お骨入れとは
骨壷 男性
お骨入れ(おこついれ)とは、故人を火葬した後に残る骨を入れる容器の総称 です。
お骨入れというと、一般的に「骨壺」を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし最近では供養に関する方法の多様化から、 様々な形状のお骨入れがあります 。
お骨入れの種類や金額相場については後にご紹介します。
この項では、
お骨
お骨上げ
という、お骨入れを用いる時の基本的な用語についてご説明します。
お骨とは
お骨(おこつ)とは、故人を火葬後に残る骨 を指します。
遺骨(いこつ)とも呼ばれます。
故人に敬意を払い「御遺骨」(ごいこつ)と表記されることも多いです。
お骨上げ
お骨上げ(おこつあげ)とは、火葬された故人の遺骨を、遺族や親族などで拾い、お骨入れに入れる作業 です。
収骨(しゅうこつ)ともいわれます。
一般的な流れは、
火葬後、係員の指示に従い、遺骨の周りに遺族や親族で集まります。
喪主はお骨入れを持ち、遺骨の頭側に立ちます。
故人と親しい順から、箸で1つの骨を2人一組で挟み、お骨入れに納めます。
手順として、 足の骨から順に上半身に向けて拾い、お骨入れに入れます 。
お骨入れの中で、足が下で頭が上という、生存時と同じ人の形にする為です。
最後に喉の骨を、故人と最も親しかった2人で拾います 。
喉の骨は、正確には、火葬しても残りやすい第2頸椎です。
仏が正座をしている姿に見えることから、お骨において特別視されています。
骨上げに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
骨上げとは?手順や拾う順番!遺族が一人の時は?お骨拾いをしないことは可能?
第三人生編集部
お骨入れの金額相場
お墓掃除代行 費用
この項ではお骨入れの金額相場について、
骨壺
骨箱
お骨ペンダント
3つを例にご紹介します。
骨壺
骨壺は、最もポピュラーなお骨入れ です。
金額相場は 1,000円台~10万円近いものまで あります。
金額の差は主に
材質
サイズ
によります。
材質
骨壺の材質は基本的に耐熱性の高いもの が選ばれています。
火葬後すぐに遺骨を入れる為、熱の残る骨に耐えられる材質が適します。
一般的には陶磁器が多く、 価格は1~2万円台が多く選ばれています 。
備前焼など日本六古窯で作られたものや、大理石を用いたものは高価です。
サイズ
骨壺のサイズは、「寸」で表されています 。
1寸は3.03センチとされており、6寸の骨壺は直径18センチほどです。
2寸~9寸くらいまで作られています。
主に使用されている骨壺は、 関西で6寸、関東で7寸 です。
関西では遺骨を一部収骨しますが、関東では遺骨全部を収骨します 。
その為、関東は収骨量が多く、大きな骨壺を使います。
骨箱
骨箱(こつばこ)は、骨壺を収納する箱 です。
主に桐などの木製で作られており、 1000円台~2万円位 です。
骨箱の上から、風呂敷をかけるなどして使用します。
骨箱袋付きで販売されているものもあります。
骨箱は、基本的に納骨が終わるまでの使用です 。
その後はご自身で廃棄するか、もしくはお寺にお焚き上げを依頼します。
骨箱に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
骨箱とは?費用や処分方法!おすすめの骨箱や風呂敷での包み方も
第三人生編集部
お骨ペンダント
最近では、 お骨ペンダント を選ぶ方も増えています。
少量の遺骨をペンダントトップに入れ、普段身に着けられるお骨入れの一種です。
金やプラチナなど素材や形状により、 2000円台~30万円台 と開きがあります。
また、遺骨をダイアモンドに加工し、ジュエリーにする技術も流行しつつあります。
ただ、ダイアモンド加工については日本では製作しているところはなく、海外への委託になります。
金額も20万円台~と高額です。
おすすめのお骨入れ
この項では、 おすすめのお骨入れ をご紹介します。
