瓔珞(ようらく)とは
仏壇
寺院や仏壇の天井部分から釣り下がった金色に輝く飾りを瓔珞と言い、「ようらく」と読みます。
瓔珞(ようらく)の起源
今では荘厳具として仏壇飾りの一つとして瓔珞は用いられていますが、起源は仏教発祥の地インドにあり、「真珠の首飾り」を意味する「ムクタハーラ」が語源です。
しかし、 元は古代インドの王族が身に着けていた装身具 であり、煌びやかな宝石や穴を開けた貴金属を糸で編み合わせた首飾り等を指していました。
仏教文化にこのムクタハーラが取り入れられてからも、飾りとしての意味合いは漢字に残っており、以下の表のようになります。
漢字 意味
瓔 玉を用いた首飾り
珞 身にまとう・身に着ける
釈迦が悟りを開く前も、王族であった事から菩薩像には首飾りとして瓔珞が表現されている事が多いです。
瓔珞(ようらく)を飾る意味
先ほど、古代のインドで使用されていた瓔珞はあくまで飾りの役割を担っていたと述べました。
仏教文化に瓔珞が流入された後では、 釈迦の功徳に基づいた優れた能力を示す荘厳具 としての表現も含め、寺院や仏壇に飾りとして使用されて行き、現在にまで至ります。
また、極楽浄土の世界に生える木々には瓔珞が釣り下がっているとされ、 先祖が住まう場所が綺麗な場所になるようにとの願い を込めて飾られる事もあります。
仏壇に関しては、こちらを参考にしてください。
仏壇は必要?仏壇を置く意味やいらない理由、注意点を解説!
第三人生編集部
宗教毎の瓔珞(ようらく)の違い
違い
一つ前の項目では起源や意味等、瓔珞の概要部分の説明を行ってきました。
瓔珞は宗派ごとで異なり、主な部類としては以下の表のようになります。
名称 宗派
隅瓔珞 天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗本願寺派・曹洞宗・時宗・臨済宗・日蓮宗
輪灯瓔珞 真宗大谷派
輪灯 浄土真宗系の各宗派
隅瓔珞
滝田商店ブランド 瓔珞 中(一対)(高さ23cm×巾9cm)◆仏壇用の仏具・瓔珞(ようらく)【滝田商店発行 証明書付】
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一般的な仏教宗派において使用される瓔珞が隅瓔珞です。
隅瓔珞とは具体的には以下のようなものです。
仏壇の天井部分の角部分から吊り下げる事から名前に隅の漢字が使われています。
浄土真宗と瓔珞について
浄土真宗系の一部宗派では瓔珞ではなく、輪灯を飾るのが多いです。
灯りを仏に向けて供える飾りであり、阿弥陀の教えの智慧の光を示すものとされ、飾る事は供養の一つとされます。
基本、吊り下げ方は瓔珞と同様一対を天井付近から垂れ下げます。
浄土真宗内の各宗派により、皿や輪の装飾が異なり宗派毎と対応については以下の表のようになります。
名称 宗派
菊輪灯 本願寺派
桐輪灯 高田派
藤輪灯 仏光寺派
真宗大谷派以外では、輪灯本体と最上部のパーツである傘の間に基本的に装飾がある吊り金具を用います。
この吊り金具を相吊りといい、相吊りの有無で飾る際に瓔珞を周囲に吊り下げるかどうかで違いが現れます。
大谷派の輪灯については以降の項目で解説を行います。
輪灯瓔珞
輪灯瓔珞(ようらく) 2重8段(1対) 真鍮 金メッキ 4.5径
輪灯瓔珞(ようらく) 2重8段(1対) 真鍮 金メッキ 4.5径
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浄土真宗の内、真宗大谷派でのみ使用するのが輪灯瓔珞です。
真宗大谷派も他派と同様に輪灯を使用しますが、輪灯の装飾自体は丸蔦と呼ばれ、油皿の皿を上下に囲むような輪っかがあり、他派と比べると装飾は地味です。
そのため、大谷派では輪灯自体の周りに瓔珞を付ける事で飾りとします。
以下のように輪灯を下げた竿の周囲に笠のパーツが取り囲んでいます。
大きさにもよりますが、笠同士の密集度は通常の瓔珞よりも高いのも違いの一つです。
一部の密教における瓔珞
先述もしましたが、瓔珞は装飾品由来であり、荘厳具でもあるため、宝石や蓮の花を象った物が多いです。
しかし、密教由来の仏像の内、守護神の役割を持つ仏像等は髑髏(どくろ)を象った瓔珞を飾りとして胸や頭に付けている事もあります。
瓔珞(ようらく)の費用相場
金額
瓔珞を購入の際に支払う金額の主な変動要因は以下の項目になります。
金属部分の材質
サイズ
使用される玉の材質
傘の密集度
これらについて、結論を先に述べると一般的には
アルミ製ではなく、真鍮や銅、木製の金箔押し
サイズが大きい程
翡翠や水晶、瑪瑙等の使用量が多い程
傘の密集度が高い程
高くなる傾向にあります。
通常使用される隅瓔珞でも4000円~50000円程度とかなり差があります。
特に木製の金箔仕上げの物に関しては、軽いうえに品の良さもあるため、金額が高額の物になります。
また、水晶等がふんだんに使用された物の値段は20万円を超える事もあります。
飾る仏壇の大きさで購入する瓔珞の大きさ自体も変動します。
購入を検討している方は仏具店の方にサイズ感を含め、値段の変動も重々に頭入れた上で、適切な物を購入できるよう相談するようにして下さい。
瓔珞(ようらく)の飾り方
仏壇
瓔珞は基本的に左右一対で飾りますが、数に決まり等はありません。
一般家庭の仏壇で飾る場合は、仏壇の天井部分又は屋根部分から吊り下げて飾ります。
仏像等が置かれた中央奥部分を挟むように左右均等に、かつ吊り灯篭の内側に位置するように飾ります。
