icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

葬儀

2024.04.30

着物の喪服を種類別に解説(男性|女性|色)マナーやレンタル方法も紹介

  • facebook
  • twitter
  • LINE

喪服と言えばブラックフォーマル・スーツのイメージが一般的に定着しています。
しかしもし、あなたが喪主を務めることになった場合、着物の喪服の着用を求められるかもしれません。

着物の喪服は入り用になってすぐ購入できるものではありませんから、余裕をもって準備をしておくことが大切です。

この記事では着物の喪服の種類と着用シーン、着付けについてのポイントをまとめました。

喪服とは
喪服の女性
喪服とは
喪服とは 葬儀・告別式の際に個人を見送るために着用する衣装のこと です。
洋装ではブラックフォーマル・スーツが主流ですが、着物にも喪に服するための衣装があります。

着物でいう第一礼装である喪服は黒一色に染め上げ、五つの家紋が入った「黒紋付」です。
背中に一つ、両胸に二つ、両袖に二つ、合計五つの紋が入った着物は第一礼装とされています。

五つ紋は、先祖(背中の一つ紋:背紋)、両親(両胸の二つ紋:抱き紋)、親類縁者(両袖の二つ:袖紋)を表しており、自分の血統を示す非常に格調高い着物です。

喪服の歴史
もともと日本の喪服は白が基調でした。
2012年に歌舞伎役者の十八代目・中村勘三郎さんが亡くなったとき、妻の好江さんが白喪服を着用していたことは有名です。

白い喪服はもともと花嫁衣装である白無垢のことです。
夫が亡くなったとき、白無垢を白喪服に仕立て、自身が旅立つときには死に装束として使うのが古来のやり方でした。

ところが 明治維新をきっかけに西洋のブラックフォーマルに倣って、黒の喪服が広がりを見せます。
現在のように喪服が黒として広まったのは、戦時中の戦死者の弔いが増えるに従い、汚れが目立たないという、非常に俗っぽい理由からです。

【図解】着物の喪服の種類①男性
男性の着物の場合、冠婚葬祭関わらず同じような装いをします。
五つ紋の黒紋付き羽織袴が最も格調高く、第一礼装とされ、紋の数が少なくなるにつれて、略礼装に なります。

紋の数によって格が変わるのは女性も同じですが、男性の場合は身につけるアイテム(羽織や袴の有無)によっても格が変わります。

正喪服
準喪服
略喪服
正喪服
喪服 スーツ
いわゆる紋付き羽織袴が正喪服とされ、第一礼装です。
正確には黒羽二重(くろばぶたえ)五つ紋付といい、黒地に五つ紋がついた羽織と着物、袴を着用したスタイルのことです。

黒紋付(染め抜きの五つ紋が入った黒い長着)
染め抜きの五つ紋が入った黒い羽織
縞地の袴(仙台平:せんだいひら、または博多平)
西陣織か博多織のグレーか紺、薄い色の帯
喪主を務める場合には、家を代表する意味を込めて着用 します。

袴は無地だと略礼装(あるいはカジュアル)になるので、縞柄の生地を選びましょう。
また縞の太さは、細い方がよりきちんとした感じが現れるのでオススメです。

足袋は慶事・弔事関わらずフォーマルな場では白足袋です。
ただし地域によっては黒足袋を着用する場合もあるようです。
履き物は、畳表(い草を織ったもの)の黒い鼻緒の草履にします。

準喪服
喪服 メンズ ダブル 準喪服
喪主以外の遺族や親族が着用するものが準喪服です。

黒以外の無地または縞の紋付長着(三つ紋または一つ紋)
染め抜きの五つ紋が入った黒い羽織
縞地の袴(仙台平:せんだいひら、または博多平)
西陣織か博多織のグレーか紺、薄い色の帯
第一礼装と大きく異なるのは着用する着物が、黒以外の色に変わった点です。
色紋付きとも言い、準喪服では三つ紋または一つ紋が一般的 です。

色は紺や濃いグレーなど控えめな色で喪を表します。
素材はお召しを用いることが多いですが、紬でも可です。

略喪服
一般的な弔問に出席する際に着用するのが略喪服です。

黒以外の無地または縞の長着
染め抜きの紋が入った黒い羽織(三つ紋または一つ紋)
グレーや紺などの控えめな色の帯
一つ紋が入った黒い羽織があれば、必ずしも長着に紋は必要ではありません。
袴も着用する必要はなく、喪に相応しい色合いになっていれば普通の着物でも構わない のです。
履き物は洋装での喪服と同じように、動物の皮や光沢のあるものを避けて、雪駄や畳表の草履などが良いです。

