お盆の仏壇の飾り付け!お供えの飾り方や必要なもの、意味も解説
お盆には様々な飾り付けが用意されますが、これらが飾られる意味を知っていますか。
一つ一つに意味があり、どれも故人に向けた意味が添えられているものがほとんどです。
今回の記事では、飾り付けの意味から必要なもの、宗教ごとのお盆の違いなど多岐にわたって解説します。
お盆の仏壇飾りとは
お盆 が来ると毎年、特に理由もなく風習だからと言ってキュウリに爪楊枝をつけて飾ったり、盆提灯を玄関周りに置く方が今の日本においても多いと思われます。
お盆は ご先祖様があの世から故郷へ帰ってくる ということはなんとなく理解されていると思いますが、お盆の飾り付けにはどのような意味があるのでしょうか。
お盆の仏壇に飾られている一つ一つには意味があり、それらはどれもあの世にいるご先祖様のために作られているもの なのです。
今回の記事ではお盆の飾り付けの意味から、飾り方、処分方法までまとめて解説していきたいと思います。
お盆の仏壇飾りで必要なもの
以下ではお盆の飾り物に必要があるものと、それらの意味について解説していきます。
盆提灯
盆提灯 は、お盆においてあの世から帰郷するご先祖様に向けて 道標 となるように作られたものです。
ご先祖様がひと目でわかるよう、 盆提灯 には家紋や絵柄が入ったものが一般的です。
盆提灯 は2個で1対と考えられていますが、必ずしも2個置く必要はありません。
生前、故人と親しかった者が飾り物として捧ぐ物であり、 盆提灯 の数が多いことが 故人がどれほど愛されたかに繋がる と言われています。
そのため、以前は多くの盆提灯が飾られることが良いとされていました。
しかし、現代においては集合住宅に住む人が多く、飾る場所が無い、管理上の問題があるなどで、 基本的には1個(または1対)置けば問題はない とされています。
また、新盆の際には盆提灯と別の 白提灯 が飾られることが一般的です。
精霊馬(しょうりょうま)
精霊馬(しょうりょうま) とは、お盆にあの世からこの世へと戻る長い道のりを手助けする 乗り物 です。
仏壇に飾られている キュウリやナス がその役割を担います。
キュウリの精霊馬 は 足のはやい馬 をモチーフとしたものであり、1年に1回しか帰れない現世へ、 素早くご先祖様を送り届ける役割 を担います。
逆に ナスの精霊馬 は 力強い牛 を象ったもので、 現世を惜しみながらゆっくりと帰れるよう、そしてお供え物を一緒に持ち帰る役割 を担っています。
なぜキュウリとナスが選ばれているのか、と疑問に思う方もいるかと思います。
これには明確な理由はありませんが、夏の旬な野菜であること、日本のどの地域においても収穫が容易にできるものとして「キュウリ」と「ナス」が選ばれたとされています。
お供えもの
お盆の仏壇の飾り物に忘れてはいけないものに、 お供えもの があります。
これは お菓子や果物、お酒など、故人が好きだったものを捧げることが一般的です。
お菓子を飾り物とする場合は 日持ちが良いもの を選ぶことで、飾り終わったあと処分することなく親族で頂くこともできます。
お供えものを食べるのは失礼なのでは、と思う方もいるかと思います。
お供え物とは本来、 「ご先祖様と一緒に思い出を分かち合いながら食べるもの」 であり、飾り終わった後に処分してしまうことは逆に 失礼に当たります。
真菰(まこも)の敷物
真菰(まこも)はお盆に仏壇の飾り付けの下に敷く ゴザ のことを指します。
お釈迦様が病人を看護する時に、真菰で作られた寝床に寝かしつけて治療をした と言われており、 神聖な植物 として見なされています。
あの世のご先祖様を清められた場所に居てもらうようにする という意味を込めて真菰を敷いたとされます。
ハスの葉
お盆の飾り付けには 「ハスの葉」 を飾ります。
