しめ縄の正しい向きとは?編む向きには意味がある!神棚・玄関の場合も
お正月飾り等で私たちにも馴染みの深いしめ縄、今回はしめ縄の向きと称して解説を行ってきます。
まず初めに縄自体が持つ役割についての説明を行った後、向きの捉え方、飾る際の向きについて、その後は出雲大社や伊勢地方でのしめ縄の向きに関しても解説を行ってきます。
飾る際の時期や処分の際の注意などについても記載を行ったので、実際に行う際は参考にまでにして頂ければ幸いです。
この記事の結論
しめ縄の向きは神社・神棚では太い部分が右に来るように飾ります。しかし出雲大社などでは反対の向きに飾ることもあります。
しめ縄とは
お正月飾りや神社等で目にするしめ縄。
俗世と清められた空間である神域を分ける結界の役割をしめ縄は担っています。
大木や石等にもしめ縄が括り付けられているのは、神様が宿る場所だという事を示すためです。
特にお正月に飾られる飾りに関しては、五穀豊穣や家内安全等を願い、それらの幸福を司る歳神様を迎え入れる準備が済んだ事を示すために飾られます。
しめ縄の種類
正月に飾るしめ縄の種類としては以下の3つが主に挙げられます。
向きに直接かかわってくるのはごぼう締め飾りですが、以外の二つに関しても説明を行います。
ごぼうしめ飾り
神棚に置かれ、西日本で多く見られる飾りです。
両端の太さが違い、それぞれに作業順に基づいた名称が定められています。
しめ縄の部分 |
太さ |
綯い始め |
太い |
綯い終わり |
細い |
このようにごぼうしめ飾りの内、太い方を綯い始め、細い方を綯い終わりと言います。
基本的には紙垂と言う紙製の飾りと共に飾ります。
前垂れが付け加えられたのも存在し、これはしめ縄や原則付属して付けられる紙垂の他に、
玉飾り
東日本で多く見受けられるのが、玉飾りです。
上にあるように輪の形にしたしめ縄の上に
輪飾り
玉飾りと同様に輪の形にしたしめ縄に、紙垂等を付けた飾りであり、門松にかける形で飾られる事が多いです。
形状としては玉飾りと類似してますが、実際は土台の部分の縄が細く、全体的に華奢で質素な印象を受けます。
しめ縄の正しい向き
繰り返しになりますが、しめ縄は綯い始めと綯い終わりで太さが異なるため、飾る際に向きの問題が生じます。
しめ縄の部分 |
太さ |
綯い始め |
太い |
綯い終わり |
細い |
ごぼうじめと呼ばれる私たちが普段よく目にする物は向かって左右の太さに違いがあります。
左右のどちらに太い方がくるかで言われ方が以下のように異なります。
名称 |
飾り方 |
入り船 |
向かって右が太い部分 |
出船 |
向かって左が太い部分 |
結論を言ってしまうと、普遍的に通じる正しい向きと
言うのは基本的に存在しません。
しかしながら、飾る際の一般的原則は存在するので以降で解説を行ってきます。
職業で異なるしめ縄の向き
商売繁盛を願い、建物にある店に客が沢山足を運ぶ事を願う店主の方等は入船で飾ります。
一方、建物から出て働いて稼ぎを持ち帰る方は出船の形で飾ります。
しめ縄の向き【神棚・玄関】
神棚や神の方向から見て、入船の向きでしめ縄は飾ります。
この時神棚側から見た際には、太い部分が左側に来るように、飾る側の私たちから見た際は 太い部分が右側に、細い部分が左側 となるように飾ります。
なお、正月等で飾る際の形状が、輪飾りや玉飾りである際は左右対称なので向きは気にしなくて大丈夫です。
なぜ入船の向きでしめ縄を飾るのか?
