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終活

2024.04.30

墓じまいから散骨は可能?費用やメリット・デメリット、手順を解説

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少子高齢化や供養自体の簡素化で、墓じまいがメディアで話題になっています。
今後お墓参りをしてくれる継承者がいないと悩んでいる人なら、墓じまいについて考えたことがあるでしょう。

墓じまいとは具体的にどういうことをするのか、墓じまい後の遺骨は散骨するのか?
その手続きや掛かる費用についてお伝えします。

墓じまいとは

少子高齢化や供養の簡素化、結婚や仕事などのライフスタイルの変化によって「お墓の管理をどうするか」が話題になっています。

墓じまいは今あるお墓を処分することをいい、その理由は様々 です。
たとえばお墓の管理を任せようにも子ども達が遠方にいたり、そもそも独り身でお墓の警鐘をしてくれる人がいなかったり、です。

墓じまいをした後は、別の場所へお墓を移動したり、永代休養に切り替えたり、また 散骨を行ってそもそも管理自体を止めてしまう ケースが挙げられます。

散骨とは

海
散骨は 故人の遺骨を粉末にし、山中や海、空に撒く葬送の仕方 をいいます。

技術が革新し、宇宙に遺骨を撒くこともできるようになりました。
有名人ではジョン・レノンや勝新太郎なども遺骨を散骨しています。

世界には伝統的・宗教的な理由で散骨の風習が残る地域もあり、日本でも 葬送の形態が多様化する中で散骨のニーズが高まっています。

しかし多くの地域で散骨する場所や管理方法、周辺住民とのトラブルなど問題が多いです。
たとえば海洋散骨で漁業関係者からの風評被害への反発や、散骨を行った場所の不動産売買を巡る問題など挙げられます。

散骨を理由に墓じまいはできるのか

墓
結論
そもそも散骨を目的とした墓じまいは、合法ではありません。

ポイントは二つあります。

遺骨は埋葬するもの
墓地以外の埋葬は遺骨遺棄にあたり処罰の対象である


遺骨の扱いについては厳しく制限されており、基本的にはお墓以外での埋葬は認められていません。
しかし実際には、散骨は個人・業者問わず行われています。
散骨を巡る法の解釈やなぜ散骨が行われているのかについて解説します。

墓地埋葬法の解釈
墓地埋葬法とは明治時代からある法律です。

墓地埋葬法
第四条 埋葬又は焼骨の埋蔵は墓地以外の区域にこれを行つてはならない
つまり、 遺骨は埋葬するもの、埋葬は墓地以外にしてはならない、という法律 です。
一度埋葬した遺骨は、お墓からお墓へとお引越をするとき以外で取り出すことはできません。

そのため遺骨を散骨のために取り出し、山中や海洋に散骨することは「埋葬」として認められておらず、刑法190条の遺骨遺棄罪に抵触する恐れすらあります。

遺骨遺棄罪
第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めている物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する
散骨を巡っての法律は法曹関係者の中でも議論がなされており、刑法190条の解釈では「刑事責任を問われる」ことは否定できないとしています。
しかし 実際には散骨を請け負う業者は数多く存在しており、葬送の自由の観点からも希望する人は増えています。

法務省の非公式見解
散骨を目的に墓じまいを行うことに関していえば、違法と言うべきものです。
しかしある団体が散骨を行ったことに対して、 法務省が非公式に興味深い見解を示しています。

「葬送を目的とし、節度を持って行う限り、死体遺棄には当たらない」
注意:非公式のため文書は残っていませんが、散骨は節度を持って行う限り自由であるという意味
つまり 他人の宗教観や葬送の価値観を侵害しない限りにおいて、節度を持って散骨を行うことは違法ではない というのです。
この見解を元にして葬送のための散骨は自由に行えると解釈され、節度を持って主な割れています。

現在は 散骨に関して法律は定められておらず、市町村ごとにガイドラインが定められている に留まっています。
そのためいずれ、散骨を巡って法整備が進められることが予見できます。