これは仏教において、ハスの葉が 極楽浄土を象徴とする 花であり、仏教位において最も高い位を持ちます。
また、先程の 精霊馬 と同じ理由で、8月が開花時期であるという見方からお盆の飾り物にされているという説もあります。
精霊棚(しょうりょうだな)
精霊棚(しょうりょうだな) は宗教によって 盆棚 と呼ばれることもあり、お盆の飾り物としてはご先祖様の霊をお迎えする、 空港のような役割を担います。
ここの上に真菰のゴザを敷き、仏壇から取り出した 位牌 と 三具足 を移し、お供えものを飾る棚として使用します。
飾る場所としては仏壇の前に置き、何らかの理由で精霊棚が飾れない場合は仏壇の引き出しを代用する場合があります。
水の子
水の子 とは、お盆に帰ってくるご先祖様はもちろんのこと、 他のすべての霊も供養しよう という目的のもと作られたお盆の飾り付けです。
さいの目に切ったナスやキュウリ、お米をハスの葉の上に盛ったものを指します。
さいの目状に細かく刻んだ理由としては、やはりたくさんの霊をもてなす際に行き渡るようにしたためでしょう。
中には跡継ぎが絶えてしまい、供養してくれる人のいなくなってしまった 無縁霊 も存在します。
自分の家系のご先祖様だけではなく、このような霊をも持て成すことも忘れてはいけないという意味を込めて作られたのがこの 水の子 です。
お盆の仏壇飾りの時期・期間
お盆はいつ行うか
お盆の時期は 新暦 で行う場合と 旧暦 で行う場合で時期が違います。
新暦の場合は 7月13日から15日 に、旧暦の場合は 8月13日から16日 に行われます。
東京や北海道の一部では現代でも、7月にお盆が行われているところがあります。
また、宗教や風習関係なく、13日を 「迎え盆」 と呼び、16日を 「送り盆」 と呼びます。
お盆の時期に関しては、こちらも参考にしてください。
お盆の飾り付けの時期
手順 |
説明 |
① |
お供えものや飾り付けに使用する野菜を準備します。 |
② |
精霊棚を作る前に 仏壇をお清めする必要 があるので、盆前にやります。 |
手順 |
説明 |
① |
位牌や三具足を仏壇から精霊棚へ移動させます。 |
② |
昼過ぎまでに用意した飾り付けを終わらせると良いでしょう。 |
③ |
ご先祖様をお迎えする キュウリの精霊馬 もここで飾ります。 |
手順 |
説明 |
① |
水の子やお供え物が悪くなっていないか確認し、適宜交換します。 |
② |
水やお酒を入れ替えることも忘れずにしましょう。 |
手順 |
説明 |
① |
玄関で送り火を焚いた後に、お盆の飾り付けを片付けましょう。 |
② |
ナスの精霊馬 を作り、ご先祖様を送ることも大切です。 |
お盆の仏壇飾りの飾り方【宗教別】
ここまで、一般的なお盆での飾り付けの意味と、それらが飾られる時期を解説しました。
しかし、他の法事と同じくお盆の飾り付けにも 宗教別での違い が発生します。
以下ではそれらを大まかに解説していきます。
浄土宗の場合
お供え物では故人が好きであったお酒やタバコなどの 嗜好品 を飾ることが一般的なイメージであり、実際にされている方も多いと思います。
しかし、浄土宗の教義によると、 仏壇に嗜好品をお供えしてはいけない という決まりがあります。
ご先祖様のお出迎えをする 精霊馬 も、場所によってはお供えしないこともあります。
これらは厳密に決められているという訳ではなく、地域によっても差がありますので事前に確認するべきでしょう。
曹洞宗の場合
曹洞宗 ではお盆に時期に合わせて 施食会(せじきえ) と呼ばれる餓鬼の供養を行うことが特徴です。
施食会 は、餓鬼道という場所に堕ちてしまい、飢えて苦しんでいる無縁仏を供養する行事であり、曹洞宗においては何よりも重視すべきだとされています。
曹洞宗では 精霊馬 を 心まち牛馬 と呼ぶことがあります。
