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お金のこと

2024.04.30

終身雇用とは?メリットやデメリット、終身雇用制度の崩壊に関しても解説

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政府により働き方改革が推奨されている昨今では、長きにわたり、雇用制度の核であった終身雇用が崩れつつあります。そもそも終身雇用とはどういった制度なのか、メリット・デメリットについて解説します。

また、今後はどのような働き方にシフトしていき、どんな対処が必要となるのかについてもご紹介します。

終身雇用とは
日本の雇用制度で最もスタンダードなのが、終身雇用です。そもそも、なぜ日本ではこの雇用制度が普及したのでしょうか?

雇用の仕組みや、どういった時代の流れで終身雇用が一般化したかについて解説します。

終身雇用制度と年功序列制度
日本における終身雇用制度とは、年功序列制度のうえで成り立っています。というのも、年功序列制度とは、勤続年数が上がるごとに給与や待遇も比例して上がっていく制度です。

一つの組織で長く働けばおのずとランクアップしていくことは、労働者にとって一つの組織で定年まで働く大きなメリットとなります。なおこの制度は、就業している職に関する知識やスキルが、勤続年数に比例して上がっていくことを前提としています。

そのため年功序列制度は、雇い主にとってもまとまった労働力を維持できる保証になります。雇い主・労働者双方にとってメリットがある制度が終身雇用です。

終身雇用の制度の歴史的な背景
終身雇用が日本の雇用制度の中心となり始めたのは、戦後の高度経済成長期頃からと言われています。急速に進んだ経済成長に伴って雇用が拡大し、労働者も一気に増えたのがきっかけのようです。

またその数年後には、東京オリンピックが開催されたことも影響してインフレは約20年続き、終身雇用が安定していきました。

終身雇用のメリット
メリット
ただ終身雇用が安定していたのは、今よりもかなり前のことです。現代の雇用・就業状況と照らし合わせた終身雇用制度のメリット・デメリットを見て行きましょう。

労働者・雇い主それぞれの立場で解説します。

雇われる側の安心感
まずはメリットからです。終身雇用制度の最大のメリットとは、何と言っても雇用の安定が保障されていることです。

定年まで働く権利があり、生活できるという保障があります。安定した職に就いていることで、さらなるメリットがあります。

例えばライフプランを描きやすくなり、思いがけないトラブルがあっても対処しやすくなります。また終身雇用は、一般的に年功序列で給与や待遇が上がっていくため、年齢に応じた収入を得やすくなります。

車やマイホームなど、まとまった大きな額もローンを組むなどして購入できる点もポイントです。

長期的な人材の育成
終身雇用とは年功序列制度のうえに成り立っているため、雇う側からすると労働力を維持できるというメリットがあります。まとまった労働力があれば、組織の成長に繋がり、より利益を生み出すことができます。

また長く同じ組織に勤めてるということは、経験値が上がりその仕事に関する知識やスキル向上に繋がります。そしてそんな彼らの経験や技術は、新しく組織に入った人材に受け継がれるサイクルが整います。

組織内で長期的に人材を育成できるということは、労働力が保たれ、組織が長く生き続ける基盤となります。

終身雇用のデメリット
デメリット
次にデメリットはどのようなことが挙げられるか解説します。

業務に対するモチベの低下
人件費の調整が難しい
人材の流動性を妨げる
業務に対するモチベの低下
デメリット一つ目は、労働者の業務に対するモチベーションが下がることです。長く続けると業務に慣れてきて、要領をつかんできます。

ただそれだけだったら効率化にも繋がりますが、同時にその業務に対してある程度の結果や未来が分かるようになります。また定年まで働くことができるという安心感が、気のゆるみや業務の手抜きにも繋がります。

そうなると仕事に対する期待値が下がり、モチベーションも低下していきます。モチベーションが低下することは、仕事の質が落ち、組織の業績低下に繋がってしまいます。

このモチベーションの低下は深刻で、雇用安定による油断や気のゆるみは、生産性の低さに繋がります。日本は外国と比べて生産性が低いと言われていますが、その一端を担っているのが終身雇用と言っても過言ではありません。

アメリカやイギリスの雇用制度は、職務能力に応じて給与や待遇が決まるため、労働者はスキルを磨くことが不可欠です。職務に対する意識の違いから、生産性に差が生じてしまいます。

人件費の調整が難しい
デメリット二つ目は、雇い主が直面する問題です。終身雇用で労働者を雇っていると、簡単に人件費を調整できなくなります。

何十年と雇用を保証しているのですから、労働者一人に対するコストはもちろん増えます。さらに年功序列のため、長く勤めている労働者ほど人件費がかかります。

人材の流動性を妨げる
デメリット三つ目は、組織や職種を超えた人材の動きを妨げてしまうことです。柔軟に組織や職種を変えていくということは、個人の成長に繋がるだけでなく、経済の発展にも効果的です。

新しく台頭した分野や、成長産業に労働力が集まらなければ、経済の発展は進みません。そうなると外国に後れをとり、様々な分野の競争で日本は負けてしまい、経済が衰退して生活が苦しくなるかもしれません。

終身雇用制度は崩壊する?
疑問
ここまで日本の終身雇用制度とは何かについて、メリット・デメリットなどを交えて解説してきました。以下からは今後の雇用の在り方やどのような対処が必要かについてご紹介します。

