親が亡くなった後、遺されたご家族側でさまざまな手続きが必要です。中には、死亡届の提出や年金の受給停止、相続税の申告など、期限が決められているものもあるため、事前に流れを把握しておくとスムーズに対応しやすくなります。
この記事では、親が亡くなった後に行う手続きを詳しく解説します。「親が亡くなったら何をしたらいいの?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
親が亡くなったら行う手続きチェックリスト
以下は、親が亡くなった場合に行う手続きをチェックリストにしたものです。
チェックリストに従って進めれば大きな失敗はないため、ぜひ参考にしてみてください。
【速やかに行う】親が亡くなったときに行う手続き・やること
親が亡くなったとき、比較的速やかに行うべきこと・手続きは主に以下の通りです。
・死亡診断書の発行
・ご家族や親戚などに連絡する
・葬儀社を決める
・ご遺体を搬送する
1. 死亡診断書の発行
1つ目は死亡診断書の発行です。死亡診断書は、市区町村への死亡届の提出や生命保険の請求に必要な書類のことで、通常は亡くなった病院の医師が作成して病院や介護施設で発行されます。
自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡し、訪問診察のうえで発行してもらう必要があります。この診断書の発行には保険が適用されません。
発行費用は国公立病院で3,000〜5,000円、私立病院で5,000〜10,000円が目安です。一方、事故や突然死などで死因が不明な場合は、警察へ連絡し、死体検案書の発行を依頼しますが、30,000〜100,000円が目安となります。
2. ご家族や親戚などに連絡する
2つ目はご家族や親戚への連絡です。訃報は、亡くなった事実を簡潔に伝えるもので、家族や親戚などの近親者に喪主が直接伝えるのが基本となります。
電話での連絡が正式とされており、中でも目上の方に対してはメールでの連絡を避けたほうがよいでしょう。親族は三親等程度まで、必要に応じて会社関係者などにも知らせます。
また、訃報は通夜や葬儀の詳細は決まり次第改めて連絡するとスムーズです。知人には、葬儀の日程とあわせて知らせる方法もあります。
3. 葬儀社を決める
3つ目が葬儀社の決定です。葬儀社は、時間が限られる中で探すと選択肢が狭まるため、生前に決めておきましょう。病院から提携先を紹介される場合もありますが、費用や対応を確認してから選ぶことが大切です。
葬儀社を決めたら、通夜や葬儀の内容を具体的に決めます。葬儀社は、遺体の搬送・安置、納棺、通夜の準備・進行、僧侶や火葬場の手配などをサポートしてくれます。
葬儀の形式は一般葬や家族葬などがあるため、故人の希望や予算に応じて選んでください。
4. ご遺体を搬送する
4つ目がご遺体の搬送です。病院の霊安室に遺体を安置できるのは数時間程度のため、速やかに搬出しましょう。自宅での安置が難しい場合は、斎場や葬儀社の安置施設を利用できるため、一度相談してみてください。
【7日以内】親が亡くなったときに行う手続き・やること
親が亡くなって7日以内に行う手続きややるべきことは、主に以下の通りです。
・死亡届の提出と火葬許可証を申請する
・お通夜を行う
・告別式・火葬を行う
1. 死亡届の提出と火葬許可証を申請する
手続きとして挙げられるのは死亡届の提出と火葬許可証の申請です。病院から死亡診断書を受け取ったら、死亡届の部分を記入し、死亡を知った日から7日以内(海外滞在中なら3ヶ月以内)に役所へ提出します。
提出後は返却されないので、不安な方はコピーを取っておくとよいでしょう。
また、火葬許可証は死亡届とともに申請するものです。申請後、市区町村から発行されますが、基本的には葬儀社が手続きを代行します。
死亡診断書は生命保険の請求や口座名義変更、年金受給停止などに必要となりますが、こちらも基本的には葬儀社が代行します。
2. お通夜を行う
一般的には、亡くなった日の翌日か翌々日にお通夜が行われます。お通夜とは、故人と最後の夜を過ごす儀式であり、親しい人々が集まってご冥福を祈る場です。
故人が深夜や早朝に亡くなった場合、死亡当日に行うケースもあります。
3. 告別式・火葬を行う
お通夜の翌日になると告別式・火葬が行われます。自治体によっては火葬場の予約状況により、火葬が1〜2日遅れることもあります。
喪主は、葬儀や告別式にて参列者や僧侶の対応を行います。喪主を務める人に決まりはありませんが、故人の配偶者が務めるのが一般的です。
