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お金のこと

2024.11.29

老後資金の貯め方は?平均貯金額や年代別の資産運用のポイントを解説

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「老後資金の貯め方が知りたい」「現在の貯金額では老後、資金が足りなくなりそうで不安」という方も多いのではないでしょうか。

必要な老後資金は、人によって大きく変わります。しかし「老後2,000万円問題」が話題になったように、定年後年金のみでは生活費をすべてまかなえない可能性が指摘されています。不足分をカバーするには、早いうちから準備しておいたほうがよいでしょう。

この記事では、老後資金の貯め方や20~70代までの平均貯金額、年代別の資産運用のポイントなどを解説します。

老後資金はいくら必要?

財布を見て考える女性
まずは、必要な老後資金について解説します。

老後資金は2,000万円必要になる可能性がある

金融庁が2019年に公開した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」」によると、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦世帯が年金収入のみで生活する場合、毎月約5.5万円の赤字が出るとされています。
参照:「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

年金収入のみの生活を20年間続けた場合は約1,320万円、30年間続けた場合は約1,980万円が不足する計算です。そのため、老後資金として2,000万円用意しなければならない方もいるでしょう。

これは「老後2,000万円問題」としても一時期話題になりました。

余裕のある暮らしを求める方は、より多くの資金が必要になります。

実際の収支を計算すると1,500万円以内に収まることもある

上記では「老後資金を2,000万円用意しなければならない方もいる」とお伝えしましたが、実際の収支を計算してみると1,500万円以内に収まることもあります。

総務省統計局が2024年3月に公開した「家計調査報告 (家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要」では、年金収入のみで生活する65歳以上の方の平均家計収支が公開されています。本データによると、夫婦世帯で毎月約4万円の赤字、単身世帯で毎月約3万円の赤字が出ているようです。
参照:家計調査報告 (家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要

年金収入のみで30年間生活すると仮定した場合、用意すべき老後資金は約1,100~1,400万円になります。

必要な金額は人によって大きく変わる

生活に必要なお金は個人差が大きく、老後資金がいくら必要かは一概にはいえません。娯楽や食事にお金を使う方もいれば、体の衰えにより高額な医療費が発生する方もいるでしょう。

そのため、老後資金は「自分(たち)に必要なお金はいくらなのか」を考えるのが大切です。

今後、もらえる年金額が減る可能性もゼロではありません。いざというときに備えて、早いうちから老後資金の用意を始めておくことをおすすめします。

20~70代までの平均貯金額

実際、ほかの方がどのくらい貯金をしているのか気になる方もいるのではないでしょうか。以下の表は、2023年の単身世帯・2人以上の世帯の平均貯金額とその中央値をまとめたものです。
単身世帯 2人以上の世帯
平均 中央値 平均 中央値
20歳代 219万円 103万円 403万円 171万円
30歳代 912万円 300万円 856万円 337万円
40歳代 964万円 500万円 1,236万円 500万円
50歳代 2,288万円 555万円 1,611万円 745万円
60歳代 2,240万円 1,100万円 2,588万円 1,200万円
70歳代 2,104万円 1,100万円 2,188万円 1,100万円
ただし、上記はあくまで平均的な金額であり、中央値との差が大きい年代もあります。「100万円未満」と回答している方も全世代に存在するため、一つの目安程度にとらえておきましょう。

老後資金の目標額を決めるなら今後の生活費・年金支給額を把握するのが大切

なるべく多くの資金を老後に残しておくのが望ましいですが、貯金を意識しすぎると現在の生活がとても苦しくなってしまいます。老後資金を貯める際は、最初にある程度の目標額を設定しておきましょう。

そのためには、今後の生活費や年金支給額、退職金などを把握するのが重要です。

現在の生活費を基準として、退職後に必要となる生活費を計算します。そこに交際費や趣味にかかるお金などをプラスすれば、毎月のおおよその支出がわかります。

退職後の収入はおもに、公的年金と退職金です。年金額は、最新の年金記録がわかる「ねんきんネット」や、毎年送付される「ねんきん定期便」などから確認できます。退職金は減少傾向にあるため、その点も踏まえたうえで計算しておくのが賢明です。

