この記事で解決される疑問
位牌分けとはなにか?
宗教による位牌分けの違いは?
位牌分けをする時期は?
位牌分けの流れは?
位牌分けにかかる費用は?
位牌分けとは
位牌
そもそも位牌とは?
位牌とは、故人をお祀りする木の板のことです。
戒名が書かれ、仏教の多くの宗派では、故人の霊が宿っていると考えられています。
亡くなられると、すぐに白木で仮位牌が作られます。
この仮位牌は、一般的に白木位牌と呼ばれています。
その後、本位牌を作るのですが、この際、一つではなく、複数の本位牌を作ることができます。
位牌分けとは
本位牌を複数作り、複数名が持つことが位牌分けです。
元々は一部の地域のみで行われていた慣習でしたが、現在は、ライフスタイルの変化もあり、慣習や宗派に関わらず希望するケースが増えています。
位牌分けをする際は、僧侶にお願いして供養の儀式をおこなうのが一般的です。
位牌に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
位牌とは?位牌の準備・選び方・金額相場まで!戒名の入れ方も解説
第三人生編集部
位牌分けを行う理由
合掌
地域的な慣習以外で位牌分けをする理由のほとんどが、故人をそばに感じて、 心の支えにしたい というものでしょう。
お墓や実家がある田舎から離れて、都会で暮らしながら夫婦共働きというライフスタイルが増え、簡単にお参りに行けない人が多いです。
子供が誰も実家やお墓の近くに住んでいない ことも多いものです。
兄弟がバラバラの地域に住んでいても、位牌分けをすることで、 自宅にいながらいつでもお参りができるの が利点です。
形より気持ちが大切という考えが仏教にはありますから、現代に合わせた形式変更と言えます。
地域ごとの位牌分け
違い
位牌分けは、元々一部の地域で行われていたことで、一般的なものではありませんでした。
地域で根付いた物では、 一人の死者に対して、祀り手を複数に分ける慣習です。
一人だけに託すことで、子孫が続かないなどの位牌がなくなるリスクを回避する意味もあり、しっかりとした儀式がおこなわれます。
地域としては静岡県東部・山梨・長野・群馬・栃木・茨城・福島県南部・北関東一帯と伊豆諸島の利島です。
中部・北関東では、次のような習慣があります。
位牌を受け取る人が各自で帳場を立てる
位牌料等の葬儀費用を分担
7日ごとの念仏を交代で担当
また、伊豆利島では、位牌分けの前に位牌を受け取る人が全員、喪に服します。
こうした儀礼的な行為とする地域以外でも、最近は位牌分けを希望する人が増えました。
しかし、近年の傾向としては、親や祖父母の位牌をお参りしたいなど短期的でサブ的な捉え方が多いです。
宗教ごとの位牌分け
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仏教には、曹洞宗、真言宗、日蓮宗、浄土宗、臨済宗といった宗派がありますが、基本的に、 位牌分けに宗派は関係ありません。
宗派別というよりも地域性による所が多く、お寺によっては独自の方法がある可能性があるため、詳しくはお寺に確認すると良いでしょう。
宗派ごとの位牌分けを考えるときに気を付けたい点は、「浄土真宗」と「別宗派の家族」です。
どういうことか、それぞれお伝えします。
浄土真宗だけは位牌分けをしない
仏教の中で、 浄土真宗だけは、位牌分けの概念がありません。
そもそも浄土真宗では、位牌を作らないのが本来の考えなのです。
浄土真宗では、位牌を作ったり拝んだりしてはいけないことになっています。
故人に手を合わせるのではなく、故人がご縁を作ってくれた仏様に手を合わせるのです。
しかし、浄土真宗でも、慣習として位牌を作ることが多いです。
家族の宗派問題はないか
お寺の解釈では、宗派が違う位牌を仏壇に置いても問題ありません。
しかし、家族がどう思うかは別問題です。
特に、女性の場合は、 夫の家族 が心情的に嫌がるというケースもあるようです。
位牌が原因で家族が揉めるのは、故人も悲しいでしょう。
宗派だけではなく、神道など宗教が違う場合も問題になりやすいため、位牌分けをして位牌を自宅に持ち帰る際は、 あらかじめ家族と話し合って理解を得ておきたいです。
位牌分けのタイミング
時期
実際に行う時期は、 四十九日法要 の時が最適です。
四十九日法要の意味
浄土真宗以外の仏教では、人が亡くなると、7日ごとに7回の裁きを受けると考えられています。
7回目の裁きにあたる49日目は、「極楽浄土に行けるかどうか」が決まる日とされています
故人が無事に極楽浄土へ行けるよう遺族の力を結集して応援するのが四十九日法要の意味です。
位牌を作る宗派では、四十九日法要で白木位牌と本位牌を供養するため、この時期で位牌分けをします。
間に合わなかった場合、 四十九日法要が終わった後でも行う事は可能 です。
四十九日に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
49日(四十九日)法要まとめ!費用・お布施は?挨拶や服装、香典も解説
第三人生編集部
位牌分けの流れ
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では、どのような流れで執り行われるのか、位牌分けをおこなうときの手順をご紹介します。
流れは以下の通りです。
順 内容
① 位牌の準備
② 閉眼供養
③ 開眼供養
④ 仏壇に安置
⑤ 手を合わせる
①位牌を準備
必要な数の本位牌を準備します。
位牌の作成には 1~2週間程度かかります から、四十九日法要に間に合うように発注しておいてください。
ここでいう位牌の作成とは、既成の位牌に戒名などを入れることです。
オーダーメイドで作成する場合は、数ヶ月単位で時間がかかります。
②閉眼供養
閉眼供養の対象は、仮位牌としていた白木位牌です。
白木位牌に入った 故人の魂を抜く と考えられています。
閉眼供養は、魂抜き、性根抜きともいわれます。
閉眼供養のあとは、お焚き上げです。
白木位牌を燃やします。
地域によっては、お焚き上げをせず、お墓に埋葬することも。
絶対的なルールはないので、こだわりがなければ、地域の習慣に合わせておきましょう。
開眼供養に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
魂入れ(開眼供養・お性根入れ)とは?手順や流れ、お布施も解説!