【図解】着物の喪服の種類②女性
女性の着物は紋の数だけではなく、 着物と帯の組み合わせでも格が変わります。
喪服の場合、黒喪服であるか、色喪服であるか。帯は黒かそれ以外かの組み合わせで決まります。  

正喪服
準喪服
略喪服
正喪服
正喪服
女性の喪服の第一礼装です。
喪主を務めるときや三等親以内の親族である場合に着用されます。

染め抜きの五つ紋が入った黒い着物
黒喪帯(黒の名古屋帯)
半衿・足袋は白
帯締め・帯揚げは黒
黒の草履
正喪服で使用する帯は黒喪帯、または黒共帯(くろともおび)とも呼ばれる、黒一色の帯を使用し ます。
不幸が重ならないようにという意味で、一重太鼓で結びます。

帯締め、帯揚げ、草履は全て黒で統一し、帯留めなどのアクセサリーは必要ありません。

準喪服
女性 準喪服
喪主以外の親族や遺族が着用するのが準喪服 です。
通夜から一周忌まで幅広く着用することができ、喪主も回忌を重ねるに従い、準喪服へと着物の格下げていきます。

色無地または江戸小紋(三つ紋あるいは一つ紋)
黒喪帯
半衿・足袋は白
帯締め・帯揚げは黒
黒の草履
着物の生地は縮緬など光沢がないものが選ばれます。
寒色系の着物が喪服として着用できます。

地紋が入っている場合、吉祥文様を避け、流水や雲のものを選ぶのが良い でしょう。
半衿、足袋以外の小物は全て黒で統一し、帯留めや髪飾りなどは不要です。

略喪服
弔問に訪れるときに着用するのが略喪服 です。

一般的に三つ紋か一つ紋の長着に黒い帯を結びます。
しかし 着物は着用しているだけで格が上がると見られるため、略礼装であっても喪主やその遺族が洋装の場合は避けた方が良い でしょう。

無地小紋または江戸小紋(三つ紋または一つ紋)
黒い帯
半衿・足袋は白
帯締め・帯揚げは黒
黒の草履
寒色系の無地の着物か江戸小紋を着用しますが、地味めな小紋や紬でも良いとされています。

特にお通夜では「急な知らせを聞いて駆けつける」場合もあり、洋装ではネクタイの色だけ地味な色にして来る方もいます。
同じように 喪に相応しい小物に変え、相手を思って駆けつけたのであれば、普段使いの着物でも喪服として着用できます。

着物の喪服の種類③色
喪服 合掌
着物の喪服は黒喪服と色喪服に分けることができます。

黒喪服
黒喪服は最も格の高く、主に喪主を務める人、三等親以内の遺族が身につけます。
五つ紋の入った黒い無地の着物で、「黒紋付」と呼ばれるものです。

ここで断っておきたいのは「黒紋付=喪服」ではないということです。
男性が同じフォーマルスーツでネクタイの色を変えて結婚式やお葬式に出席するように、黒紋付も帯やその他の小物を変えることで、冠婚葬祭どちらも対応できるのです。

しかしながら 地紋に吉祥文様が使われている場合があるので、そこは避けるべき です。

色喪服
色喪服は黒以外の色無地や江戸小紋、または紬などの着物を指します。
色喪服は 喪主以外の参列者やお通夜の席で着用するので、紋は三つ紋か一つ紋までに留めておきましょう。

どんなものでも良いわけではなく、色は控えめで地味な色を選びます。
たとえば、グレー、紫、紺、緑といった寒色系の色味で選ぶとよい でしょう。

喪服として着用する場合は黒喪帯を結びますが、回忌を重ねるにつれ、色喪帯に変えていきます。
喪主や遺族よりも格が上にならないように配慮しましょう。

着物の喪服を作る理由
理由
葬儀に使う喪服
嫁入りに使う喪服
お守りとしての喪服
葬儀に使う喪服
着物を着ると不思議と背筋が伸び、凜とした雰囲気がにじみ出てきます。
葬儀で着物を着用するのは、「もう大丈夫だよ」「これまでありがとう」「ゆっくり休んでね」といったメッセージを送るためでもあります。

結婚式では華やかな衣装でお祝いの意を表すのと同じように、 葬儀でも着物の喪服を着用することで礼儀を尽くし、弔いの意を表そうとしている のです。

嫁入りに使う喪服
古くから紋付きは定番のお嫁入りの道具でした。

今では着物を着用する機会は減り、わざわざ喪服を作る家庭も少なくなっています。
しかし嫁ぎ先のご実家に、喪服すら用意せずに行くとガッカリされた、という話は今でも聞きます。

