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葬儀

2024.04.30

葬送とは?服装や持ち物、時代や地域によって違う葬送をご紹介!

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葬送は葬儀では出棺から火葬場に行くまでの過程を指します。
江戸時代は列をなして、遺族や村人が埋葬場所まで進むものでした。

葬儀の中でも葬送は抽象的なイメージです。
名前だけ聞いても、どんな事をするのかわからなかったりしますよね。

この記事では葬送の流れ、服装や持ち物、現在と過去の葬送の違い等を解説します!

葬送とは
葬儀
葬送の意味
葬送の読み方は『そうそう』です。
葬送は、 葬儀の過程で告別式の後の出棺にあたる儀式 になります。

故人の遺体をあの世に送り出す為、墓場まで送るのです。
葬送の発祥は、 江戸時代の野辺(のべ)送り に遡ります。

当時、遺体は焼かずに運んでいたのです。
座棺(ざひつぎ)をお神輿の様な物に載せて、人力で担ぎます。

座棺は、遺体を座らせた体勢で納めた棺です。
たるの形状をしていて、時代劇で目にする棺が座棺にあたります。

自動車は無い時代ですから、駕籠(かご)の要領で座棺を運んだのです。
江戸時代の葬送では、遺族は以下の形態で参列しました。

故人の長子が位牌を持ち
他の遺族や親族は各々割り振られた物を運んだ
家族や関係者で座棺を囲んで、行列(葬列)を成した
葬列を成した人々は、葬送の風習として

葬列の一行は墓所には直行せず、出発場所で複数回回ったり
正門ではなく別の出入り口から出たりした
以上の儀式を行っていました。
大正には告別式が普及しましたが、土葬独特の葬送は昭和初期まで続いていたのです。

火葬が一般となった現在でも、葬送への考え方は変わらずに継承されています。

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葬送の流れ①式場内
葬儀会場
最後の別れ
釘打ちの儀
最後の別れ
葬送では 参列者全員が焼香を終えたら、棺を下ろして故人のお顔を拝見 します。
遺族を除く遺された人々には最後の別れの機会です。

お別れでは祭壇に飾られたお花を、1人1輪または数輪携えて、棺内に納めます。
お花を手向ける作業は『別れ花』と言い、添える場所は故人の周り です。

別れ花を実施する順番は、故人と親等が近い順になります。

順    人(血の濃い順)
1    喪主
2    喪主の夫または妻
3    故人の両親
3    故人のきょうだい
4    子どもまたは孫
5    親族
6    その他参列客
釘打ちの儀
昭和以前の葬送で行われていた、 棺に石を使って釘を設置する作業 です。
現代の葬送ではほとんど目にする事はありません。

当時の葬送では棺を人力で運ぶ為、道中でふたが開く恐れがあったのです。
たる型の座棺のふたも、被せる程度の簡易的な造りでした。

そこで葬送では、釘を打つ事で固定するようにしていました。

また、物理的な理由に限らず

現実を受け入れ難い遺族が、釘打ちの儀によって故人の死を受け入れる為
神道の考え方で『死=穢れたもの』とされていた為
釘を打って『亡者=荒ぶる死霊』を封印する為
といった背景がありました。
葬送において釘打ちを行ったのは遺族で、順番は喪主から血の濃い人です。

釘打ちは1人2回と決まっていました。

葬送の流れ②式場外
挨拶
霊柩車への運び入れ
喪主挨拶
見送り
霊柩車への運び入れ
葬送では 別れ花の後出棺し、棺を霊柩車に載せます 。
遺族は棺を運ぶ人、位牌を運ぶ人等、血縁別に役割があるのです。

一連の流れは以下になります。

喪主が先頭に立つ。位牌の運び役
血縁の濃い遺族が遺影を運び
他の近親者や故人の友人等、主に男性が棺を運ぶ
注意したいのは、 棺の運び役は喪主とその遺族ではない事 です。
運び手は男性で6人になります。

また、棺を霊柩車に載せる際の向きが関東と関西によって異なります。
関東の葬送では、故人の足を前にして運び入れます。

足から入れるのは、故人が逝去するのを拒んで遺族の元に帰らないようにする為です。
関西の葬送では、逆位置の頭部を前にします。

しかし厳密に決まっている訳ではなく、葬儀社の指示に従っておけば大丈夫です。

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喪主挨拶
葬送の出棺作業で、最後から2つ目の儀式です。
棺を霊柩車に運んだ後に、喪主が参列客に挨拶を行います。

