icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

葬儀

2024.04.30

神道の戒名はある?諡(おくりな)の意味や付け方、費用を解説!

  • facebook
  • twitter
  • LINE

神道では、仏教の戒名にあたるものとして、「諡(おくりな)」があります。
神道は日本古来の宗教ですが、諡(おくりな)についてご存じの方は少ないようです。

ここでは、諡(おくりな)の意味や付ける方法、費用はどれくらいかかるのかを紹介しています。

戒名とは
戒名とは、仏教で使われる言葉で、 仏に弟子入りをする時につけられる名前 のことです。
死後つけられることが多いですが、生きているうちに、「仏の教えを学ぶ」と決め、規定の儀式を経て仏門に入ると、 自分で戒名をつけることもできます。

死後つける戒名には、弟子入りする仏のところに迷わず行けるようにとの意味があります。
戒名は、死後は仏の世界で安らかに過ごすという 極楽浄土の死生観 を持つ仏教ならではの制度です。

戒名に関しては、こちらの記事を参考にしてください。

戒名とは?宗派別の付け方やランク別の値段を解説!生前戒名も
第三人生編集部


神道の戒名の意味
位牌
神道は、死後は神となり子孫を見守るという死生観のため、仏の弟子入りをする時の名前である 「戒名」という概念が存在しません。

その代わり、神道には、「諡(おくりな)」という称号があります。
死後につけられる敬称のため、仏教の戒名に似たものと理解して差支えないでしょう。

ここでは、次の2点をご紹介します。

諡(おくりな)の意味
仏教の戒名との違い
諡(おくりな)の意味
諡(おくりな)という言葉は、生活の中では、あまりなじみがないかもしれません。

神道の諡(おくりな)は、実は、 敬称 です。
神となった故人に対して敬意を込めてつけられます。

私たちは、普段の生活で他人のことを「○○さん」「○○様」など、立場によって相手の敬称を変えて呼びますよね。
この「さん」「様」と諡(おくりな)は、同じ意味です。

ただし、故人は家の守り神ですから、それにふさわしい称号になっています。
「さん」のような気軽な称号ではありません。

仏教の戒名と諡(おくりな)の違い
違い
ここで、仏教の戒名と諡(おくりな)の違いについて確認しておきましょう。

戒名は、仏門に入る時につける場合と、死後つけられる場合があります。
死後つけられる戒名は、僧侶につけてもらいます。

生前の名前から1文字取るだけで、他の部分がガラリと変わるため、 戒名だけを見ても元の名前が分かりません。

戒名は、故人が生前におこなったことや社会貢献度に応じて、格の違う文字から選ばれます。
また、 戒名の格に応じて、値段があり、格が高いほど高額です。

家族としては、格が高い戒名をつけてほしいのが心情ですが、生前の功績によってはつけてもらえなかったり、値段が高かったりして、トラブルに発展しやすいようです。

神道の諡(おくりな)は、神主さんなど神社の誰かにつけてもらうものではありません。
性別・年齢で、付け方に決まりがあります。

また、 生前の名前から変わらない ことが、戒名との一番の違いと言えるでしょう。


神道の戒名の付け方
文字を書く
神道の戒名に当たる諡(おくりな)が、一体どのようにして付けられるのか気になりますよね。

戒名では生前の名前から1文字だけ取りますが、神道の諡(おくりな)は生前の名前をそのまま使います。

付け方は、 「生前の名前フルネーム+○○+命(みこと)」 です。
○○の部分は、性別や年齢で決まっています。

たとえば、成人男性の場合は、「大人(うし)」が一般的です。
名前が山田五郎だとしたら、「山田五郎大人命」となります。

最後につける「命(みこと)」は、尊号。最上級の敬称です。


神道の戒名の例
神道の諡(おくりな)が性別・年齢によって異なることをお伝えしましたが、具体的に男性・女性別の年齢による諡(おくりな)をご紹介します。

それぞれ、 「大雑把な5つの分け方」 と 「厳密な7つの分け方」 があり、地域などにより使われる諡(おくりな)が少し異なります。

男性の場合
男性の場合は、主に次の5つに分けられます。

幼児:稚郎子(わかいらつこ)
少年:郎子(いらつこ)
青年:彦(ひこ)
成年:大人(うし)
老年:翁(おきな)
これより詳細に分ける方法として、次の分け方を使うこともあります。

0~3歳 嬰児(みどりご)
4~6歳 稚児(ちご、わかいらつこ)稚郎子(わかいらつこ)
7~15歳 童男(わらべ)
16~19歳 彦、郎子彦(ひこ)
20~40歳 郎男(いらつお)
41~70歳 大人(うし)
71歳以上 翁(おきな)
しかし、最近では、このように細かく分けず、 成人男性はひとまとめに「大人(うし)」が使われる ことが増えています。

女性の場合
女性は、主に次の5つです。

幼児:稚郎女(わかいめ)
少女:郎女(いらつめ)
青年:姫(ひめ)
成年:刀自(とじ)
老年:媼(おうな)
女性ももう少し詳細な分け方があります。

0~3歳 嬰児(みどりご)
4~6歳 稚児(ちご、わかいらつめ)稚郎女(わかいらつめ)
7~15歳 童女(わらめ)
16~19歳 姫(ひめ)
20~40歳 郎女(いらつめ)
41~70歳まで 刀自(とじ)
71歳以上 媼(おうな)
最近は、男性と同様に、細かく年齢で分けずに、 成人女性には「刀自(とじ)」が使われることが多い です。