実は 喪服を作るのに嫁入りのタイミングはとても良いタイミング です。
結婚式と異なり、不幸事というのは突然やってくるもの。

身内に病気の方が出てきてから喪服を用意すると、いかにも亡くなるのを待っているように見えるからです。
また最低限、 喪服だけでも用意しておくと、「お嫁さんの実家はちゃんとした実家だ」と思われます。

お守りとしての喪服
喪服に入れられている家紋は血統を表しているものです。
五つ紋が入った喪服は、それぞれ両親や兄弟姉妹といった縁者、そしてご先祖様を表しています。

これまで家を継いできた先祖代々の霊に守られている。
ひとりで悲しみや苦しみを背負っているわけではない。

そういう慰めや励ましが喪服には込められているのです。
「嫁いでも、家を離れても、あなたのことを守っていますよ」というお守りとして喪服が作られる のです。

着物の喪服を着る場面
結婚式 夏 ブーケ
せっかく着物を作ったのであれば、もっと着用する機会を増やしたいものです。
仮に 喪服としてあつらえた黒紋付であっても、帯や小物を変えるだけで冠婚葬祭、どちらでも対応できます。

結婚式
入学式・卒業式
お茶席・お呼ばれ
結婚式
結婚式で黒喪服を使いたい場合は、 金糸や銀糸で鶴や亀、扇などの吉祥文様があしらわれた帯を結びます。
帯はお祝い事なので二重太鼓に結び、帯締め・帯揚げなど小物は白で統一します。

黒喪服(黒紋付)を着用できるのは三等親以内の親族のみなので、ゲストは色無地や江戸小紋を着用すると良いでしょう。

入学式・卒業式
子どもの幼稚園入園式、小学校の卒業式などに着用できるのが色喪服です。
色喪服は紋の入った色無地として扱うことができます。

子どもの門出を祝うので帯は二重太鼓に結びます。
色喪服は総じて地味な色であるので、 たくさんの色が入った帯を選ぶとお祝いに相応しい出で立ちに なります。

もちろん主役は子どもですので、あまり羽目を外しすぎないように注意しましょう。

お茶席・お呼ばれ
お茶席やちょっとしたパーティなどのお呼ばれにも色喪服を活用することができます。
ただし 格が上がりすぎるおそれがあるので、紋の数は一つに留めておきましょう。

帯はお太鼓が基本ですが、パーティなど華やかな席では変わり結びにしても喜ばれます。
初夏であれば若々しいグリーン、冬であれば温かみのあるオレンジや赤など、 季節に合わせて小物を取り入れてみましょう。

着物の喪服の着付け
アクセサリー
喪服の着付け
喪服の髪型
喪服のアクセサリー
喪服の着付け
喪服を着用するとき必要な着付け道具を紹介します。

美容室にお願いする場合、 美容室によって必要なものが異なります。
よく確認しておきましょう。

着物など  

黒喪服または色喪服
黒喪帯
帯揚げ(黒)
帯締め(黒)
長襦袢
半衿
下着など  

肌襦袢
裾よけ
補正用のタオル※必要に応じて
着付け小物類  

衿芯
腰紐4本~6本
伊達締め
帯枕(黒)
前板
コーリンベルト※必要に応じて
ウエストベルト※必要に応じて
その他小物  

草履(黒)
バッグ(黒)
喪服を購入する場合、バッグや草履もセットになっている場合が多いですが、草履など、使用していなくても傷んでいる場合があります。

喪に使用する黒い小物類は呉服店に行ってもすぐには用意できない ことがほとんどです。
そのため年に一回くらいは点検をし、痛みに気付いたら、あらかじめ取り寄せてもらい、準備をしておきましょう。

喪服の髪型
喪服に相応しい髪型は、 慎ましく清楚で控えめな髪型 です。
派手な印象を与えないように髪飾りなどはせず、香りのするヘアスプレーは控えましょう。

髪が長い人はアップスタイルでまとめておくことが一般的ですが、 慶事ではないので耳の下辺りでまとめ、高い位置は避けるように してください。

髪の色は黒がベストではありますが、普段から髪を染めている場合はそのままでも構いません。
返って黒染めをするほうが悪目立ちしてしまいます。
しかし度を超えた髪色(赤や緑、金など)であれば黒染めをした方が良いです。

喪服のアクセサリー
葬儀の場で、 結婚指輪以外のアクセサリーや腕時計は不要 です。
一連のパールのネックレスも、着物の場合は必要ではありません。

またアクセサリーの一部として ネイルをしている人も多いですが、葬儀の席ではそれらも取っておきましょう。
透明なマニキュアも光沢があるので、巻き爪や皮膚病治療など以外では取っておく方が無難です。

