慮するのがベターです。
葬儀と六曜の関係を知って、遺族も参列者も安心して故人とのお別れをしましょう。