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葬儀

2024.04.30

ゼロ葬(0葬)とは何か?遺骨の取り扱いやゼロ葬の可否・背景を解説

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生活環境が変化しつつある現在では、葬儀に対する考え方も様変わりしており、葬儀スタイルも種類が増えています。
一般葬以外にも家族葬や音楽葬、宗教に関わらず自由に見送る自由葬など新しい形の葬儀が選ばれる事も少なくありません。

ゼロ葬もその一つで少子高齢化や核家族化という社会問題の影響もあり、近頃ではゼロ葬という新しい考え方も注目されています。

ゼロ葬(0葬)とは
火葬後遺骨を受け取らず火葬場に遺骨の処分を委ねるスタイルの葬儀です。
以前と比べると葬儀のスタイルも多様化してきており、形にとらわれず自由に葬儀スタイルを選ぶ傾向が高まってきています。

今までは通夜も告別式も行わない直葬というのが最もシンプルな葬儀とされていましたが、この頃ではゼロ葬が注目を集めています。
身寄りがいないなら仕方ないと考えられるものの、家族や親族がいてもゼロ葬を選ぶケースは少なくないようです。

火葬後のお骨拾いがないので、お墓も不要です。
家族に負担かけたくないという理由で、選択する人も増えて来ています。

ただし現実問題として、ゼロ葬が世間一般に受け入れられるかどうかは大きな課題が残ります。


ゼロ葬(0葬)はこれから増える?
葬儀
ゼロ葬が注目されるようになったのは、2014年に出版された1冊の本がきっかけです。
本については後ほど詳しく紹介しますが、葬儀スタイルが多様化しつつある中で人々の注目を集めているのは否めません。

ゼロ葬への関心は高まりつつあるものの、実際にゼロ葬を選択するには様々な問題があるのも事実です。
今後増えるかどうかに関しては、可能性としてはあっても、誰もが気軽に選べる葬儀スタイルとは言えません。

家族がいても生き別れになり消息がわからない場合や、親族がいても全く付き合いが無いような場合には、選択肢になるでしょう。
2019年11月現在 条件付きではありますが、ゼロ葬プランを取り入れると葬儀社も登場しています。


ゼロ葬(0葬)の遺骨はどうなる
骨箱
ゼロ葬が注目されるようになった2014年までは、直葬や密葬などが最もシンプルな葬儀とされていました。
残された家族の事を考えてというケースもあれば、身寄りがなかったり親戚との付き合いが薄かったした場合にやむを得ず選択するというケースもあります。

しかしシンプルな葬儀でも、遺骨を持ち帰るのでゼロ葬とは意味が全く違ってきます。
ゼロ葬は、火葬後に遺骨を持ち帰らず火葬場に処分を一任するのが大きな違いです。

遺骨は自治体が合祀供養した後に、それぞれのルールに基づき処分されます。
処分の仕方は各自治体によっても異なりますが、後から遺骨を返して欲しいと申し出ても返骨してもらえない可能性の方が高くなります。


ゼロ葬(0葬)が可能な地域・不可能な地域がある
近親者のみの葬儀で持っていくもの
ゼロ葬が可能な地域と不可能な地域について詳しくみていきます。

条例の有無
関東以北
関西以西
条例の有無
地域によって条例が異なるためゼロ葬を希望しても拒否される事があります。
今では火葬場と墓地はそれぞれ独立していますが、昔は火葬場の敷地内に墓地があるのが一般的でした。

そのため火葬後に遺骨を火葬場に置いて帰る事も珍しくありませんでした。
しかし明治に入り火葬場と墓地を分けるようにという通達され、事情が変わります。

火葬場に遺骨を置いて帰るのが一般的ではなくなっています。
しかしながら、関東以北と関西以西では少し条例が異なっています。

関東以北
関東以北では通達後に条例が改正され、火葬場と墓地を完全に区別するようになっています。
その影響もあって関東以北の各自治体では、遺骨の引取を義務としています。

関東以北では、全収骨が一般的となっています。
現在では時代背景や生活環境の変化などもあり、ゼロ葬はNGとしない火葬場がある一方で、 やむを得ない事情がない限りゼロ葬を拒否する火葬場は少なくありません。

関西以西
関西以西では、通達後も火葬場の敷地内に墓地があるところが多く残されていました。
こういった背景もあり、関西以西では全体の3分の1くらいを収骨する部分収骨が一般的です。

地域による違いはありますが、中には頭蓋骨と喉仏の遺骨だけを収骨し、後は火葬場に処分してもらうというケースもあるそうです。
そのため 関東以北に比べると、ゼロ葬に対しては比較的受け入れやすい傾向があります。

ただし葬儀に対する考え方は、それぞれの家族によって異なるため、関西以西が皆ゼロ葬を認めているとも限りません。


ゼロ葬(0葬)の費用相場
費用
ゼロ葬は一般的な葬儀と比べて、葬儀費用がゼロというのも注目されている理由です。
ただし 火葬費用はかかるので、全て0円というわけではありません。

一般的な葬儀にかかる費用と、ゼロ葬の費用の違いをみてみましょう。

葬儀の平均費用    ゼロ葬(0葬)の平均費用
195万円    火葬費用のみ
多くの場合住んでいる地域の自治体が運営する火葬場で火葬します。
火葬費用は地域によって異なるのではっきりとした費用は決まっていませんが、自治体が管理する地域の住民であれば無料というところもあります。