収入と支出がわかったら、20年、30年生きていくために必要な資金を計算します。収支を見える化することで、今後の生活設計を立てやすくなるでしょう。

老後資金の貯め方

貯金
「1,000万円、2,000万円も貯金できない」と感じるかもしれませんが、早いうちからコツコツ貯めていけば、老後資金の目標額に到達できる可能性は高くなります。

ここでは、老後資金の貯め方を4つ紹介します。

生活費(固定費)を見直す

今から始められるのが、生活費を見直して無駄な出費を減らすことです。特に保険料や通信費などの固定費は一度変更すると節約効果が長持ちするため、優先的に見直すことをおすすめします。

例えば保険料は、現在のライフスタイルに合ったものに変更するのが効果的です。子どもの独立後は、死亡保障を減額もしくは解約しても大きな影響が出にくいでしょう。

通信費であれば、契約プランを変更したり、キャリア携帯から格安SIMへ乗り換えたりすると無理なく出費を抑えられます。

できる限り働き続ける

定年後もできる限り働き続けることで、年金だけで賄いきれない生活費を補えます。

「住宅ローンを払い終えた」「子どもが独立した」などの場合は、1ヵ月にかかる生活費自体が減るため、老後資金を貯めることもできるでしょう。

働く際は、家計の赤字を補える程度の金額を目標にしておくと、体への負担を抑えられます。

さらに、働き続けることは、社会とのつながりを持てるというメリットもあります。

年金を繰下げ受給する

年金の繰下げ受給とは、老齢年金を65歳で受け取らず、66~75歳の間まで先延ばしにして年金を受け取ることです。繰下げ受給をすると、1ヵ月当たり0.7%ずつ増額率が加算されるため、年金のみで生活するときの赤字を減らせます。

70歳まで繰り下げた場合は42%増額、75歳まで繰り下げた場合は最大で84%増額されます。定年後も長く働く場合や、年金の受給なしでも生活できる場合は、繰下げ受給を検討するとよいでしょう。

ただし、手取りの金額が多ければ、その分所得税額・住民税額なども増える可能性もあるため注意してください。

資産運用をする

資産運用とは、保有する資産を効率的に活用して増やすことを目的とした活動であり、大きく「預貯金」と「投資」の2つに分類されます。

特に老後資金の準備を考える際には、個々の状況や目標に応じて適切な投資を行うことが有効です。

ただし、投資においては、高いリターンを期待して過度なリスクを取ることは投資初心者にとって危険です。投資初心者は、堅実で計画的な運用を心がけ、長期的な資産の成長を目指すことが重要です。

資産配分やリスク分散を徹底し、自身のリスク許容度に応じた戦略を立てることが成功の鍵となります。

老後資金を増やす際におすすめの資産運用方法

体への負担なく老後資金を増やしたい方は、資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。以下では、初めての方も挑戦しやすい資産運用方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください。

投資信託

投資信託とは、複数の投資家から集めた資金をプロが運用し、その利益を各投資家へ分配する金融商品です。運用をプロへ任せられる、かつ少額から始められるため、投資初心者も挑戦しやすいでしょう。

投資信託では複数の投資先へ投資する「分散投資」を行うため、リスクを抑えながら資産を増やせます。資産運用の知識があまりない方や、リスクを抑えつつ資産形成もしたい方に向いています。

外貨預金

外資預金とは、米ドルやユーロなど外国の通貨で預金することです。

外国では日本よりも預金金利が高いケースが多いため、預金でも老後資金を増やせる可能性があります。

また、為替レートの変動により円安になったときは為替利益が発生します。例えば円安により1ドル100円から150円になったタイミングで円に変換すれば、50円の利益が出ることになるのです。

ただし、為替レートの変動によって円高になると、赤字になるおそれもあります。外資預金では資金を預け入れる、もしくは引き出すタイミングが重要です。

NISA

NISA(少額投資非課税制度)とは、投資信託などの投資で得られた利益が一定額まで非課税になる制度です。

通常、投資による利益には約20.315%の税金が課されますが、NISAを利用することで、これらの税金が非課税となり、老後資金の形成に役立つとされています。

2024年1月からは新制度になり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2種類の投資枠が設けられました。

それぞれ投資できる上限額や最大利用可能額、対象商品などが異なりますが、長期的に運用したい方はつみたて投資枠がおすすめです。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で決めた掛け金で金融商品を運用し、資産を形成する私的年金制度です。