墓じまいと散骨を検討すべき人

お盆 お墓
墓参りが難しくなった人
価値観の多様化や、少子高齢化の影響もあり、お墓にこだわる人は減っています。
それどころか 先祖代々のお墓があっても、それを継承していく人がいなかったり、遠方に居てお墓の管理が難しかったりします。

後継者がいない人
日本の生涯独身の人は年々増加しています。
国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、50歳時点での未婚率は、90年では男性5.6%でしたが2015年では23.4%でした。

そのためお墓を継承して行きたくとも継承できないという問題が増えてきています。
このまま 無縁仏にしてしまうよりは、責任を持って墓じまいや散骨をすることを検討しなければならない でしょう。

遠方に住んでいる人
少し前までは家族親類は地元で生活するのが一般的でしたが、グローバル化や仕事・価値観の多様化によって、遠方に住む人が増加しています。
実家を離れ、海外に移住していることも珍しくありません。

そういった背景から 物理的にお墓参りが難しく、そもそもお墓に価値観を持たない 人も多いです。
お墓の管理の難しさを理由に、墓じまいや散骨を選択する人も居ます。

墓じまいと散骨の期間

カレンダー
墓じまいに掛かる期間は、改葬の手続きに必要な書類がそろって、だいたい一ヶ月が目安です。
お墓の立地条件に応じて、お墓の撤去に期間を要する場合があります。

散骨は遺骨のメンテナンスと粉骨が終わってから行うことができます。
粉骨の方法を機械式で行う場合は1日程度、手作業で行う場合は2日から10日ほど掛かる場合があります。

相談には時間をかけたほうが良い
墓じまいと散骨は、実は作業や手続きの工程よりも、身内やお寺と話し合う期間の方が長いです。

お寺の場合は離檀に関わることもあり、なるべく穏便に済ませたいものです。
ときには第三者に仲介に入ってもらうこともあるでしょう。

トラブルの元になりやすい墓じまいと散骨は、できるだけ時間を掛けて繰り返し話し合い、誰もが納得できるかたちでできるようにしましょう。

墓じまいと散骨の費用

墓じまい
墓じまいは墓地から遺骨を取り出し、墓石、お墓の基礎部分を撤去し更地にします。
おおよその相場は以下の通りです。

お墓の撤去…1㎡あたり15万~25万円
お寺へのお布施…3万~5万円
離檀料…5万~30万円
お墓から魂を抜く儀式まで合わせて、 おおよそですが20万~25万円が相場 です。
遺骨を一時的に預かるサービスをしている業者もあります。

もしお墓の管理をお寺にしていただいていた場合、離檀料の支払いが求められることがあります。

お寺に対して「お世話になりました」という気持ちを金銭で支払うものですが、具体的な金額はありません。
支払いを断っているお寺もあります。

しかし 相場よりも高額な離檀料を請求するトラブルもしばしば見受けられる ため、墓じまいの時は「相談」という形で話し合いを行いましょう。

散骨
散骨のやり方には様々な方法があります。

個人でやるのか、業者に頼むのか。
また 山中に散骨するのか、海洋か、空か、によって掛かる費用が大きく異なります。
散骨のパターンは主に3つです。

粉砕から散骨まで全て自分で行う
散骨の準備の一部を業者に依頼する
全ての作業を業者にお願いする
全て自分で行うと費用はほぼ掛かりません。
しかし遺骨を自分で砕かなければならず、心理的な負担も大きいです。

そのため遺骨の粉砕は業者に頼むケースが多いです。
次に散骨場所や方法によって費用がどれだけ異なるのか見ていきます。
散骨方法  費用
単独(海洋散骨) 20~30万
合同(海洋散骨) 10万前後
依託(海洋散骨)  5万前後
山葬散骨 10~25万
空葬散骨 30~50万
樹木葬 50万+年間1万円
宇宙葬散骨 50~200万
日本で最も利用者が多いのが、海洋散骨です。
日本で散骨が認められているのは主に、公海や決められた墓地や私有地 です。