お骨入れに迷われている方は参考にしてください。
以前は白無地の骨壺が主でしたが、 最近では模様や絵が入っているものが多くあります 。
故人が好きだったデザインや、故人のイメージのものを探すのもおすすめです。
また、遺骨は湿気が長期に籠ると、カビなどで汚染されます。
お墓での雨などの対策に、上記商品のような 水を抜く構造の骨壺 を選ぶと良いでしょう。
和風の 柄のついた骨箱 だと、風呂敷などを外しても上品な華やかさがあり、印象も良いでしょう。
近年、風呂敷を使用することが少なくなり、うまく骨箱を包む自信のない方も多くいらっしゃいます。
骨箱に被せるだけの覆い袋 を使うと、多忙な葬儀の間も手間がかからず綺麗に見えます。
ペンダントトップが容器になっており、粉骨した少量の遺骨を入れて身に着けられるものもあります。
遺骨をペンダントトップに入れる器具が付属しており、 自分で遺骨を入れる ことができます。
上記商品のように、 外見からは普通のアクセサリー に見え、遺骨入れとは思えないデザインが多くあります。
故人の遺骨を身に着けることで、悲しみが和らぐなど精神的な安定が得られる方にはおすすめです。
お骨入れに納める方法
遺骨人
火葬後、お骨入れに収骨する基本的な手順はすでにご紹介いたしました。
加えて
分骨方法
粉骨方法
についてご説明します。
例えば「兄弟で遺骨を分け、別々に納骨したい」という希望が出る事もあるでしょう。
また近年では、 お墓などに納骨せず、家で小ぶりなお骨入れに入れ管理する手元供養 も増えています。
この際は、 遺骨を分ける分骨が必要です。
「遺骨を細かくして小さなお骨入れに入れたい」という希望や、海など自然へ遺骨を撒く 散骨 を望む時もあります。
この際は 遺骨を細かく砕く粉骨作業が必要になります。
希望が増えた背景には、家族形態や住環境の変化でお墓を持たない方が増えていることや、宗教や弔いへの考えの多様化が挙げられます。
分骨方法
分骨の際には、 人数分の「分骨証明書」が必要です。
火葬場で分骨する場合、火葬場と葬儀社に分骨の希望を伝え、窓口にて分骨証明書を発行してもらいます。
あらかじめ、 分骨する人数分のお骨入れを用意 し、火葬後に収骨します。
分骨証明書は、それぞれが納骨する際に寺院や施設に提出をするのが必須です。
手元供養の場合、分骨証明書を提出する手続きは特に必要ありませんが、後世で遺骨を寺院に納骨など、移動させる場合に必要になります。
いずれの場合も、 分骨証明書は大切に保管 してください。
分骨に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
分骨とは?費用や分骨証明書の手続き、おすすめの骨壷も紹介!
第三人生編集部
粉骨方法
故人の遺骨を砕く行為に怖れを抱いたり、また違法ではないかと心配になる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、 粉骨は違法ではありません 。
しかし、 2ミリ以下に粉砕しなければならない決まり があります。
ご自身で粉骨する場合、火葬後の骨でも非常に硬い部分があるので重労働になります。
ハンマーや、すりこ木、機械を使って砕きます。
最近では粉骨用の道具のレンタルもあるようです。
またご自身でするのは負担がある場合、 業者にお願いすることも出来ます 。
粉骨に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
【口コミ有り】粉骨の手順や業者ごとの料金と選び方!その後の遺骨の供養も
第三人生編集部
お骨入れに納める時の注意点
納骨の仕方 準備
お骨入れに遺骨をそのまま入れていいのか、躊躇する方もいらっしゃると思います。
しかし、 骨壺をはじめ、お骨入れには遺骨を直接入れて構いません 。
遺骨の管理で最も注意する点は「湿気」 です。
湿気が発生すると少しのきっかけでカビが生えます。
カビは繁殖力が高く、発生すると広がる一方です。
