【図解】初盆・新盆に飾る盆提灯とは?相場と種類や飾り方、処理方法も
盆提灯をみなさんはご存知でしょうか?
提灯と聞くと、お祭りで照らされる穏やかな橙の光と共にその存在を思い浮かべる方もいらっしゃることでしょう。
無論、お祭りの提灯と盆提灯は違いますが、核家族化に伴って葬儀の簡素化が進むとともに、盆提灯のことをよく知らない方も増えてきました。
この記事では、盆提灯について解説していきます。
初盆・新盆に飾る盆提灯とは
故人の方が亡くなってから49日が経つと忌明けを迎えます。
忌明けを迎えた後、初めてのお盆が新盆・初盆です。
お盆の始まりは迎え火、お盆の終わりは送り火で故人の方をあの世からこの世に送り迎えします。
初盆では、亡くなってから初めて故人の方が現世に戻ってきて家族と一緒の時を過ごす、という意味から初盆に行われる供養は盛大に行われます。
なぜ盆提灯を飾るのか
冥界から現世に住まう人々の元へたどり着くまでの道を盆道といいます。
この盆道を照らすことで、故人の方が家々にたどり着くまでに迷わないことを願ったのです。
昔は街道や村の道に灯篭を立てることで盆道を照らしてました。
戦前になると提灯の量産化が進み、この役目は灯篭から提灯へと受け継がれます。
これが現在、盆の期間に提灯を飾る習慣となりました。
初盆での盆提灯の役割
お盆は一年の中で唯一、故人の方と私たちが関わり合いを持つ時です。故人の方は魂の存在ですが、待つ人々の家に迷ってたどり着けないことはあってはなりません。
彼岸から現世へ故人が戻る際、故人の方の住まいの場所を知らせる必要があります。
特に初盆は初めてあの世からこの世にくることもあり、はっきりと知らせなければなりません。
そのため、初盆でのみ白提灯を飾ります。
魂の存在となった故人の方を待つ人々の場所を知らせるのが盆提灯の役割です。
初盆・新盆の提灯の種類
盆提灯と一口にいっても、様々な形があります。
ここでは中でも代表的な
大内行灯(おおうちあんどん)・回転行灯
御所提灯
手持ち型の盆提灯
について、そして盆提灯の家紋についても解説していきます。
初盆の提灯【大内行灯(おおうちあんどん)・回転行灯】
大内行灯
盆提灯の中でも、代表的なのが大内行灯です。
三本の脚によって床に置いて飾ります。
上部には漆を塗った木を雲の形に切り取った雲手と呼ばれる飾りがあります。
現在では、生活様式の変化に伴い、洋間に合わせて作られたモダン盆提灯と呼ばれる大内行灯も販売されています。
こちらは三脚がないのが特徴です。
回転行灯
また、大内行灯と同様に床に置く盆提灯に回転行灯があります。
回転行灯は灯をともすと絵柄が回るのが特徴です。
これは仏壇の脇ではなく、仏壇に直接おいて飾るために小型化した霊前灯も存在します。
初盆の提灯【御所提灯】岐阜の美濃和紙を用いたことから、別名岐阜提灯とも呼ばれる御所提灯は大内行灯と違い、軒先などにつるして飾ります。
白提灯は原則親族の方が手配します。
初盆の提灯【切子灯篭】
切子灯篭は浄土真宗に特有の盆提灯です。
浄土真宗では追善供養を行いません。
そのため、送り火や迎え火も行わず、盆棚も飾りません、
しかし、浄土真宗の方に盆提灯を贈ることは失礼にあたりません。
よく飾りとして用いられる大内行灯(おおうちあんどん)を贈る場合もあります。
初盆の提灯【お迎え用盆提灯】
ここまで飾る盆提灯について紹介してきました。
ですが、持ちてがある盆提灯も存在します。
地域によっては盆の法要や法事関係の行事やお祭りで手持ち型の盆提灯を人々が持って参加する場合もあります。
初盆の提灯【家紋があるもの】
柄ではなく、故人の方の家の家紋が描かれた盆提灯もあります。
種類は大内行灯、御所提灯、お迎え用提灯と多岐に渡ります。
家紋入りの提灯に関しては、こちらの記事を参考にして下さい。
初盆・新盆の提灯代
初盆の提灯代に関しては以下の項目ごとに解説していきます。
初盆の提灯代の相場
初盆の提灯代を包む不祝儀袋
初盆の提灯代の不祝儀袋の表面