神道の戒名の費用
費用
神道の戒名「諡(おくりな)」をつける際の費用について確認します。

諡(おくりな)を付ける時に、費用はかかりません。
付け方のルールがある程度決まっていて、誰でも付けられるからです。

仏教の戒名は、通常、僧侶に付けてもらうのですが、お布施が必要です。
あまり仏式のしきたりに慣れていないと、その値段にびっくりする人も多く、トラブルになることもあります。

こうした戒名にまつわるお金の話を聞いたことがあると、神道でもお金が必要なのか疑問に感じるかもしれませんが、神道の戒名にはお金はかかりません。


神道の戒名のお墓や位牌への書き方
お墓
神道の諡(おくりな)は、どのように記されるのでしょうか?
ここでは、位牌やお墓、卒塔婆の書き方をお伝えします。

位牌ではなく霊璽(れいじ)
仏教の位牌に当たるものは、神道では、霊璽(れいじ)といいます。
霊璽(れいじ)は、故人の魂が宿っているものです。

霊璽(れいじ)は一般的に白木で出来ています。
その 表面に「諡名+之霊」、裏に命日と享年 を書きます。

先ほど例に挙げた男性の諡(おくりな)の場合、「山田五郎大人命之霊」です。

これらを記入した霊璽(れいじ)は、仏教の仏壇に当たる 祖霊舎(それいしゃ) に祀られます。

霊璽の形は様々です。
神道らしく鏡がついたものもあります。

一般的には、白木で出来ていて、上が三角屋根になった形が多いです。
その上から箱型の蓋をかぶせるものもあります。

お墓へ刻まれる文字
仏教のお墓には、「〇〇家之墓」「〇〇家先祖代々之墓」といった文字が刻まれています。

神道のお墓には、 「◯◯家奥津城(奥都城)」 と刻まれます。
「奥津城(奥都城)」の読みかたは、「おくつき」。
「◯◯家先祖代々霊位」 と刻まれることもあります。

奥津城と奥都城の漢字には使い方に違いがあります。
奥都城は、神官や氏子など、神社に深い関わりがあった人とその親族のお墓に刻まれます。
奥津城は、それ以外の人のお墓に刻まれる文字です。

この使い分けの他に、水辺の近くに建てられたお墓は「奥津城」、水辺以外の場所では「奥都城」を使うこともあります。

卒塔婆(そとば)
null
卒塔婆は、お盆に見たことがある人も多いかもしれません。
お墓の後ろに立てる細長い木のことです。
三回忌の法要でも卒塔婆が立てられます。

この卒塔婆は、仏教のものです。
神道でも似たものがあり、「霊祭票(れいさいひょう)」「神道塔婆」といわれます。

仏教の卒塔婆は上が尖って両サイドがギザギザに切り込みがはいっているのですが、 神道の霊祭票では、両側の溝はありません。

霊祭票に書かれるのは、諡(おくりな)と命日、そして、霊祭票を立てた日付や祭事名などです。


【コラム】神道の葬式は?
神棚
神道の戒名である「諡(おくりな)」についてご紹介してきましたが、葬式はどのように執り行われるかご存じでしょうか?

仏教のお通夜は、神道では「通夜祭」といわれます。
仏教の告別式は、神道では「葬場祭(そうじょうさい)」です。

これらの儀式は、 神社ではおこないません。
故人の自宅や葬祭場でおこなわれます。

これには理由が2つあります。

一つ目の理由は、神道の葬儀の意味にあります。
神道において、葬儀は、 故人を氏神・守り神として家に居つかせるための儀式 なのです。

仏教の葬儀は、故人を仏の世界である極楽浄土に送るための儀式。
葬儀の意味が神道と仏教では大きく違います。

葬儀を神社でおこなわない二つ目の理由は、神道では、死を「ケガレ」として忌み嫌うことにあります。
神聖な場である神社の境内に「ケガレ」を持ち込まないようにするため という理由もあるのです。

一般的な神道の葬儀の流れは、次のようになります。

通夜祭の中で、「遷霊祭(せんれいさい)」がおこなわれ、故人の霊魂を霊璽(れいじ)に移します。
葬場祭で、故人とのお別れの儀式をおこない、家の守り神として祀る準備をします。
50日間、神棚を閉じ、喪に服します。
五十日祭がおこなわれ、神棚に故人が氏神として祀られます。
五十日祭は、仏教の四十九日法要にあたる儀式です。
この 五十日祭をもって、喪明け となります。

神道の葬式に関しては、こちらの記事を参考にしてください。

神道(神式)の葬儀の流れとマナー!香典、玉串料や50日祭も解説!
第三人生編集部

神道の戒名「諡(おくりな)」は付け方が分かりやすい!
神道の諡(おくりな)は、付け方が分かりやすく、「生前の名前+性別に応じた諡(おくりな)+命」です。
名前がそのまま使えて、決め方が決まっているので、諡(おくりな)を付けるのに費用はかかりません。

諡(おくりな)は、故人に対して守護神として敬意をもって祀るための称号です。
仏の世界に行くために名前を変える仏教の戒名とは、似ているようで、実は、意味が全く違います。

仏教との違いを比較すると、神道の儀式に理解が深まるでしょう。

RELATED