特に海洋は周辺の人へ迷惑になりにくいことから選ばれています。
そのため散骨をする方法の選択肢や業者も多く、自分が納得する弔い方を見つけることができるでしょう。

散骨に関しては、こちらも参考にしてください。

墓じまいで散骨を選択するメリット

墓地
後継者がいなくても管理を心配しなくていい
昔はお墓を継ぐことが特別なものではなく、ごく自然なことでした。
しかし少子化で子どもが減り、生き方の多様化で子どもを産まない選択をする夫婦も増えました。

親の死後のみならず、自身の死後も含めて、お墓があること自体が負担に思う 世帯もあります。
墓じまいを行い散骨をすると、お墓や遺骨の管理を心配せずに済みます。
お守りとして遺骨を持っておきたい場合でも、少しだけ取っておく、など選択できます。

また お墓は持っているだけで年間の維持費が掛かります。
民営霊園か公営霊園かによって維持管理費の相場は異なりますが、おおよそ5,000~15,000円です。

大きな額ではありませんが、管理をしないのであればもったいないお金ともいえます。

自然に還る
散骨は自然に還るという生命の在り方を実現することができます。

仮に 自身がお墓に入った後、管理してくれる人も居ないまま無縁仏になり、風化していくのはもの悲しく感じる でしょう。
できることなら後々の人に迷惑を掛けず、キレイに終わりたいという気持ちが浮かんできます。

散骨は自然の一部に戻ることで、命の自然な姿でもあります。

墓じまいで散骨を選択するデメリット

海
お墓参りができなくなる
墓じまいをして 遺骨を散骨すると、お墓参りができなくなります。
お墓をなくしたので当たり前なのですが、お墓参りのタイミングで親戚が集まっていたり、日課になっていたりすると寂しい気持ちになるでしょう。

みんなが集まる口実も減ってしまうため、疎遠になってしまうおそれもあります。

ご先祖様に「会いに行く」ことができなくなり、また目上の方の中には、お墓を無くすことに腹を立てる人もいます。
墓じまいをする場合は、 お墓参りに来てくれる人へ丁寧な説明と、挨拶を忘れずに行うように しましょう。

心の拠り所がなくなる
墓じまいをし、散骨すると何も残らなくなります。

先立たれた配偶者や両親のお墓や遺骨は、自分を支えてくれるお守りであり、心の拠り所でもあります。
そのため何とも言えない寂しさや虚無感を抱いてしまうこともあるかと思います。

しかしもちろん、 散骨では全ての遺骨を散骨する必要はありません。
少しだけ手元に残すことでお守りにもなり、自身も生を全うしたときには一緒に棺に入れて貰うこともできます。

手続きが複雑
散骨をするために遺骨を取り出すことは容易ではなく、様々な手続きを経なければなりません。

そもそも お墓に入れた遺骨は埋葬行為となり、お墓から取り出すときは別のお墓に移動する「改葬」しか方法はない のです。
遺骨を自宅に持って帰ることすら許可が降りません。

また散骨は埋葬行為として認められないことから、役所との交渉に多くの時間を費やしてしまうケースもあります。

次の項からは墓じまいと散骨の手順や、業者への依頼した場合の費用など解説していますので参考にされてください。

墓じまいと散骨の手順①墓じまいの書類

書類
墓じまいをし、遺骨を取り出し、散骨するには、様々な行政上の手続きをしなければなりません。
墓じまいに必要な書類は3種類 あります。

受入証明書
埋葬証明書
改葬許可書

それぞれについて解説していきます。

受入証明書
受入申請書は永代供養許可書、とも呼ばれます。
お墓を別の場所へ移すとき、新しい墓地や霊園で「遺骨を受け入れることを承諾しましたよ」と証明するものです。

この 受入証明書は新しい墓地や霊園の管理事務所で受け取れます。
散骨を行う場合は散骨を行ってくれる業者が発行します。

申し込みには実印と、場合によっては個人の除籍謄本が必要です。

埋葬証明書
埋葬証明書は納骨証明書とも呼ばれることがあります。
現在のお墓に遺骨を埋葬していることを証明する書類で、改葬許可を申請するときに必要 です。

現在のお墓の管理者に交付してもらえ、公営の霊園であれば各市町村が交付してくれることもあります。

墓じまいをすることを管理者が承諾していないと、この証明書を発行してもらえません。
墓じまいを巡ってはトラブルが起きたケースもあるので、あらかじめ管理者へ事前の相談と説明をしておきましょう。