人件費は企業にとって削除すべきコスト
日本は、労働者一人一人の生産性が外国に比べると低いことを前述しました。そのため、組織の成長と経済の発展のためには、質の高い仕事を行うことが不可欠です。

質の高い仕事とは、職種や業務により異なりますが、どれにも当てはまるのが効率化を進めることです。そうなると、これまで2人で行っていた業務が1人で賄えるようになり、人件費の削減に繋がります。

その分のコストを新しい事業の投資などの成長分野に充てられれば、組織がより発展していくことに繋がります。

グローバル化に伴い、より流動性が求められている
グローバル化が進むことによって、外国に負けないスピード感や技術力をもつことが、より必要になりました。少子高齢社会が進む日本では、ただでさえ労働力が年々少なくなっています。

そのため貴重な労働力は流動性をもたせて、それぞれの力が十分に発揮できる分野で活躍できることが求められます。そのためには一つの組織に長く居続けるのではなく、柔軟に仕事を移っていける流動性が求められます。

終身雇用制度とこれからの働き方
地方創生
終身雇用制度を見直すべきだということが分かりましたが、それではこれからどのような働き方をしていくべきでしょうか。社会の流れに伴うシニアの働き方について、ご紹介します。

少子高齢化により働き手の数は減る
先にも少しふれたように、また大抵の方がご存じのように、日本は少子高齢化社会です。そのため、働き手よりも高齢者の方がどんどん増えていき、2025年には人口の約30%が高齢者となります。

約3人に1人は65歳以上となる一方で、出生率は伸び悩んでいるのが現状で、働き手の数は減っていくと予想されます。

少子高齢化に関しては次の記事もご覧ください。

少子高齢化の現状をわかりやすく解説!今後の少子高齢化社会に関する展望も!
第三人生編集部

シニア労働者の活用が必要に
シニアも一人の貴重な労働力と見なされる昨今、もしかするとこれから高齢者と見なされる年齢も上がっていくかもしれません。年金の受給が引き上げられたように、人生100年時代を見越して、シニアもまだまだ労働者の一人です。

社会を支えていく一員として、シニアはこれからどのようなキャリア形成が求められるのでしょうか。雇用制度の在り方と、シニアの働き方についてご紹介します。

人生100年時代を見越したキャリア形成を
まず日本社会の主要な雇用制度である、年功賃金を見直すべきだという考えがあります。年功賃金とは若い時に給与が安く、年齢が上がるにつれて増えていく仕組みです。

この仕組みだと年齢に差がある時ほど、貢献度と報酬の差が大きくなっています。そのため、ある程度業務の知識やスキルが身に付いたら、外国のように職務能力に応じた雇用に変えるなどする見直しが必要と言われています。

問題点①年功賃金の見直し
問題点②在職老年年金の見直し
問題点③職業支援の強化が不十分
問題点①年功賃金の見直し
働き手が減っていくことに対応するため、これからはシニアの労働力が必要となってきます。そこで健康寿命を延ばした、現役期間が長いシニアの労働力は不可欠です。

ただ、もちろん働き盛りの30~40代と同じように働くことは難しいため、一人一人が力を発揮できる職場を充てることが大切です。

そのため、年功的に上昇していく形ではなく、能力重視の賃金制度の導入も一つの手段と言えます。

問題点②在職老年年金の見直し
在職老齢年金とは、年金受給の対象となった年齢でも、働いて給与をもらっているシニアに関係する制度です。給与がある一定の額を超えると年金の支給がストップしてしまいます。

これはシニアの定年後の就業が減速する要因となり得るため、制度自体の見直しが必要であるとの指摘があります。

廃止の方向で在職老齢年金制度は進んでいますが、退職後の再雇用の体制も不十分と言えます。

再雇用に関しては次の記事もご覧ください。

再雇用とは?言葉の意味や給与がどうなるかや給付金制度に関しても紹介
第三人生編集部

問題点③職業支援の強化が不十分
現状でシニアが働く場合は、定年後も同じ組織で続けて勤めているパターンが多く見られます。その場合、業務内容が同じでも待遇や給与は定年前よりも低くなっているケースが多いです。

もちろんそのぶん、責任の軽減など免除される業務もあるかもしれませんが、働くうえでのやる気にも繋がります。そのため定年後のシニアには、別の業種・職務に就くことをおすすめします。

新しい環境や業務内容で、生活にハリが出るかもしれません。そのためには、シニアが新しく学べる場所や機会が必要です。

新たな支援の仕組みが整うことで、シニアの働き方や生きがいも大きく変わってくるかもしれません。

定年後の過ごし方に関しては次の記事もご覧ください。

今から考えたい定年後の過ごし方!豊かなシニアライフを送るために必要な準備とは?
第三人生編集部

働き方の見直しは意識改革から
働き方とは一人一人の意識がとても大切です。多くのメディアがとり上げているように、働き方の見直しが必要で、その必要性は浸透しています。

しかし多くの人がその必要性を理解していながら、行動に移せていないのが現状です。ある調査によると、転職したいと考えている人のうち実際に転職した人は約3割ほどということです。

この調査より、日本の雇用制度は一つの組織で長く働く終身雇用の意識が根強いことが分かります。制度を変えてから実際に効果が表れるまで時間がかかります。

そのため、多くの人が今の日本の働き方に注目して、なるべく早く雇用制度の見直しを考えるべきです。この記事がそのきっかけの一つとなるよう、ぜひ参考にして頂けたら幸いです。

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