初盆の提灯代を贈る時期
先にも述べましたが、盆提灯を飾る個数に決まりはありません。
基本的に盆提灯は故人の方の親族の人々が用意します。
現在は葬儀関係の行事の簡略化が進み、家の広さの関係からも盆提灯そのものを贈ることは少なくなってきました。
その代わり盆提灯にかかる費用を封筒に包んで贈ることもあります。この費用を提灯代といいます。
初盆の提灯代の相場
盆提灯の費用を肩代わりするのが提灯代です。
高額のものだと10万円を超えるものもあります が、提灯代には多額を贈る必要ありません。
故人の方との関係性が深かったり、親等上近かったりする場合は 10,000円程 が相場となります。
親戚として提灯代を贈る時は3,000円~5,000円程を提灯代として包んでください。
初盆の提灯代を包む不祝儀袋
提灯代の金額を包む不祝儀袋について以下に説明してきます。
水引は双銀・黄白で結び切りのものを選びましょう。
不祝儀袋は現金書留で贈ることが多いです。
封入される金額も比較的少ない事が多いので、水引が印刷されたものでも構いません。
双銀の水引きの例はこちらです。
香典 双銀 表書きなし
黄白の水引きの例はこちらです。
香典 白 黄色
香典やお布施程厳格な決まりもありませんが、包み方は弔事のにしておきましょう。
初盆の提灯代の不祝儀袋の表面
初盆 提灯
提灯代の表書きを、御提灯料と書く人もいます。
しかし 新盆献灯料 の方がより丁寧な表書きとなります。
文字の中央下部分には氏名を記載します。
文字を書く場合は筆ペンや筆を使用し、薄墨ではなく濃墨を使うようにしてください。
初盆の提灯代を贈る時期
提灯代は盆提灯を飾る お盆の一週間前には相手方に届くようにします。
お盆は地域によって7月中盤、8月中盤と差があります。
都心部に住んでいて贈る先が地方の場合、都市部のお盆の時期で考えていると、お盆の時期を過ぎてから提灯代が相手方に届くこともありえます。
盆提灯を贈るのは血縁関係である人々であることが多いです。
提灯代は金銭を伴うので不安を覚える方もいらっしゃいます。
そのような方は贈る際に菩提寺の方や親戚同士でお盆の時期やその際の作法等、確認をとってから贈るようにしましょう。
初盆・新盆の提灯の贈り方
提灯は基本として何方でも贈ることができます。
親戚、血縁関係の有無は関係ありません。
ですが、初盆用の白の盆提灯は故人の家族のみが用意します。
遺族の方と近しい関係で盆提灯を贈る時は、柄が描かれた盆提灯を贈るようにしましょう。
盆提灯の購入する時期は?
盆提灯は主にお盆の時期になると飾られます。
盆提灯を贈る場合はお盆の時期(七月中盤・八月中盤)より前に相手方に届くように贈ってください。
購入時期の中心はお盆前の6月から8月前半です。
また盆提灯に家紋や名前を入れる場合は、二週間程度は余裕をもって注文してください。
初盆用の盆提灯の購入場所
盆提灯の購入場所としては
人形店
仏壇・仏具用品店
デパート
の三つが主です。
人形店やデパートはお盆の時期になると特設に盆提灯の売り場を設置して販売することが多いです。
仏壇店は盆用だけでなく先祖供養用の提灯を打っているので、時期に関係なく購入できます。
初盆・新盆の提灯の飾り方
先述しましたが、盆提灯はお盆用の供物を置いた精霊棚の前に原則一対で飾ります。
風習として沢山の盆提灯を飾る地域もありますが、数や場所、大きさに決まりはありません。
精霊棚がない家庭では仏壇の前に飾ることも可能です。
また、部屋の広さの関係上一対で飾ることが厳しい時等は盆提灯の数は一つでも大丈夫です。
ですが 新盆の際にのみ白提灯は飾ってください。
一つで十分です。
基本的に、盆提灯に灯を入れるのは夕方にしましょう。
電気灯や電池灯の盆提灯が主流のため、基本的には安全ですが、 火気を伴うものを灯に用いるならば、盆提灯から目を離さないでください。
葬儀用の提灯は初盆の盆提灯には使わない
葬儀用の提灯と盆提灯は別物です。