埋葬許可証に関しては、こちらも参考にしてください。
改葬許可書
改葬許可書は遺骨を移動させるときに必要になる書類です。
主に お墓からお墓へ遺骨を移動するときに必要 なものです。

散骨を目的に墓じまいをする場合も、一般的にはこの許可書がなければ墓じまいを行えません。
改葬許可書は上記の 受入許可書、埋葬証明書を添付し、墓じまいをするお墓がある市町村に申請して発行されます。

発行には一週間ほどの時間を要するので時間にゆとりを持って行いましょう。
なお、改葬許可書の発行には300円の手数料が掛かります。

墓じまいと散骨の手順②墓じまい

改葬許可書が発行されるといよいよ墓じまいを執り行うことができます。

墓地の管理者、お寺、石材屋さんに連絡を入れて、墓じまい工事の作業を行いましょう。
お寺にお墓の管理をしてもらっていた場合は、この時に離檀料を支払います。

開眼供養
お墓を閉じてしまう前に僧侶にお経を読んでもらいます。

この儀式を 開眼(かいげん)供養と言い、お墓に宿ったご先祖様の魂を一時的に抜く ものです。
地域によっては魂抜き(たましいぬき、たまぬき)、お性根抜き(おしょうねぬき)とも呼ばれます。

開眼供養を行うことでお墓はただの石材に戻り、実際の撤去作業ができるようになるのです。

僧侶にお経をあげて頂くので、謝礼金としてお布施が必要です。
お布施の相場は1万~5万円ほど です。

心配な場合は「どれくらい包まれる方が多いですか」と事前に相談しておきましょう。

開眼供養に関しては、こちらも参考にしてください。

墓じまい工事

お墓の魂を抜いたらいよいよお墓を撤去します。
ここからは専門業者によって行われます。
主な手順は

石碑の撤去
外柵の撤去
基礎コンクリートの処分
残土の処分
砂利を撒く
です。

通常は開眼供養のあと、遺骨を納骨室から取り出しますが、 古いお墓の場合は外から取り出せなくなっている場合 があります。
その場合は機材を使わず、人力で少しずつ石を砕いて、遺骨が損傷しないようにするようです。

墓じまいのサービス内容は業者によって異なり、 行政上の手続き(改葬許可書申請など)を代行してくれたり、遺骨のお手入れを行ってくれたり様々 あります。

墓じまいと散骨の手順③散骨

花
墓じまいが終わり、無事に遺骨を出したら、散骨の手続きを行っていきます。

散骨するためには遺骨を細かな粉末にしていきます。
自分で行うこともできます が故人の遺骨を砕くため、気持ちの面で抵抗を感じることがあると思います。

また難しい作業でもありますので、一般的には専門の業者に依頼することが多いです。

粉骨
遺骨を細かな粉状に加工する作業のことを粉骨(粉骨)といいます。
まずお墓から取り出した遺骨のメンテナンスをします。

長らくお墓に納められていた遺骨は水分を多く含んでいるので、そのままですと粉骨できません。

水分を飛ばし、カビや汚れを取り除いてきれいにしてから粉骨の作業に入ります。
粉骨はハンマーやすり鉢を使用して手作業で行う場合と、機械で刃を高速回転させて粉骨する方法があります。

こうして2㎜以下の細かな粉にします。
粉骨に関しては、こちらも参考にしてください。
分骨
分骨は故人の遺骨を複数に分けて別々の場所に納骨・供養すること を指します。
お墓が遠方にあってどうしてもお墓参りができない場合など、自宅や手元に置いて供養する(手元供養)ときにする場合場多いです。

たとえばご自宅の祭壇に置いたり、ペンダントなどに入れて持ち歩いたりなど、ライフスタイルに合わせて様々な方法があります。

墓じまいをして散骨をする場合も、 ぜひ一部は分骨し手元に置いておくことをオススメします。
なぜなら散骨をすると当然、遺骨は自然に還り、手元にはなにも残らなくなります。