この時、棺を運び入れた乗車部分は閉じません。
喪主は、 葬儀または葬送に参加してくれた参列客に感謝の言葉 を述べます。

挨拶の段取りは以下です。

喪主による自己紹介
参列してくれた事と、葬送での作業を行ってくれた事への感謝
故人が生きていた頃お世話になった事への感謝
葬儀後も、遺族と関係を続けてくれる事をお願いする
見送り
葬送では最後の儀式となります。
霊柩車の棺の乗車口を閉じ、発車します。

火葬場へ向かう為、故人は本当にあの世へ旅立つのです。
参列した人は旅立ちをお見送りします。

葬送のお見送りは、 遺族が悲しみを乗り越えて現実を受け入れる為の時間 です。
お見送りによって故人はもう天に逝った事を悟り、心を落ち着かせられます。

お見送りの一連の流れは以下です。

棺が霊柩車に運ばれている時、参列者は霊柩車に集う
喪主が挨拶を行う
喪主の一礼を合図に参列者も一礼
または合掌する
霊柩車が葬儀場を離れるまで、参列者は外で待機
葬送の服装
喪主、親族
他の参列者
喪主、親族
喪主
喪主は、 一般的に葬送の服装として正式とされる装い をします。
葬送または葬儀を取り仕切る責任者で、遺族を代表するからです。

喪主の葬送における服装の特徴は以下です。
男女別にまとめました。

喪主の性別    和装    洋装
男性    黒色の羽織と着物、袴    黒色のモーニング
女性    黒色の着物に黒無地の丸帯    黒または同系色のアンサンブルかワンピース
親族
故人と血縁の濃い人、三親等以内の遺族も喪主と同様の服装 です。
葬送で正式とされる礼装を着用します。

また、略式の礼装(略礼装)も着用が可能です。
葬送における略礼装の男女別の特徴は、以下にまとめました。

親族の性別    服装
男性    黒のスーツ&ネクタイ、白Yシャツ
女性    黒のアンサンブルおよびワンピース
他の参列者
喪主および親族以外の参列者は、 特に葬送の服装に規定はありません 。
平服(へいふく)つまり普段着でも問題ないという事です。

葬送または葬儀の服装―喪服は、

故人と血縁の濃い遺族または親族が、喪に服している状態にある事
を意味します。
ですので友人知人や会社関係者は、平服で大丈夫なのです。

そもそも 重んじられるべきは故人を悼む気持ち で、服装ではありません。
ただし平服であっても守るべき基準点はあり、控えめで清潔感のある服です。

次項で、参列者の葬送における服装を、男女別に取り上げます。

男性
葬送における男性参列者の服装は、以下がマナーです。

男性 平服
女性
葬送における女性参列者の服装は、以下がマナーです。

女性 平服
葬送の持ち物
葬送で、服装以外に参列者が用意すべき持ち物は

ハンカチ
バッグ
香典
数珠
袱紗 (ふくさ)
時計
サブバッグ
等です。
次項では以上の中でも代表的なハンカチ、バッグ、香典、袱紗をご紹介します。

ハンカチ
葬送では男女の参列者に共通する持ち物です。
たかがハンカチ、されどハンカチで想像よりも使用率が高いのです。

葬送におけるハンカチの役割は、多岐にわたります。

故人の死を悼んで、流す涙を受け止める物
夏場の葬送なら汗を拭き取る物
会食やほか色々……
登場場面が多く、人の目にもつきやすいので色や柄には配慮しましょう。
葬送においては、 黒か白の無地、またはレース等 のハンカチにして下さい。

バッグ
バッグも葬送ではハンカチと同様使用頻度が多く、視界に入ります。
色は 黒系で素材は布、装飾品が極力控えめ なバッグを選ぶのです。

黒いバッグというと革製のイメージが強いです。
しかし、葬送は仏式の場合殺生の概念で忌避されます。

が、 製品によって地味なデザインであれば革製でも問題ない 事があります。

香典
葬送では マストアイテム です。
参列者が故人と遺族に対し供養の為に提出する物で、中身はお金になります。

葬送の運営費用を出し合う互助 の意味合いもあるのです。
香典を持参する機会は、お通夜か告別式では一度に限られます。

袱紗
葬送で参列者が、 香典を遺族に渡すのに使われる包装紙 です。
冠婚葬祭全般で目にする事が多いです。

葬送に適した袱紗の色は、落ち着いた地味な物にします。


灰色
ダークグリーン
濃紺等
葬送の時代による変化
流れ
昔の葬送
現在の葬送
昔の葬送
江戸時代の葬送が特徴的です。
当時の民衆の間では、 葬送の形式は土葬(野辺送り)が一般的 でした。