老後の資産形成のために作られた制度で、原則として20~65歳未満の方が加入できます。掛け金・運用益を受け取れるのは、原則60歳以降です。

月額5,000円から始められるほか、掛け金は全額所得控除されるため、節税効果につながります。運用中に得た利益はすべて非課税なのも魅力的です。

【年代別】資産運用のポイント

ポイント
状況や発生するライフイベントは年代ごとに異なるため、資産運用のポイントも変わってきます。

ここでは資産運用のポイントを年代別に解説します。これから資産運用を始める方はしっかりチェックしておきましょう。

20~30代

20代は、一人暮らしをスタートさせたり、社会人として働き始めたりする時期です。何かとお金がかかり、金銭的な余裕がない方も多いかと思います。

今後起こるライフイベントや病気・失業などに備えるためにも、この年代では貯金をすることを意識しましょう。

生活費の4ヵ月分~半年分程度のお金を貯めるのが理想的です。しっかりと資金の土台ができたら、少額から投資を始めます。

30代は、結婚や出産など大きな出費をともなうライフイベントが発生しやすい時期です。20代と同じく老後まで時間があるため、計画的な投資を心がけるようにします。

お金に余裕ができてもすべてを投資に回さず、貯金と投資のバランスを保つのが大切です。

40~50代

40代は役職に就き、収入が増える方も多くなってくるでしょう。

その一方で、住宅ローンの支払いに追われたり、子どもがいるご家庭の場合は高校・大学進学で教育費の負担が大きくなったりしやすい時期でもあります。親の介護資金が必要になる方もいるかもしれません。

そのため、この時期は生活費を中心に考え、投資は無理のない範囲で行うようにしましょう。

50代からは、子育てや住宅ローンの支払いが一段落して積極的に資産運用をしていきたいと考える方も多いでしょう。ただし、50代は老後が迫っている時期でもあり、これまでの貯蓄を減らさないためにもリスクの高い金融商品を選ぶのはNGです。

老後の資金も重視しつつ、慎重に運用プランを考える必要があります。

60代以降

60代以降は、年金のみで生活する方が増えていく時期です。働いていたときよりも収入が下がる可能性があるため、投資は慎重に行いましょう。

少額から投資できる金融商品を選ぶ、投資先を分散させるなど安定的な運用を心がけ、可能な範囲で老後資金を増やします。

生活費や万が一の資金(医療費など)を確保するためであれば、リスクの高い投資は極力避けましょう。

退職金を活用した投資は有効ですが、資金不足を防ぐためにも堅実な運用が重要です。特に、高リスク商品への集中投資は控え、多様な運用先を検討することでリスクを分散させる工夫をしましょう。

また、必要な生活費や緊急時の資金を事前に確保しておくことで、余裕を持った投資計画が立てられます。計画的な運用が将来の安心につながります。

老後資金を貯めるためにやってはいけないこと

老後資金を貯めるためにやってはいけないこととして、以下のようなものが挙げられます。
・投資初心者が一括投資のみ行う
・投資初心者がリスクや手数料の高い金融商品だけに投資する
・毎月の収支を把握していない
・返済計画がないのに借金をする
上記の行動をすると、貯金が大きく減ってしまったり、現在の生活が苦しくなったりするおそれがあります。

特に資産運用にはリスクがつきものであるため、無理のない範囲で毎月コツコツと運用するとよいでしょう。

まとめ

定年後の生活費を年金のみで賄うのは厳しいといえます。不足分を補うためにも、現在の生活費を見直して無駄な支出を減らしたり、できる限り長く働き続けたりなど、老後を意識した行動が必要です。

体への負担なく老後資金を貯めたい方は、資産運用をするのも一つの手段です。難しいイメージがあるかもしれませんが、初心者でも挑戦しやすいものや少額から始められるものもあります。

無理のない範囲で運用していけば、着実に老後資金を増やせるでしょう。
監修者の写真

監修者
赤上 直紀(あかがみ・なおき)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。元銀行員。若年層から高年層まで幅広い資産運用の提案を行う。メディアを通じて、より多くのお客さまに金融の知識を伝えたい気持ちが強くなり、退職を決意。現在は、編集者として金融機関を中心にウェブコンテンツの編集・執筆業務に従事している。

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