一周忌は、故人が亡くなってから1年目の節目として行われる大切な法要です。
喪主や遺族が挨拶をすることが一般的ですが、「どのような言葉を選べばよいか」「どのタイミングで挨拶をすればよいか」など、悩まれる方も多いでしょう。
本記事では、一周忌の挨拶の基本マナーをはじめ、場面ごとの具体的な挨拶例文をご紹介します。
喪主が行う挨拶はもちろん、参列者としての適切な言葉やマナーも解説するので、これから一周忌に参加される方はぜひ参考にしてください。
一周忌での挨拶の基本マナー
一周忌法要では、喪主の挨拶で会を進行します。
ここでは、一周忌の挨拶の基本マナーをご紹介します。
喪主が挨拶を務める
一周忌法要では、喪主が挨拶を担当するのが一般的です。
参列者への感謝の気持ちを伝えつつ、故人を偲ぶ言葉を添えましょう。
形式にこだわりすぎず、心を込めた言葉を選ぶことが大切です。
進行の区切りごとに挨拶をする(最大5回)
一周忌法要は、以下のような流れで進行します。
このうち、喪主の挨拶が必要なタイミングは、法要開始時・法要後・納骨式の最後・会食前の献杯時・会食後の5回です。
1. 僧侶の入場
祭壇前に僧侶が座ります
2. 会式の挨拶
施主が開式の挨拶をします ①法要の開始を伝える挨拶
3. 読経
僧侶が読経をします
4. 焼香
参列者が順に焼香をあげていきます
5. 法話
僧侶が法話をします
6. 閉式の挨拶
施主が閉式の挨拶をします ②法要の閉式を伝える挨拶
(7. 納骨式)
お骨をお墓に納めにいきます ③式の最後に挨拶
8. 会食(お斎)
施主が献杯の音頭をとります ④会食の開始の挨拶と献杯
9. 会食終了
施主が会食終了の挨拶をします ⑤会食の終了の挨拶
※納骨式は一周忌や四十九日法要の際に行うことが一般的です。
一周忌での挨拶によくある質問
次に、一周忌法要の挨拶に関するよくある質問と回答をご紹介します。
喪主がいない場合の一周忌挨拶は?
喪主が不在、あるいは喪主となる人が高齢などで挨拶が難しい場合には、親族の代表者が挨拶を行います。
「親族を代表して、ご挨拶申し上げます」と前置きし、簡潔に感謝の言葉を述べましょう。
身内のみで一周忌を行う場合の挨拶は?
家族や親族のみで行う場合、形式ばった挨拶は不要ですが、故人を偲ぶ言葉を伝えるとよいでしょう。
例文
「今日は家族だけで、〇〇の一周忌を迎えることができました。皆で故人を偲びながら、温かい時間を過ごしたいと思います」
「本日はお忙しい中、故〇〇のためにお集まりいただきまして誠にありがとうございます。おかげをもちまして、一周忌法要を無事に終わらせることができました」
参列者の一周忌での挨拶は?
参列者として一周忌に参加する場合、遺族に対して適切な言葉をかけることが大切です。
訪問時や帰宅時の挨拶のほか、会食中や会話の中でも気遣いを示す言葉を選びましょう。
「重ね重ね」「浮かばれない」「死」「苦しむ」など、不吉な表現は避けるのがマナーです。
詳しい例文は記事後半をご確認ください。
喪主はカンペを見て挨拶をしてもよいのか
大勢の前で挨拶することが不安な場合、メモをみながら挨拶しても問題ありません。
カンペをみながら挨拶をすることはマナー違反にはあたらないため、心配な方はこれから紹介する例文をメモして一周忌に臨むとよいでしょう。
【印刷・メモOK】一周忌の挨拶例文
ここでは、場面別に使える具体的な喪主(施主)の挨拶例文を紹介します。
一周忌での挨拶が不安な方は、ぜひ印刷やメモをしてそのままご使用ください。
①法要の開始を伝える挨拶
本日はご多忙の中(※季節の言葉でもOK)〇〇の一周忌法要にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
これより法要を始めさせていただきます。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。
※季節ごとの言い換え例
・春(3月~5月):ご多忙の中/まだ肌寒さの残る中
・夏(6月~8月):炎天下の中/お暑い中
・秋(9月~11月):ご多忙の中/朝晩の冷え込みが増す中
・冬(12月~2月):寒さ厳しい中/お寒い中
②法要の閉式を伝える挨拶
本日はご多忙のところ〇〇の一周忌法要にお越しくださり、誠にありがとうございます。
ただいま無事に〇〇の一周忌を終わらせることができました。
ひとえに皆様のご協力のお陰であります。
改めて御礼申し上げます。
ありがとうございました。
早いもので〇〇が亡くなってから1年が経ちました。
私共家族はおかげさまでこの1年、健康に穏やかな日々を過ごすことができました。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、どうぞよろしくお願い致します。
(※会食がある場合)会食のほうをご用意させていただきましたので、これより会食のほうにうつらせていただきたいと思います。