ご自分で決めたことだとしても、遺骨を無くすというのは非常に寂しいものです。
また 全て散骨してしまったが故に、親類縁者から責められてしまう トラブルもあります。

後々のトラブル回避のためにも、一部だけ手元に残し、心の拠り所として供養してあげてください。
散骨
粉骨、分骨が終わったら散骨を行います。
現在の日本では海洋散骨が主流 です。

散骨は他の人の迷惑にならないようにしなくてはなりません。
そのため陸地から離れた沖合の海へ散骨するために、業者を利用することが多いようです。

ところで散骨はなにも、ひとつの場所で行う必要はありません。
故人と思い出深い場所を巡って散骨を行う、散骨旅行を行う遺族も います。

散骨を行う場合は次の点に気を付けましょう。

散骨は人目に付かない時間に
喪服の着用は避ける
撒く場所にも配慮を
散骨は本人にとっては故人を思う気持ちであっても、他人から見れば「気味が悪い行為」と思われかねません。
周囲への配慮を忘れずに、一番良い散骨の方法を考えて みましょう。

墓じまいの注意点

作業者とお墓
墓じまいを行うと決めたら、まず遺骨をどう取り扱うか検討します。
散骨をするけれど、 一部を永代供養にするのか、手元に置いて手元供養をするのか 、です。

墓じまいはお墓がなくなることでもあるので、親族の中には強い反発を持つ人も居ます。
墓じまいを行ったあとで、大きなトラブルに発展しないように、まず、親族間でよく話し合うことが大切です。
費用見積もりを依頼する
墓じまいは行政上必要な書類と、お寺への開眼供養の依頼、石材店への撤去の依頼が必要です。
石材店選びでは費用見積もりを依頼しましょう。

相場はお墓の大きさによりけりですが、 おおよそ1㎡あたり10万円で設定している ところが多いです。
サービスの内容で追加料金が掛かるケースも あるので、良く確認しましょう。

墓地が狭かったり、急勾配の山の斜面にあったりする場合はよく相談し、現地確認を一緒に行うと安心です。

また、中には 格安で墓じまいを行う石材店もありますが、その場合は要注意 です。
ニュースでも話題になりましたが、墓石の不法投棄をする事例があります。


代理業者も考える
墓じまいは意外とやるべきことが多いです。
お墓が遠方にある場合や仕事の都合などで、墓じまいを行うことが難しく感じることもあります。

その場合、 墓じまいの工程を全て一貫して行ってくれる、代行業者に依頼してみることも考えてみましょう。
代行業者にはいくつかの種類があります。

墓じまいの行政手続きを代行する
遺骨の取り出し・墓石の撤去作業までを代行する
墓じまいに関わる全ての工程を代行する
代行業者を選ぶときは、自分が何をしてもらいたいのかハッキリと伝えることが大切 です。
墓じまいの行政上の手続きだけ、墓石の撤去だけ、などどの部分を代行してもらいたいのか、どこからどこまでを代行してもらえるのか(書類の提出までしてもらえるのか)など確認しておきましょう。

たとえば トラブルになりやすいお寺との交渉を代行してくれる弁護士や、遺骨の一時預かりをしてくれる代行業者もいます。

自分が困難だと感じることは、こういった代行業者を利用することでスムーズに墓じまいができます。

散骨の注意点①個人か業者か

お墓掃除代行業者
業者に頼む場合
散骨を業者に頼む場合、 もっとも大切なのはサービス内容や金額ではなく、「信頼できるか」です。
というものメディアで散骨が話題になり、散骨ビジネスに参入する人が増えているためです。

残念ながらその中には、安易に稼げるビジネスとしてとらえている残念な業者も少なくありません。
遺骨を郵送した先が山奥の小屋であったり、後から高額な手元供養品を請求されたりするケースもあります。