また、挨拶文などは葬儀社に相談すれば用意してもらうことも可能です。
ただし、喪主は儀式を円滑に進める大切な役割を担うため、事前に心構えや準備はしておきましょう。
上手くすり合わせてスムーズに行うことが大切です。
【14日以内】親が亡くなったときに行う手続き・やること
親が亡くなって7日以内に行う手続きややるべきことは、主に以下のとおりです。
・世帯主変更届を提出する
・年金受給停止の手続きを行う(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)
・国民健康保険資格喪失届を提出する
・後期高齢者・介護認定者の資格喪失手続きを行う
1. 世帯主変更届を提出する
14日以内に行う手続きの1つ目が世帯主変更届の提出です。世帯主が亡くなった場合、世帯主変更届または住民異動届を市区町村役場に提出します。
提出期限は死後14日以内とされており、自治体によっては変更届や住民異動届の申請書をホームページからダウンロードできる場合もあります。
ただし、配偶者のみが残された場合や、配偶者と幼い子どもだけが世帯員となる場合は、新たな世帯主が明確なため、世帯主変更届の提出は不要です。
一方で、残された世帯員に15歳以上の者が2人以上いる場合は、届出が必要となります。
2. 年金受給停止の手続きを行う(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)
14日以内に行う手続きの2つ目が年金の受給停止です。
亡くなった人が年金を受給していた場合、死亡と同時に受給資格を失います。停止手続きとして、年金事務所または年金相談センターへ「受給権者死亡届」の提出が必要です。
期限は厚生年金が10日以内、国民年金は14日以内とされていますが、故人が日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は届出が不要となることもあります。
もし、手続きを怠ると不正受給とみなされる恐れがあるため、速やかに年金受給停止の手続きを行いましょう。
また、故人の遺族が一定の条件を満たす場合は遺族年金を受給できるため、あわせて手続きを行ってみてください。
3. 国民健康保険資格喪失届を提出する
14日以内に行う手続きの3つ目が国民健康保険資格喪失届の提出です。故人が健康保険に加入していた場合に手続きしなければなりません。
ただし、手続きの期限と提出先は、加入している保険の種類ごとに異なるため注意しましょう。
・国民健康保険:「国民健康保険被保険者資格喪失届」を市区町村役場へ死後14日以内に提出
・国民健康保険以外:「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」を勤務先へ死後5日以内に提出
また、故人の扶養に入っていた遺族も死亡翌日から健康保険の資格を失います。そのため、できるだけ早く国民健康保険への加入手続きを行いましょう。
手続きは、死亡後14日以内に故人の勤務先から発行された健康保険資格喪失証明書と本人確認書類を市区町村役場へ提出する流れです。
自治体によって必要書類が異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
4. 後期高齢者・介護認定者の資格喪失手続きを行う
14日以内に行う手続きの4つ目が後期高齢者・介護認定者の資格喪失手続きです。
故人が後期高齢者医療制度や介護保険に加入していた場合、亡くなった後に資格喪失手続きを行い、保険証を返却しなければなりません。
それぞれの提出期限は以下の通りです。
・後期高齢者医療(75歳以上、または65〜74歳で障害がある場合):「後期高齢者医療資格喪失届」を死後14日以内に市区町村役場へ提出
・介護保険(65歳以上、または40〜64歳で要介護・要支援認定を受けていた場合):「介護保険資格喪失届」を死後14日以内に市区町村役場へ提出
また、未払いの保険料があれば遺族が支払う必要があります、払いすぎた保険料に関しては還付されるため安心してください。
ただし、還付金は相続税の対象となるため、手続き後の管理にも注意しましょう。
まとめ
親が亡くなった後に行う手続きはさまざまです。速やかに行うものとしては、死亡診断書の発行や葬儀日程の決定などがあります。一方、届出や資格喪失手続きなどは、7~14日以内に行えば問題ありません。
手続きごとに期限が異なるため、それぞれ確認した上でスムーズに進めてみましょう。