着物の喪服の持ち物
喪服
コート
洋装、着物問わず、喪服に合わせるコートでは 毛皮や革など殺生を連想されるものは避けるのがマナー です。
また金具がついていたり、光沢のある生地を使っていたりする場合も避けるべきです。

着物の場合は 黒や茶、グレーなどの控えめな色の道行きコートを着用するのが良い でしょう。
以下にポイントを挙げます。

殺生を連想させる素材は避ける
光沢のない生地
金や白など目立つボタンのコートは避ける
フード付きは避ける
新品は避ける
新品のコートはあらかじめ死期を予想していたと、とられかねないため配慮が必要です。
礼服用のコートは冠婚葬祭で着用できますが、新しく誂えた場合は気を付けておきましょう。

カバン
喪服 カバン
葬儀・告別式に参列する場合、カバンや傘といった持ち物は黒やグレーなど、目立ちにくい色を選びます。
コートと同じように カバンも殺生を連想させるような革や毛皮は裂けて、布製のものを使用するのが無難 です。
装飾があるもの、光沢が目立つものも避けましょう。

葬儀で着物の喪服を着る際のマナー
マナー
着物の喪服には 故人との関係や季節に応じて、着用して良いもの、控えた方が良いものがあります。

季節によって変わる
たとえば洋服では、冬に厚手の上着やコートを着て、春になるにつれて少しずつ薄着にしていきます。
同じように着物にも、冬には冬、春には春の装いがあります。

カジュアルな場では自身の感覚で装いを決めることができますが、 葬儀などフォーマルなシーンでは相応の装いが求められます。

10月~5月まで…袷
5月~7月、9月~10月…単衣
6月~9月…夏物(絽)
つまり喪服の場合は 季節に合わせて着物を変えるため、袷、単衣、夏物の3種類を用意するのが通常 です。
ただし近年は夏の時期が長く秋が短くなっている傾向があり、11月を過ぎても夏物の喪服を着用しても問題はないとされています。

そのため黒紋付セットには袷と夏物が同封されていることが多いです。

故人との関係
故人との関係によって着用する喪服は異なります。
たとえば結婚式で、花嫁さんと色が被らないように白い衣服は避ける、という話を一度は聞いたことがあるでしょう。
それと同じように、 葬儀を主催する喪主や遺族に配慮して、着物の喪服も選択しなくてはなりません。
着物の喪服の種類の項を参考に、相応しい装いをしてください。

着物の喪服の値段
お金 相場
着物の喪服の値段
着物の喪服を用意しようと思ったとき、気になるのはやはりお値段でしょう。
黒喪服のお値段は、素材(絹かポリエステルか)、染め方、仕立て代(縫い賃など)で決まります。

相場でいうと、30万~50万円で、「喪服セット」として販売しているものも あります。

喪服セットには夏物・冬物の着物、帯、長襦袢と喪に必要な小物一式がついています。
購入店によっては仕立て代込みであったり、アフターフォローが付いていたりするので便利です。

ところで 喪服を作るときに注意して頂きたいのが「紋」 です。
喪服には必ず紋を入れますが、微妙な違いが紋にはあります。

たとえば線の太さや数です。
体験者の話によると、線の太さを確認するために両親に何度も確認したりお墓を見に行ったりしたこともあるそうです。

細かなところかもしれませんが、 代々受け継いでいくものなので、しっかりと確認しておきましょう。

レンタルもおすすめ
喪服を用意する時間がないなど、急いでいるときはレンタルを利用するのも良い でしょう。
大体1万円から2万円くらいで一式レンタルできます。

レンタルを利用する場合の注意点は

クリーニング代は別途に掛かる
準備に時間が掛る
足袋や着付け小物などは自分で用意する必要がある
です。
上記は一例です。
即日対応してくれる場合やクリーニング代込みの場合もありますが、トラブル防止のために確認しておきましょう。

着物の喪服を着るときはTPOにご注意を
着物の喪服はいくつかの決まりごとがあります。

とくに注意したいのは、 喪主と弔問客で着物の格が異なること、遺族の気持ちに配慮すること です。
TPOという言葉が示すように、その場に相応しい装いを心がけましょう。

葬儀ははこれまでの感謝の気持ちや、こらからの自分を見守っていて欲しいという心を伝える場です。
着物の喪服は難しいと思うかもしれませんが、 喪服に身を包むことで守られている、そんな気持ちになり凜として送り出すことができます。

ご自宅のタンスに眠っている着物があれば、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

RELATED