瓔珞(ようらく)のお手入れ方法
方法
瓔珞の金属部分の材質は
アルミ
真鍮
銅
他の材質の金箔仕上げ
等が挙げられます。
真鍮製や銅の物に関しては金属の磨き材等を布につけて磨く事でお手入れを終えても問題はありません。
ですが、 特に金メッキのものに関しては、薄膜が剥がれて地の金属の色が見えてしまう事を避けるためにも、眼鏡拭き程度の柔らかさを持つ布で汚れをこまめにふき取るのがよいでしょう。
お手入れの際には瓔珞を各パーツごとに分解をしてから行います。
仏具店に依頼
基本的には自分の手でお手入れを終えても構いませんが、瓔珞がパーツが細かい上に大量にある上、繊細な細工が施された物である等の理由から、自身でのお手入れが難しい事もあります。
その際には 仏具店に依頼をすれば、瓔珞のお手入れを引き受けて下さる事もあります。
困った際には仏具店の力を借りるのも手でしょう。
おすすめの瓔珞(ようらく)
実際に瓔珞を選ぶ際に注意すべき事についても触れながら、具体的な商品を紹介していきます。
まず、初めに瓔珞を購入する前には 飾る仏壇の天井から上段部分までの長さを測定し把握し てから、上段中央部分よりも瓔珞が下に垂れ下がらない物を選んで購入するのが一般的です。
なお、瓔珞の長さを長い物を購入したいという場合は、他の仏具との兼ね合いも含め、全体を見た際に調和がとれた物になるように選びましょう。
【サイズを自由に選びたい方向け】
【小型仏壇向け】
【大型仏壇向け】
輪灯瓔珞【大型仏壇向け】
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瓔珞 多サイズあり 白玉 純国産 ヨウラク 高岡仏具 四季彩ブランド (3号/195×54㎜, アルミ)
瓔珞 多サイズあり 白玉 純国産 ヨウラク 高岡仏具 四季彩ブランド (3号/195×54㎜, アルミ)
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上の商品はサイズを選びたい方におすすめの瓔珞です。
アルミ製であるため、さびに強く、大型の物を選んだとしても軽く片づけや飾る際に容易です。
号数を選択する事もでき、お持ちの仏壇に合わせての注文が可能です。
各大きさの価格と実際の寸法の対応は以下の表に示されるので、飾る際には置く場所の長さも鑑みて購入する様にしましょう。
号数 大きさ 価格
3号 195×54㎜ 5,900円
4号 230×60㎜ 7,600円
5号 270×67㎜ 8,550円
6号 300×77㎜ 9,673円
7号 349×77㎜ 14,153円
8号 384×77㎜ 16,555円
9号 419×77㎜ 18,960円
【小型仏壇向け】
滝田商店ブランド 瓔珞 小(一対)(高さ19cm×巾8cm)◆仏壇用の仏具・瓔珞(ようらく)【滝田商店発行 証明書付】
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上図の商品のような瓔珞は小型の仏壇向けです。
比較的安い部類に入り、大きさもかなり小型なので、仏壇自体のサイズも小さめな物の方がよいでしょう。
【大型仏壇向け】
滝田商店ブランド 瓔珞 本金箔 6段(一対)(高さ31cm×巾7cm)◆仏壇用の仏具・瓔珞(ようらく)【滝田商店発行 証明書付】
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上の商品はのような瓔珞は傘が六段と段数も多く煌びやかな一品です。
高額になりがちですが、商品自体の大きさもかなりあるため、 大型の仏壇に飾る際におすすめ です。
またこの商品のように木製の金箔仕上げ のものもあります。
そのため飾る際にも軽く、金箔を用いた仕上げとなっているため、品の良さと華やかさを兼ね備えている点も魅力の一つでしょう。
輪灯瓔珞【大型仏壇向け】
瓔珞 4.5寸 四枠 惣鈴 深傘
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上の商品のような瓔珞は大谷派専用の瓔珞であり、 純金箔 による高級感が漂う一品となっています。
瓔珞の中でも大型なので、巾120cm程度の 大型の仏壇に飾る際に用いるのがおすすめ です。
仏壇を華やかにさせる存在、瓔珞(ようらく)
この記事では瓔珞に関して、宗派ごとの違いから起源、手入れの仕方やおすすめの瓔珞についても紹介してきました。
主な概要を以下にまとめます。
瓔珞の元は王族が付ける飾り
浄土真宗では代わりに輪灯(大谷派では輪灯瓔珞)を用いる事も
左右均等な配置になるように飾る
費用は材質、天然石使用の有無、大きさで大きく異なる
仏壇との兼ね合いで瓔珞の長さを選ぶ事が重要
瓔珞を選ぶ際は、瓔珞自体の材質や玉の材質だけに限らず、大きさも重要な点となります。
あくまで荘厳具であるので、置く予定の他の仏具との兼ね合いや仏壇全体のバランスを鑑みながら購入際に不都合のないようにして下さい。
仏壇の光源と言えば灯篭を指す事が多いですが、瓔珞は内に品のよい輝きを含む事が多く、火や電気を用いたりしない分、安全でかつ手軽に仏壇を華やかにする事ができます。
吊り下げる際にも仏具用のクリップ等を使用すれば、大切な仏壇を傷つける事なく飾る事が可能です。
今回の記事で初めて瓔珞を知ったという方も、ぜひ仏壇飾りの候補の一つに入れてみてはいかがでしょうか。