故人が亡くなってから49日が経過した後の忌明けまで提灯を飾る事があります。
しかし、故人の成仏、つまり故人の方が安らかにあの世にいけることを願って葬儀用の提灯は飾られます。
故人の方がこの世に戻る際の印の役割を担う盆提灯と用途が明らかに異なります。
盆提灯を初盆に飾る際の注意
まず、盆提灯に直接火をいれる場合は火事にならないよう盆提灯から目を離さないようにしましょう。
蝋燭立ての部分が緩んでいないか、特に確認をしてください。
盆提灯の和紙の部分を火袋といいます。
火袋は和紙やビニールで作られることが多く、年月とともに、硬くなり、片づけのため折りたたむ時に破けることが多い部分です。
風雨にさらされると特に硬くなりやすいので、盆提灯を購入した際に付属されたビニールカバーも利用するようにしてください。
初盆・新盆が終わった後の提灯の処理
盆提灯は基本的にお盆の期間に飾り、お盆が終わると片づけます。
送り火の行事として木製や紙製のいかだに灯をともし、川に流すものがあります。
盆提灯も同じく、昔は川に流して処理していましたが、現在は環境的な理由で難しいです。
ここでは、盆提灯の処理の仕方を説明します。
処理の仕方は以下の三つが挙げられます。
保存
お焚き上げ
ごみで出す
初盆で使った盆提灯を保存
絵が描かれた盆提灯は初盆以降の盆でも飾ります。
盆提灯は年月共に、風雨にさらされることもあり、和紙やビニールの部分が特に劣化します。
破けたりしたならばもうその盆提灯は使い続けることはできまん。
保存方法を守ることで長く使うことができます。
長く使い続ける第一の方法は折りたたまないことです。
しかし、盆提灯をそのままの状態で片づけるのは保管場所もとられ現実的ではありません。
お盆を終えた後、盆提灯を片付ける際には下の三つの要点を守って保管をしてください。
長型や丸い形の盆提灯は、提灯の上下の枠周りが破損しないよう盆提灯の中に新聞紙を敷く。
お盆が終わった後は、盆提灯に付着した汚れを乾いたやわらかい地の布でふきとる。
カビや害虫に和紙等が食われないように防虫剤と一緒にしまう。
初盆後に盆提灯をお焚き上げ
昔は初盆の白提灯はそれぞれの家でお焚き上げを行ってました。
現在では少なくなってきましたが、家庭で白提灯をお焚き上げすることも可能です。
白提灯に合掌した後、盆提灯を全て燃やすのではなく、盆提灯の灯の部分、火袋の一部だけ燃やします。
火が完全に消えたことを確認してから一般ごみで捨ててください。
くれぐれも安全に注意して行ってください。
寺社や地域によっては盆提灯を持参し一緒にお焚き上げをしていただくこともできます。
正月のお焚き上げに白提灯を出す方も多いです。
お焚き上げに関しては、こちらの記事を参考にして下さい。
お焚き上げとは?いつまでに行う?料金相場・注意点、マナーも解説!
初盆後に盆提灯をゴミで出す
盆提灯をゴミとして出しても構いません。
お住いの地域によってはお盆の飾り用を出すための収集日等が指定されていますが、普段の収集日に分別して出すことも可能です。
盆提灯と共に故人の方を穏やかに迎える初盆にしよう
この記事では
初盆・新盆に飾る盆提灯とは
初盆・新盆の提灯の種類
初盆・新盆の提灯の飾り方
初盆・新盆の提灯の贈り方
初盆・新盆が終わった後の提灯の処理
初盆・新盆の提灯代
と題して、そもそもの盆提灯の役割から用途ごとの種類、飾り方や実際に贈る際や提灯代として金額を贈る際ののし袋の書き方についても説明してきました。
お盆は故人が現世に帰ってきます。
一年の中で故人の方と一緒に過ごせる唯一の時期がお盆です。
近年では盆提灯を飾る家も少なくなってきました。
考え方はそれぞれですが、故人の方と過ごすささやかな時を守るために盆提灯を飾る人もいます。
今一度初盆や盆提灯について考えてみてはいかがでしょうか。
初盆・新盆に関しては、こちらの記事を参考にして下さい。
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