第三人生編集部
③開眼供養
白木位牌の閉眼が終わると、いよいよ本位牌の開眼供養をおこないます。
魂入れ です。
位牌を持つ 人数分の開眼供養 を経て、位牌分けとなります。
④自宅の仏壇に安置
位牌は、自宅の仏壇に安置します。
仏壇と位牌の関係は、仏壇の本尊が主で位牌が従の関係ですから、 仏壇がない場合は購入が必要 です。
結婚している女性は、結婚相手の宗派と違う場合に問題が起こるケースがあります。
問題が起きそうな場合は、家族間でよく話し合いましょう。
⑤手を合わせる
あとは、日々手を合わせましょう。
位牌分けの儀式より、位牌分けをして手を合わせること、 心の拠り所 とすることが大切です。
四十九日後に位牌分けをしても問題ありません。
その場合は、新しく作る位牌の開眼供養をお寺の僧侶にお願いしましょう。
位牌分けの費用
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位牌分けにどのくらいの費用がかかるかも気になりますよね。
位牌の大きさや材質、宗派や戒名の位などで変わってきますが、おおよその目安として費用をご紹介します。
項目 目安の費用
位牌代金 1万円台~
戒名入れ 1万円~
開眼供養 1万円~3万円
車代 5千円〜1万円
合計 約4万円~
仏壇がなければ、購入が必要です。
その際は、ご本尊の開眼供養も必要となり、 仏壇・仏具一式と開眼供養代がプラス でかかります。
位牌分けは問題ない
この記事の結論は以下の通りです。
位牌分けとは故人を祀る位牌を複数作って複数名が持つようにすることを指します。同時に供養の儀式を行います。
浄土真宗では仏様に手を合わせるため位牌分けはしません。また家族の宗派や宗教の違いも加味して相談する必要があります。
49日の法要と一緒に行います。間に合わない場合49日以降に行うこともできます。
白木位牌を準備し閉眼供養を行い、人数分の位牌に開眼供養をします。各自の仏壇に配置して手を合わせます。
費用は4万円かかります。位牌を準備し戒名を入れる・開眼供養・車代でそれぞれ2万円・1万円から3万円・5000円ほどかかります。
位牌の存在意義とは大切な家族との繋がる事です。
大事な人が傍にいる事を実感するという、日々の生活を上での支えの一つと言う事もできます。
また記事内で説明した通り、親子の間等で信仰する宗派が違う等のために、位牌の種類が異なったとしても、仏教的な考え方に関しては問題ありません。
宗教的な問題がない事を鑑みても、気軽に行う事が可能な事項と言えます。
近年、葬儀等の関連事項を縮小し、より簡潔に簡単に行う事を求める潮流の中、位牌分けは現代に合う一つのスタイルと言えます。
実際に作成する際の検討の一つに入れるのも手です。
❓ 位牌分けとは?
本位牌を複数作成し、さまざまな人に分けて持つことを指します。亡くなった後に作成するのもポイントです。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ なぜ位牌分けをする?
分けて作成することで、手軽にお参りしやすくなります。家族の住所が離れている場合に選択されやすいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ 位牌分けを行うタイミングは?
位牌分けは49日の法要のタイミングが適しています。本位牌の供養を行うタイミングに合わせることが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ 位牌分けで行う魂入れとは?
故人の魂を宿らせるため寺院で行う法要です。開眼供養と表現されることもあります。詳しくはこちらをご覧ください。