葬送の流れは以下の様な流れを踏みます。

息を引き取ったら、遺体を私宅に置いたまま葬儀を執り行う
遺族または近隣の住人が座棺を担ぐ
墓所=遺体を埋葬する場所へ向かう
当時の葬送は昼ではなく 夜の間に実施する事 がしきたりでした。
現在の葬送と違うのは、墓所に到達するまで遺族と村の人が行列で進む点です。

村人が個人の葬送に参加するとは、現在では馴染みがない様に感じますね。
当時は、住人同士の結び付きが強かったので当たり前だったのです。

遺族を含む参列者には役割が割り振られます。
葬送の行列で何を運ぶか決まっていたのです。

その際、人々は本名ではなく 各自が持参する物の名前で呼ばれました 。

位牌
香炉
燭台
また、葬送の服装は黒い着物かと思いきや、白い麻のセットアップでした。

現在の葬送
現代の葬送の形は、明治時代に始まり定着していきます。
明治維新前の日本は、地域ごとに葬送の特色があり、葬り方も様々でした。

新政府の誕生後は、地域性の強い葬送のあり方が制度化されます。
法で規制する事で、全国に共通の葬送または葬儀の型が形成された のです。

政府は葬送を取り締まるにあたって

遺体を埋葬する場所を決めて、葬送時にはどこで行うか通知する事
東京や大阪等の大都市では、場所が無い事と衛生面から土葬を禁止
といった政策を打ち出します。
民衆の間では葬送の法規化を受けて、都市圏から火葬をする世帯が増えたのです。

以後、火葬率は 終戦後50%弱だったのが、現在までに100%近くに達します 。
高度経済成長期と比例した形で、増加したのが特徴的です。

葬送の風習
葬儀
棺と一緒に回る
仮門の儀式
霊柩車の道を往復で変える
棺と一緒に回る
座棺を運ぶ前に、『3回周り』という儀式を行います。

棺を3回回転させる
仮門という家の正門とは異なる出入口を用意し、そこを通過させる
出発前に3度周りを行うと、死者の魂を鎮め安らかにあの世に旅出せられるのです。
出棺後の葬送の行列では

灯り持ちを筆頭に
駕籠(座棺)持ちが続いた
といった構成で進行しました。
道中にはかごを持った人が、納めておいた紙ふぶきを撒いたのです。

紙ふぶきを撒く事も、3回周りと同様に亡くなった人の魂を鎮める意図がありました。

仮門の儀式
葬送では出棺前に行う儀式です。
故人が自宅で息を引き取った際、普段出入りする扉は使いません。

仮門という葬送時特別の出入り口を作る のです。
仮門の素材は、アシや竹になります。

棺を別の出入りに通させる目的は、 故人があの世に逝かず家に戻るのを防ぐ事 です。
また仮門から出る時は、火を焚きます。

霊柩車の道を往復で変える
葬送において、出棺後、火葬場に向かうまでに行う儀式です。
ベースにあるのは仮門の儀式になります。

土葬が通例だった時代は、埋葬場所で棺を葬った後、別の帰り道を選びました 。
同じ道を使うと、 亡くなった人が冥界へ向かわず現世に戻ってくる と考えた為です。

葬送の道のりは、故人(棺)が現世から仏の世界へ行くルートでもあります。

葬送は故人と遺族を慰める儀式の連なり
葬送は、現在の葬儀では出棺以降の作業にあたります。
具体的な流れは

お別れ(別れ花)
喪主からの挨拶
霊柩車に棺を載せる
見送り
になります。
現代の葬送には無い儀式が、釘打ちの儀です。

江戸時代の葬送では土葬が一般的で、出棺時に棺に釘を打っていました。
釘を打つのは遺族で、現代のお見送りと同様、 死を受け入れる為の作業 だったのです。

霊柩車も無かったので、葬送の全行程が人の手によって進められました。
葬送は葬列として執り行われ、遺族や村の人々が参列して埋葬場所まで行ったのです。

葬列の行程は死者が空の上の世界―あの世へ行くためのルートでもありました。
遺された人々は、 帰りには違う道をたどり、故人が帰ってこないようにした のです。

葬送の儀式の一つひとつが、遺族と故人に寄り添っています。
遺族は葬送を経て故人の死を受け入れ、故人は静かに仏の世界へ旅立てます。

当記事が葬送の理解に役立てば幸いです。

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