心まち牛馬 をお迎えのときは、ご先祖様が外からやってくるという考えの元、仏壇に向けて飾ります。
逆に送る場合は仏壇の外側に配置することが特徴です。
浄土真宗の場合
浄土真宗では、 故人は霊にならず仏になり、ご先祖様は常に私達を見守っている と考えられています。
そのため、年に一度だけ 霊 として帰ってくるお盆は 浄土真宗において存在しません。
ですがお盆において何もしないという訳ではありません。
浄土真宗においてお盆は、故人との思い出話にふけることはもちろんですが、故人を通して自らを省みる場として存在します。
具体的には 仏法 を聞かせていただき、心身ともに清めることが目的です。
神道の場合
仏教だけではなく、 神道 においてもお盆が存在します。
神道におけるお盆はご先祖様を供養する意味合いも持ちますが、1年間の無病息災を祝い、親族の健康を祝う 「めでたい盆」 とも見なされています。
仏教におけるお供え物を神道では 神饌物(しんせんぶつ) という名前で呼びます。
ご先祖様に向けたものではなく神様へのお供え物であり、 仏教では禁じられていた魚や鳥などのお供え物が許可されます。 (豚や牛肉は不可)
また、仏教においてはお盆の初日と最終日に迎え火、送り火をしますが、神道においては 団子 を用意します。
それぞれ 迎え団子 、 送り団子 という名前がついています。
迎え団子 はあんこがついたものを用意し、 送り団子 は味のついてないものをお供えすることが一般的です。
神饌に関しては、こちらもご参考ください。
お盆の仏壇飾りの片付け方
飾り終わった後の飾り付けやお供え物はどうすべきなのか、一度はお盆の後に戸惑った方も多いはずです。
昔では綺麗な海や川にお盆の飾り付けを流すことが主流でした。
水の流れに飾り付けを任せることで、 ご先祖様だけでなく飾り付けもまた、「あの世」へと送ることができる と考えられていました。
しかし、現在ではどうでしょうか。
そのような考え方は今でも根強く残ってはいますが、環境問題や不法投棄が騒がれている中でそのような処分方法は してはいけないもの として見なされています。
古来から続いたこの方法ができなくなった以上、どのようにしてお盆の飾り付けを処分するべきでしょうか。
土に埋めて処分する
家の庭があるなどで捨てられるスペースが確保できるような場合でしたら、 土に埋めるやり方 をおすすめします。
注意点として、他人の私有地に埋める、公共スペース(公園など)に埋めてしまうことは避けましょう。
海や川に流すことができなくなった現在、自然に還すという意味ではこのやり方が良いでしょう。
お寺に頼んで処分してもらう
お盆の飾り付けを焚き上げをしてくれるお寺 がある場合は、そちらに任せることもいいかもしれません。
事前に確認を取って、お盆後スムーズに処分できるようにしましょう。
盆提灯を預かってもらえる場所もあるので、家に置く場所を確保できない場合は頼んでみましょう。
塩で清めてから処分する
家庭でできる方法として、手間を掛けずに処分することができます。
お供え物を塩で清め、半紙などで包み処分する だけです。
お盆の間に飾り付けしたものをゴミとして捨てることにためらいのある方もいるかと思います。
ですが、夏の痛みやすい時期ですのでそのまま放置をしていると別の問題を発生させてしまう可能性があります。
もしも時間がない、周りにお焚きあげを頼める場所がないなどであれば 早めに処分 してしまいましょう。
ご先祖様をお盆の飾り付けで出迎えましょう
お盆はどちらかといえば明るいイメージがない行事ですが、ご先祖様からすると年に一度だけ故郷に帰ることができる お祭り のようなものです。
私達にとっても、故人にとっても特別な行事であるお盆を彩るのは、仏壇に飾られる 飾り付け であり、お供え物です。
正しい形、正しい時期に飾り付けをし、1年に1度しか会えないご先祖様を快くお迎えしましょう。