本日は、お集まりいただき、誠にありがとうございました。
③式の最後に挨拶
本日はお忙しい中、〇〇の納骨式にご参列いただき、心より感謝申し上げます。
皆様にお集まりいただけたことを、〇〇もきっと喜んでいることでしょう。
また、葬儀や四十九日法要の際には温かいお心遣いを賜り、改めて深く御礼申し上げます。
本日、皆様に見守られながら無事に納骨を終えられましたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。
④会食の開始の挨拶と献杯
本日は、〇〇の一周忌法要にお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
簡単ではございますが、お食事をご用意させていただきましたので、お楽しみいただければ幸いです。
それでは、献杯のご唱和願います。献杯。
⑤会食の終了の挨拶
本日は、〇〇の一周忌法要に最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
故人が亡くなって1年となりましたが、皆様との故人の思い出話をさせていただき、懐かしい気持ちになりました。
これからもどうぞ皆様、〇〇のことをたまに思い出して偲んでいただければと思います。
本日は長時間にわたり本当にありがとうございました。
まだまだ暑さが厳しい※日々が続くので、皆様、体調の方お気をつけてお過ごしください。
それではお気をつけてお帰りください。
※季節ごとの言い換え例
・春(3月~5月):朝晩はまだ冷え込む日がございますので
・夏(6月~8月):蒸し暑い日が続きますので
・秋(9月~11月):肌寒い日が多くなってきましたので
・冬(12月~2月):厳しい寒さが続いておりますので
僧侶への挨拶例文
僧侶に対しては、開始前とお帰りの際に挨拶しましょう。
お布施は僧侶が退出された際や会食後に帰られるタイミングでお渡しするのが一般的です。
【一周忌開始前の僧侶への挨拶】
本日は〇〇の一周忌のためにご足労くださり誠にありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
【一周忌終了後の僧侶への挨拶】
本日は誠にありがとうございました。
今後ともお世話になります。
お気を付けてお帰りください。
【僧侶へお布施を渡す際の挨拶】
(法要前に渡す場合)
・本日はどうぞよろしくお願いいたします。
・ささやかではございますが、(お布施を)お納めください。
(法要後に渡す場合)
・ご供養ありがとうございました。
・本日は大変お世話になりました。
一周忌【参列者】の挨拶例文
参列者が多い場合、喪主の方も忙しいことが多いのでよっぽどのことがない限り、ご挨拶は簡潔に済ませましょう。
大事な点は参列者自身の素直な気持ちを述べるということです。
参列者の挨拶に定型文はありません。
下記の例文はあくまでも参考に、自分の思いを言葉にして故人を偲びましょう。
受付での挨拶
一周忌法要の場合は「お悔み」や「ご愁傷さまです」などといった言葉は使いません。
注意しましょう。
香典を渡す際の挨拶
心ばかりですが、ご仏前にお供えください。(香典を渡す)
ご遺族と対面した際の挨拶
本日は一周忌法要にお招きいただき、誠にありがとうございます。
その後、お変わりなくお過ごしでしょうか?
改めまして、ご冥福をお祈り申し上げます。
なお、ご遺族が身内や友人の場合、以下のような言葉をかけるといいでしょう。
本日はお招きくださりありがとうございます。
この1年は大変でしたね。
みなさんお変わりないですか?
お元気にされていましたか?
改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。
遺族と別れる際にかける言葉
本日はご参列の機会をいただき、誠にありがとうございました。
久しぶりに懐かしい思い出を語り合うことができてうれしかったです。
どうぞご自愛のうえ、お元気でお過ごしください。
参列者から手紙やはがきで挨拶を送る場合の例文
拝啓
〇〇の候(※時候の挨拶を記載)、ご家族の皆様にはご清祥のことと存じます。
このたびは一周忌法要のご案内をいただき、誠にありがとうございました。
本来であれば直接お伺いし、お悔やみを申し上げたかったのですが、やむを得ない事情により、書面でのご挨拶となりますことを深くお詫び申し上げます。
〇〇様(※故人の名前)のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和〇年 〇月〇日 田中太郎
手紙は縦書きが基本です。
「ますます」「たびたび」といった忌み言葉は使わないよう注意しましょう。
まとめ
一周忌の挨拶は、場面ごとに簡潔にまとめられるよう準備しておきましょう。
例文を参考に挨拶の準備をし、大切な一周忌を迎えてくださいね。