インターネットで業者を探す場合、 必ず管理・運営している代表者のプロフィールや所在地を確認しましょう。
以下に信頼できるかどうか見分けるポイントをまとめます。

所在地がハッキリしている(レンタルオフィスではない)
店舗型である
立ち会い粉骨できる
サービスの利用を急かさない(「割引する」などの言葉)
追加料金の有無(手元供養品などオプション料金)
期日が明確である(散骨する日時、分骨引き渡しの日時など)
立ち会い粉骨ができる業者はかなり信頼できると見込めます。
遺骨が他のものと混ざらないかどうか、機械をきちんとメンテナンスしているかどうかを自分の目で確かめることができるからです。

立ち会い粉骨は有料である場合があるので、よく確認しましょう。

個人で行う場合
個人で散骨を行う場合、周辺の住人への配慮が必要 です。
たとえば遺骨を乾燥させる場合、天日干しで行うことが多いでしょう。
その場合、遺骨がご近所さんの目に触れてしまうと大騒ぎになりますので、配慮をしなくてはなりません。

粉骨も遺骨と分からないように2㎜以下にしましょう。
また散骨場所を選ぶにも注意が必要です。

たとえば「故人が釣り好きだったから、海に散骨したい」と希望していても、 海水浴場や釣り場、漁場での散骨を行うと民事トラブルの原因 となります。
散骨は「節度を持って行う」ことが重要です。

そのため海であれば人気の少ない早朝に、散骨と分からないようにひっそりと行うことが賢明です。

なお市町村レベルで散骨についてのガイドラインが設けられているところがあります。
散骨を行う地域のガイドラインを必ず確認するようにしましょう。

散骨の注意点②供養関連

供養
もっともトラブルになりやすいのは身内との供養をめぐっての対立です。

お墓の後継者がいない、遠方で墓参りが難しいなど物理的にお墓参りが困難であるからと、 安易に墓じまいや散骨をするのは望ましくありません。
身内としっかりと話し合って、今後の供養をどのようにするのか決めましょう。

分骨をするかどうか
散骨をすると何も残らなくなります。
お墓もなくなり、故人を偲ぶ場所もなくなり遺骨もなくなる、というのは寂しさや虚無感を覚えるかもしれません。

しかし遺骨の一部を分骨すると、手元に置いて手元供養や永代供養をすることもできます。やがて自分が荼毘に付されるとき、遺骨を一緒に棺に入れてもらうこともできます。
また分骨をしておくと後々新しくお墓を作りたいという親族もいるかもしれません。

どんな弔い方をしたいかは人それぞれで異なります。
互いの意思を尊重し合って散骨をしましょう。

永代供養をするかどうか
散骨後の供養の仕方に永代供養があります。
永代供養はお墓参りに行けない人に代わって、霊園やお寺が管理・供養をしてくれます。

納骨の方法や供養やり方で費用が異なり、個別に安置する方法や故人の遺骨をまとめて埋葬する合祀型などがあります。
しかし永代と言っても永遠に供養をし続けるものではなく、33回忌、50回忌などと一定の期間に限られます。

この期間は相談によって決められることがあるので、よく確認しておきましょう。

散骨場所
最後に散骨場所です。
主に故人が好きだった場所に散骨することが多いですが、散骨はトラブルにもなりやすいので注意しましょう。

たとえば自分にとっては故人を悼むことですが、他人にとってはどうでしょうか。
気味が悪いと思うかもしれません。
他の人の心象に配慮して節度を守るのが大切 です。

また最近では樹木葬も人気です。
シンボルツリーの周りに散骨する方法や、個別に植樹をして散骨することもできます。
許可を得ている土地で散骨するのでトラブルになりにくい です。

散骨は節度を守って、墓じまいはよく相談を

継承者がいない、ライフスタイルの変化、供養方法の多様化によって墓じまいをする人が増えています。
墓じまいをしたあとの遺骨は散骨したり一部を分骨し永代供養したり、弔い方には様々な方法があります。

しかし 墓じまいや散骨は親族間で大きなトラブルの元になることが多い です。
大切なことはどのような供養を望んでいるかをしっかりと話し合うこと です。

散骨してしまえばお墓も遺骨も残らなくなります。
後悔の残らない、納得できる供養方法を見つけていきましょう。

墓じまいについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

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