地域による違いはあっても、 火葬にはだいたい5,000円~60,000円前後の費用がかかります。
火葬費用がかかってもゼロ葬は葬儀もせずお墓も不要なため、全体でみた場合の費用はかなり安く済むのです。


ゼロ葬(0葬)のメリット
お参り
賛否両論はあるものの、メリットもあります。
ゼロ葬にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

遺族の負担を軽減できる
葬儀スタイルが多様化しているので故人の希望や家族の意向で選択肢は増えていますが、シンプルな葬儀を選んでもいくらかの費用はかかります。
しかし ゼロ葬は葬儀も執り行わず火葬後は、遺骨を火葬場に委ねるので費用を大幅に軽減できるのはメリットと言っていいでしょう。

お墓があっても、お墓の維持費や法事などで葬儀後も長きに渡り費用がかかる事を考え、家族のためにゼロ葬を選ぶというのも選択肢の一つです。
お墓がないため節目に親族に連絡したり、法事の準備をしたりということのないので、 経済的な面以外に精神的な面での負担も軽減できます。

気苦労がない
家族や親族と不仲で疎遠になっていたような場合は、当然付き合いもないので音信不通になります。
ある日突然、死亡したので葬儀を手配しなければいけないとか、遺骨を引き取らないといけないとなった場合は突然言われても戸惑う事が多いでしょう。

生前ほとんど付き合いがなかった人や、恨んだり憎んだりしていた人ならなおさらです。
葬儀にも費用がかかりますし、遺骨を自宅に置いておくのもいい気分はしないでしょう。

余計な苦労を負わずに済むので、時と場合によってはメリットになります。


ゼロ葬(0葬)のデメリット
葬儀
どんな事にもメリットがあればデメリットも存在します。
ゼロ葬にもデメリットがあることは覚えておきましょう。

遺骨を管理できない
家族や親族の喪失感が大きい
自治体によっては受け入れてもらえない
遺骨を管理できない
ゼロ葬の場合、遺骨は火葬場で処分されます。
大半は合祀供養となるので複数の遺骨をまとめて供養します。

動揺もあり決めてしまったが、後になってやはり遺骨を持ち帰りたいと思い直しても、すでに遺骨を合祀供養してしまった場合は、回収不可となってしまいます。

家族や親族の喪失感が大きい
故人の遺志で、家族や親族と十分に話し合ってゼロ葬を選んでも、時間が経ってから遺骨がなくお墓もない事を思い知らされると、 遺族の喪失感が大きくなる事があります。
葬儀はある意味で、故人とのお別れをするための儀式です。

葬儀という儀式がないゼロ葬は 遺族が心の区切りを付けられず、いつまでも悔やんだり悩んだりする可能性がある事も覚えておくべきでしょう。

遠い親戚がいる場合は、後からゼロ葬で済ませた事を報告するというケースもあります。
この場合後になってから遠い親戚が納得せず、揉める原因になる可能性も否定できません。

自治体によっては受け入れてもらえない
自治体によって条例は異なるため、ゼロ葬が必ずしも受け入れられるとは限りません。
まず自治体の条例にはいくつかのパターンがあります。

火葬後の遺骨は遺族が引き取る
引き取る遺族がいない場合は市長の判断に委ね処分する
処分する際は費用を請求できる
自治体によっては、1~3まで全て条例に取り組みその都度対応するところもあれば、1のみと決めているところもあります。
1のみに対応している自治体では、ゼロ葬を受け入れてもらうのは難しいでしょう。

3の費用についても自治体による違いはありますが、火葬場が受け入れ可能であっても、処分にかかる費用を支払えない場合は拒否される可能性があります。


ゼロ葬(0葬)に関する本
ゼロ葬(0葬)については、書籍でも調べる事ができます。

0葬 ――あっさり死ぬ
0葬 ――あっさり死ぬ
0葬 ――あっさり死ぬ
1,320円
www.amazon.co.jp
amazonで商品を見る
ゼロ葬という言葉が世間に知れ渡り、新しい葬儀スタイルとして注目されるきっかけになった本です。
著者は葬送の自由をすすめる会の会長でもある島田裕巳氏で、2014年1月24日に出版されています。

これ以前にも「葬式は要らない」という本を出版し、ベストセラーになっています。
多様化する葬儀スタイルの中で、自然葬を超える究極の葬り方としてゼロ葬を紹介するという内容です。

葬儀をする場合には葬儀社に依頼するのが一般的ですが、通販で棺桶を購入し自身で散骨の手配をすることもできるなど、葬儀に関する知識も紹介されています。
ゼロ葬に興味がある方は、読んでみてはいかがでしょうか。


ゼロ葬(0葬)を選ぶ場合はじっくり考えましょう
家族に負担がかからないというのは、ゼロ葬の大きなメリットです。
言い方は悪くなりますが遺骨を火葬場に置き去りにする、という事に抵抗を持つ人は少なくないのも事実としてあります。

仮に自分が亡くなった時にゼロ葬を希望していても、家族がそれに賛成してくれるかどうかはわかりません。
ゼロ葬は葬儀スタイルとしては注目されているものの、世間一般に受け入れられるにはまだ少しハードルが高いようです。

ゼロ葬を希望する場合はそれが自身の意思であっても、家族とよく話し合って決める事をおすすめします。

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