神道の左右に対しての考え方に則り、しめ縄は飾られます。
右が神や神々にまつわる神聖なるものが存在する場として捉え、上位と捉えます。
一方、左は俗物的な物が存在する場として、下位と捉えます。
そのため、あくまで神の方向から間みて縫いはじめの部分が左側になるように飾る必要が生じます。
神棚の方角としめ縄の向き
神棚には入船の向きで、私たちから見た際に右手に太い部分がくるようにしめ縄を飾るのが基本です。
しかしながら、神棚が向かう方角に合わせて太い部分がくる位置を変更する事もあります。
神棚の向きとしめ縄の向きの対応は以下のようになります。
神棚の向き |
位置(太い部分) |
方角(太い部分) |
東向き |
左 |
南向き |
西向き |
右 |
南向き |
南向き |
右 |
東向き |
北向き |
左 |
東向き |
このように神棚の方角に合わせ、太い部分の位置が変更する理由としては、太陽の存在があります。
例えば東向きの際は、上の表にあるように南向きにしめ縄を飾りますがこれは太陽の南中と対応しているためです。
神棚のしめ縄に関して、詳しくはこちらを参考にしてください。
神社でのしめ縄の向き
神社でも神棚と同様、細い部分が左に、太い部分は右に来るように飾ります。
神社としめ縄に関して、詳しくはこちらを参考にしてください。
地域により異なるしめ縄の向き
原則、正面にしめ縄を置いた際は私たちから見て太い部分を右側に置きます。
しかしながら、 伊勢地方や出雲大社では、私たちから見ると太い箇所が左、細い所は右と逆に置かれてます。
出雲大社
天照大神が祀られている日本の神社の総本山ともいえる出雲大社では向きが逆です。
これは左右の捉え方が出雲大社では異なるためです。
古来より上位は左に下位は右として捉えるのが出雲大社の考えです。
神から見て左部分を上位とする捉え方はしめ縄の張り方以外にも、本殿内に安置された神々が左程高位になる事にでも表れています。
伊勢地方
しめ縄に関して、伊勢地方での向きは出雲大社の際と同様逆向きになり、左側が太くなるように張ります。
この他に伊勢地方においてしめ縄で特有の事項として邪霊が家の内に入る事を防ぐため、通年門口に掲げて飾る事が挙げられます。
これは、スサノオノミコトが蘇民将来と呼ばれる人物の施しを受けたお礼として、疫病から身を守る方法を授受された神話に由来します。
「蘇民将来」の文字が記載された札がしめ縄の飾りの上に付けられますが、これは先ほど述べた神話に由来しています。
【コラム】しめ縄を飾るタイミング
家庭内で正月飾りとしてしめ縄を張る際の具体的な時期は 正月事始めが始まる12月13日~年末付近 となります。
近年はクリスマスが終了後に正月飾りとしてしめ縄を張る事が多いです。
最も縁起が良いとして飾られる日
28日は末広がりの意を持つ事から最も縁起が良いと考えられるため、多くはこの日に飾られます。
また、12月30日にも飾る事が多いです。
避けるべき日にち
先に述べた区間内でも12月29日と12月31日のこの二日は縁起が悪いとして飾るのを避けます。
29日を避けるのは、以下のような理由が挙げられます。
苦難を連想させる「9」の文字が入っている
読みの「にじゅうく」が「二重苦」を連想させる
「9」の文字を含む末日のため、「苦待つ」及び「苦松」に繋がる
一方、12月31日を避けるのは 一夜飾り になるためです。
正月には、その年の豊穣や家内安全を始めとした福をもたらす歳神様が正月飾りを通じこの世に降りてくるとされます。
これは旧暦の太陰暦に基づくと、31日に飾りを依り代としてこの世に降るのが歳神様であるため、31日に飾ると歳神様が正月に招き入れるのに間に合わず、失礼となるという考えがあります。
しめ縄を取り除く時期
しめ縄を取り除く時期としては 1月7日ないし1月15日が挙げられます。
基本的には鏡開きを行うのに合わせて取り除きましょう。
処分をする際は正月時期で神社で行われるお焚き上げに出すか、または塩等でお清めをして燃えるゴミとして出す方法が挙げられます。
しめ縄を飾る期間に関して、詳しくはこちらを参考にしてください。
向きを知った上でしめ縄を飾る
この記事では、まずしめ縄が果たす役割から、向きによる意味等を説明してきました。
玄関と神棚と場所での張り方の違いは基本的には存在しません。
向きに関しては神道に基づく左右上位の考え方に基づき、一般的に飾る際は、基本的に神から見て右手の部分が太くなるように張ります。
しかしながら、出雲大社や伊勢地方ではそもそもの左右上位の捉え方が逆転するため、神側から見るとしめ縄の太い部分が来るのは左手となります。
また、神棚の方角や職業によってもしめ縄の向きが逆転するという現象が起こります。
その時々の立場や地域性による部分が大きいので、不安に思う際には元からある風習を踏まえ、知らない際は近隣の方々に聞くようにするといいでしょう。
しめなわの向きの意味は?
向かって右側が太いと商売繁盛の意味があります。また、向かって左側が太いと稼ぎを持ち帰るという意味になります。
神棚や玄関でのしめなわを飾る際の正しい向きは?
神棚の方向から見て、左側に太い部分が来るようにするのが正しい向きです。左右対称のデザインであれば向きはどちらでも問題ありません。
しめ縄の向きは地方によってどんな違いがある?
出雲大社や伊勢地方では、神棚に飾る方法とは逆向きのしめ縄が特徴的です。それぞれ違った理由があります。
しめ縄を飾る時期は?
しめ縄は年末年始に飾り、関東では1月7日まで、関西では1月15日まで飾ります。地域によってより細かく分かれるのもポイントです。詳しくは
こちらをご覧ください。