遺骨が汚染されるのは嫌な気持ちがしますね。
しかし、火葬後の遺骨は高温であり、その後箸で骨壺等に入れ蓋をする為、無菌状態です。
心配しすぎることはありません。
遺骨をそのままお骨入れに入れるのに抵抗がある方は、 内袋に入れてからお骨入れに入れる 方法もあります。
あらかじめ、絹等で出来た内袋が付属して販売されているお骨入れもあります。
また、お墓への納骨後は雨風による湿気が心配です。
お墓においても湿気対策がされています 。
お骨入れにも水抜きの工夫がしてある ものが多いです。
お骨入れを保管する時の注意点
コンパクト仏壇
この項では、 手元供養の場合のお骨入れを保管する注意点 をご説明します。
遺骨は湿気に弱い
上の項で述べた通り、 遺骨は湿気に弱い です。
昔ながらのお墓の工夫や、納骨堂での温湿度管理などがあると安心ですが、自宅となると自分で管理しなければならず、不安ですね。
高温多湿の日本の夏には気を付けましょう。
解決方法
解決方法として、
お骨入れの蓋をしっかり締める
木が素材の骨箱に、お骨入れを入れておく
遺骨を素手で触らない
なるべく空気に触れさせない
が挙げられます。
お骨入れの蓋をしっかり締める
自宅でもまず お骨入れの蓋をしっかり締める ことです。
湿気の侵入を防ぎます。
木が素材の骨箱に、お骨入れを入れておく
桐などで作られている骨箱に、お骨入れを入れたままにするのも一つの方法です。
木は湿気を吸い取り、放出 してくれます。
遺骨を素手で触らない
遺骨ペンダントなどに遺骨を移す際は、 遺骨を素手で触らないようにし、消毒した器具を使いましょう 。
手についていた少しの汚れなどがカビの栄養分となり、繁殖のきっかけになります。
なるべく空気に触れさせない
遺骨を粉骨していれば、 真空パック にして骨壺に入れておく方法もあります。
自宅で最適な置き場所
自宅では、 直射日光は避け、風通しの良い場所 にお骨入れを置きます。
フローリングなどの部屋よりも 和室 がおすすめです。
たたみは湿気を吸い取り、放出するので、低湿度の観点からはお骨入れを置く環境に適しています。
【コラム】納骨しないといけない?
今までは、「49日法要を目安に納骨を行う」ことは当たり前の供養として定着していました。
しかし近年では、 「納骨をしない」と望まれる方も増えています。
理由として、家族形態や住環境の変化や、信仰心の多様化が挙げられます。
納骨をしない場合、「手元供養」や「散骨」などを希望されます。
納骨をしなければならない決まりはありません。
仏教上の教えからも、納骨をしないことで災いが起きるということはありません。
納骨を希望しない場合、遺族や親族間でよく話し合い、合意を得ましょう。
長年において当たり前のように行ってきたことだからこそ、故人と菩提寺との関係や、血縁者個々の供養への思いがあります。
その点をないがしろにすると親族間トラブルにもなりかねません。
もし合意が得られなければ、納骨を行うほうが良いでしょう。
親族間でのトラブルは、故人の望むものではないからです。
希望のお骨入れを選んで、正しく遺骨を保管しましょう
今回は「お骨入れ」をはじめ、納骨についてご紹介しました。
お骨入れは多様化しており、ポピュラーな骨壺や骨箱から、最近ではお骨ペンダントも人気です。
また材質や大きさも様々で、それにより値段も変動します。
また従来のように、お墓に納骨するだけでなく、手元供養や散骨が選択肢に出てきました。
どのようにお骨を管理するかによって、適したお骨入れを選びましょう。
手元供養や散骨などを望む場合、分骨や粉骨の作業が必要です。
書類が人数分いるなど、決まりがあるので注意しましょう。
家でお骨入れに入れて遺骨を管理する際は、湿気に気を付けます。
また、遺骨は素手で触らないようにしましょう。
カビの原因になりかねません。
また、納骨をしない希望がある場合は、血縁者でよく話し合うことが必要です。
最適のお骨入れを選び、故人を穏やかな気持ちで供養しましょう。